『サマーウォーズ』ラブマシーンの正体を作った人から解説!最終形態やネズミの元ネタとは
夏の定番映画『サマーウォーズ』。その物語の鍵となるのは、「ラブマシーン」と呼ばれる高性能AIです。しかしその正体は謎に包まれています。 この記事では、ラブマシーンの正体や開発者、その目的などを解説していきましょう。
『サマーウォーズ』ラブマシーンのプロフィール

名前 | ラブマシーン |
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正体 | 知識欲を持ったAI |
開発者 | 陣内侘助 |
目的 | 知識を得ること |
ラブマシーンは、「知識欲」が組み込まれたAIです。つまり、自ら進んで新しい知識を求めて行動するAIということ。 「知識」そのものには善悪はありませんので、人間の世界では、それをどう使うかは人間次第です。しかし仮想空間「OZ(オズ)」では、ラブマシーンは善悪の判断もつかないまま知識を利用していたのです。
【正体】ラブマシーンは何者?作成者から目的まで解説

ラブマシーンの正体!作ったのは誰?
ラブマシーンは、「知識欲」を持ったAI(ハッキング人工知能)です。 ラブマシーンは自分のいる空間に混乱を呼び込み、混乱への対抗者に挑戦します。そして勝利すると、その対抗者の能力を吸収する、というループをつづけて成長・進化します。 基本的な形状・形態はなく、活動するためには被害者にトリガーとなるファイルをメールを送りつけ、被害者にそのファイルを実行させて乗っ取ります。 開発したのは陣内侘助で、彼は帰国する際にラブマシーンのプログラムをアメリカ国防総省に売り渡しました。ラブマシーンの軍事利用を目論んでいたアメリカが実証実験としてラブマシーンを「OZ」に放ったことで、今回の騒動につながったのです。
ラブマシーンの目的はなに?
侘助によって「知識欲」を持たされたラブマシーンは、とにかく知識を吸収することを目的としています。 ラブマシーンには、知識を得ること以外の目的はとくにありません。しかし先述した混乱・挑戦・吸収のアルゴリズムをループして知識を増やすことでその被害者が増えていき、結果的に「OZ」を侵食し日本中を混乱に陥れました。 また「知識」自体に善悪は無く、ラブマシーンにはその判断がつかないので、いたずら半分で人工衛星を落とそうとしたりしてしまいます。
ラブマシーンの名前の由来!侘助の悲しい思い
「ラブマシーン」の名前の由来は、開発者である侘助の「愛されたい」「認められたい」という思いから着ています。妾の子として愛情を知らずに育った侘助は、本家からも疎まれ、寂しい思いを募らせていたのでしょう。 しかし実際は、本家の当主である栄は彼のことを気にかけていましたし、夏希も彼になついていました。 皮肉にも、侘助自身がラブマシーンのプログラムを書き換えて停止させたことで、彼はようやく「認められた」のでした。
【第1形態:偽ケンジ】ネズミ姿のモデルはオズワルド?

「偽ケンジ」ことラブマシーンの第1形態は、パッと見たところミッキーマウスによく似ています。しかしその境遇を考えてみると、ミッキーマウスよりも先にディズニーキャラクターとして人気を博した「しあわせウサギのオズワルド」の方をモデルにしていると考えられます。 オズワルドはその版権を巡って、ディズニーを含む数社が争いをくり広げ、長い間日の目を見ることができなかったキャラクターです。 しかし2006年にディズニーが完全にオズワルドの版権を獲得し、復帰。2010年には『エピック・ミッキー』というゲームに登場し、「人々に忘れられたキャラクター」「ミッキーマウスに対して鬱屈した感情を抱いている」という設定になっています。 ラブマシーン=侘助と考えると、しっくり来る設定ではないでしょうか。
【第2形態】神様のような姿の元ネタは?
キングカズマとの戦闘中、苦戦を強いられたラブマシーンは、周囲にいたアバター別のアバターたちを吸収し第2形態へと変化します。 大きな鍵を持ち、背中に後光をたたえた筋骨隆々の仁王像のようなこの姿が、一般的にはラブマシーンの姿として広く認知されているのではないでしょうか。この姿がかっこいいと大人気で、フィギュアも発売されています。 デザインのもとになったとされているのは、日大如来とされています。日大如来像は体つき自体は丸みのあるものが多いですが、背中の後光や炎が配置され、首周りに装飾が施されている場合が多く、それを強そうなデザインに落とし込んだと言われれば納得です。
【最終形態:unknown】変化する姿の元ネタは細田守の初期作?
夏希と花札の勝負に挑んだラブマシーンは、最終形態である「unknown」という巨大な黒い影のような姿に変化します。 ここまで紹介してきたように、ラブマシーンは戦いのたびに進化してきましたが、これは細田守監督の初期作『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム』(2000年)に登場するキャラクターにとても似ているといわれています。 「ぼくらのウォーゲーム」に登場する「ディアボロモン」というデジモンは、「クラモン・ケラモン」と呼ばれる幼少期・青年期に偽ケンジのような些細ないたずらをします。その後進化して完全体「インフェルモン」になると、第2形態の仁王像のような高い戦闘能力を獲得します。 そして究極体「ディアボロモン」になると、近くの軍事基地から核ミサイルを発射。しかもラブマシーンと同じようにすべて遊び感覚でやっているという厄介な存在です。 細田監督自身もインタビューで「ぼくらのウォーゲーム」を「もう1つの原作」と認めています。
『サマーウォーズ』ラブマシーンの正体は侘助のAI?最終形態の元ネタ
『サマーウォーズ』に登場するラブマシーンは、愛情を知らずに育った侘助の寂しい気持ちから生み出されたAIでした。それがアメリカによって「OZ」に投入されたことによって大混乱を引き起こしてしまったのです。 この記事では、その正体や最終形態までの進化を紹介しましたが、いかがだったでしょうか。これを踏まえて、もう1度『サマーウォーズ』を観てみるのもいいかもしれませんね。