2017年7月6日更新

『ワンパンマン』最狂ヴィラン、ガロウを徹底解説!根は優しい少年が怪人になりたがる理由とは

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『ワンパンマン』ガロウは人間でありながら怪人に憧れた最狂ヴィラン【ネタバレ注意】

最狂ヴィラン・ガロウは、幼少期の経験からヒーローを偽善と理不尽さの象徴として憎悪しており、人間でありながら怪人に憧れるという作中でも異質な存在です。自身の確固たるヒーロー観と怪人観によって、最強の怪人になることを目標に「ヒーロー狩り」を開始しました。 かつては、S級3位のシルバーファング(バング)に師事した一番弟子でしたが、他の門下生たちを再起不能にするトラブルを起こして破門されました。しかし、格闘センスが天才的なうえ、強者との戦闘の度に技を吸収して強くなっていくという作中屈指の実力を誇ります。 怪人協会編終盤、S級ヒーローや怪人たちとの死闘の中でリミッターが外れていき、遂に怪人へと覚醒。通常の怪人にはない「技と耐久力」による攻撃を繰り出し、最狂のヴィランへと変貌しました。 『ワンパンマン』は、ONEによる原作版とリメイク版(作画・村田雄介)が存在。リメイク版は、ONEによってストーリーが若干改訂されています。本記事では主にリメイク版(2016年4月時点)の内容に沿って紹介していきます。

初登場でA級3人を倒す!

ガロウの初登場は55話。ヒーロー協会「地球がヤバい予言緊急対策チーム」は、ヒーローだけでは対応できない事態に、裏社会の住人に助けを求めることを決定します。対策会議に参加したガロウは、「俺こそが災害レベル神になる男だ」と宣言し、集まった人間たちとの力比べを提案。 対策チームのリーダーは、その場にいたA級ヒーロー3人(5位重戦車フンドシ・6位ブルーファイア・7位テジナーマン)にガロウを追い出すよう命令します。 しかし、テジナーマンは容易く絞めあげられ、フンドシはガロウを殴ったはずの腕が折れてしまう惨敗っぷり。ブルーファイアも得意の火炎を放射しますが、火炎放射器を仕込んでいた腕を千切られて撃破されます。残った裏社会の住人たちも倒し、ガロウは悠々とヒーロー協会を後にしました。

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ガロウが人間怪人を目指すのは幼少期のトラウマが原因だった

ガロウは、人間でありながら「ヒーロー狩り」を行い、「人間怪人」と呼ばれています。彼がヒーローを憎む理由は、自身が幼い頃に受けたトラウマが原因でした。そこから彼は、ヒーローや正義に対する考え方を大きくゆがめていきます。 幼い頃のガロウは、ヒーローごっこで無理矢理怪人役をやらされ、ヒーロー役のクラスの人気者からいじめられていました。“悪者を倒す”という名目で行われていたいじめに彼は抵抗するも、周囲は耳を貸しません。彼はこのとき、怪人は絶対にヒーローに勝てないという理不尽さを痛感します。彼にとって、正義はただの暴力にすぎず、ヒーローは偽善者そのものでした。 やがてガロウは、悪役こそが弱者であり、弱者を救えないヒーローは偽物だと考え始めます。こうして彼は、ヒーローたちに反旗をひるがえすようになりました。そして、本当の弱者を救えない偽りのヒーローは、自らの手で狩ると決めたのです。

ガロウの変身

原作版(八十一撃目)では、怪人協会とヒーロー協会の全面対決が勃発。ガロウは、S級ヒーローや災害レベル鬼以上の怪人との死闘の末、真の怪人へと覚醒します。人間だった頃の面影は微塵もなく、角が生えた悪魔のような外見になり、怪人協会の主力メンバー・黄金精子を秒殺。 流水岩砕拳でもどの流派でもない「怪害神殺拳」を編み出し、負傷しているとはいえS級ヒーローたちを一掃するほどの強さを得ました。そして、遂に迎えたサイタマとの一騎打ち。体術で圧倒した後に、それでもダメージを負わないサイタマに対し、自身の認識を改めて数回の変身を重ね、背中から悪魔の羽が生えたような怪人へと変貌していきます。 結果、凄まじい攻防を見せた戦いは、サイタマの次元違いの強さに手も足も出ないガロウの完敗でした。「本当に目指していたのは怪人ではなくヒーローだった」と看破され、全ての気力を失い処刑を受け入れようとします。しかし、かつての師匠や怪人協会の人質になっていた男の子の想いが伝わり、ガロウは“次”のためにその場から姿を消しました。

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ガロウが本当になりたかったのはヒーローだった

怪人化したガロウは、ついにサイタマと戦いますが、あっという間に追い詰められました。彼は自身のヒーロー観を語り、サイタマにヒーローをやっている理由を問います。だが、サイタマの口から出てきた「趣味」という言葉に、彼は激しく動揺しました。 するとサイタマは、子供は殺さずヒーローには手加減をするといったガロウの行動などを指摘。そのうえで、彼が本当になりたかったのはヒーローだったと見破ります。 ヒーローに憧れながら、怪人で“妥協”したと看破されたガロウは、生きる意味を失いました。そしてとどめを刺されようとしていた瞬間、かつて彼が助けた少年が止めに入ります。少年は、彼こそが本物のヒーローだと言い放ちました。 怪人を目指してきたこれまでの行動は全て、ヒーローになるためのものだったと悟ったガロウ。それを知った彼は、目にも止まらぬ速さで、どこかへと姿を消してしまいました。

ガロウは今何をしている?

ガロウはサイタマとの戦いで、自身のヒーロー願望をあらためて思い知ります。そして、本心に背を向け、ヒーローにはなれないと腐っていた自分を恥じていました。そんな彼の心は、あの頃の自分に似た、1人の少年によって再び開かれます。“次”はないと諦めきった彼は、“次”を得たのです。 ガロウは、サイタマたちの前から逃げ出して以来、消息不明となっていました。一方で、S級7位のキングは、「(本当に)強くなりたい」と思うように。同じくS級3位のシルバーファングに弟子入りを申し出るなど、強くなるための覚悟を決めていたのです。 キングは武者修行のため、各地の道場の門戸を叩くなどして、全国を渡り歩いていました。そんな中、彼が最後に訪れたのは「最果て修行場」という所。修行場の中で彼は、滝に打たれている1人の男に注目します。それはなんと、これまで行方知れずだったガロウの姿でした。

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ボロスとガロウ、強いのはどっち?

ガロウの強さについて議論する際、よく比較対象にされるのがダークマター編のボス・ボロスです。災害レベル:「竜」以上という、最強クラスの一つ目のヒューマノイド型宇宙人でしたが、サイタマとの戦いに敗れて撃破されました。 原作者のONEは、ニコニコ生放送内でのどちらが強いのかという質問に対して、「ガロウに分があるだろう」と答えています。その理由は、純粋な格闘戦であれば怪人化することでボロスの攻撃をかわすことができるからだそうです。 しかし、ガロウには遠距離戦用の技がなく、ボロスには高い再生能力が備わっているため、実際に戦って勝敗がどうなるかは不明とのこと。作中最強のサイタマの攻撃をどれだけ受け止められたか。という点で考えるにしても、サイタマの気分や両者の精神状態が影響するため判断は難しそうですね。

ガロウの戦歴を解説!

方向性を間違っているとはいえ、ガロウは作中で目的を達成するために成長を遂げてきました。根っからの悪人ではなく、過去に裏付けされた一貫性のある行動と姿勢はもはや裏主人公と言っても過言ではないでしょう。 ここではそんなガロウが本作で見せた戦闘について、解説していきます。

VSタンクトップマスター

S級14位(後に16位)のタンクトップマスターは、ガロウに倒された舎弟の敵討ちに参戦。S級ヒーローとの戦いにテンションが上がるガロウでしたが、開始早々に必殺技「タンクトップタックル」を食らって吹き飛ばされてしまいます。 C級ヒーロー・無免ライダーの取り成しで、一度は引く素振りを見せましたがそれも全て演技。師匠・バングの顔がチラつくからと封印していた流水岩砕拳を打ち込み、前半の劣勢が嘘だったかのように圧倒し始めるのです。 最後は、タンクトップマスターだけではなく、舎弟のタンクトッパーや無免ライダー、駆け付けたチャランコも蹴散らして去っていきました。

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VS黄金ボール&バネヒゲ

ヒーロー狩りのターゲットになったA級ヒーロー・黄金ボール。ガロウは、公園で男の子と読んだヒーロー名鑑にあった行きつけの居酒屋「蟲毒」に現れ、因縁を付けて外へ連れ出します。 ガロウは黄金ボールの形状記憶弾金を受けて足を負傷。負けてしまうかと思われましたが、黄金ボールの必殺技「ゴールデンブレイクアウト」の猛攻を動体視力とその技量で全ての弾を回避してみせます。形勢逆転とばかりに黄金ボールを仕留めようとしますが、そこへ突如A級ヒーローのバネヒゲが現れました。 バネヒゲは、狭い路地という不利な場所を気にも留めず斬撃を浴びせます。必殺技「踏無暴威」を受けたガロウですが、左手を犠牲にしてなんとか防ぎ、A級ヒーロー2人を無力化してしまいました。

VSサイタマ

黄金ボール&バネヒゲとの戦闘後、歓楽街を歩いていたガロウ。そこへ偶然通りかかったサイタマの「見つけた」という台詞で、ヒーロー狩りの追手と勘違いして先制攻撃を仕掛けます。 ガロウが繰り出した、足が地面にめり込む程の威力があるチョップにビクともしないサイタマ。いきなり攻撃を仕掛けられたことで、ガロウをカツアゲだと勘違いし、そっくりそのまま同じ攻撃を返して気絶させてしまいました。S級ヒーローと同等の実力があると言われるガロウですが、サイタマにとっては普通のカツアゲと変わらないレベルかと思うと、少し切ないですね。 結局、サイタマが見つけたのはDNQホーテにあるカツラだったようで、ガロウのことは認識していなかったというオチでした。

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VS金属バット

ガロウは、災害レベル竜のムカデ長老と戦っていたS級15位の金属バットのもとに現れ、「こっから先は俺が相手だ」と宣言。これまでの戦闘でボロボロの金属バットに対して、一方的に攻撃を与え続けていきます。 攻撃を受ける度に気合いと強さが増していく金属バットは、必殺技「野蛮トルネード」を炸裂。ガロウは、それを師匠・バングの技で受け流して反撃し、流石の金属バットも地面に倒れてしまいました。 その時、金属バットの妹・ゼン子が登場。彼は不死身のように立ち上がり、バットを振り被りますがなぜか寸止めになります。ガロウがその隙を突いて止めをさそうとした瞬間、ゼン子の制止が入り彼は撤退しました。公園で出会った男の子の例もありましたが、どうやら子どもには甘いようですね。

VSバング&ボンブ

バングは、かつての一番弟子・ガロウがヒーロー協会から怪人指定を受けたと知り、兄のボンブと共に討伐に乗り出します。バングの流派・流水岩砕拳に対してボンブは旋風鉄斬拳。ヒーローとして活動はしていませんが、バングが頼りにするほどですからS級相当の実力はありそうですね。 しかし、リメイク版ではまだ3人の戦闘は描かれていません。原作版(五十三撃目)では、S級ヒーロー・ジェノスとの戦闘中にバングとボンブが現れ、流水岩砕拳と旋風鉄斬拳の連撃「交牙竜殺拳」で追い詰められていきます。 武術界の大御所たちを相手に、為す術もないガロウでしたが、怪人協会の介入で連れ去られてしまい勝負はおあずけになってしまいました。

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アニメ版『ワンパンマン』でガロウを演じる声優は緑川光

最も凶悪な怪人でありながら、最も人間臭くヒーローらしいガロウ。彼を演じているのは、青二プロダクション所属の男性声優、緑川光です。 小学生の頃に見た「ガンダム」に感銘を受け、声優を目指すように。高校卒業後、「ガンダム」声優の多かった現事務所の養成所に入所します。1988年に『キテレツ大百科』でデビューしてからは、数々の二枚目キャラを演じるようになり、一気に人気声優となっていきました。 代表作は、『SLAM DUNK』の流川楓(るかわかえで)や「ガンダムW(ウイング)」のヒイロ・ユイなど。2010年代以降であれば、『坂本ですが?』の坂本や、『SSSS.GRIDMAN』のグリッドマンなどでしょう。 昔から二枚目役を多く演じてきた中で、ガロウという明らかな悪役を見事に演じています。ガロウというキャラが、敵ながらカッコよく魅力的なのは、その声によるところも大きいのです。

『ワンパンマン』ガロウが再び前線に戻ってくるのはいつになるか

本編に登場した当初のガロウは、凶悪なキャラというイメージが先行していました。実際、圧倒的な強さで何人ものヒーローを倒しています。だが、彼は連戦連勝というわけでもありません。強敵と出会う度にボコボコにされては、自身の伸びしろを信じて一回りずつ強くなってきたのです。 そんなガロウは、過去の経験から、ヒーローを許せないでいました。だからこそ彼は、怪人となって誤ったヒーローや正義を狩りつくそうとします。けれども、彼が証明したかったのは悪ではなく、本物のヒーローの存在。彼は自分でも気付かないほどの心の奥底で、ヒーローを目指し、ヒーローになりたいと願っていたのです。 ガロウは、怪人化を果たした後で、この真実に直面します。そのときは心の支えを完全に折られていましたが、彼は先へ向かうことを決意しました。今は、心技体の全てを整えて彼が再び戻ってくることを、信じて待ちたいと思います。