女性差別を取り挙げた、女性応援コメディ『問題のあるレストラン』
木曜劇場『問題のあるレストラン』は、2015年1月15日から3月19日まで、フジテレビ系列で放送されたテレビドラマです。
男性社会で理不尽な想いをした主人公・田中たま子は、自分と同じく問題を抱えた女性・ゲイと共に、ビストロレストランを開店することに。かつての職場を見返すため、ライバルとなる男性たちに戦いを挑むという、「女性応援コメディ」が描かれました。
2013年に、同じく「木曜劇場」枠で放送された、『最高の離婚』のスタッフたちによるオリジナルドラマ作品。前作でヒロインを演じた真木よう子が主演を務め、平均視聴率は9.3%でした。
理由1:セクハラ・パワハラなどに大胆に切り込んだ
主人公による、”男性社会への仕返し”がテーマということで、男性社員の言動は終始セクハラ・パワハラの応酬です!作品を通して、セクハラ・パワハラ問題に大胆に切り込み、物語は女性社員に対する男性上司のセクハラシーンで幕を開けました。
第1話目では、女性社員が上司にミスの責任を負わされ、”幹部の前で全裸謝罪を要求される”過激なシーンが描かれます。
その他にも、飲み会でお酌を強要し、「女は金で買うもの」などと平気で言ってのける男性社員たち。キャストの力の入った熱演もあり、見ていて胸が苦しくなる。と話題になりました。
理由2:高畑充希演じる川奈藍里がうざい!なのに深い!
高畑充希演じる川奈藍里は、ぶりっ子&少し”イタイ”要素のあるキャラで、烏森奈々美曰く”キラキラ巻き髪量産型女子”。常に男性ウケを狙う恋愛依存症かつ、どこか馬鹿したような言い回しをするため、当初は「うざい!」と思われていました。
女という性を諦観し、セクハラや差別を笑顔で流しつつも、心の中では傷を負っていた藍里。男性社会で上手く生きるため、我慢とスルーを自分に科して、男に振り回されるバカな女を演じていたのです。
社会で戦う女性の、生々しく繊細な思いと覚悟が描かれ、働く女性を中心に共感を呼びました。藍里ほどでなくても、必死に自分を守って戦う女性は多いのかもしれませんね。
理由3:二階堂ふみ演じる新田結実の「セーラームーン」発言が波紋を呼ぶ
二階堂ふみ演じる新田結実は、ライクダイニングサービスの元社員で、現在は就職活動中。第4話の就職面接の際、人生における戦いを『美少女戦士セーラームーン』になぞらえて発言し、波紋を呼びました。
幼少期から、女同士の争いには勝てない。と諦めていたという結実。幼稚園時代に流行った”セーラームーンごっこ”でも、主人公や人気の色のキャラは、すぐ他の子に取られたと語りました。最後まで残るのは緑で、いつも余り物のジュピターを選んでいたと言うのです。
緑色の不人気に例えた、自分は”使えない残り物”。という趣旨の台詞で、セーラージュピター自体を貶める意図は無いようです。しかし、今もなお根強い人気を誇る作品を例にしたため、一部のファンからは批判の声が上がりました。
理由4:名脚本家・坂元裕二が織りなす名言が心に刺さる!
脚本を担当したのは、『東京ラブストーリー』、『最高の離婚』や『Woman』など。数々のヒットドラマを世に生み出してきた脚本家、坂元裕二です。
近年の作品は、”社会問題”を多く取り挙げ、”人間関係の本質”を突く台詞回しが注目を集めています。今作でも、丁寧かつ繊細な心理描写や心に刺さる台詞が視聴者を魅了!1話ずつ、数えきれないほどの名言が散りばめられており、絶対に見逃せないと話題になりました。
女の価値は、人生でいくら奢って貰ったかで決まるから。割り勘は女の敗北。
第5話「バレンタイン決戦で奇跡が!」での、川奈藍里の名言です。
女性の価値は、付き合う彼氏の職業や財力で決まる、と考えている藍里。”中身が大切”と思いながらも、男性の職業・社会的地位などをつい値踏みしてしまいませんか?視聴者の中には、同じようなことをしている自分に気付き、グサッと来た方も多かったようです。
人生ってきっと、地位やお金や名誉じゃない。人生は、どれだけ心が震えたかで、決まると思います。
第1話「セクハラパワハラ女は我慢しなきゃいけないの?」での、田中たま子の名言です。
たま子は、”いい仕事”をして、息をするのも忘れるくらいドキドキしたい。と言います。たま子の言う”心が震える瞬間”は、きっと働く誰もが追い求めているもの。何のために働き、何のために生きるのか。ということは、人生における永遠のテーマなのかもしれません。
理由5:キャストが豪華すぎた
田中たま子/真木よう子
主人公・田中たま子は、元ライクダイニングサービスの社員で、現在は「ビストロ フー」の店長です。芯が強く仕事熱心な性格で、女性差別や労働環境を軽視する、元職場を見返すと決意。親友・藤村五月のレシピをもとに、元職場のすぐ近くでレストランを開店しました。
真木よう子は、2007年から放送されたドラマ、『SP 警視庁警備部警護課第四係』シリーズでブレイクしました。2013年6月には、主演映画『さよなら渓谷』で主題歌「幸福坂」を歌唱し、歌手デビュー。翌年3月、同作の演技に対する評価で、第37回日本アカデミー賞(最優秀主演女優賞)を受賞しました。
門司誠人/東出昌大
門司誠人は、不遜かつ自己中心的な性格をした、シンフォニック表参道のシェフ。たま子とはかつて恋人同士でしたが、「料理に心がない」と指摘されたため、新たに開発したフォンのレシピで対抗してきます。
東出昌大は、2007年の映画『桐島、部活やめるってよ』で俳優デビュー。元はファッションモデルでしたが、これをきっかけにモデル活動を辞め、俳優へ転身しています。2013年には、連続テレビ小説『ごちそうさん』で西門悠太郎役を演じ、話題になりました。
新田結実/二階堂ふみ
東大卒の秀才で、たま子の店のゼネラルマネージャー(ゼネP)を自称する、新田結実。口先だけで融通が利かない性格、エリート思考が影響して、実務面では非常に不器用な”勉強バカ”です。
二階堂ふみは、2007年にドラマ『受験の神様』で女優デビュー。出演映画の約半数で、メインキャストを務めると同時に、数々の賞を受賞する実力派女優になりました。2016年現在、藤原竜也主演のドラマ『そして、誰もいなくなった』に、ヒロイン・倉元早苗役で出演中です。
川奈藍里/高畑充希
女の価値は付き合う男次第。という恋愛依存症で、キラキラ巻き髪量産型女子こと、川奈藍里。ライトダイニングサービス退職後、たま子の店の広報部部長を自称して意外な商才を発揮しました。
高畑充希は、2007年の高校進学と同時に女優活動を開始。同年から2012年まで、ミュージカル『ピーターパン』の8代目ピーターパンを務めました。2016年4月、NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』ヒロイン・小橋常子役に抜擢され、連続ドラマ初主演を果たしています。
雨木千佳/松岡茉優
雨木千佳は、たま子の店のシェフで、極度の対人恐怖症なので常にパーカーを着ています。父親の女性関係が原因で、母親が心を病んでしまったため、家庭崩壊を招いた太郎を憎んでいました。
千佳を演じたのは、2008年に”おはガール”として本格デビューした、松岡茉優です。近年では、女優として活動する一方、バラエティ番組や対談番組への出演も増加。2016年には、『真田丸』森田信繋の正室・竹林院役で、NHK大河ドラマ初出演を果たしました。
森村鏡子/臼田あさ美
森村鏡子は、たま子の店のスーシェフで、高校で所属した剣道部時代からの親友。離婚調停中の夫からは、家事もまともにできなかったと責められますが、開花した料理の才能をたま子に評価されます。
臼田あさ美は、15歳の時にスカウトされ、読者モデルとしてデビュー。2003年、ドラマ『ひと夏のパパへ』への出演をきっかけに、女優としての活動を開始します。2016年7月より、北川景子主演のドラマ『家売るオンナ』に玉城こころ役で出演中です。
烏森奈々美/YOU
烏森奈々美は、たま子の店のソムリエールで、仕出し店勤務時代の元同僚です。10年前まで弁護士だったため、雨木太郎が起こした、藤村五月に関する事件の提訴を引き受けました。
YOUは、18歳の頃にモデルとして活躍を開始。バンド活動を経て、バラエティ番組・テレビドラマや映画・CMなど、幅広い活動を行ってきました。他にはない独特な声質、それと裏腹な辛口コメントで人気になり、近年はタレント活動がメインになっているようです。
几ハイジ/安田顕
几ハイジは、たま子の店のパティシエであり、繊細な感性を持っている女装好きのゲイです。パリでの修行経験があるため、当初たま子の誘いを受け、「シンフォニック表参道」の立ち上げを手伝いました。
安田顕は、大泉洋らが所属する演劇ユニット、「TEAM NACS」のサブリーダーです。北海道テレビの『水曜どうでしょう』に準レギュラー出演し、番組の広まりと共に知名度が上昇することに。NHK大河ドラマや連続テレビ小説への出演など、現在は全国区で活躍しています。
星野大智/菅田将暉
校閲ガールが帰ってきます!幸人は何故かアコーディオンを弾いてますが劇中とは何も関係ありません。お楽しみに! pic.twitter.com/5Q6POq9yLB
— 菅田将暉 (@sudaofficial) 2017年6月4日
星野大智は、「シンフォニック表参道」の見習いシェフで、一見優し気な容姿と真逆な”チャラ男”です。介抱してくれた結実と関係を持つものの、実は同棲している彼女がいて、双方から多額の借金をしていました。
星野を演じたのは、今最も勢いのある実力派若手俳優の一人、菅田将暉です。2009年、約2000人が参加したオーディションを突破して、『仮面ライダーW』の主役を獲得。何かとクセのある役に定評があり、映画『そこのみにて光輝く』、テレビドラマ『民王』などの話題作に出演しています。
雨木太郎/杉本哲太
雨木太郎は、雨木千佳の実の父親であり、ライクダイニングサービスの社長です。雑誌などで何度も特集されるカリスマですが、金が世の中の全てと考えており、社内ではセクハラやパワハラを常習していました。
杉本哲太は、1981年のロックバンドデビューと同時に、ドラマ『茜さんのお弁当』へ出演しました。1989年に放送された『春日局』をきっかけに、大河ドラマへの出演経験も多数。2017年からは、『おんな城主 直虎』の出演が決定しており、井伊直盛役を演じる予定です。
藤村五月/菊池亜希子
主人公・田中たま子にとって、高校時代からの親友であり元同僚の藤村五月。第1話では、社長の雨木に食中毒問題の責任を負わされ、常識外のセクハラを受けて退職しました。
藤村を演じたのは、『non-no』や『リンネル』など多数の雑誌で活躍する、モデルの菊池亜希子です。女優としては、2015年に主演・萬谷緑役を演じた映画『グット・ストライプス』。テレビドラマ『花のズボラ飯』ミズキ役、『まかない荘』藤巻恭子役などに出演しました。