伝説のドラマ『ビューティフルライフ』
TBS伝統のドラマ枠、「東芝日曜劇場」で、2000年1月16日から3月26日まで放送された連続ドラマ『ビューティフルライフ』。平均視聴率は32.3%、最終回は41.3%を記録する大ヒットドラマになったばかりか、第26回放送文化基金賞や、第24回ドラマアカデミー賞で主要部門を独占しています。
脚本を担当したのは、数々の名作ドラマを生み出し「恋愛ドラマの神様」とも称された北川悦吏子、主題歌にはB'zの「今夜月の見える丘に」が使用されました。
男性美容師・柊二と、車椅子の図書館司書・杏子の切ない恋を描くラブストーリーです。最初は衝突しながらも、杏子のひたむきさと健気さ、かたや柊二の誰も差別しない誠実さや素直さに、互いに惹かれていきます。
主人公の職業に対する注目、劇中使用された小道具の流行、さらに「バリアフリー」という言葉の普及など、社会現象を巻き起こました。
沖島柊二/木村拓哉
生家は医師一家でありながら、医師とは全く関係のない美容師の道を歩んだ主人公が沖島柊二です。一流の技術を持ち、有名な美容院「ホットリップ」に勤めていながら、こだわりの強さやプロ意識もあって顧客からは今一つ人気がありません。そんな柊二が杏子と出逢ったことで、次第に変わっていきます。障害者に対して全く偏見を持たず、ごく自然体で接するある種の無頓着さが、演じた木村拓哉にぴったりでした。
さすが木村拓哉と北川悦吏子の黄金コンビで生み出された主人公像は特別です。愛用のオートバイ「ヤマハ・TW200」が人気になり、美容師志望者が増加したのもまさにキムタク効果でしょう。
町田杏子/常盤貴子
17歳の時に難病である多発性筋炎を患い、10年以上車椅子生活を余儀なくされている本作のヒロインが町田杏子です。
そんな境遇にもかかわらず、「宮の森図書館」で司書として明るく健気に働いています。常に前向きでポジティブに物事を考えていますが、それは表向きの顔であり、内面は今も続く闘病に様々な苦悩を抱える繊細な女性です。こちらも柊二と出逢ったことで、内面の痛みが癒され、変化していきます。
微妙に揺れ動く女性を常盤貴子がひたむきに演じました。柊二のオートバイ同様、愛用の車椅子である赤い「オペル・ヴィータ」に注目が集まり、ドラマの放送後、売り上げが増加したと言われています。
田村佐千絵/水野美紀
杏子と同じく「宮の森図書館」で働く同僚にして、プライベートでも親友の存在が水野美紀扮する田村佐千絵です。杏子と柊二の恋を陰ながら応援し、傍で見守っています。かたや、自分自身は杏子の兄である町田正夫に秘めた想いを抱いており、叶わぬ恋のせつなさが胸に迫りました。
美山耕三/的場浩司
障害者のボランティアスタップをしているのが、美山耕三です。杏子のことを好ましく思っており、やたらと親身過ぎるほどの世話をしますが、杏子からはむしろ煙たがられてしまっています。
精力的にボランティアに従事し、まっすぐで一途な性格が、演じた的場浩司にぴったりでした。
岡部巧/池内博之
柊二が働く美容室「ホットリップ」の見習い美容師が池内博之扮する岡部巧です。柊二の卓越した技術を尊敬し、アシスタントとしてサポートしながら、スタイリストになるべく頑張っています。
岡部を演じたのは俳優の池内博之。コロンビア人とのハーフです。2006年公開の映画『13の月』では初監督を務めるなど俳優以外にも活躍の場を広げています。
川村悟/西川貴教
美容室「ホットリップ」で働く、柊二と同期でトップスタイリストが川村悟です。明るく口が達者なことから顧客から人気があり、ある意味、柊二とは対照的な存在です。誰よりも柊二の腕をよく知っており、嫉妬とライバル心から、裏で柊二に様々な策略を仕掛けて邪魔をします。
演じたのは、歌手の西川貴教です。木村拓哉と全く違うタイプで、その容姿はいかにも美容師らしく、ハマリ役でした。
町田正夫/渡部篤郎
新小岩にある実家の酒屋を継いでいる杏子の兄が渡部篤郎演じる町田正夫です。妹の杏子を思うがゆえ、最初は柊二との交際に反対していましたが、柊二を知るにつれ、次第に考えを変えていきます。お見合いを続けていますがなかなか相手に出会えず、いまだ独身です。
そんな町田正夫を演じたのはいくつになっても渋カッコいい渡部篤郎。デビュー当時から愛に溺れる役などの難役に挑戦し、その演技力には拍がついてます。
さつき/小雪
第6話から登場する第三の女性がさつきです。柊二とは、予備校時代に同級生だった関係で、その頃、柊二はさつきのことを好きだったという設定です。街でばったり二人が再会したとき、さつきは夫と離婚調停中という状態で、微妙な三角関係がストーリーに波乱を巻き起こしました。
さつきを演じた小雪が、どこか謎めいた魅力を放ち、視聴者をどきどきさせました。2016年現在は夫・松山ケンイチとの間に3人の子供を設けています。