2019年5月20日更新

映画『キングコング:髑髏島の巨神』徹底解説 謎に包まれた巨大生物の生態も紹介

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『キングコング:髑髏島の巨神』
©2016 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC., LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS,LLC AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED

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映画『キングコング:髑髏島の巨神』を徹底解説 日本の作品からも多大な影響を受けていた?

ワーナー・ブラザースとレジェンダリー・ピクチャーズが今後数年の間に、ど迫力の怪物映画を何本か企画しているということが明らかになりました。一作目は『Godzilla/ゴジラ』、そして『キングコング:髑髏島の巨神』は二作目となっています。加えて、本作は2020年代公開予定の『ゴジラvs.コング』へとつながるのです。 この記事では、トム・ヒドルストン、ブリー・ラーソンなどビッグネームが名を連ねる映画『キングコング 髑髏島の巨神』のキャラクター紹介から、他作品との関連性を一挙に紹介します。

「髑髏島の巨神」あらすじ&作品の立ち位置を解説

あらすじ

1944年、世界大戦中にある島にアメリカ兵と日本兵が墜落しました。彼らが島の奥地で決闘をしている最中、巨大な猿キングコングが姿を現しました。 それから29年後の1973年。アメリカがベトナム戦争から撤退を宣言した日に、特務研究機関モナークは地図にない島、髑髏島を見つけます。彼らは地質調査に行くことになり、ベトナムから帰還予定だったバッカード大佐とその部隊、戦場カメラマンのウィーバー、そして元特殊隊員のコンラッドを島の案内人として同行させます。 暴風雨を超え、ヘリで島の上空にたどり着いた調査隊。調査員が先に島に降り立ち、爆撃で地質調査を始めるのですが、島を荒らす行為に怒ったコングが現れます。コングは部隊のヘリを全て墜落させ、皆は島の中で散り散りになりました。脱出時に迎えにくるヘリコプターとの合流地点に向かって、各部隊は島を進みますが、そこにはコング以外にも巨大な生物がいて……。

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「モンスターズ・ユニバース」での立ち位置

『キングコング:髑髏島の巨神』
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本作は、「モンスターズ・ユニバース」でいうと『Godilla/ゴジラ』に続く2作目となります。そしてコングとゴジラの戦いを描く前日譚でもあり、コングの単独作的な立ち位置の作品。そのため、直接的な繋がりは少ないですが、ゴジラを研究していた特務研究機関モナークが今回も登場します。

映画『キングコング:髑髏島の巨神』のキャスト&キャラクター紹介

①トム・ヒドルストン/ジェームズ・コンラッド(吹替声優:GACKT)

トム・ヒドルストン
FayesVision/WENN.com

特殊空挺部隊、通称SASの元尉。ベトナムでフリーランスの傭兵として活動していたところ、彼の密林での追跡能力やサバイバル能力を買ったモナークから連絡を受けます。 コンラッドを演じるトム・ヒドルストンは、ロンドン生まれ。幼い頃から優秀でオックスフォードのドラゴン・スクール、イートン・カレッジ、ケンブリッジ大学へと進んだヒドルストンは2005年には英国の王立演劇学校を卒業します。 近年はマーベルスタジオ作品のロキ役として知られています。

②ブリー・ラーソン/メイソン・ウィーバー(吹替声優:佐々木希)

『キングコング:髑髏島の巨神』トム・ヒドルストン、ブリー・ラーソン
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戦場カメラマンとして、今回の調査隊に同行するウィーバー。実は、地質調査は表向きで、背後で何か違う目的があって島に訪れるのではないかと疑問を感じ、スクープを狙っていました。 ウィーバーを演じるのは、シンガーソングライターでもある女優ブリー・ラーソン。サクラメント出身のブリーは6歳という若さでドラマの勉強を始め、サンフランシスコのアメリカン・コンサバトリー・シアター歴代参加者の中で誰よりも若かったといいます。 トム・ヒドルストン同様、近年はマーベルスタジオ作品でキャプテン・マーベル役を務めていることで知れています。

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③サミュエル・L・ジャクソン/プレストン・パッカード大佐(吹替声優:手塚秀彰)

『キングコング:髑髏島の巨神』サミュエル・Lジャクソン
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アメリカ陸軍の指揮官。ベトナム戦争で活躍し、部下から信頼される人物です。頼れる性格の裏には、ベトナム戦争から不本意な撤退を余儀なくされたフラストレーションもありました。 そんなパッカード大佐を演じるのは、サミュエル・L・ジャクソン。黒人学生運動を精力的に行っていたジャクソンは、70年代になると(モーガン・フリーマンと共に)“ニグロ・アンサンブル・カンパニー”に参加。 80年代以降参加作品は増え続け、『パルプ・フィクション』(1994)ではオスカーにノミネートされ、『ジャッキー・ブラウン』(1998)ではベルリン国際映画祭の銀熊賞を受賞します。近年ではマーベルスタジオ作品にてニック・フューリー役を演じていることで知られています。

④ジョン・グッドマン/ウィリアム・“ビル”・ランダ(吹替声優:石住昭彦)

ジョン・グッドマン
©Van Tine Dennis/Sipa USA USA/Newscom/Zeta Image

モナークに所属する地質学者。とある自身の経験から、地球に人間以外の生物がいると考えます。その調査の末、髑髏島に巨大生物がいると確信。しかし、彼の調査が結果コング以外の島の凶暴生物を覚醒させてしまうのでした。 ジョン・グッドマンは映画やテレビ、舞台で活躍しているアメリカの俳優です。ジョンを一躍有名にしたのはダン・コナーを演じたテレビドラマ『ロザンヌ』。その主演で1993年にゴールデングローブ賞を受賞。 また『赤ちゃん泥棒』では脱走した囚人を演じ、『バートン・フィンク』(1992)では気のいい殺人犯を、『ビッグ・リボウスキ』ではキレやすいボウリング選手を演じるなどコーエン兄弟の作品にたびたび出演していることでも知られています。

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⑤トビー・ケベル/ジャック・チャップマン少佐(吹替声優:小松史法)

トビー・ケベル
©JIM RUYMEN/UPI/Newscom/Zeta Image

パッカード率いる隊の副官。ベトナム戦争の時から、息子のビリーに手紙を書くことを日課としていました。コングによってヘリが墜落した時は、唯一の生き残りとして島の西側に取り残されてしまいます。 演じたトビー・ケベルはイギリス出身の俳優。2007年の『コントロール』で英国インディペンデント映画賞助演俳優賞を勝ち取り、その後 『猿の惑星:新世紀』や『ファンタスティック・フォー』でDr.ドゥーム役として出演しています。

⑥MIYAVI/グンペイ・イカリ

MIYAVI
©Admedia, Inc//Sipa USA/Newscom/Zeta Image

映画冒頭の1944年のアメリカ兵と日本兵の決闘シーンで、日本兵役としてカメオ出演を果たしたMIYAVI。グンペイ・イカリは日本海軍の零戦搭乗員です。決闘の末、コングと出会った彼はアメリカ兵のマーロウと共に島で生き延びることを決め、彼を兄弟と呼ぶように。 1981年9月14日生まれのMIYAVIはバンドとしてデビューした後、2002年にソロデビュー。独特なヴィジュアルと圧等的なギターパフォーマンスによって日本のみならず世界でも認められている数少ない日本人アーティストです。 近年は演技の世界に進出していて、2014年アンジェリーナ・ジョリーがメガホンを取った『不屈の男ブロークン』(2016)では渡邊睦祐役で出演し、大きな話題となっていました。

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監督は日本オタクのジョダーン・ヴォード=ロバーツ

ジョーダン・ヴォート・ロバーツ
©Hahn Lionel/Sipa USA USA/Newscom/Zeta Image

本作でメガホンを取ったジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督はテレビゲーム、アニメ、マンガが大好きで、そういったものを本作に色々と引用しているとのこと。 例えば、ジョン・C・ライリーのキャラクター、ハンク・マーロウが着用しているジャケット("Good for your health, bad for your education")は、明らかに大友克洋の漫画『AKIRA』の主人公、金田が着ているもの("Good for health, bad for education")からとっていますよね。 日本の怪獣映画から影響を受けていることを見てもわかるように、ヴォート監督はかなりの親日家。日本人としては嬉しいことですね。 また、本作に登場する巨獣スカイクローラーのデザインは『エヴァンゲリオン』、『千と千尋の神隠し』、『ポケモン』のキャラクターを組み合わせて生み出されたものだったのです。

髑髏島とは一体どんな島なのか?

本作の舞台となる髑髏島は10世紀以上もの間その存在を知られることのなかった神秘の島です。外界から遮断されガラパゴス化した環境によって、独自の生態系を形成し、恐ろしい巨獣たちを生み出してきたのです。 前作までの『キングコング』では、人間が策を練ってコングを捕獲するなど人間が優位でした。しかし今回の『キングコング:髑髏島の巨神』では登場する巨大生物はコングだけではありません。 森をなぎ倒すほどの巨大生物や、人間の背丈以上の動物の骨をもつ生物、“巨神”など、とてつもなく大きく、強く、また危険な怪物が生息する髑髏島においては、人間などちっぽけな虫けら同然の存在です。

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『キングコング:髑髏島の巨神』で大暴れする巨獣を紹介

①キングコング

『キングコング:髑髏島の巨神』
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全長30メートルを超す髑髏島の王。島の調和を乱す者を容赦無く叩きのめしますが、実は博愛精神の強い温厚な性格をしています。そのため、島の住民イーウィス族からは神として崇められています。すでに巨大ではありますが、年齢はまだ若く、両親をスカルクローラーに殺された過去が……。 本作に出てくるコングの肉体はアメリカ映画史上最も巨大で、約31.6mもの高さがあるそうです。ピーター・ジャクソン監督のコングが7.6mだったことを考えると、その差は歴然。しかしコング史上で見ると日本版『キングコング対ゴジラ』(1962)のコングがダントツNo.1の高さで、45mもあるのです。

②スカルクローラー

『キングコング:髑髏島の巨神』
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キングコングの宿敵スカルクローラー、通称デビル。大きいものだと高さ28.956m、長さ144.78m、重さ100tにもなります。スカルのような顔をして這う(クロール)ように動くことからこの名が付けられました。長い2本の前肢のみで、後肢はなく、把握に適した蛇のように曲がりくねる長いしっぽを持っています。 細身だけれど筋肉質で頑丈な体ですが、部分的に見てわかるように骸骨のようになっており、目の位置は背中後方。代謝が良いため食欲が旺盛で、地下に潜んで集団で獲物を狙い捕食。原始的な発想を持っており攻撃的で、獲物を執拗に追いかけまわす性質があります。 しかし、ある程度の知能が見られることもあり、コールが手りゅう弾を手に最大級のスカルクローラーを追い払おうとしていた時はコールにがっつこうとはしませんでした。このスカルクローラーは他のクローラーよりも賢いらしいということはコングがプレストン・パッカードに取り押さえられたシーンでわかります。

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③バンブースパイダー

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竹林に生息する巨大なクモ。竹に擬態し、上から竹槍のような足で獲物を串刺し、捕食します。前足はカニのようで、獲物を細かく切ってから食べる様子が伺えます。

④スケルバッファロー

『キングコング:髑髏島の巨神』
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スケルバッファローは、けた外れに巨大な水牛と言ったところですが、相違点もいくつかあるようです。スケルバッファローにはとてつもなく巨大な角があり、少なくとも3つに枝分かれしています。さらに、体を覆う翼のようなものを持っており、水中にもぐる習性があるためと考えられます。 背中はサンゴのようになっており、身体的特徴のおかげで背景に溶け込むことが可能。比較的水の近くでじっとしていることを好む草食動物ですが、危険が及んだり怒らせると非常に攻撃的になります。コングの味方でスカルクローラーの敵。

⑤リバー・デビル

体長27メートルほどの、軟体動物。イカとタコが合わさったような容姿で、主に入江に生息しています。基本的に近くものが何だろうと、構わず捕食するスタイルですが、コングを襲って逆に返り討ちにあってしまいます。 なお、このリバー・デビルは監督曰く『キングコング対ゴジラ』に出てきた大ダコへのオマージュクリーチャーなのだそう。

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⑥サイコバルチャー

島に恐竜の化石が転がる中、唯一白亜紀での絶滅を逃れた翼竜。大きさはおよそ2〜3メートルほどで、実在するディモルフォドンに近い容姿をしています。群れで行動し、非常に凶暴な性格をしています。しかし、凶暴性の裏には、島に住むフグを常食としており、その毒によって攻撃的になっているとの設定があります。

⑦スポアマンティス

チャップマン少佐が出会った、倒木に擬態する昆虫。全長は15メートルで、かなり臆病な性格をしているため敵と出会うと逃げます。身を守るために、表皮と頭部は非常に硬く、筋肉質。実在するカレエダカマキリという、擬態をするカマキリの仲間だと言われています。

ネタバレ解説 「髑髏島の巨神」の後はどんな展開に?

「髑髏島の巨神」のラストでは、コングはスカル・クローラーとの戦いに勝利し、コンラッドとウィーバー、マーロウ、調査員のブルックス、サンが生還します。その後、マーロウは戦争時から生き別れてしまった妻子と再会。コンラッドとウィーバーは重要参考人として、モナークに呼ばれます。そこでブルックス、サンと再会し、彼らから「王はコングだけではない」と言われると、モナークが収集した壁画の資料を見せられました。その壁画に描かれていたのは、ゴジラ、ラドン、モスラ、キングギドラだったのです。 「モンスターズ・ユニバース」の次作の『ゴジラ:キング・オブ・モンスターズ』では、まさにこの4匹が登場し、人類を脅かすのです。

『キングコング:髑髏島の巨神』から「ゴジラ vs コング』へ

前見出しで説明したように、『ゴジラ:キング・オブ・モンスターズ』はゴジラ単独作の2作目という立ち位置になります。そして、4匹の戦いの決着が『ゴジラvsコング (原題)』に直接影響を与えることは明白です。 また、今後コンラッドとウィーバーも再びユニバース内で登場することが考えられます。巨大生命体がひしめく地球で、人類は一体どうなってしまうのか。「ゴジラvsコング」のためにも『ゴジラ:キング・オブ・モンスターズ』、そして、その礎ともいえる『キングコング:髑髏島の巨神』は見逃せません。