2017年7月6日更新

大谷直子の妖艶な魅力が炸裂する出演映画

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『ツィゴイネルワイゼン』

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女子高生の大谷直子が全裸デビューした『肉弾』

大谷直子は、1950年4月3日生まれ、東京都出身です。東京都立赤羽商業高等学校在学中だった1968年、岡本喜八監督の『肉弾』でヒロインの「少女」役に抜擢され、スクリーンデビューします。一般公募の応募者300人の中から選ばれ、初出演ながらフルヌードの演技で挑みます。 この作品の主人公を演じた寺田農は、「あいつ」という設定。大谷直子が演じる「少女」役にも固有名詞はありません。「あいつ」と「少女」の物語です。

岡本喜八監督の傑作『肉弾』【1968】

舞台は、昭和20年夏、まだ終戦を知らない「あいつ」が、魚雷を縛り付けたドラム缶に入り、復讐に向う太平洋上に浮かぶ姿からはじまります。「あいつ」が特攻隊員として、1日だけの外出が許可され日に、女郎屋の美しい「少女」と恋に落ち、防空壕で結ばれますが…。 飄々とした寺田農とまだ初々しい大谷直子が、青春の痛みをコミカルなタッチで演じた本作は、岡本喜八監督の反戦映画の傑作と言われています。 高校生にして鮮烈な映画デビューを果たした大谷直子の、その後の活躍を出演作品とともにご紹介します。

「トラック野郎シリーズ」で8代目マドンナを演じる

『トラック野郎 一番星北へ帰る』【1978】

大谷直子は、1978年12月に公開された『トラック野郎 一番星北へ帰る』の8代目マドンナに選ばれます。 主人公のトラック野郎一番星の桃次郎が、ひょんなことから美しい未亡人の北見静代に一目惚れしてしまうお話です。 シリーズ歴代のマドンナ役は、デビュー直後の片平なぎさ、20歳の夏目雅子など、若手の有望株が選出されてきました。しかし、大谷直子が起用されたのは28歳のとき。これまでとは少し違うマドンナ・北見静代役を演じ、シリアスな大人の雰囲気の作品になっています。

大谷直子が一人二役を演じた『ツィゴイネルワイゼン』【1980】

1980年に公開された、鈴木清順監督の『ツィゴイネルワイゼン』の中で、大谷直子は、中砂園と小稲という一人二役を演じます。 ドイツ語学者の青地豊二郎とその友人の中砂糺の2人は、旅の途中、小稲という芸者と出会います。その後、歳月が流れ、青地は、中砂の結婚の知らせを受け家を訪れると、小稲と瓜二つの新妻が目の前に現れて…。 共演は、原田芳雄、大楠道代、藤田敏八です。 大谷直子は、この作品での妖艶な演技が評価されて、キネマ旬報主演女優賞受賞、日本アカデミー賞優秀主演女優賞を獲得。また作品は、ベルリン映画祭特別賞、キネマ旬報ベスト・テン日本映画部門第1位などの栄誉に輝いた傑作と評価されています。

東宝記念作品の豪華キャストに抜擢される!

『海峡』【1982】

大谷直子は、1982年に公開された森谷司郎監督の『海峡』の佳代子役を演じました。東宝創立50周年記念作品という豪華キャストが勢揃いし、共演者には高倉健、吉永小百合、森繁久彌、三浦友和のほか、全国新人オーディションの6000人から選ばれた中川勝彦などがいます。 物語の舞台は、昭和29年。主人公の阿久津剛は、青函トンネルのプロジェクトを実現する為に、竜飛岬に地質調査に訪れていました。その調査中に岸壁から身を投げようとしていた女性の牧村多恵を救います。 ラストでは、作業員達が青函トンネル貫通に湧くシーンが描かれていますが、公開当時はまだ貫通していませんでした。実際は1983年に先進導坑貫通、1985年に本坑全貫通しています。

にっかつロマンポルノ『ダブルベッド』に出演!【1983】

1983年に公開された、藤田敏八監督のにっかつロマンポルノ『ダブルベッド』で、大谷直子は加藤雅子役を演じます。 葬儀に出席した加藤敏之と雅子夫妻は、帰路の途中に、かつてよく顔を出した吞み屋に立ち寄ることから物語は始まります。そこで、昔の仲間で作詞家の山崎徹に偶然出会い、3人は加藤夫婦のマンションで吞み続けると、やがて酔いつぶれた夫が寝室に入ってしまいます。居間には妻の雅子と山崎が残されてします。 大谷直子は、妖艶で卑猥さのある役柄で、石田えりや柄本明、岸部一徳ら共演陣を相手に独壇場といえる魅力的な存在感を放っています。

大谷直子の余命3ヶ月からの復帰作『希望の国』【2012】

2007年、大谷直子は、悪性リンパ腫と診察され余命3ヵ月の宣告を受けます。その後、1ヵ月の入院と抗がん剤などの治療に専念。4年間の療養生活で気力と体力も回復し、2012年公開された園子温監督の『希望の国』の小野智恵子役で女優復帰を果たします。 酪農を営む小野家と農業を営む鈴木家は、長島県でのどかな毎日を過ごしていましたが、ある日、大震災による大津波が原発を飲み込んでしまいます。事故を起こした原子力発電所から半径20km圏内が警戒区域に指定。酪農家の小野家の家は区域から外れましたが、一方で道路を隔てた鈴木家は強制的に避難を余儀なくされます…。 大谷直子は、この復帰作にかつて自身が出演した代表作『ツィゴイネルワイゼン』で着用した衣装を再び着て出演しました。女優として、再起への意気込みが伺われます。 2013年、『希望の国』及び長年の功績により、日本映画プロフェッショナル大賞特別賞を受賞しました。

海老蔵ファンの大谷直子は『利休にたずねよ』で念願の共演!【2013】

大谷直子は、2013年に公開された田中光敏監督の『利休にたずねよ』に、たえ役で出演します。主演の千利休を演じたのは、歌舞伎役者の十一代目市川海老蔵。また、千利休の師匠である武野紹鴎には海老蔵の父・十二代目市川團十郎が扮し、親子競演として話題を集めました。 主人公の千与四郎(後の利休)は、大阪の堺で魚屋の息子として生まれます。類稀な感性とそれ故の美意識を持った彼は、商人ではなく、美を追求する道へと進みます。やがて、茶人として茶の道を極め大成します。 大谷直子は、市川海老蔵のファンであるとテレビのバラエティ番組に出演した際に公言していました。

大谷直子の私生活、そして娘の華子も女優へ

大谷直子は2016年現在66歳。私生活では松山省二、清水綋治との2回の結婚と2回離婚を経験。女優を続けながら、母親として3人の子を育てあげました。

大谷直子30歳の妊娠ヌード写真集も出していた!

1981年には妊婦ヌード写真集『直子-受胎告知』を発表しています。下町生まれの女性らしく、はっきりとものを言い、賛否両論を呼びながらも素のままで女優を続ける姿勢を、作品に昇華させたようです。

元夫・清水紘治との子、華子も女優

娘の華子もまた、演劇の世界に入ります。当初、大谷直子は娘の女優活動には反対していたそうです。しかし娘の地道な活動を次第に認めるようになったようです。2013年には、映画授賞式に母の代理で登場したことを機に、華子の存在も広く知られるようになりました。 その時代ごとに、女性としての生き方と、円熟を表現に転化させてきた女優・大谷直子。今後も、娘の華子ともども、どのような演技を見せてくれるのか注目していきたいですね。