2018年6月26日更新

子どもに見せたくないドラマ?過激作品を手がける野島伸司に迫る。【7月から『高嶺の花』放送開始】

90年代に人気と話題を集めた多くのドラマの脚本を手がけてきた野島伸司。その作品は、社会現象を巻き起こすほどの注目作ばかりですが、同時に衝撃的で過激な作品でもありました。そんな野島伸司ドラマの紹介とその魅力について迫ります。

過激ドラマで有名な野島伸司

野島伸司の手がけたドラマは誰もが一度は目にしたことがあるでしょう。90年代から2000年代にかけての日本のドラマ史は、野島伸司脚本作品抜きには語れません。 野島伸司作品は、これまでドラマで描かれることのなかった社会的タブーや、人間の心の闇などをドラマティックで過激に、そして美しく描いています。 そんな野島伸司ドラマの中から、人気の高い『愛という名のもとに』、『高校教師』を中心に、現在に至るまでの代表作品たちの魅力についてご紹介します。

野島伸司ドラマは子供にみせたくない?

過激な描写が特徴の野島伸司ドラマですが、その内容のスキャンダラスさから、批判が殺到したりPTAに取り上げられたりしたことがあります。 男子中学生による壮絶ないじめを描いた『人間・失格~たとえばぼくが死んだら~』や、知的障害者への暴行・強姦を扱った『聖者の行進』などは、暴力シーンに批判・抗議が殺到し、PTAでも問題になりました。 野島伸司ドラマは、当時高視聴率を記録する大人気ドラマでした。しかし、子どもに見せたくない番組として例に上がるなど、当時の人気や注目とは裏腹に、否定的な意見も多い問題作でもあったのです。 ここから作品紹介をしていきます。

青春群像劇の名作『愛という名のもとに』【1992年】

野島伸司ドラマの中でも最も人気が高かった作品と言えば、1992年に放送された『愛という名のもとに』です。一昨年前に『東京ラブストーリー』で大ブレイクした鈴木保奈美が主演を務め、メインキャストであった唐沢寿明のブレイクのきっかけとなったのも、このドラマです。 『愛という名のもとに』は、大学のボート部仲間であった7人の卒業後の姿を描きます。ボート部の監督を務めていた恩師の葬儀で再開した7人。主人公・藤木貴子は、高校教師、高槻健吾は商社に就職、神野時男は定職に就かず、飯森則子はデパート勤務、塚原純は区役所に勤め、斎藤尚美はモデルとして成功し、倉田篤は証券会社の営業マンになっていました。

皆順調に自分たちの道を歩んでいるかのように見えましたが、心の内には人には言えない悩みやトラブルが。 職場や自分の生き方に不満を感じている則子や、役所に勤めながら実は作家を目指している純。不倫の恋にのめり込む尚美や営業成績が悪く、仕事の重圧から逃れるようにフィリピン人女性にはまっていく篤など、それぞれの葛藤を当時の社会問題と絡め、シリアスでドラマティックに描かれています。 大学時代に抱えていた理想とは違う、現実社会に苦しむ登場人物の姿が、20代、30代の彼らと同年代の人たちの大きな共感を得ました。中でも、フィリピン人女性に騙され、横領事件を起こしてしまい、果ては自ら命を絶った倉田篤の存在は、とりわけ大きな衝撃を与えます。

教師と女子高校生の禁断の関係を描く『高校教師』【1993年】

教師と生徒の禁断の関係を描いて話題となったドラマ『高校教師』。1993年に放送され、主演を真田広之、ヒロインを桜井幸子が務めています。 元は研究者であった羽村隆夫は、女子高に理科講師として赴任することになりました。そこで出会った影のある女生徒・二宮繭は、何かと隆夫に付きまとい、困惑させられます。最初は戸惑うばかりの隆夫でしたが、徐々に繭に惹かれていく隆夫。しかし、繭は実父との関係に悩んでいたのです。 『高校教師』は、教師と生徒の恋愛だけでなく、さまざまなタブーを描き当時の社会に大きな衝撃を与えたドラマです。 ヒロイン・二宮繭は、実父との関係に悩み、学校では先輩から思いを寄せられています。。繭の親友・直子は、教師の藤村に強姦され、妊娠。近親相姦や同性愛、教師による強姦、妊娠・中絶など、これまでゴールデンタイムの連続ドラマであまり描かれることのなかったテーマを取り上げ、社会現象を巻き起こしました。

スポンサー降板問題も巻き起こした問題作『明日、ママがいない』【2014年】

2014年に制作され、放送後に批判や抗議の声が上がり一時スポンサー全社がCMを見合わせる騒ぎとなってしまった『明日、ママがいない』。脚本監修を野島伸司が担当し、当時天才子役と話題だった芦田愛菜が主演を務めていました。 舞台はグループホーム「コガモの家」。“魔王”と呼ばれる威圧的な施設長・佐々木(三上博史)のもと、互いをあだ名で呼び合う子供たちが暮らし、奮闘するストーリーです。 “魔王”が投げかける言葉の粗暴さや、実存する施設(赤ちゃんポストや養護施設)から「誤解を与えかねない内容」と判断され、抗議を受け問題となりました。一時は中止も危ぶまれましたが、途中から各所に配慮した内容に変更され、最終話まで放送される事になりました。

繰り返し映像化される名作『アルジャーノンに花束を』【2015年】

1966年に発表されたダニエル・キイスの長編小説『アルジャーノンに花束を』を元に、一度2002年にテレビドラマ化。時を経て2015年、野島伸司自ら再ドラマ化を希望し脚本監修として関わっています。 知的障害をもつ青年・白鳥咲人(山下智久)が、「脳生理科学研究センター」で働く望月遥香(栗山千明)と知り合い、知能向上の臨床実験を受けることとなります。しかし一時的に天才的な知能を手に入れた咲人でしたが、手術の後遺症によりある時から元よりも知能が下がっていってしまう......という切ない内容でした。 2015年に作られたバージョンでは原作とは違うラストが主人公に用意されており、ほんのりと希望が持てる未来を示唆しています。

現代特有の男女関係を描くドラマ『パパ活』【2017年】

2017年には、インターネットドラマ『パパ活』の脚本を手掛けている野島伸司。貧困女子が金銭的支援をしてくれる男性を探す物語です。 女子大生と中年男性の年の差恋愛を描くモチーフとして「パパ活」を持ってくるあたり、なんとも野島伸司らしいですね。これまでもさまざまなタブーや暗部を描くことに挑戦してきた野島伸司。現代の社会問題を盛り込みながら、野島伸司でしかできない、過激で美しい年の差恋愛ストーリーが期待できそうです。

「セックス」という題材を果敢に映像化した『雨が降ると君は優しい』【2017年】

動画配信サービス「Hulu」のオリジナルコンテンツとして2017年に制作された『雨が降ると君は優しい』。清純で可愛らしいイメージのある佐々木希が、セックス依存症の妻という過激なキャラクターを演じた事でも話題となりました。 立木信夫(玉山鉄二)と彩(佐々木希)は互いに愛し合う仲の良い夫婦でした。しかし信夫の仕事が忙しくなってしまった事で2人の時間が持てず、彩は隠していた「セックス依存症」という秘密が抑えられなくなってしまう......という現代の地上波ではなかなか制作されないような内容のドラマです。 野島伸司が描き続けるタブーと愛についての物語は、近年地上波での制作が難しくなっています。そのためネット配信のドラマの制作でこういったテーマに意欲的に取り組んでいるようです。

夢見るヒロインは幸せになれるか?『彼氏をローンで買いました』【2018年】

2017年の『パパ活』の好評により、2018年にその発展系として制作されたインターネットドラマ『彼氏をローンで買いました』。 専業主婦を夢見てハイスペック彼氏の前では猫をかぶり、捨てられないよう相手の浮気も我慢している浮島多恵(真野恵里菜) が主人公です。しかしその生活があまりにもストレスフルなため、先輩のススメで闇サイトの「ローン彼氏」を購入。その彼の前でだけは自分をさらけ出せると気がつき、心が揺れ動くのでした。 女性の社会進出が当たり前と言われる現代ですが、未だその理想と現実の狭間で苦しむ女性たちが多くいると考えられます。そういった社会の歪みからこぼれてしまった人物を、野島伸司がどのように描くのかも見所です。

脚本:野島伸司×主演:石原さとみで話題のドラマ『高嶺の花』【2018年】

2018年7月に放送される水10枠『高嶺の花』は、主演に石原さとみを迎え制作されます。 結婚式当日に破談となってしまった名家の生まれ、華道家・月島もも(石原さとみ)。美貌、キャリア、財力、家柄、全てを持っている彼女が未だ愛だけは手に入れられていません。そんな時、平凡な自転車屋の店主・風間直人(峯田和伸)と出会い、恋に落ちるという格差恋愛ストーリー。 社会的に刺激の強い作風から、テンポの良いラブコメまで手がける野島伸司。『高嶺の花』ではどのようなラブストーリーを描いてくれるのか、注目が集まります。