『とと姉ちゃん』は高視聴率だったにもかかわらず、朝ドラとしてはイマイチ?その理由を考察!

2017年11月21日更新

NHK朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』は、視聴率20%越えを成し遂げ、人気朝ドラ作品の1つと思われました。ところがドラマを観ていた視聴者からは意外な意見も多くあるのです。一体なぜこんなことが起こったのでしょうか?まとめてみました。

2016年上半期に放送された朝ドラ『とと姉ちゃん』

『とと姉ちゃん』は2016年上半期にNHKで放送された、朝の連続テレビ小説です。戦前・前後の昭和を舞台に、「とと姉ちゃん」こと小橋常子の半生が描かれます。 主演は『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』(2016)などの高畑充希。共演は唐沢寿明、及川光博らです。「暮しの手帖」を創刊した大橋鎭子と花森安治をモチーフとしています。 ザテレビジョンドラマアカデミー賞助演男優賞を唐沢寿明、ドラマソング賞を主題歌の宇多田ヒカル「花束を君に」、脚本賞を西田征史がそれぞれ受賞し、エランドール賞新人賞を高畑充希が受賞しています。 平均視聴率は20%を超え、多方面で評価された朝ドラ『とと姉ちゃん』。しかし視聴者からは意外な意見・感想も。今回はその理由を探りました。

ドラマ『とと姉ちゃん』のあらすじ

時代は1930(昭和5)年に遡ります。小橋家は浜松で暮らしていましたが、常子は幼いときに父を亡くします。常子は2人の妹の父親代わりとして、一家を支えるのです。 常子が女学生に成長する頃に、一家は東京の母の実家に身を寄せることにします。ところが母と祖母の仲が険悪になったため隣家の森田屋に移り住み、住み込みで働くことになるのです。 東京の女学校に通い始めた常子は、担任教師の影響で平塚らいてうの女性解放運動の思想に触れます。卒業後はタイピストとして働くようになりました。 戦後、小橋姉妹は雑誌社を立ち上げ、女性向け雑誌「あなたの暮し」を創刊。天才編集者・花山伊佐次(唐沢寿明)の協力を得て、とと姉ちゃんらの奮闘が始まります。

脚本を担当したのは『妖怪人間ベム』で知られる西田征史

『とと姉ちゃん』の脚本は、西田征史によるオリジナルストーリーです。西田征史は1975年東京都出身の脚本家、俳優、演出家。 2011年に立て続けに脚本を担当した、『怪物くん』、『妖怪人間ベム』、『Tiger & Bunny』のヒットで注目されました。2014年には、自ら原作・脚本・監督を務めた『小野寺の弟・小野寺の姉』を発表しています。 元芸人であった経験を活かした、軽妙な作風が評価されています。2017年には関ジャニ∞の丸山隆平主演で、メガホンをとった映画『泥棒役者』が公開されます。

『とと姉ちゃん』小橋常子のモデルは大橋鎭子

とと姉ちゃんこと小橋常子のモデルは「暮しの手帖」創刊メンバーであった大橋鎭子がモデルになっています。また花山伊佐次は、やはり「暮しの手帖」の編集長・花森安治を基に描かれているのです。 「暮しの手帖」は1948年に創刊され、戦後いち早く女性のファッションを紹介した雑誌。製品を検証する「商品テスト」を公開で実施し、話題になりました。全盛期の発行部数は100万部を越えていたのです。 ただ、ドラマはこれらをモチーフとしているのであって、飽くまでもフィクションです。例えば、ドラマの中で商品テストによって欠陥を指摘されたメーカーが嫌がらせをしてくるシーンがありましたが、実際はもっとビジネスライクだったようです。

平均視聴率は22.8%を記録!

朝ドラ『とと姉ちゃん』の放送は2016年4月4日に開始され、初回の視聴率は22.6%を記録。初回視聴率が20%を越えたのは『あまちゃん』、『ごちそうさん』、『花子とアン』、『マッサン』、『まれ』、『あさが来た』と2013年度以来7作連続です。 最終週まで全て週間平均視聴率が20%を越えており、かなりの高視聴率朝ドラだったと言えます。期間全体の平均視聴率は22.8%でした。 第117回の放送では視聴率25.9%を記録。視聴率にのみ注目すれば、完全に人気朝ドラと言うことができます。

高視聴率だから面白いとは限らない?視聴者からは不満な声も

視聴率の高さに反比例して、番組には批判的な意見も寄せられました。 例えば「脚本や演出に違和感が……。」、「時代的にこんな状況はあり得るのか?」などの感想が相次いだのです。 特筆すべきは「『とと姉ちゃん』が『まれ』化している。」という意見が多かったことです。『まれ』は脚本の迷走ぶりが指摘され、物語と人物像がブレていたことが批判されました。『とと姉ちゃん』でも、ご都合主義的な展開に眉をひそめる人が多かったようです。 その他、モチーフとなった「暮しの手帖」とあまりにもかけ離れているという声もありました。

『とと姉ちゃん』のモチーフとなった「暮しの手帖」を知る視聴者が不満をもった?

不評の一端は、モデルとモチーフの区別が曖昧で、ドラマ『とと姉ちゃん』が純然たるフィクションであるという認識が薄かったことも原因かもしれません。モチーフとは芸術作品の着想となるもので、モデルとは異なります。 そんな中「暮しの手帖」を知っている層が視聴したため、実際の雑誌とあまりも乖離しているという点に批判が集中したと思われます。「暮しの手帖」をリアルタイムで愛読していた人にとっては、ドラマはあまりにも違和感のある内容だったようです。 しかし、それ故に視聴をやめられず、結果的に視聴率が上がってしまったという皮肉な結果に終わったのではないでしょうか。