2018年1月11日更新

坂元裕二のドラマはなぜあんなに魅力的なのか?愛されるヒミツ

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今「ドラマ好き」から支持を集める脚本家・坂元裕二とは?

1987年・フジテレビヤングシナリオ大賞を弱冠19歳で受賞し、脚本家デビュー。その後、23歳で大ヒットを記録した『東京ラブストーリー』の脚本を担当した事で有名になりました。 コンスタントにフジテレビの連続ドラマを生み出しつつ、2010年に日本テレビの連続ドラマ『Mother』を手がけた事で再び話題に。SNSやコアなドラマファンの間でも注目される『最高の離婚』や『Woman』、『カルテット』なども坂元氏の仕事であり、今やヒットメーカーとしてその名を轟かせています。 新作が発表される度に話題となるのには、一体どのような理由があるのでしょうか?以下6つの魅力から紐解いていきます。

1.自然なセリフまわしなのにその内容がグッと心に突き刺さる

例えば『それでも、生きてゆく』を例にとってみましょう。満島ひかりが演じる双葉はセリフをつっかえる事が多く、そして途中で話す事をやめてしまったりします。流暢に話すのではない、想いが先にあるから言葉がそこに上手くついていかない、その感じが非常にリアルに表現されていました。 そして説明をするため“だけ”の言葉は極力排除され、紋切り型に捕われない多面的な要素を含んでいるからこそ、一つ一つが響くセリフになっているのです。 また、脚本を書く時に役者の声を想定し、自身でしゃべりながら書いているそうで……。そういった作業方法もリアルなセリフを生み出す理由の一つかもしれません。

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2.ドラマ好きも唸るこだわりのキャスティング

坂元作品のドラマに登場する人物は、非常に演技力のある役者が起用されるのも特徴です。間の取り方や言い淀む感じ、そういった見せかけだけではないリアルさを出す事は容易ではないはずです。それぞれの力量と、呼応しあう演技の化学反応が受け手である視聴者に届くよう、実力のある方々がキャスティングされていると考えられますね。 また、満島ひかり(『それでも、生きていく』のキャスティング時)のように、どうしてもこの人に演じてもらいたい!と考えた場合、オファーを断られても直談判に向かう事もあるそうです。そこまでするのも、この役にはこの人!と思う強い気持ちがあればこそではないでしょうか。

3.日常に潜む丁寧な伏線と回収にファンも鳥肌

何でも無いように放たれたセリフ、日常の一コマと思われる行動、そういった気にもとめないような出来事がのちに伏線として回収される事も多い坂元作品。 『カルテット』では単なるあるある話かと当初は思われていた“からあげにレモンをかけるかかけないか問題”が、のちに主人公・真紀が夫につかれていた小さな「嘘」を知るシーンに繋がり、そして家森が実はその話を真紀の夫から聞いていたという、更なる「嘘」のエピソードへと繋がっていきます。 そうとは感じさせない手法で伏線を張り、新たな事実を提示するという形で見事に回収する手腕に思わず唸ってしまいますね。その為こういった些細な出来事でも見逃せなくなり、ファンは繰り返し作品を楽しむ事になります。

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4.美しいだけではない!人間の見せたくない部分も容赦なく描く

『Woman』に登場する栞は、父親の後妻として現れた紗千に自分以外の娘がいる事を知り孤独を感じます。そしてその感情をうまく処理しきれず、居場所がなくなる事を恐れ、主人公の夫を痴漢として仕立てあげてしまうのです。 『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』には、本当に好き合っている2人が自分の感情を隠してみんなで鍋をするシーンで、「うわべばっか楽しそうなふりして。嘘ばっか」と爆弾を投げ込む小夏もいました。 誰しもが隠し持つ人間の仄暗い感情をすくい上げ、逃げ場のない生々しさで提示をしてくれるので、視聴者は感情を大きく揺さぶられ目が離せません。

5.思わず吹き出しそうになるユーモアと居心地の悪さを描く会話劇

長セリフの会話劇が坂元作品の特徴でもありますが、ただ長く独白し続けるだけではありません。小気味好くテンポを刻み、しかし次第にズレてゆく会話の面白さも魅力の一つです。 『最高の離婚』においても、理屈っぽい光生と感情的な結夏の会話はかみ合っているようでかみ合っていない事が多々あります。そのズレが可笑しみでもあり、哀しみでもあるのです。

6.「泣ける」という言葉で簡単に片付けたくない感動がある

『Mother』に登場するネグレクトをする親は一体どんな人物だったのか?ドラマの中でまるまる一つの話数を割いて丁寧に描写されていきました。 また、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』の第一話も、主人公二人の人物像を掘り下げてゆき、“この二人だから、こんな恋をする”という出会いを一時間かけて語りました。 人にはそれぞれに抱えている想いがある。そして人間の本質とは多面的で、白・黒とハッキリできる事だけではないグレーなものなのだ。そうした心のひだを出来るだけ多く繊細に表現する事で、登場人物の人生に寄り添う物語が生まれているのでしょう。 そしてそのドラマの中に生きる登場人物たちの味わう影と光が、見るものの心に深く染み入り感動を呼ぶのではないでしょうか?

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坂元裕二作品の魅力、ご理解頂けましたか?

魅力的な役者陣と秀逸なセリフ。そして時に喜劇でもあり、悲劇でもあるエピソード。幾重にも重なる坂元節が見る者の心を掴む理由がお分かり頂けたでしょうか。 深い人間ドラマが見たい、お約束とは違うリアルな物語を堪能したい、そのような日にはぜひ脚本家の名前をチェックしてみて下さい。そこに「坂元裕二」とあれば、きっと満足が出来るはずです。 これを読んで坂元裕二が気になった方は2018年1月クールのドラマ、『anone』をいますぐチェックです!