タップできる目次
- 「空の境界」シリーズを時系列に整理!観る順番まで徹底解説【ネタバレ注意】
- 「空の境界」シリーズとは?あらすじを紹介!
- 1.第二章 殺人考察(前) ……and nothing heart.
- 2.第四章 伽藍の洞 garan-no-dou.
- 3.第三章 痛覚残留 ever cry, never life.
- 4.未来福音 recalled out summer
- 5.第一章 俯瞰風景 Thanatos.
- 6.第五章 矛盾螺旋 Paradox Paradigm.
- 7.第六章 忘却録音 fairy Tale.
- 8.第七章 殺人考察(後) ……not nothing heart.
- 9.終章 空の境界
- 「空の境界」シリーズを観るおすすめの順番を解説!
「空の境界」シリーズを時系列に整理!観る順番まで徹底解説【ネタバレ注意】
「空の境界」シリーズはゲームブランド「TYPE-MOON」のシナリオライター・小説家である奈須きのこが1998年に発表した小説『空の境界』を原作としたアニメ映画シリーズです。原作の章立てに合わせた全7章と終章の計8作がで2007年から2010年にかけて公開されました。 2013年にはシリーズ第1作『空の境界 俯瞰風景』を3D映画化した『俯瞰風景3D』が製作されています。同年暮れには奈須が映画スタッフへの感謝を込めて2008年に執筆した新作『空の境界 未来福音』の映画化も行われました。 特に注目されたのが後の奈須作品に通じる厨二病的なかっこよさと、時系列を組み替えたトリッキーな構成です。本シリーズの第一章から第四章までは複雑に時系列が入り組んでおり、第一章はこの中では一番最後に位置し、第二章は他の章の二年前が舞台です。 そこで、今回は本作を時系列順に整理して紹介するとともに、時系列が前後している作品シリーズで議論されることの多い、おすすめの「観る順番」も提案します。ネタバレを大いに含んでいるので未見の方はご注意を!
「空の境界」シリーズとは?あらすじを紹介!
主人公はものの死に繋がるほころびを観測し、そのほころびを突くことですべてを殺せる異能「直死の魔眼」を持つ少女・両儀式です。式は彼女に惚れた少年・黒桐幹也や二人を雇う魔術師・蒼崎橙子と共に、様々な異能を持つ者たちが起こす事件に巻き込まれていきます。 本シリーズは「新伝綺」と呼ばれており、『ブギーポップは笑わない』を源流とする伝記的ライトノベルと綾辻行人を始めとする新本格ミステリー、更に哲学的、宗教的要素を強く絡めたディープな作風で後のサブカルチャー業界に多大な影響を与えています。
1.第二章 殺人考察(前) ……and nothing heart.
1995年4月、観上高等学園に入学した黒桐幹也は両儀式と出会います。制服ではなく和服を纏い、他人を寄せ付けない性格をしていた式ですが、式に一目惚れした幹也に話しかけられ続ける内に彼に心をひらいていきます。 本章はシリーズの主な舞台となる1998年の三年前から二年前を描いた前日譚となっており、主人公の両儀式と黒桐幹也が出会って惹かれ合い始めるまでが語られる章です。式が抱えている第2の人格「識」の存在や式の出自といった重要な設定も多く語られる章となっています。 本章は第七章に繋がる前編となっており、提示された最大の謎は第七章で解決します。全編に渡る伏線は度々登場しますが、メインとなる事件が別の章にまたがる構成は第二章と第七章だけです。 ラストは式が車にはねられてしまい、昏睡状態に陥って後の章へと繋がっていきます。
2.第四章 伽藍の洞 garan-no-dou.
1998年6月、昏睡状態から回復した式はすべてのほころび「死の線」を見れるようになっていました。それに恐怖して自身の目を潰そうとした式の元を訪れた魔術師・蒼崎橙子はその眼の使い方を教えると式を誘います。 交通事故で「識」を失った式は喪失感に苛まれ、橙子の誘いにも乗れずに虚ろな入院生活を送っていました。そんな彼女の欠落を狙う悪霊が現れます。 本章で式は「直死の魔眼」に覚醒し、異能を持つ者として戦い始めます。時系列で考えた場合、第二章は序章であり、本章からが本番と捉えることも出来ます。 物語的にも、どこか儚げな式の性格が形作られた理由の一旦が明かされ、キーパーソンである橙子により式の能力がどのようなものなのかが語られる重要な章です。
3.第三章 痛覚残留 ever cry, never life.
1998年7月、複数の少年から暴行を受けた浅上藤乃は腹痛を覚え道端でうずくまっていたところを幹也に助けられます。直後に藤乃を襲った少年たちが手足をねじ切られるという猟奇殺人事件が発生し、橙子の元に犯人を保護するか殺害するよう依頼が舞い込みます。 犯人は物を捻じ曲げる「歪曲」という異能に目覚めた藤乃でした。自身を襲った少年たちへの復讐を図っていると思われた藤乃ですが、無関係な者まで手にかけてしまい……。 伝奇バイオレンス的な作風や異能を軸にして抉られる人間心理、藤乃と浅上家の抱える闇など、本シリーズの特徴が色濃く現れた章です。「直死の魔眼」が鍵となる式と藤乃の異能バトルも見どころになっています。 藤乃との戦いで式は左腕を失い、これ以降は橙子によって作られた義手を装着するようになりました。
4.未来福音 recalled out summer
14歳の少年、瓶倉光溜は右目で未来を見る「未来視」の異能を持てあまし、「倉密メルカ」の名前で依頼を受けて爆発事件を起こす爆弾魔として活動していました。光溜は爆薬を仕掛けたホテルで式に姿を見られて以来、彼女の命を狙い始めます。 礼園女学院の瀬尾静音は故郷に帰る途中、「未来視」の異能で目の前を歩く男が命を落とすと知り、彼の未来を変えようとしました。たまたま通りかかった幹也の助けを借りて男の未来を変えた静音は、自身が未来を見てしまうことを幹也に明かします。 本章は原作版『空の境界』完結から10年後に執筆された小説が原作となっており、作品終盤では『空の境界』の10年後も描かれました。式や幹也といった『空の境界』のキャラクターが活躍しますが、主役は光溜と静音の2名となっています。 光溜の物語と静音の物語、そして10年後の物語が未来という共通項によってまとめられた作品です。併映された『未来福音 extra chorus』はショートショート集となっています。
5.第一章 俯瞰風景 Thanatos.
巫条ビルでは飛び降り自殺が多発していました。両儀式はビル上空に浮かぶ9体の幽霊を目撃します。 橙子の警告も聞かず巫条ビルに近づいた幹也は意識を奪われてしまいました。式は幹也を取り返すため、巫条ビルへと赴きます。 『空の境界』の最初を飾るにふさわしい、現代伝記的作品です。自殺に関する独特な定義や章の中で複雑に入り組んだ入り組んだ時系列など、シリーズ全体のトーンが色濃く現れており、発表順に見た視聴者が自然と本シリーズの特徴に触れられる作りとなっています。 2013年には3D化された『空の境界 俯瞰風景3D』が製作されました。立体映像になることで、巫条ビルから街を俯瞰するシーンなどの臨場感が増しています。
6.第五章 矛盾螺旋 Paradox Paradigm.
1998年10月、両儀式は路地裏で暴力沙汰を起こした臙条巴と知り合いました。彼を自室に匿った式に対し恋心をいだいた巴は自分の両親を殺したと式に告白します。 巴が住んでいる小川マンションでは、死人が生き返ったとしか思えない怪事件が発生していました。幹也と橙子はその事件の調査を行う中で、小川マンションの特異な構造に気づきます。 巴と式は巴の家のある小川マンションに出向きますが、巴の両親は健在でした。小川ビルで発生する矛盾の裏に、魔術師・荒耶宗蓮の影がちらつき始めます。 四章と未来福音以外の事件に絡む黒幕、荒耶宗蓮と式達の戦いが繰り広げられる本章は、文庫本1冊分に渡る大長編です。他の章では解説役・推理役として活躍する橙子や、ある理由からシリーズで唯一全力を出せた式が繰り広げるバトルシーンが見どころとなっています。
7.第六章 忘却録音 fairy Tale.
1999年1月、礼園女学院の学生の間では本人も覚えていない記憶が掘り起こされ、それが原因となったいざこざが多発していました。幹也の妹である見習い魔術師の黒桐鮮花は、師匠である橙子からこの事件の調査を命じられます。 学生の記憶を奪い、掘り起こしているのは妖精たちでした。妖精を見ることができる式と共に事件を調べ始めた鮮花は、被害にあった学生たちが何かをひた隠しにしようとしている事実に気づきます。 鮮花を主役とした番外編的作品です。全寮制のミッション系学校という閉じられた空間が醸し出す独特な雰囲気が見るものを引き込みます。 本シリーズで唯一、原作者・奈須の監修の元でストーリーの改変が行われました。変更理由は明かされていませんが、ファンは倫理上の問題と推察しています。
8.第七章 殺人考察(後) ……not nothing heart.
1999年2月、式が姿を消すとともに、4年前に式と幹也が巻き込まれた連続殺人事件が再び発生しました。二人はそれぞれの方法で事件の真相を探り始めます。 幹也は調査の最中、高校時代の先輩・白純里緒にたどり着きました。「根源」という衝動に飲まれ、殺人を繰り返す彼を止めようとした幹也は里緒に襲われ……。 第二章と対になった作品で、同章で発生した事件の顛末が本章で明かされます。人間の存在意義を概念化した「根源」が引き起こす殺人は悲劇的でもあり、連続猟奇殺人という行為そのものが孕む二面性が本作特有の言い回しで語られました。 式と幹也の関係も描かれ、『空の境界』のストーリーは本章で完結します。超常と猟奇が入り乱れる本シリーズの世界の中で、二人がどのような関係にたどり着くのかも要注目ポイントです。
9.終章 空の境界
ある雪の降る夜、幹也は式と出会います。それは式であって式ではない、式の第三の人格が表出したものでした。 普段は姿を表さない式の第三の人格は世界の根底とつながっており、式や識、そして自身が思うことを幹也に伝えます。そして、第三の人格は再び姿を消すのでした。 原作小説巻末に掲載されたエピローグを映像化した作品です。長さも30分程度と短くなっており、公開期間は1週間、鑑賞料金も低額に設定されました。 シリーズの世界観を形作る設定や、シリーズ全体を俯瞰した内容が特徴です。全編が式の第三人格と幹也の会話で構成されており、他の章とは違うゆったりとした余韻が残ります。
「空の境界」シリーズを観るおすすめの順番を解説!
最後は「未来福音」が鉄板?
以上9作品が「空の境界」シリーズとして映像化されました。ここからは私見となりますが、時系列が入り組んだ本シリーズのおすすめの視聴順を提案したいと思います。 まず、『空の境界 未来福音』は一章から終章とは切り分けて考え、以下のどの視聴順であっても必ず最後に見る形をおすすめします。同作は「空の境界」シリーズを気に入ったファン向けの続編という立ち位置であるためです。 そのため、以下の説明ではすべて「未来福音」を最後に見るという前提で提案していることをご了承ください。
公開順・時系列順・テレビ版準拠順がおすすめ!
一番のおすすめ視聴順は公開順です。本シリーズは順番に見る事を前提に製作されているため、時系列が入り組んでいても問題なく楽しめます。 また、時系列順で視聴する形もおすすめです。この視聴順は発表順よりもキャラクターたちの状況が理解しやすくなります。 3つめの視聴順は二章と七章をセットとして考え、二章を除き時系列順で視聴し、二章と七章をまとめて終章の前に視聴する形です。これはテレビ放送された際の構成に習ったもので、時系列順の良さを保ったまま二章と七章の繋がりを理解しやすい点が一押しです。 どの順番であっても本シリーズの魅力は変わらず楽しめますので、ぜひ好きな順番で視聴してみてください。