2018年7月4日更新

【映画界の新たなトレンド】映画監督が手掛けた傑作ドラマ11選

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映画監督が手掛けるドラマが熱い

近年ネット配信が盛んになっていることもあり、映画監督がドラマを手掛けるというスタイルが注目されています。しかし、実はこの流れは、以前からあったのです。今回は日本のドラマとアメリカのドラマで、映画監督が携わるドラマを紹介します。

1:豪華監督陣がリレーで演出

『時効警察』は2006年に金曜ナイトドラマ枠で放送され、2007年には同枠で第2シリーズ『帰ってきた時効警察』が放送されました。主演をオダギリジョーが務めた、コメディー作品です。 脚本・演出はリレー形式を取っており、『インスタント沼』に三木聡、『愛のむきだし』の園子温、『グミ・チョコレート・パイン』のケラリーノ・サンドロヴィッチなどが担当。第1シリーズは第23回「ATP賞テレビグランプリ2006」ドラマ部門で最優秀賞を受賞しました。 ドラマのなかでは、気づくとクスッと笑えるものや物語の伏線となっているものまで、細かい演出が数多く散りばめられており、ドラマ好きの間で話題になりました。 ストーリーは、オダギリが演じる総武署時効管理課の警察官である主人公・霧山が「趣味」で時効を迎えた未解決事件を捜査していくというものです。コメディ作品でありながら、人間心理が複雑で考えさせられる回もある奥深い内容になっています。

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2:湊かなえ×黒沢清が奏でる悲劇の連鎖サスペンス

小泉今日子 『贖罪』
(C)2012 WOWOW

『贖罪』は2012年にWOWOWの連続ドラマWで放送された、小泉今日子主演のドラマです。『告白』の湊かなえの小説を映像化した同作は、第69回ヴェネツィア国際映画祭アウトオブコンペティション部門で上映され、テレビドラマとしては異例の快挙を成し遂げました。 脚本・監督を務めたのは、『トウキョウソナタ』で第54回カンヌ国際映画祭「ある視点部門」審査員賞を受賞した黒沢清。黒沢は『贖罪』で2012年東京ドラマアウォードの作品賞優秀賞と演出賞を受賞しました。 ドラマは、連鎖する悲劇を通して、人間が内に隠し持つ毒や心の闇を5人の女性視点から描いた物語。「贖罪」とはいったい何なのかがテーマになっています。 そんな本作のストーリーは、とある田舎町に越してきた小学生のエミリが、何者かによって殺害された事に端を発します。事件当時、エミリは新しい街で知り合った4人の友人と過ごしており、彼女たちは犯人を目撃していたのですが、エミリの友人たちは犯人の顔を思い出すことができませんでした。 そして、劇中では彼女たちの15年間の罪の意識によって生まれるさらなる悲劇が描かれています。

3:カンヌ受賞監督がドラマで魅せる

『ゴーイングマイホーム』は2012年に放送された阿部寛主演のドラマです。同作は、山口智子が『ロングバケーション』以来およそ16年ぶりとなる連続ドラマ出演、宮崎あおいが『しあわせのシッポ』以来およそ10年ぶりの民放テレビドラマ出演であったため、話題となりました。 脚本・監督を務めたのは『そして父になる』で第66回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞した是枝裕和。是枝が民放テレビドラマで脚本・監督を務めるのは同作が初となりました。 物語は、阿部が演じる冴えないサラリーマン・良多が疎遠だった父が倒れたのをきっかけに故郷の長野に帰郷するところからスタート。故郷に帰った良多は、父は「クーナ」と呼ばれる伝説の生き物を探していたことを知ります。はじめは懐疑的だった良多でしたが、次第に心の変化が生じていきます。

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4:ドラマが異例の映画賞を獲得

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は、1993年に放送されたドラマです。主演を奥菜恵と山崎裕太が務めました。 脚本・監督を務めたのは『スワロウテイル』『リリイ・シュシュのすべて』など、数々のヒット作をのちに送り出すことになる岩井俊二。当時はまだ新人監督だった岩井は、同作で一気に評価と知名度を上げました。 同作は日本映画監督協会新人賞を受賞。これはテレビドラマとしては異例の快挙でした。 ドラマは「両親の離婚」「駆け落ち」「転校」……小学生の切なくて甘酸っぱい恋を2つの時間軸で描いた物語です。2017年にはこの作品をリメイクしたアニメが映画として公開されました。

5:映画監督が手掛けるドラマの元祖

『傷だらけの天使』は1974年から1975年にかけて放送された萩原健一主演のドラマです。萩原演じる主人公・修(おさむ)の弟分・亨(あきら)を、『相棒』の水谷豊が演じています。 『仁義なき戦い』シリーズや『バトルロイヤル』シリーズの深作欣二、『伊豆の踊子』の恩地日出(おんちひでお)などが各回の監督を務めました。当時は映画監督がドラマの監督を務めるのは珍しく、ドラマの厳密な尺(時間)を計算できておらず、急遽脚本が変更になるという苦労話があったことを、萩原が明かしています。 同作では、強大な権力や体制の理不尽さが、2人の若者を通して描かれています。社会の非情さに屈してしまうという、やるせない展開も魅力でした。

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6:アカデミー賞ノミネート監督が製作総指揮

『ハウス・オブ・カード/野望の階段』は、『ユージュアル・サスぺクツ』でアカデミー助演男優賞、『アメリカン・ビューティー』でアカデミー主演男優賞を受賞したケヴィン・スペイシー主演の、アメリカのドラマシリーズです。同作はネットフリックスで配信されており、ネット配信で初公開のドラマシリーズでは初となるプライムタイム・エミー賞を受賞しました。 同作の製作総指揮は、『ソーシャル・ネットワーク』『ベンジャミン・バトン数奇な人生』でアカデミー監督賞にノミネートされたデヴィッド・フィンチャーが務めています。主人公フランクが視聴者にカメラを通して語りかけるというユニークな演出を採用して話題になりました。 そんな本作の主人公は、ホワイトハウス入りを目指すフランクという下級議員。フランクは様々な戦術を駆使して、ついには副大統領まで上り詰めていくのですが、そこでも更なる波乱が待っていた、というストーリーです。

7:『マトリックス』の監督が手掛けるサイエンスドラマ

『センス8』は『マトリックス』の監督であるウォシャウスキー姉妹が製作に携わっているアメリカのサイエンス・フィクションドラマです。同作はネットフリックスの配信用に製作され、ヒットしました。 製作者は、サイエンス・フィクションドラマでありながら、政治・自己同一性・セクシュアリティ、ジェンダー・宗教をテーマとして掘り下げることを目指しました。実際、LGBTQのキャラクターやテーマに焦点が当てられ、話題になります。 第1シーズンの12エピソードは、2015年GLAADメディア・アワード最優秀賞ドラマシリーズ作品賞を受賞。ほかにも、プライムタイム・エミー賞のメインタイトルテーマ部門にもノミネートされました。 そんな本作は、アンジェリカと呼ばれる女性が、ある男によって追い込まれ自殺する直前に、世界各地の8人と精神的なつながりを持ったところからスタート。 やがて彼女たちは、自分たちが「感応者」という存在になったことを知ると同時に、「感応者」を狙う巨大な組織に狙われる事になって行くというストーリーです。

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8:デビュー作で1億ドルのヒットを生んだ監督のドラマ作品

『Love』はネットフリックスで配信されている新感覚ラブコメディドラマです。製作には、2005年にスティーブ・カレル主演『40歳の童貞男』で映画監督デビューを果たし、1億ドルを超えるヒットをとばしたジャド・アパトーが携わっています。 同作では、お人よしなギーク男子(理系出身でコンピュータに強い男子)と派手で勝気な女の子の、スマートフォンを通した今どきの恋愛が描かれています。Facebook、デートアプリ……、現在を象徴するテクノロジーが作中には登場し、オンラインとオフラインの恋愛模様が展開。 オンラインを超えてオフラインで向き合う男女を通して、現代の恋愛の姿を描きます。

9:監督はベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞

『ナルコス』は、ネットフリックス製作のオリジナルドラマです。監督は、2007年に『エリート・スクワッド』で第58回ベルリン国際映画祭では金熊賞を受賞したジョゼ・パジーリャが務めました。 舞台はコロンビア。アメリカに麻薬を供給する麻薬組織とアメリカの麻薬取締捜査官の戦いを描いた実話をもとにしたストーリーです。 同作は、2016年に第68回プライムタイム・エミー賞でメインタイトル・デザイン賞・主題歌賞・編集賞ドラマシリーズ部門にノミネートされました。 また、シーズン2の1シーンに登場する2人の老人は、ドラマのモデルとなったスティーブ・マーフィーとハビエル・ペーニャ本人であるなど、知っていると面白い演出も取り入れられています。

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10:『ナイトミュージアム』の監督が製作総指揮

『ストレンジャー・シングス』は、2006年に監督・脚本を務めた『ナイトミュージアム』が全米・日本で大ヒットしたショーン・レヴィが製作総指揮を務める務める、SFホラードラマシリーズです。同作は1980年代のポップカルチャーへのオマージュが込められており、スティーブン・スピルバーグやジョン・カーペンターなどの影響が見られます。 物語は、1980年代インディアナ州の架空の町であるホーキンスが舞台。超能力を持つ不思議な少女が、少年たちと共に邪悪な怪物と戦っていくというストーリーです。 同作は第69回クリエイティブアーツ・エミー賞で、キャスティング賞・メインタイトルテーマミュージック賞・メインタイトルデザイン賞・編集賞・音響賞の合計5部門を受賞しました。

11:バズ・ラーマン製作総指揮の音楽ドラマ

『ゲットダウン』は、ネットフリックスオリジナルのドラマです。同作の製作総指揮を務めるのは、『ロミオとジュリエット』『ムーランルージュ』『華麗なるギャツビー』の監督であるバズ・ラーマン。 同作は、70年代後半が舞台で、ヒップホップ誕生の物語が描かれています。まだ「ヒップホップ」という名前はなく、ヒップホップという文化が誕生する瞬間、黎明期のサウスブロンクスで繰り広げられるストーリーです。 同作はヒップホップアーティストの宇多丸にも高く評価されています。宇多丸は「ドラマの部分で日本人にはわかりにくい部分があると思うので」と、『ヒップホップジェネレーション』という本を参考に見ると、より面白いと話しています。

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邦洋ともほかにも名作が多数

以上、映画監督が手掛けるドラマ作品の紹介でした。映画のような濃い内容をじっくりと時間をかけて見られるというのが魅力かもしれません。今回紹介した作品以外にも、まだまだ映画監督が映画監督が手掛けるドラマはあるので、要チェックです。