2019年7月9日更新

【映画をもっと楽しむために】世界三大宗教がよくわかる名作映画たちを特集

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『沈黙-サイレンス-』
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映画に描かれてきた世界三大宗教を知りたい!

宗教的感覚の薄い日本人にはなかなか理解しにくい世界三大宗教。しかしそのうちの一つである仏教は日本には馴染み深く、キリスト教とイスラム教は現在の世界の仕組みを知る上で、絶対不可欠なもの! ここではまず、世界三大宗教とはどんなものかをおさらいしてから、その成り立ちがわかる映画を紹介します。そして各宗教を知るともっと楽しめる映画も取り上げていきます。

そもそも世界三大宗教って?

世界三大宗教は、古くから存在し、民族や地域も超えた最も影響力の強い宗教です。イエスをキリスト=救世主とするキリスト教、唯一神アッラーを信仰するイスラム教、そして悟りを開いた釈迦を開祖とする仏教。 この3宗教は社会的にも文化的にも大きな影響を与え、「世界宗教」とも呼ばれています。最も信者数が多いのはキリスト教、次にイスラム教、そして仏教と続きます。実は仏教はヒンドゥー教よりも信者数は少ないのですが、地域的に偏っているヒンドゥー教は「民族宗教」と考えられています。 またキリスト教とイスラム教、そしてユダヤ人が信仰するユダヤ教の3宗教はすべて、パレスチナのエルサレムを聖地としています。ユダヤ人国家イスラエルはエルサレムを首都と主張していますが、このためにパレスチナ情勢はより複雑なものとなっています。

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仏教は日本人には一番馴染み深い宗教!

仏教が生まれたのは紀元前5世紀ごろのインド。開祖の釈迦=ゴータマ・シッダールタが「悟り」を開いて始まりました。悟りとは、修行によって老いや病といった人生の苦しみから自分を解放すること。「解脱」ともいいます。 諸仏を崇め「五戒」を戒律としています。聖職者は僧侶、象徴は仏像、仏教経典を基に寺院で修行を行います。大きくは大乗仏教と小乗仏教に分かれ、前者は中国から朝鮮半島、そして日本へ伝わりました。 日本にはさまざまな宗派の仏教が伝来し、さらに多くの宗派が生まれています。主なものには最澄の天台宗、空海の真言宗、法然の浄土宗、親鸞の浄土真宗、栄西の臨済宗、道元の曹洞宗、日蓮の日蓮宗、一遍の時宗があります。昔の家には必ず仏壇がありましたが、お葬式や法事では宗派によって違いがあるのも日本ならではでしょうか。

仏教の成り立ちがわかる映画:日本映画には仏教が登場するものも多数!

手塚治虫渾身の宗教巨編をアニメ化した『手塚治虫のブッダ』

手塚治虫が10年かけて釈迦の生涯を描いた漫画『ブッダ』。この作品を原作としたアニメ映画が全3部作として製作されています。第1部『手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ!美しく』は2011年、第2部『BUDDHA2 手塚治虫のブッダ–終わりなき旅–』は2014年に公開されました。 2500年前のインドはカースト制という身分によって人生が決まっていました。最高位の僧侶であるバラモン、武士のクシャトリヤ、平民のヴァイシャ、奴隷スードラ、そして最下位に位置する賤民バリア。 シャカ族の王子として生まれたゴータマ・シッダールタは、クシャトリヤとして不自由のない生活を送っていましたが、次第にこの身分の違いに疑問を抱き始め、僧として出家する道を選びます。 手塚治虫が渾身の力を込めた本作は、代表作『火の鳥』と同じくライフワークとなりました。アニメ化された映画も、シッダールタ王子の生い立ちから、修行僧となり悟りを開き、ブッダとなった道程を非常に丁寧に描いています。 シッダールタを吉岡秀隆、シッダールタの母/ナレーションを吉永小百合が声優を務めました。手塚治虫ならではの架空の人物も登場し、第1部のチャプラ役を堺雅人、第2部のタッタ役を松山ケンイチが担当しています。

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キアヌ・リーブスが釈迦を演じた『リトル・ブッダ』

イタリアの巨匠ベルナルド・ベルトルッチ監督の『リトル・ブッダ』では、シッダールタ王子の半生記とともにチベット仏教について描かれています。シッダールタ王子をキアヌ・リーブスが演じ、日本では1994年に公開されました。 コンラッド夫妻と息子ジェシーが住むアメリカのシアトルに、ある日チベット仏教僧ノルブが訪ねてきました。話を聞くと、ジェシーが高僧の生まれ変わりかもしれないとのこと。 あまりに突然の話に混乱するコンラッド夫妻でしたが、夫ディーンは親友の死に触れて仏教思想に興味を抱きます。そしてノルブとともにジェシーをブータンへ連れて行く決心をします。このメインストーリーと交錯するように、シッダールタ王子の人生が語られます。 チベット仏教はチベットで発展した仏教の1宗派で、高僧はラマと呼ばれ、最高権威を持つのがダライ・ラマです。チベット仏教を描いた他の作品に、ブラッド・ピット主演の『セブン・イヤーズ・イン・チベット』もあります。

仏教の各宗派を描いた日本映画も!

日本映画には、それぞれの宗派を開いた高僧の生涯をテーマにした作品があります。中村錦之助が浄土真宗の宗祖・親鸞を演じた『親鸞』(1960年)、中村勘太郎が曹洞宗の開祖・道元禅師を演じた『禅 ZEN』(2009年)、萬屋錦之介が日蓮宗の宗祖・日蓮を演じた『日蓮』(1979年)など、その多くが歌舞伎役者を主演に据えています。 また、変わったものではウド鈴木が時宗の開祖・一遍上人を演じた『一遍上人』(2012年)もあります。北大路欣也が真言宗の開祖・空海を演じた『空海』(1984年)は大ヒットを記録しました。

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仏教を知っているともっと楽しめる映画:意外にもパロディ満載!

キリストとブッダが同居してる?!『聖☆おにいさん』

中村光のコメディ漫画『聖☆おにいさん』を原作としたアニメの劇場版で、なんとブッダとイエス・キリストがバカンスのために人間界に降臨して、東京立川のアパートで「聖」という名字で同居するという設定! 2018年には実写ドラマが動画配信される予定で、『銀魂』の福田雄一が監督を務め、イエスを松山ケンイチ、ブッダを染谷将太が演じます。アニメ版ではブッダの声を星野源、イエスの声を森山未來が担当しています。 あくまでも仏教とキリスト教や他の宗教のあるあるネタを扱ったパロディ作品なので、ある程度各宗教の基本的な知識があるとより楽しめますよ!ただし、漫画でもアニメでも映画でも、一切いまだイスラム教については触れられていない様子です。

仏教の五戒がよ〜くわかる『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』

監督・脚本を宮藤官九郎が務めた『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』は、ダイレクトに地獄が舞台!音楽をZAZEN BOYSの向井秀徳が担当し、長瀬智也が地獄の赤鬼、神木隆之介が地獄に落ちた高校生を演じています。 修学旅行中のバス事故で死に、不運にも地獄へ送られてしまった大助を待ち受けていたのは想像とは違うエキセントリックな鬼たち!赤鬼キラーKに地獄の基本を叩き込まれるうち、なぜか鬼たちのロックバンド「地獄図」に加入することに。もう一度人間に転生するチャンスを掴もうと何度も輪廻転生する大助に、数々の試練が襲いかかります。 大助が転入することになる「地獄農業高校」では授業できちんと仏教の五戒を学習します。それは、不殺生・不偸盗・不邪婬・不妄語・不飲酒の五つの戒め。一瞬、宗教映画かと思うほどですが、もちろんパロディ満載です。 また、輪廻転生が高校生である大助の「進路」としてわかりやすく展開し、仏教の「六道」を知ることができます。六道とは、現世の人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道・天道。大助はこの六道すべてを経験することになります。

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欧米社会の根幹を形成しているキリスト教

キリスト教はもともとユダヤ教の一分派で、紀元1世紀末に分離したものです。西暦で紀元前はB.C.と略されますが、これはBefore Christ=キリスト以前の略!そもそもキリストとは、開祖のイエスが十字架に架けられ処刑された3日後に復活した救世主という意味なのです。 イエスの弟子たちが作った教団が宣教活動を始め、各地に教会を設立し、4世紀にはローマ帝国の国教に。それ以降ヨーロッパを中心に全世界へ広まっていきました。経典は旧約聖書と新約聖書、戒律は「十戒」があります。 キリスト教の宗派は大きくカトリックとプロテスタントに分かれています。バチカン市国のローマ教皇が治めるローマ・カトリックは最大宗派で、約半分を占めています。 プロテスタントは聖書を中心に信仰を重視する宗派で、カトリック教会から分離した諸宗派の総称。カトリックの司祭は神父、プロテスタントの聖職者は牧師と呼ばれます。

キリスト教の成り立ちがわかる映画:歴史大作が多いキリスト教映画

メル・ギブソン監督作!キリストの受難を描いた『パッション』

熱心なキリスト教信者であるメル・ギブソンが手掛けた念願の企画が、イエス・キリストが十字架に架けられるまでの12時間を描いた『パッション』。原題は『The Passion of the Christ』といい、パッションという言葉自体が「キリストの受難」を示します。ジム・カヴィーゼルがイエス・キリストを演じました。 イエス・キリストは愛を説き、周りの人々を癒していました。しかしユダヤ教のパリサイ派は、イエスが「メシア」と呼ばれ人心を掴んでいることを疎ましく思い、神の冒涜という罪を着せて捕らえます。 鞭打ちや石打などの拷問、そして十字架を背負って市中を歩かされた上、ゴルゴダの丘で磔にされるイエス。それでも自分を裏切った者や苦しめる者たちに対する赦しを神に乞う姿を見て、人々はイエスが説く本当の「愛」を知ることになります。 ギブソン監督の熱意のためか、イエスへの拷問を描写するシーンはあまりにも凄惨で、公開当時には賛否両論を巻き起こしました。しかし監督はあくまでも福音書に忠実に描いた作品と主張し、ローマ教皇も認めているほど宗教的純度の高い映画となっています。

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聖書を完全映画化!キリストの生誕から復活を描く『サン・オブ・ゴッド』

2013年にミニシリーズとして全10話が放送されたテレビドラマ『ザ・バイブル』を映画化したものが『サン・オブ・ゴッド』です。イエス・キリストを演じたのは、ドラマでもイエスを演じたディエゴ・モルガド。 預言者に「イスラエルの王」になると言われ、生まれてすぐに暗殺の標的となったイエス。それでも成長してからは、愛を説いて回り弟子を増やしていきますが、権力者には人心を惑わす危険人物として迫害され、十字架に磔にされてしまいます。 イエスを演じたモルガドはその美しいルックスから「イケメンすぎるキリスト」と話題になりました。『パッション』が宗教色を前面に押し出した作品なら、本作は政治的・歴史的な視点を取り入れた作品といえます。

キリスト教を題材にしたその他の歴史大作映画

イエスの生涯を描いた歴史大作には、ジョージ・スティーブンス監督の『偉大な生涯の物語』(1965年)、セシル・B・デミル監督の『キング・オブ・キングス』(1961年)もあります。前者はマックス・フォン・シドー、後者はジェフリー・ハンターがイエスを演じました。 他にもキリスト教を題材とした映画はたくさんあり、旧約聖書の「出エジプト記」を元に制作された『十戒』(1956年)や、キリストの生誕から受難と復活を背景に描いた歴史大作『ベン・ハー』(1959年)がよく知られています。

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キリスト教を理解しているともっと楽しめる映画:批判的な問題作も!

キリスト教のタブーに挑戦した『ダ・ヴィンチ・コード』

ダン・ブラウンによる「ロバート・ラングドン」シリーズの第2作『ダ・ヴィンチ・コード』を映画化した作品で、ロン・ハワードが監督を、トム・ハンクスが主演を務めています。 イエス・キリストが処刑される前日の夜、弟子の十二使徒とともに最後の晩餐を行った様子を描いたレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」。この絵画に実はキリストの秘密が暗号としてかくされていたというミステリーを、宗教象徴学を専門とするラングドン教授が解き明かしていきます。 しかしこの作品は、ローマ・カトリック教会からはイエスに対する冒涜だとされ、ボイコットも呼びかけられました。この暗号の意味を深く理解するためには、やはりキリスト教の基礎知識は必要で、特にイエスとマグダラのマリアとの関係を知っておくことは重要です。

日本のキリスト教伝道の苦難を描いた『沈黙 サイレンス』

敬虔なキリスト教信者であった作家・遠藤周作の『沈黙』を、マーティン・スコセッシ監督が映画化した作品です。主演はアンドリュー・ガーフィールド、共演者にはアダム・ドライバー、リーアム・ニーソン、窪塚洋介、浅野忠信が名を連ねています。 江戸幕府による厳しいキリシタン弾圧を行われていた長崎で、師である宣教師フェレイラが信仰を捨てたと聞き、弟子のロドリゴとガルぺはマカオから長崎へ潜入することを決意します。 日本人のキチジローの手引きで長崎に入った2人は、弾圧を逃れて信仰を続ける「隠れキリシタン」たちと出会います。しかしキチジローの裏切りによってロドリゴたちも囚われてしまいます。 歴史の教科書にも必ず登場する、江戸時代のキリスト教弾圧と隠れキリシタン。日本でのキリスト教布教の歴史と現実、そして実際に起こった厳しい宗教弾圧を知ることができます。

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身近でなくても絶対に知っておくべきイスラム教

イスラム教は7世紀初め、アラビア半島のメッカで唯一神アッラーの啓示を受けたムハンマドが開いた一神教です。六信五行を教義とし、モスクで礼拝を行い、経典「コーラン」を信仰の拠り所としています。 ムハンマドの死後にカリフと呼ばれる後継者をめぐる争いが起こり、そこから生まれた宗派が現在でも対立しているスンニ派とシーア派です。スンニ派は約9割を占める多数派、シーア派は1割前後の少数派ですがイラクでは国民の6割、イランでは国教となっています。 イスラム教は象徴を一切否定しており、キリスト教の十字架や仏教の仏像ような偶像信仰がありません。しかし源流はユダヤ教・キリスト教と同じ一神教で、エルサレムはイスラム教にとっても重要な聖地。7世紀末のイスラム勢力下で岩のドームが建てられました。

イスラム教の成り立ちがわかる映画:映画化が難しいイスラム教

開祖ムハンマドの生涯を描いた貴重な作品『ザ・メッセージ』

シリア出身の監督ムスタファ・アッカドによる歴史スペクタクル作品で、イスラム教の開祖ムハンマドの生涯を描いています。アッカド監督の次作『砂漠のライオン』にも出演しているアンソニー・クインとイレーネ・パパスが主演を務めています。 西暦610年のメッカ郊外の洞穴で、1人の男が神の啓示を受けます。その頃のメッカは貧富の差も激しく、有力者によって支配されていました。唯一神アラーの使徒として啓示を伝えるムハンマドの言葉は若者たちの間に広まり、それを書き留めていったものが「コーラン」となっていきます。 前述したようにイスラム教は象徴や偶像を認めていないため、ムハンマドを映像化することはできません。そのためムハンマドとその生涯や、当時のアラブ社会を描いた映画は非常に貴重! 最近の作品ではイランのマジード・マジーディー監督による映画『預言者ムハンマド』(2015年)があり、12歳までの幼少時代のムハンマドを描いています。しかしやはり預言者の具現化に反対する批判もあり、シーア派であるイランとそれ以外のスンニ派の対立構造も見え隠れします。

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イスラムの勇者サラディンと十字軍の物語『キングダム・オブ・ヘブン』

リドリー・スコット監督による歴史ドラマで、第1次十字軍によって成立したエルサレム王国とその後の十字軍の戦いを描いています。主演はオーランド・ブルーム、共演者はエバ・グリーン、ジェレミー・アイアンズ、リーアム・ニーソン、エドワード・ノートンです。 第1次十字軍から約100年後のフランス。新たな十字軍への志願者が募られ、妻子を亡くして悲嘆にくれる鍛冶屋バリアンも参戦することになります。聖地エルサレムでは、国王ボードゥアン4世の統治下でキリスト教とイスラム教が共存していましたが、それもサラセン人の王サラディンとの和平で成り立っていました。 十字軍とは、ローマ教皇がイスラム勢力から聖地エルサレムの奪還を呼びかけて始まった宗教戦争です。実はここから、イスラム世界とキリスト教西欧諸国との衝突は始まっていたのです。

イスラム教を知っているともっと楽しめる映画:イスラムの影響を受けた欧米人もいる!

サウジアラビアを駆け抜けたイギリス将校『アラビアのロレンス』

デヴィッド・リーン監督による歴史戦争映画『アラビアのロレンス』は、実在のイギリス将校トーマス・エドワード・ロレンスのアラビアでの活動を中心に描いています。アイルランドの俳優ピーター・オトゥールがロレンスを演じました。 アラビア語やアラブ文化に造詣が深かった陸軍将校のロレンスは、アラビア半島での工作任務を受けることになります。その任務はアラブ諸部族をまとめてオスマン帝国に対する反乱を起こすこと。部族間の衝突に悩みながらもロレンスは任務を遂行していきますが、イギリスの三枚舌外交によって窮地に立たされます。 イギリスの三枚舌外交とは、オスマン帝国を倒すためアラブ人とユダヤ人両方にパレスチナでの国家建設と、フランスとロシアに対してオスマン帝国の領土分割とパレスチナの国際管理地域化を約束したこと。これが現在のパレスチナ問題の発端となっているのです。

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ブラック・ムスリムとして覚醒した『マルコムX』

『ドゥ・ザ・ライト・シング』のスパイク・リー監督が黒人解放運動家マルコムXの人生を描いた作品で、デンゼル・ワシントンがマルコムXことマルコム・リトルを演じました。 青年時代はニューヨークのハーレムで泥棒家業に明け暮れる日々だったマルコム。しかし刑務所に送られ獄中でネーション・オブ・イスラムという黒人のイスラム運動組織を知り、ブラック・ムスリムに目覚めます。そして攻撃的な黒人解放運動家としてその存在を知られるようになります。 ネーション・オブ・イスラムはイスラム教の1派ではなく、派生した新宗教のような存在。全米に布教したリーダーのイライジャ・ムハンマドの元、マルコムXはスポークスマンとなり注目を集めました。 しかしイライジャとの対立を深め、1964年にネーション・オブ・イスラムを脱退。メッカへ巡礼し、改めて広い視点でアメリカの黒人問題に向き合うようになりました。マルコムXは1965年にネーション・オブ・イスラムの信者たちによって暗殺されますが、マルコムの啓蒙を受けてイスラム教に改宗したボクサーのモハメド・アリなど多くの人物に影響を与えています。

宗教と映画の密接な関係

ここで見てきたように、世界宗教といわれるキリスト教・イスラム教・仏教は文化的影響が大きく、頻繁に映画の題材として選ばれています。時として映画は宗教の布教目的で製作されることもあります。それはもちろん、映画自体が文化的影響を与えられるツールだからです。 そして、いかに三大宗教が現在の世界の基盤を成しているか、あるいは左右されているかも映画から知ることができます。特に聖地エルサレムやパレスチナ問題について触れている作品は、他にも多数あります。 宗教と映画の密接な関係は、おそらくこれからも続いていくでしょう。あまり馴染みのない宗教に、映画で出会うこともあるかもしれません!