2018年6月7日更新

スピルバーグの再来?ライアン・クーグラー監督がイケメン過ぎてヤバイ

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ライアン・クーグラー
©Abaca Press/Boyer-Hahn-Marechal/Abaca/Sipa U/Newscom/Zeta Image

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映画界の新たな伝説 ライアン・クーグラー

『クリード チャンプを継ぐ男』(2015)や『ブラックパンサー』(2018)で知られるライアン・クーグラー監督。これまで手がけた作品数は決して多くないにもかかわらず、新作を公開するたびに大成功を収めてきました。 しかし、彼が世界の注目を集めるのは、単に興業的な成功を連発しているからではないのです。また、その類い稀な才能を「スティーブン・スピルバーグの再来」と言って評価する声もありますが、彼には他の監督でたとえることのできない魅力があるように思います。 過去作や公開待機作にまつわるエピソードをもとに、ライアン・クーグラー監督の映画作りに迫ります!

フットボールから映画制作へ

ライアン・クーグラーは1986年、カリフォルニアはオークランドに三人兄妹の末っ子として生まれました。 子供の頃から様々な映画を見てきたそうですが、少年ライアン・クーグラーが興味をもったのはスポーツだったそう。とくにフットボールに打ち込んだ彼は、そのスカラシップでセント・メリーズ大学に進みました。 ところが、入学後すぐ大学がフットボールプログラムを廃止、転校を余儀なくされます。結局、セント・メリーズに通ったのはわずかだったわけですが、そこでの出会いが転機だったのです。 なぜなら、彼が脚本を書き始めたのは大学の教授に後押しされたから。映画をつくることに心惹かれた彼は転校後もフットボールを続けながら映画制作の授業をとるよう心がけたそうです。 大学卒業後、映画の名門南カリフォルニア大学に再入学すると本格的に制作をはじめます。

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初海外はカンヌ国際映画祭!?

彼のキャリアは『Locks』(2009)『fig』(2011)などの短編映画から始まります。 とくに注目すべきは監督と脚本の両方をつとめた『Locks』でしょう。タイトルが意味するのは、いわゆるドレッドヘアのこと。ドレッドヘアとの決別を誓った黒人男性が、理髪店に行くまでの出来事を描いています。わずか6分ほどの映像ながら、世間に蔓延する黒人ファッションへの偏見、人種差別の根深さに焦点をあてた作品です。 この作品は2009年のカンヌ国際映画祭にアメリカ映画として出品されることになりました。もちろん彼自身もカンヌに行くのですが、それが彼にとって初めての海外旅行だったそうです。

初長編作品『フルートベール駅で』

初めて手がけた長編作品が2013年の『フルートベール駅で』。その後なんどもタッグを組むことになるマイケル・B・ジョーダンを主演に迎えています。 本作の元になっているのはオスカー・グラント三世射殺事件。白人警官が無抵抗の黒人男性を射殺した事件です。この事件が起こったのはオークランド。彼にとって、あまりにも身近で起きた衝撃的な事件だったのかもしれません。 この作品はサンダンス映画祭で大絶賛され、期待の新鋭として絶大な注目を集めました。

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偉大なシリーズに挑戦した『クリード チャンプを継ぐ男』

2015年に制作した『クリード チャンプを継ぐ男』は『ロッキー』シリーズ初のスピンオフ作品。アポロの息子アドニスを主人公とした物語で、またしてもマイケル・B・ジョーダンが主演をつとめました。 名作のスピンオフ制作は、大変なプレッシャーを要するもの。ファンの多さゆえに期待が大きくなりますが、同時に厳しい目線も増えるものです。しかし、本作はそんな不安を軽々乗り越えてみせます。『ロッキー』ファンに受け入れられただけでなく、『クリード』のシリーズ化が待望されるほどの人気を獲得しました。 この成功の背景にあったのは、かつて父とみた映画たち。映画のおもしろさに気づかせてくれた彼の父こそ、『ロッキー』ファンだったのです。本作には、父親への思いも込められています。

社会現象を巻き起こした『ブラックパンサー』

爆発的大ヒットを記録した『ブラックパンサー』(2018)。チャドウィック・ボーズマンを主役に据え、マイケル・B・ジョーダンはキルモンガー役で登場しました。マーベルの記念碑的なヒーローを限りなくクールに映像化できたのは、監督自身がブラックパンサーの大ファンだったからなのでしょう。 「ワカンダフォーエバー」のポーズは一大ブームとなり、様々な業界の人々を鼓舞しました。観客たちが映画館でダンスする姿も話題になりましたね。さらに、サウジアラビアの映画館解禁を飾ったのも本作でした。 ライアン・クーグラーは自分の作品が社会現象となっているのを見るたび、感動して涙がこぼれたと語っています。

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マイケル・B・ジョーダンとの絆

マイケル・B・ジョーダン
©︎Brian To/WENN.com

マーティン・スコセッシとレオナルド・ディカプリオのように「名コンビ」として知られる監督俳優タッグはたくさんいます。 しかし『フルートベール駅で』以来つづくライアン・クーグラーとマイケル・B・ジョーダンは、ほかのどのコンビより深い信頼関係を築いているのかもしれません。 重要な役どころを決まった俳優に任せるのは、その演技力を信じているからこそ。また、マイケル・B・ジョーダンは監督デビューを企画中ですが、ライアン・クーグラーの助言とエールがなければ実現しなかったといいます。 カメラの後ろに立つか前に立つか、ともに傑作を作り出してきた彼らには固い絆があるのです。

そんな2人がカムバック 最新作『Wrong Answer』

そんな2人の4度目のコラボレーションが見られるのが、公開待機作『ロング・アンサー(原題)』。 「No Child Left Behind」という規定のテストを使った教育政策をめぐって、奮闘する学校教師の物語で、マイケル・B・ジョーダンは今度も主役に抜擢されているようです。 実話ベースの作品については『フルートベール駅で』で成功体験のある2人。またしても、傑作を誕生させるのでしょうか。未だ制作段階とのことなので続報を待ちましょう。

「誇示するようなことじゃない」というスタンス

彼がこれまで手がけた全ての長編映画で、女性の撮影監督や映像編集者が起用されてきました。 映画界における性差別の撲滅が訴えられているなかで、こうした制作現場はもちろん注目を集めます。しかしながらライアン・クーグラーは、女性を起用することは誇示するような問題じゃないと言ってのけました。 女性と仕事するのは、その人の腕を本当に認めているから。社会問題に取り組んでいることをアピールするためではありません。 彼が絶賛される理由は作品がヒットするからだけではないのです。映画界が待ち望んだ監督像を示しているからこそ、目が離せないのだと思います。

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ライアン・クーグラー作品の魅力

彼の作品に通底するテーマは「黒人差別」なのか。キャリア初期の短編映画を含め、一見してそのように思われることでしょう。 たしかに黒人差別も重要な要素にはなっていますが、それが全てではないところ、それが彼の作品の魅力ではないでしょうか。誰しもが何らかの困難を抱えている、だが誰であれ立ち向かうことはできる。すべての人に向けられたメッセージと抜群の映像センスが合わさって、彼の作品はできています。 興行収入では計り得ない魅力を秘めたライアン・クーグラー。さらなる活躍を期待しながら動向を追い続けたいですね。