2018年10月18日更新

『獣になれない私たち』から読み解く現代の恋愛。"恋に落ちる時に聞こえる鐘"とは?

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 鐘 教会

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晶と恒星は“獣”になれるのか?『獣になれない私たち』が問いかける現代の恋愛

新垣結衣と松田龍平が主演を務める、2018年注目の秋ドラマ『獣になれない私たち』。 「逃げ恥」や『アンナチュラル』で知られる脚本家・野木亜紀子が、「ラブ(かもしれない)ストーリー」をメインテーマに、現代人が知らず知らずのうちに直面している悩みや問題を描いていきます。 第1話放送時には、仕事ができるからと何でも引き受けてしまう主人公の晶に対して「週の半ばに観るには辛すぎる」などの声が上がり、自分と重ねずにはいられない視聴者が続出。 第2話では、晶の恋人・京谷の馴れ初めが明かされるとともに、恋愛について見つめ直したくなるようなセリフが続出しました。この記事では、ドラマの問いかけから現代の恋愛を読み解いていきます。

第2話で明かされる晶と京谷の馴れ初め

さて、第2話では、第1話でなんとなく匂わされた花井京谷と元カノの同居関係の背景と、深海晶との馴れ初めが明かされました。最初は上司と部下として仲が良かっただけでしたが、徐々に2人で食事に行ったり、互いの恋人の愚痴をこぼすほどの深い関係になったようです。 特に、晶が“自分がやらなくても良いことを何故かやってしまっている”断れない気質であることをしっかりと理解していたり、恋人のダメエピソードを共感し合うあたりから、彼らが同じタイプの人間であることがなんとなく分かってきました。 つまり、どちらも互いの目前に広がる障害に対して流されやすく、どちらかが強い決断力を持たない限り、二人の結婚までの道のりが遠いということが揶揄されています。

しかし、晶は京谷に「他の人を好きになりたい」と正直な気持ちを伝えます。それに対して、その場では抱きしめるだけでハッキリと答えることができなかった京谷。 家に帰って“同居人”となった元カノに「出て行ってくれ」と頼みますが、「家に来いと誘ったあなたが悪い。誘われなければ会社もやめなかった」と居直られてしまい、それ以上言及することができませんでした。 優しいけれど、一緒にいて幸せになれなさそうな彼氏。そこから京谷はどのように変わるのか、いや、変わることはあるのでしょうか。

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恋に落ちる時に聴こえる鐘の音を探しにいく2人

 鐘 教会

一方で、今回は根元恒星と晶が、恒星の元カノである橘呉羽(たちばな・くれは)の「恋に落ちる時に聞こえる鐘」を聴きに、聖アンドレ教会を訪れます。この「鐘の音」とは何なのでしょう? まず、この音を聴く人は「恋に落ちる」という表現をする人、つまり簡単に人を好きになれる人だと考えられます。そして音を聴いた橘呉羽は「感情的で直感型」な人、このドラマでは晶たちと対照的である“獣”という立ち位置で描かれています。 そんな“獣”に憧れていながらも、なることができない晶と恒星。実際、彼らは聴こうと試みても聴くことができませんでした。これは、近所迷惑になるために教会の鐘が鳴らされなかったためですが、おそらく今の彼らでは聴こうとしても聴けない音、という意味が込められているのでしょう。 それは、彼らがまだ直感に従えない、言うなれば野生児になりきれない、発達した脳に従う文化人だからです。 実際、晶は京谷と一線を超えた夜に鐘の音を聴いていません。心を開いている上司と流れでデートが重なり、流れで深夜まで話し込んで、電車で帰るつもりだったけれど、流れでキスされた。この一連のシーンは、誰しもが「経験したことある」と思わせるほどリアルな描写でしたが、もしかしたら晶はあの時、いつも通り“流された”のかもしれません。

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恋愛は余裕がある人がするもの?何もない生活に見出したい希望

さて、もう一つ2話で印象的だったのが、どうしようもない新入社員の上野が晶に向かって叫んだ「恋愛は余裕がある人がするもの」という発言。「希望が欲しい」「恋愛は贅沢品です。明日の心配をしているとき、人生に詰んでいるとき、相手のことを考えられますか」と問う上野に、思わず考えさせられます。 確かに、彼のいうことは的を射ているのです。若者の恋愛離れが進む今、その背景にはこういった経済的な不安による「恋愛は贅沢品」思考が広がっていることがありそうです。しかし、そんな上野が発した「希望が欲しい。余裕がない僕には何にもない。活力が欲しい。付き合いたいとかではなく、そういう存在が欲しい」というセリフに、多くの人が刺さったのではないでしょうか。 そう。明日の朝、電車に乗って元気に会社に行くための力が欲しいんです。 そんな現代の新社会人ぐらいの年齢のリアルな叫びと、恋愛をしてきたつもりが直感で動けない不器用な30代の悩みが行き交う『獣になれない私たち』。 来週も、名言続出の可能性が高いですね。見逃せません!