2020年12月17日更新

『がっこうぐらし!』を結末までネタバレ解説!ゾンビパンデミックの真相とは?【最終回ネタバレ】

がっこうぐらし!

女子高校生たちのゆるい日常系作品にみえる『がっこうぐらし!』。実はゾンビから生き延びるために奔走する女子高校生たちの「部活動」を描いた作品です。複数の伏線と謎が散りばめられている本作を、キャラクターを軸にネタバレありで紹介します。

目次

『がっこうぐらし!』を結末までネタバレ解説!【ネタバレ注意】

『がっこうぐらし!』は、原作をニトロプラスの海法紀光(かいほうのりみつ)、作画を千葉サドルが手がけるゾンビものの学園サバイバル漫画です。 女子高生たちの日々を描くゆるい日常系作品を彷彿とさせるかわいらしいイラストが印象的。しかし、読み進めていくとその絵柄とはギャップのあるストーリーが展開されていき、多くの読者を惹きつけています。 壮絶なサバイバルと毎日を必死に生きる女子高校生たちの姿が描かれている本作。漫画以外にも、ストーリーが異なるアニメや実写映画なども話題となりました。それぞれの違いなどにも触れながら、ネタバレありで『がっこうぐらし!』を解説していきます。 ※この記事は2020年12月現在までのネタバレを含みますので、読み進める際は注意してください。またciatr以外の外部サイトでこの記事を開くと、画像や表などが表示されないことがあります。

原作のあらすじを紹介【ゾンビが蔓延する世界で学園生活部はどう生きる?】

高校編

「高校編」は原作コミックス1~5巻に該当する内容で、アニメ化では主にこの「高校編」が描かれました。ストーリーはゆきこと丈槍由紀(たけやゆき)、くるみこと恵飛須沢胡桃(えびすざわくるみ)、りーさんこと若狭悠里(わかさゆうり)らが通う巡ヶ丘学院高等学校を舞台に進んでいきます。 パンデミックによってゾンビが蔓延してしまった状況下で、ゆき、くるみ、りーさんと教師のめぐねえこと佐倉慈(さくらめぐみ)は、「学園生活部」を立ち上げ活動していました。 この部活は学校での避難生活を少しでも前向きに捉えるための工夫でしたが、部員のなかでゆきだけ様子が違っていたのです。

ゆきの目にはパンデミック前の日常風景が見えており、彼女だけが空想のなかで平和な部活動を送っていました。ゆきが話しかけているめぐねえも、実はすでにゾンビに襲われ命を落としていたのです。 物資を求めて「遠足」と称し学校の外に出かけた3人は、新たにみーくんこと直樹美紀(なおきみき)と出会い、彼女も仲間に加わることに。 さらにめぐねえの遺品から「職員用緊急避難マニュアル」が発見され、ゾンビ化は生物兵器によるバイオハザードであること、ワクチンが存在することなどが明らかになるのでした。 避難マニュアルにはバイオハザードとの関連が疑われる施設として大学と企業の名前が1つずつ記されていました。 校舎が生活できない状況になったことで、部員たちは大学に「進学」するか、企業に「就職」するか悩みます。そしてゆきの提案により部員たちは大学を目指すことにしたのでした。

大学編

コミックス6巻以降は「大学編」となっており、避難マニュアルに記載されていた聖イシドロス大学が舞台となります。

大学には生存者が多数残っていて、学生たちは武闘派と穏健派という2つの派閥に分かれていました。穏健派の3人の女子生徒はサークル「自堕落同好会」として活動していましたが、ゆき達とともに行動することでゾンビに立ち向かう決意を固めます。 大学での生活のなかで、ゾンビに襲われたもののワクチンで一命を取り留めていたくるみが再度ゾンビ化したり、噛まれていないのにゾンビになってしまう生徒が出始めたり……。死と隣り合わせの日々のなかで、新たな事実や疑惑に直面し、疲弊していくゆきたち。 バイオハザードが起きているこの世界の真相を求め、ゆきたちは避難マニュアルに記されていたもう1つの地点「ランダルコーポレーション」を目指すことにするのでした――。

学園生活部のメインキャラについて考察を加えながら紹介

学園生活部の4人の部員と顧問について詳しく紹介していきます。それぞれが抱える闇やゆきとの関係など、物語を読み解くうえで重要なそれぞれの人間関係を見ていきましょう。

丈槍由紀(たけやゆき)/ゆき

ゆきは巡ヶ丘学院高校の3年生で、猫耳がついたようなデザインの帽子を愛用している女の子。学園生活部におけるムードメーカーです。ゾンビに取り囲まれているという状況を考えると、異様なほどに明るく天真爛漫で、部活動を楽しんでいる様子が描かれています。

これには理由があり、ゆきは一連のパンデミックとめぐねえの死で幼児退行してしまったという説が濃厚なのです。現実と妄想の区別がつかなくなっており、物語の冒頭では彼女の目から見た平和な学校生活が描かれています。

ゆきはどこまで現実を理解している?制服の色も気になる

いつも明るく元気なゆきの様子は、ときに部員たちを苛立たせます。原作では途中から入部したみーくんが、現実を見ていないゆきに対して正面から反論するシーンも。 しかし、そのときのゆきの言葉を考えると、ゆきはある程度現実をしっかり把握していることが分かります。そのうえで、あえて明るく振る舞っているのです。

「高校編」の終盤では、ゾンビと対峙することで現実と妄想の世界がはっきりと区別されるようになりました。以降、冒頭に登場したような平和な学校生活を見ることはなくなり、ゆきは現実を見つめるようになります。 漫画とアニメでは、ゆきだけが制服の色が違うのです。さらに、やけに勘がいい点などから、ゆきがこの世界の真相に関わる何かを知っているのでは?という憶測も飛んでいました。

恵飛須沢胡桃(えびすざわくるみ)/くるみ

くるみはゆきと同じく3年生の学園生活部部員です。黒髪ツインテールで、サバサバした性格の女の子。元陸上部とあって運動神経は学園生活部でもトップです。

トレードマークのシャベルは、一見すると屋上菜園用にみえますが、実は対ゾンビ用の武器。くるみは運動神経の良さを活かし、部内でもゾンビ撃退を担っているのです。

トレードマークのシャベルに秘められた悲しい思い出

くるみが寝食をともにしているシャベルですが、このシャベルには悲しい過去が詰まっています。

くるみは陸上部時代、同じ部活の先輩に片思いをしていました。ところが、先輩もゾンビ化してしまい、そのとき自分の命を守るために近くにあったシャベルで先輩を殺したのです。それ以来、シャベルを肌身離さず持つようになりました。 ゆきとは親友ですが、物語の前半では現実逃避をするゆきに対して、くるみはどこか腫れ物に触るような態度でした。しかし「大学編」で、ゆきとくるみの絆が再確認できるエピソードが描かれます。 くるみがウイルスの影響で自我を失いかけ、仲間から離れる選択をした際、ゆきは必死の説得をしたのです。ゆきの言葉に奇跡的に人間としての感覚を取り戻し、再び部員として仲間たちとの日々を過ごしています。

若狭悠里(わかさゆうり)/りーさん

りーさんは学園生活部のまとめ役で、みんなのお母さん的なポジションにいる女の子。料理や掃除全般を担当しており、校舎のライフラインの管理などもおこなっています。 天真爛漫なゆきと元気なくるみをニコニコ見守っているような描写が多く、「高校編」ではとくに頼れるお姉さんといった雰囲気のキャラクターです。

「大学編」以降、崩れ始めるりーさんの精神

しっかり者のりーさんも、やはり精神的に参っていることが「大学編」以降、顕著に描かれていきます。

実はりーさんには小学生の妹がいました。大学を目指す途中、りーさんはその事実を思い出します。そして立ち寄った小学校で、るーちゃんという名の少女を助け自分たちに同行させることにしたのです。 るーちゃんという少女を、りーさんは妹のように大切にかわいがります。しかし、後にこのるーちゃんの正体はぬいぐるみであることが判明。りーさんはそんな妄想を見てしまうほどに、精神的に疲弊していたのです。 ゆきが現実を見つめしっかりしていくのに対し、精神が摩耗していくりーさんがとてもショッキングに描かれています。

直樹美紀(なおきみき)/みーくん

みーくんはゆきたちの1学年下の後輩。原作ではゆきたちがショッピングモールに出かけた際に、1人でいるところを発見されて部員に加わることに。 アニメでは、ショッピングモールのシーンが過去の出来事となっており、第1話から学園生活部の部員として登場しています。 ショートカットの女の子で、部ではブレーン担当。頭の回転が早く、先輩であるゆきに勉強を教えることもあります。 当初はゆきの現実逃避と、それを看過している部員に対して難色を示していましたが、ゆきの本音を垣間見たことで次第に部に打ち解けていくようになりました。

孤独の中で味わった親友との別れ

みーくんは部の中で唯一、後から加わった部員です。もともとショッピングモールに親友の祠堂圭(しどうけい)と出かけていたところ、パンデミックに遭遇。そのままモールから出られなくなり、建物の中で生存者グループとともにサバイバル生活を続けていました。

しかし、最終的にみーくんと圭の2人だけが生き残ることに。閉塞感に耐えきれず、圭はみーくんの元を去ってしまいます。その後の安否は原作やアニメでははっきりと描かれていませんが、圭を思わせるシルエットのゾンビが登場しており、みーくんはその姿に涙を流していました。

佐倉慈(さくらめぐみ)/ めぐねえ

めぐねえは学園生活部の顧問を務める国語教師です。生徒たちからはめぐねえと呼ばれているように、お姉さん的な先生として慕われています。大変な状況であっても、笑顔を絶やさず気丈に振る舞い、生徒たちを導こうとする生徒思いの先生です。

冒頭はゆき視点で物語が進むため、めぐねえがそこに存在しているように見えます。しかし、実際は物語開始時にすでにめぐねえはゾンビに襲われた後なのです。 そのため、ゆきたちと会話をしているように見えるめぐねえは、すべてゆきの妄想のなかのめぐねえとなっています。

ゆきにとって大きな存在であるめぐねえ

ゆきの妄想として登場するめぐねえですが、部員たちがピンチに陥ったときには彼女たちを助けています。ゆきに対して、妄想のなかで状況を打開するためのアドバイスを送っているのです。 ゆきの妄想のなかでの会話なので、めぐねえ自身の言葉とは言い切れません。しかし、ゆきにとってそれほどまでにめぐねえが心の支えとなっていることが分かります。

最終巻のあらすじをネタバレ解説!【ゾンビパンデミックの原因は……】

10巻から「ランダル編」に突入し、いよいよクライマックスへ。パンデミックの真相が明らかになっていきます。

ゾンビパンデミックの原因はウイルス感染

「学園生活部」は「サークル合宿」と称し、廃墟となったランダル社を調査します。残されていたデータから、巡ヶ丘土着の最近「Ω(オメガ)」が人間をゾンビ化させていたことが判明。さらに「ランダル保護機構」を名乗る者からのコンタクトがあります。 彼らはゆきたちの救出を約束しますが、ゆきたちが入手した人工知能「ボーモン君」はそれを嘘と判断。最終的に細菌と一緒に処分されると予想した一行は、本社から逃亡することに。 逃亡中の事故により同行していた大学生・青襲椎子(あおそいしいこ)がゾンビ化してしまい、みーくんは彼女を眠らせるのでした。 椎子の遺した遺言から、巡ヶ丘にある沼の水に、ゾンビ化を抑制する成分が含まれているのではないかという説が浮上。 めぐねえがギリギリに自我を取り戻せたことや、くるみが噛まれても発症が抑えられているのも、「学園生活部」が沼の水を利用した災害用浄化設備の水を飲んでいたからだったのです。

母校、巡ヶ丘高校で最終決戦!ドキドキハラハラが止まらない

沼の水にΩへの抗体が含まれるという一筋の希望にたどり着いた「学園生活部」は、巡ヶ丘高校へ向かいます。到着した一行は懐かしい思い出に浸る暇もなく、みーくんが水を探しに行くことに。 無事水を見つけたみーくんでしたが、帰り道に遭遇したゾンビが彼女の親友・圭であることに気が付き、ゾンビ化した圭に噛まれてしまいます。 なんとか水を持ち帰り、水を飲んで発症を抑えるみーくん。彼女は道中、ランダル社の兵士から2日後に核ミサイルが落とされるという情報も得ていました。 りーさんがミサイルを止めるためランダル社に連絡を取ろうと外に出ると、ゆきもその後を追いかけます。足をくじきゾンビに囲まれるゆきでしたが、りーさんが放った「通信機を見つけられなかった」という合図の銃声で窮地を脱出。 しかし希望が潰えてしまい呆然とします。そんなゆきを導いたのはめぐねえたちの幻影でした。声に導かれ通信機を入手したゆきは、屋上でランダル社へ連絡を取り、水のことや自分たちがここにいることを伝えます。 ゆきが「あなたのことを教えてほしい」と伝えると、通信はそこで途切れてしまうのでした。

その後、学園生活部はそれぞれの道へ

ゆきの声はランダル社内の穏健派の心を動かし、ミサイルは止められたのでした。そして最終話では3年後が描かれます。 部員はそれぞれの道を歩き始めており、みーくんはパンデミックの収束した各地を巡り、りーさんは復興指揮の地区リーダーに。車椅子生活となったくるみは、医者を目指して勉強中です。 そしてゆきの姿は、崩壊した母校の校庭にありました。生徒たちから「ゆきねえ」と呼ばれるゆきは、校庭の教壇に立ち子供たちに語りかけます。 「学校は勉強だけじゃない場所。色んな事を分かち合って、悩み事を話し合ってすごいことを考えたり心をつなげていけば。世界だって救えちゃう」と。 先生になったゆきは最後に、「ここまでこれたよ」とめぐねえに語りかけ、物語の幕は閉じます。

『がっこうぐらし!』には漫画・アニメ・実写映画版がある!

『がっこうぐらし!』の漫画版は全12巻で完結しています。 アニメ版は、「高校編」までをアニメ化したものが2015年に放送されました。第1話放送後まで、ホラー要素を一切排除したプロモーションが展開されており、第1話の終盤で突如出てくるホラー要素が大きな話題に。 オリジナル要素もあるものの、原作の海法紀光がシリーズ構成を手がけていることもあり大筋は原作をなぞっています。 2019年1月には実写映画版が公開されました。主演は秋元康プロデュースのユニット・ラストアイドルの4人。 『リアル鬼ごっこ』で知られる柴田一成(しばたいっせい)が監督脚本を手がけています。設定やストーリーの変更点も多く、原作ファンからは賛否両論が巻き起こった作品です。

『がっこうぐらし!』は日常系が好きな人にもホラー好きにもおすすめしたい名作

『がっこうぐらし!』はゾンビ作品でありながら、女子高校生たちが懸命に毎日を生きる日々を描く作品でもあります。 刻一刻と、死がすぐ近くへと忍び寄ってくるなか、ひたむきに生きようとする学園生活部の部員たち。従来のゾンビものとは一線を画する作品として多くの人に楽しんでほしい作品です。