2019年12月25日更新

元旦SP放送『きのう何食べた?』が神ドラマである5つの理由 「何食べ」ロスなあなたへ

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きのう何食べた

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ドラマ『きのう何食べた?』がなぜ爆発的な人気を遂げたのか?その理由を考察

2019年4月クールのテレビ東京深夜枠で放送され、終了後は「何食べ」ロスに陥る人が続出するなど、爆発的な人気を得たドラマ24『きのう何食べた?』。 何気ない食事風景を通して、2LDKで暮らす中年同性カップルの日常と、家族のあり方を模索する様を描いた心温まる作品です。第1話放送時には、「#何食べ」がTwitterの世界トレンド入りを果たし、ドラマ24では久しぶりの平均視聴率3%以上を記録しました。 この記事では、ドラマ『きのう何食べた?』が多くの視聴者の心を掴んだのはなぜなのか、その理由と魅力について考察します。

元旦SPが2020年1月1日放送決定!

テレビ東京は2019~20年年末年始の編成案を発表し、本作の元旦SP『きのう何食べた? 正月スペシャル2020』が、2020年1月1日に放送決定! 気になるストーリーですが、“誰のために時間とお金を使いたいか”をテーマに、3章立てとなるエピソードが展開されるとのこと。1章ではシロさんが両親の老後に悩み、2章では小日向と航、3章では多忙なシロさんとケンジのすれ違いが描かれます。 キャストは主演の西島秀俊と内野聖陽、田中美佐子、山本耕史らレギュラー陣が続投。史朗憧れの女優・三谷まみ役で、宮沢りえの出演が新たに発表されました。

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メインキャスト【シロさんとケンジを演じる名俳優たち】

筧史朗/西島秀俊

“シロさん”こと、筧史朗は上町弁護士事務所に勤務する弁護士。料理が上手で、仕事終わりに安売りスーパーで食材を吟味して夕食を作る倹約家です。職業柄もあるのか、神経質で几帳面な一面も。 演じるのは、「ストロベリーナイト」シリーズや「MOZU」シリーズなど、重厚な作品に多く出演するイケメン俳優・西島秀俊。デビュー間もない頃の出演作にドラマ『あすなろ白書』(1993年)があり、同作でも同性愛者の役を演じていました。

矢吹賢二/内野聖陽

“ケンジ”こと矢吹賢二は史朗と同棲中の恋人で、美容室「フォーム」の美容師です。いつも笑顔で人当たりが良く、女性らしい仕草が混じることもあります。 演じるのは舞台役者としてデビューし、1996年後期の朝ドラ『ふたりっ子』、『ミセスシンデレラ』で知名度を上げた個性派俳優・内野聖陽。2007年放送の大河ドラマ『風林火山』では主演に抜擢され、ドラマ『JIN-仁-』、『ブラックペアン』などの話題作にも出演しました。

『きのう何食べた?』が神ドラマである5つの理由

1.そもそも原作が素晴らしすぎる!

原作は『西洋骨董洋菓子店』、『大奥』のよしながふみによる料理マンガ。青年マンガ誌「モーニング」で2007年から連載中で、既刊は16巻(2019年現在)です。 仕事や家族、友人との出来事や食事風景の中に垣間見える同性パートナーの絆を主に描かれており、そこに流れるあたたかな雰囲気は誰にでも通づる普遍的なもの。主人公たちは子どもを望めないが故に、相手に長生きしてほしいと願い、ともに過ごす食事の時間を大切にします。 誰もが感情移入しやすいテーマであり、『あさイチ』(2014年5月16日放送分)や、『マツコの知らない世界』(2017年1月24日放送分)でも紹介されました。そんな素晴らしい漫画が、飯テロドラマを世に送り出してきたテレ東と組めば、神ドラマにならないはずがありません。

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2.“これ以上ない”キャスティング

原作は10年以上続く長期連載のため、読者の中ではすでにキャライメージが出来ており、キャスティングが難しい作品だったと思われます。 主演に選ばれた西島と内野は、深夜ドラマから大河ドラマまで引っ張りだこの演技派で、実力とルックスを兼ね備えたベテラン俳優。どちらもシリアスな役のイメージがあるだけに、ほんわかとした雰囲気は新鮮で、新境地を開拓したと言えるのではないでしょうか。 ルックスの再現度はもちろん、同性カップルの心の機微、少しずつ変化する2人の関係を見事に表現し、「奇跡のキャスティング」と話題に!共演キャストも豪華で、山本耕史などの実力派から磯村勇斗ら注目の若手俳優まで揃えられており、原作ファンも文句なしでした。

3.作って食べてみたくなる料理の数々

『きのう何食べた?』は原作でもドラマでも、シロさんが作るその日の献立が重要となっており、エピソードと密接に関わるのが特徴。 特別な材料も、調理法も使用しませんが、シロさんの健康への気遣いと美味しく食べてほしい、という思いが詰まった飯テロ料理なのです。調理シーンでは食材の選び方や調理の手順、調味料を代用する一工夫などなど……レシピ本のように解説されます。 いかに洗い物を少なくするか、手際よく料理を完成させるか、シロさんのこだわりやタメになる情報が盛りだくさんでした。真似してみたいと思った時に、身近で買えるもので作って食べることができる料理の数々が、視聴者との距離を近くしたのかもしれません。

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4.心温まる日常に見え隠れするゲイカップルの悩み

主人公たちがアラフィフという点も斬新で、時間の経過があるため彼らのには年齢、将来というものが重くのしかかるのです。 ゲイだと公表していないシロさんとケンジの対比、シロさんの両親の同性愛への理解度といった、ゲイならではの問題がリアルでした。とは言え、それだけが全てではなく、年老いてゆく親族や周囲の人びととの関わりなど、誰もが直面する問題を描いています。 血縁や社会的繋がりがあっても、誰かと一つの関係を作り上げるのは難しいのに、それが壊れる時は驚くほどあっけないもの。それでも家族や恋人になり、関係を続けようとする登場人物の姿は、性別を超え視聴者の心を掴んだのではないでしょうか。

5.原作を上手くドラマの演出に落とし込んだ脚本家・安達奈緒子の手腕

『きのう何食べた?』の脚本を担当したのは、「コード・ブルー」シリーズ、『透明なゆりかご』などを手がけた安達奈緒子です。原作に忠実でありつつ、各エピソードを組み替えることで登場人物の心情をわかりやすくし、ドラマとしての面白さを魅せていました。 特に反響が多かった最終話は、シロさんがケンジを連れてお正月に帰省する話。ケンジの「俺、ここで死んでもいい」という、涙ながらのセリフが印象的でした。 その後日談として、シロさんがケンジに連れられ可愛らしい雰囲気のカフェに行く話が描かれますが、原作では数話後のエピソードです。他人の目を気にしていたシロさんの心境の変化を最後に描くことで、第1話からの繋がりをも表現した、見事なラストではないでしょうか。

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『きのう何食べた?』は人生における大切なことを教えてくれる神ドラマ

2018年以降、「おっさんずラブ」、「女子的生活」などセクシャル・マイノリティーを主人公にしたドラマが増加し、世間の関心が高まってきました。 『きのう何食べた?』は食事という、当たり前だけれど大切な行為を通して、愛する人と時間を共有できることの喜びを描いた新しい形のドラマでした。誰もが共感出来るテーマ、素晴らしい原作とキャストの再現度の高さ、脚本家の手腕など様々な要素が奇跡的にかみ合って、本作は神ドラマになったと言えるでしょう。 時の流れと共に事情や関係が変わっても、変わらず共に在りたいと思うことの尊さを、「何食べ」は思い出させてくれたのかもしれません。