映画「スラムダンク」の声優はなぜ交代した?新旧比較してみた
バスケ漫画の金字塔『SLAM DUNK』の新作劇場版として2022年12月に公開され、大きな話題になった『THE FIRST SLAM DUNK』。 この記事では、本作の主要キャラとなる湘北メンバー5人の新旧声優について徹底紹介!新作ではいったい誰が、どのキャラを演じているのか。そして、旧アニメ版からどうして声優が変わってしまったのか。気になるポイントをしっかり解説していきたいと思います。 ※ciatr以外の外部サイトでこの記事を開くと、画像や表などが表示されないことがあります。
「スラムダンク」新旧声優を一覧比較
桜木花道 | 旧:草尾毅(57) 新:木村昴(32) |
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流川楓 | 旧:緑川光(54) 新:神尾晋一郎(40) |
赤木剛憲 | 旧:梁田清之(57歳没) 新:三宅健太(45) |
三井寿 | 旧:置鮎龍太郎(53) 新:笠間淳(38) |
宮城リョータ | 旧:塩屋翼(64) 新:仲村宗悟(34) |
TVアニメ版「スラムダンク」は1993年から1996年にかけて放送されました。映画「スラムダンク」が公開される2022年の実に29年も前に放送されていた作品です。 旧アニメ版の声優陣は、放送当時に20代後半だったキャストがほとんど。メインキャラを複数経験し、若手から中堅へとシフトしつつある段階の声優が多い印象です。 新声優陣は最年少の木村昴が32歳と、旧アニメ放送時よりもベテラン感のある布陣となっています。
なぜ交代したのか?その理由を考察
TVアニメ版の馴染みが深い本作ですが、なぜ声優の変更がおこなわれたのでしょうか。その理由として語られているのが、旧声優陣の高齢化です。アニメ放送から約30年が経った今、主要キャストのほとんどが50歳以上となっています。声の変化などを考慮し、変更が検討された可能性も0ではないでしょう。 また、アニメ版で赤木役を担当していた梁田清之が2022年に逝去していることも関係あるのではと囁かれています。ただ、映画版の制作開始タイミングは梁田が存命中の2014年です。このことを考えると、声優交代の理由は別にあると推測できます。 こういった状況の中、変更の1番の要因と言われているのが原作者である井上雄彦の意向です。井上は『THE FIRST SLAM DUNK』に監督・脚本として関わっており、過去のインタビューでは「この映画を誇張表現をあまり使わないナチュラルなものにしたい」という旨の発言をしていました。 そして、過去のイメージを刷新したナチュラルな映画を作るためには、アニメ版の声優に「かつて育てられたキャラクターをいったん捨ててもらわないといけない」とも語っていたのです。ただ、担当声優たちに尊敬の念を感じていた井上は「それはできない」と考えていた様子。 その結果、導き出された答えが「声優の交代」だったようです。この交代劇の裏には、作者の並々ならぬ熱意と旧声優陣へのリスペクトが隠されていたのです。
【桜木花道】旧:草尾毅/新:木村昴
旧:草尾毅
草尾毅(くさおたけし)は1980年代から活躍する声優です。『鎧伝サムライトルーパー』では、熱血系の烈火のリョウを演じ、メインキャラを演じた声優によるユニット「NG5」が大ブレイク。 「ドラゴンボール」シリーズではトランクス役を担当。幼少期・青年期・フュージョン時を演じ分けており、『ドラゴンボール超』では23年ぶりに未来トランクスを当時と変わらぬ声で演じていました。 花道役は自身で聞き返しても声が若いと感じるそう。彼は本来はもう少しクール寄りな声質のため、花道のテンションで苦労したという話は有名です。
新:木村昴
木村昴(きむらすばる)はオペラ歌手の父と声楽家の母という音楽一家で育った声優。7歳までドイツで過ごし、日本に来てからは子役としてキャリアをスタートさせました。 小学生時代からものまねでテレビ出演するなど多才で、中学生時代に『ドラえもん』のジャイアン役に抜擢されて一躍有名に。そこから6年間、声優としては同役のみを担当していましたが『輪るピングドラム』をきっかけに声優として幅を広げていきます。 「ヒプノシスマイク」の山田一郎役や『呪術廻戦』の藤堂葵役のほか、『おはスタ』メインMCも担当中です。
【流川楓】旧:緑川光/新:神尾晋一郎
旧:緑川光
グリリバの愛称で親しまれている緑川光(みどりかわひかる)。流川楓役や『新機動戦記ガンダムW』のヒイロ・ユイ役など、クールで淡々とした2枚目キャラが続き、人気声優の仲間入りを果たした人物です。 彼は変声期がなく、それゆえ男らしい声からかわいい声まで幅広い声色を操ります。新作で発表されるアプリに高校生やアイドル、幼い美少年キャラでキャスティングされていることもしょっちゅうです。 「スラダン」では多くの女性視聴者を「ドアホ」で骨抜きに。セリフが少なかったので、陵南の副主将・池上も緑川が演じていました。
新:神尾晋一郎
神尾晋一郎(かみおしんいちろう)は大学院卒業後に企業務めをするものの、そこでの経験から声優を目指した遅咲きの声優です。2012年から声優事務所に所属、翌年にアニメデビューを果たします。 『あんさんぶるスターズ!』の鬼龍紅郎役や「ヒプノシスマイク」の毒島メイソン理鶯役などが有名。低めの声が耳に心地よい、低音系イケボの持ち主。持ちキャラも低い声を生かしたキャラが多くなっています。 また彼は劇団丸福ボンバーズにも所属していて俳優としても活動中。プロのマジシャンの顔も持っている多才な人物です。
【宮城リョータ】旧:塩屋翼/新:仲村宗悟
旧:塩屋翼
塩屋翼(しおやよく)は子役時代から活躍するベテランで、アニメ『海のトリトン』の主人公トリトン役で8歳にして主演デビューを果たしています。 80年代から90年代をメインに活躍。「科学忍者隊ガッチャマン」シリーズのつばくろの甚平役や『きんぎょ注意報! 』の北田秀一役などが有名です。2000年代以降は講師や音響監督としても活躍しています。 クセのない声質が持ち味で名脇役として知られる声優の1人。名言の多いリョータ役では爽やかな演技を披露しました。
新:仲村宗悟
しゅごんこと仲村宗悟(なかむらしゅうご)は、新キャスト5人のなかで木村の次に若い声優です。沖縄から上京後、アプリ『アイドルマスター SideM』天道輝役を射止め26歳で声優デビューを果たしました。2019年に歌手デビューを果たし、もともとのミュージシャンになるという夢を叶えます。 「ツキプロ」シリーズQUELLの久我壱星役や『刀剣乱舞』北谷菜切役などが有名。アニメでは『厨病激発ボーイ』高嶋智樹役や『ブルーロック』我牙丸吟役などがあります。沖縄出身の彼らしい、包容力があって爽やかで優しい声が魅力です。
【三井寿】旧:置鮎龍太郎/新:笠間淳
旧:置鮎龍太郎
置鮎龍太郎(おきあゆりゅうたろう)は美形キャラに定評のあるベテラン声優の1人。アニメデビューを果たした1990年からコンスタントにアニメに出演し続け、総出演本数では男性声優界でも上位に食い込んでいます。 低音美形キャラでは『テニスの王子様』の手塚国光役や『BLEACH』の朽木白哉役などを担当。どちらも20年近く変わらぬ声で演じ続けています。一方で『地獄先生ぬ~べ~』の鵺野鳴介役など、3枚目もいける変幻自在な演技が特徴です。 三井役では不良からの熱血への切り替えを、その幅広い芝居で好演していました。
新:笠間淳
笠間淳(かさまじゅん)はもともと新聞社に就職していましたが、夢が諦めきれず声優を目指したという人物。念願の夢を叶えて2013年に『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』にて声優デビューを果たします。 『アイドルマスター SideM』葛之葉雨彦役や『あんさんぶるスターズ‼︎』HiMERU役などが有名。『ハイキュー!!』では尾白アラン役、『ガンダムビルドダイバーズ』のクジョウ・キョウヤ役も演じています。 「スラダン」でバスケを始め、三井に憧れシューターを目指したという笠間の三井に期待したいですね。
【赤木剛憲】旧:梁田清之/新:三宅健太
旧:梁田清之
梁田清之(やなだきよゆき)は低く渋い声を生かした芝居が魅力の声優。2022年11月に急逝したことが明らかとなりました。 1990年代から精力的に活動しており、『鎧伝サムライトルーパー』鬼魔将朱天役や『絶対無敵ライジンオー』篠田俊太郎役、『名探偵コナン』のアンドレ・キャメル役などが有名。2022年も『名探偵コナン ゼロの日常』にてキャメル役を演じていました。 渋く力強い声が持ち味で、特撮では数多くの敵組織のボスキャラも演じています。高校生だけどおじさんに間違われがちな赤木の渋さは梁田ならではの芝居でした。
新:三宅健太
新キャストで1番のベテランが三宅健太(みやけけんた)です。声優デビューは1999年。かなり低いバリトンボイスの持ち主で、キャリア初期からよく大柄なキャラを演じています。 『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』のスカー役や『僕のヒーローアカデミア』のオールマイト役などが有名。「ジョジョ」好きを公言しており『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』ではオーディションの末、モハメド・アヴドゥル役を射止めました。 これまでの持ち役の傾向から、ゴリ役も想像しやすい声優です。
その他キャラの声優一覧
木暮公延 | 旧:田中秀幸 新:岩崎諒太 |
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安田靖春 | 旧:小野坂昌也 新:阿座上洋平 |
潮崎哲士 | 旧:林延年 新:櫻井トオル |
角田悟 | 旧:里内信夫 新:遠藤大智 |
桑田登紀 | 旧:森川智之 新:村田太志 |
石井健太郎 | 旧:林延年 新:堀井茶渡 |
佐々岡智 | 旧:里内信夫(第22話) , 幸野善之(第30話以降) 新:星野佑典 |
安西光義 | 旧:西村知道 新:宝亀克寿 |
赤木晴子 | 旧:平松晶子 新:坂本真綾 |
彩子 | 旧:原えり子 新:瀬戸麻沙美 |
水戸洋平 | 旧:森川智之 新:小林親弘 |
高宮望 | 旧:塩屋浩三 新:こばたけまさふみ |
野間忠一郎 | 旧:幹本雄之 新:松田健一郎 |
大楠雄二 | 旧:林延年 新:福西勝也 |
堀田徳男 | 旧:大塚芳忠 新:稲田徹 |
井上雄彦の表現したい「スラダン」を観る?観ない?
興行収入150億円を突破し、第46回日本アカデミー賞では最優秀アニメーション作品賞にも選ばれた『THE FIRST SLAM DUNK』。 声優陣の交代に当初は不安の声も囁かれていましたが、蓋を開ければファンからの評価も非常に高く、2024年8月には復活上映も予定されています。これを機に、井上雄彦が新たに作り上げたこだわりの「スラムダンク」を改めて楽しんでみてはいかがでしょうか!