「スラムダンク」山王戦を解説！映画で描かれる？泣ける名シーンや勝敗まとめ

「スラムダンク」の山王戦は、作者・井上雄彦が「山王戦より面白い試合は描けない」と語ったほどの名試合です。しかしテレビアニメ版は、残念ながら山王戦前で放送終了。 そのため2022年12月公開の映画では、「山王戦が描かれるのでは？」とファンからの期待が高まっていました。そして実際に公開された本編では、なんと誰もが待ち望んだ山王戦が！ この記事では、そんな山王戦の映画化を祝して概要や名シーンを紹介していきます！

山王戦とは、広島インターハイの2回戦で行われた湘北高校vs山王工業高校の試合のこと。コミックスで試合内容が描かれたのは山王戦までであるため、「スラムダンク」におけるラストゲームとなっています。 主人公・桜木花道が所属する湘北(しょうほく)高校が、インターハイの2回戦で対戦したのが山王(さんのう)工業高校。山王はインターハイを3連覇中の超強豪校であり、雑誌記者から「過去最強の山王」と言われたほどのメンバーを揃えています。 一方の湘北は、過去2年間県予選の1回戦で敗退していた無名校です。名選手の復帰や1年生の桜木・流川の急成長により、強豪に引けを取らない実力を有していますが、誰も湘北の勝利に期待していませんでした。

山王戦は、前半湘北の2点リードで折り返し。その後後半で山王に逆転され大差をつけられますが、湘北は不屈の闘志で追い上げを見せました。

漫画「スラムダンク」は単行本・完全版・新装版の3つのバージョンが出版されています。単行本では、25巻から31巻までが山王戦にあたります。

実は山王戦は「スラムダンク」史上最も長く描かれた試合なのです！

湘北の奇襲から幕を開けた山王戦ですが、湘北は山王のゾーンプレスに苦しめられます。伝家の宝刀と言われる山王のゾーンプレス(フルコートプレスディフェンス)は、湘北に得点の機会を全く与えません。 山王のエース・沢北の超高校級のプレーもあり、後半の試合時間4分20秒が経過した時点で20点差……。 絶望的なムードの中、安西監督から指示を受けた桜木花道は、積極的にリバウンドボールの奪取を試みます。 さらに沢北に苦しめられていた流川楓もパスの才能を開花させ、徐々に点差を詰めることに成功します。湘北の反撃が始まりました。

宮城リョータと流川のゲームメイク、三井寿の高精度の3ポイントシュート。そして赤木剛憲の献身的なプレーと、桜木のリバウンドにより、湘北は点差を8点まで縮めます。初めて湘北というチームが完成した瞬間でもありました。 しかしコート外へ飛ぶボールを追った桜木は、机に背中を強打してしまいます。出場は続けたものの、背中の違和感は徐々に強い痛みへと変わっていきました。 緩むことのない王者・山王の激しいゾーンプレスもあり、試合は手に汗握る接戦となっていきます。

安西監督にベンチへ下げられた桜木ですが、「ダンコたる決意」ができたと言い、ケガを押してコートへ。体を張った桜木のプレーは湘北のメンバーに火を付け、体力の限界を越えて得点を重ねていきます。 残り時間24秒で湘北は遂に逆転、会場は大歓声に包まれました。 しかし残り時間10秒で、山王が再度逆転します。時間がない中、シュート体勢に入った流川の視界の隅には、「左手はそえるだけ」とつぶやく桜木の姿が。 流川から綺麗なパスが通り、桜木のシュートがネットを揺らします。最終スコア79対78で、湘北は王者・山王に勝利しました。

名セリフ・名シーンばかりの山王戦。全ては紹介しきれませんが、今回は3つだけピックアップさせてもらいます！

桜木がバスケットを始めるきっかけになった、ヒロイン・晴子の「バスケットはお好きですか？」という質問。背中の痛みで意識がもうろうとする中、桜木は春子に心からの言葉を伝えます。 桜木の人としての、そしてバスケットマンとしての成長が伝わってくる言葉ですよね！「スラムダンク」を見続けてきた人にとって、本当に感慨深い名セリフだと思います。

ゴリこと赤木剛憲がタイムアウト中に思った言葉です。湘北には本気でインターハイを目指す選手が少なく、赤木と木暮公延が2人でバスケ部を支えてきました。 しかし今では頼りになる仲間が加入し、全員が勝つことしか考えていません。 逆境の中でも努力を続けてきた赤木と小暮。彼らの辛さが報われたような気がして、試合が終わってもいないのにウルっときてしまいます。

試合終了の数秒前、絶好のポジションで「左手はそえるだけ…」とつぶやく桜木に、流川はパスを出します。パスを受けた桜木は、見事にシュートを決めました。試合終了後、2人は無言で近づきハイタッチします。 作品を通していがみ合っていた2人が、最後には実力を認め合いタッチを交わす。2ページを使って力を入れて描かれたハイタッチは、ここだけ見ても泣けるというファンも多い名シーンです！

「過去最強の山王」と言われ、現役で活躍するOBをも圧倒する山王メンバー。選手層も厚く、湘北戦では7人が出場しました。 「最強のセンター」と呼ばれる河田は、身長・パワー・技術全てがトップレベルで、赤木に我を忘れさせました。またキャプテン・深津のパスセンスとディフェンス力により、宮城は苦しむこととなります。 そして「高校No.1プレイヤー」である沢北の異次元のプレーは、湘北に敗北の2文字を意識させ続けました。また三井の3ポイント対策として、「スッポンディフェンス」の異名を持つ一之倉が出場しています。

山王高校のモデルとなったのは、秋田県立能代工業高校です。インターハイを3連覇している山王高校ですが、モデルとなった能代高校はそれを超える記録を打ち立てています。 それはインターハイ・国体・高校選抜の3冠を、3年連続で達成するという大記録です。その中核を担った田臥勇太選手は、日本人初のNBAプレイヤーとなりました。田臥選手が沢北のモデルであると言われています。

山王戦の湘北メンバーは、赤木・三井・宮城・流川・桜木の5人です。 「ゴール下のキングコング」と呼ばれるセンター・赤木と、復帰した天才シューター・三井は3年生です。高いスピードと技術を持つガードの宮城は2年生。そして天性の攻撃センスを持つ流川と、バスケ初心者ながら高い運動能力で貢献する桜木は、1年生での出場となっています。 この5人は、映画版のティザービジュアルで円陣を組んでいる5人と同じです。そのため、「やはり映画では山王戦が描かれるのでは？」と期待されています。

山王戦に勝利した湘北ですが、次の試合が漫画で描かれることはありませんでした。「ウソのようにボロ負けした」という文章のみで、湘北のインターハイは終わります。 インターハイの後、背中の治療に専念する桜木の元へ、春子から近況報告の手紙が届きます。 そこには赤木・小暮がバスケ部を引退したこと、三井は残ること、そして宮城が新キャプテンとなったことが書かれていました。また春子はバスケ部のマネージャーを始め、流川は全日本合宿に召集されていました。 辛いリハビリに戻る桜木が「天才ですから」と言い残し、物語は終了します。 ジャンプでの連載終了時は「第一部完」と書かれていたため、続編を期待するファンが多かったのも印象的ですね。

「スラムダンク」のテレビアニメ版は、1993年から1996年まで放送されました。ストーリーの流れは、アニメ版と原作コミックとで大きな違いはありません。 しかしアニメ版の制作時、原作コミックでは山王戦が始まる前であったため、アニメ版に山王戦は含まれていません。インターハイへの出場が決定し、広島への新幹線に乗り込んだシーンでアニメ版は終了します。 山王戦もアニメ化してほしいという声が長年続いているため、2022年秋の映画版に期待が高まりますね！

漫画「スラムダンク」は、電子書籍化されていません。そのため無料公開しているサービスや、無料ポイントを使って読む方法など、残念ながらない状態です。 「スラムダンク」が電子書籍化されない理由として、作者・井上雄彦が出版を拒んでいるという説があります。「紙媒体でないと「スラムダンク」や『バガボンド』の迫力は伝わらない」という、作者としての熱い思いではないかという推測です。 残念ではありますが、「スラムダンク」や『バガボンド』を読んだことがある人は、理解できる感覚ではないでしょうか。

この記事では、「スラムダンク」における伝説の試合・山王戦についてまとめました。 まだアニメ化されていない山王戦は、長年にわたって映像化を切望されていました。2022年12月に公開される映画で観られるため、ぜひ劇場に足を運びましょう！