2023年3月29日更新

【感想評価】『シン・仮面ライダー』にがっかり?元ネタを知らない人がもっと楽しむ方法とは

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庵野秀明の色が全開だと話題の『シン・仮面ライダー』(2023)。原作を踏襲している作品として高評価の声がある反面、様々な理由から「がっかりした」という声もあがっています。 この記事では批判的な感想があがった理由とともに『シン・仮面ライダー』をより楽しめる方法を伝授します!

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『シン・仮面ライダー』感想・評価まとめ

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庵野秀明監督が好きな作品と公言する仮面ライダーだけあって原作ファンの喜ぶポイントがおさえられています。その上でエヴァでもテーマとなっている「自分の内面との戦い」もうまく融合されていました。特撮原作の映画らしく次々と新たなオーグが出てきては倒されていくテンポの良さも好きでした。

(30代男性)

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クモオーグの戦闘はまだ我慢できたけど空中での戦闘シーンがとにかくチープすぎる!またプラーナとかハビタット世界とか専門用語が多くていちいち頭を使わせてくる感じも好きではなかったです。あとは謎のグロさ。序盤からショッカーの血流シーンが出て面食らいました。原作は知らずに見ましたが、私は苦手な作品でした。

(20代女性)

庵野監督作品らしい原作への愛を感じる作品でした。ただ今まで庵野作品に触れたことがない方や今までの「シン」シリーズが苦手な方には厳しい内容だったかもしれません。 また仮面ライダー=子供向けという印象から血流シーンへの驚きもあったようですが、こちらは原作のダークさやシリアスな雰囲気に寄せられていて評価出来るポイントだと感じられました。

がっかり?否定的な評判の理由

以下では、『シン・仮面ライダー』ががっかりと言われる理由ともっと映画を楽しむ方法を提案していきます。いまいちハマり切らなかったあなたも、これを読めば映画が10倍楽しめるはず!

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①SHOCKERの組織が謎すぎる

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SHOCKERの仕組みが最後までよくわからなかった!パリハライズとかプラーナとか用語も多かったし、ボスが人工知能?っていう設定も複雑……

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カメレオンのオーグがどこからきたのかもわからない(死神派?)し、なんでバッタオーグが量産されてるのかもわからない!そしてチョウオーグはなんでラスト仮面ライダーを名乗ったの??

原作のショッカーの目的は「世界征服」でしたが、本作では「幸福を追求する組織」に変更してしまったことで理解が難しくなったという声がありました。 ショッカーサイドを描くスピンオフ漫画で組織内部の派閥争いやオーグたちの過去が描かれましたが、読んでいない人には理解が追いつかなかったようです。 『シン・ゴジラ』(2016)で東日本大震災を連想させたように宗教問題に踏み込みたかったのでは、という声も。ショッカーの目的に加え難解な専門用語によって視聴しながら内容を整理する必要性が生まれています。

こうすればもっと面白い!

SHOCKERの組織内の勢力図や各オーグの背景は、すべてショッカーサイドのスピンオフ漫画「真の安らぎはこの世になく」で明らかになっていました。 ストーリーはチョウオーグ/緑川イチローを主人公とした映画前日譚ですが、イチローとの関わりを通じて父親やケイ、クモやサソリの人生も少しずつ明かされていきます。 クモオーグがどのように自我を失ったのか、サソリオーグはどんな人物なのか、組織内の派閥はどうなっているのかといった疑問はこの漫画を読めば解決します。以下の記事でも簡単にネタバレ解説しているのでよければチェックしてください。 >プラーナなど用語解説はこちら >原作漫画のネタバレ解説はこちら

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クモは親友を自殺に追い込んだ罪悪感を背負って生きてたんだ……そう思ってみると泣ける!肉弾戦もどんどんかっこよく見えてくる

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死神派ってあの死神博士のことだったのね!映画にも登場して欲しかった〜

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②コアな特撮ネタが多すぎる

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これいる?みたいなテンポを崩す展開が多いなと思ったら全部マニア向けのコアな小ネタだった。わからん!ファンへの挑戦状はせめてストーリーに自然な範囲で入れて〜

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初代TVシリーズの『仮面ライダー』は見てたけど、漫画とか小説は知らない!ただの仮面ライダー世代のおじさんには理解が追いつかず……楽しみきれませんでした

本作には無数の特撮ネタが散りばめられており「シン」シリーズで一番ファン向け映画になっているという批判がありました。例えば最後に明かされる立花と滝は特撮で登場した仮面ライダーの補佐役だったという点や死んだら泡になる設定、原作のセリフも複数再現されています。 さらには本郷猛の骨折は藤岡弘の骨折によって2号誕生のきっかけになったというオマージュ、第2号の傷跡は萬画のネタなど細かいオマージュが無数にありました。

こうすればもっと面白い!

本作をもっと楽しみたい方はまず原作萬画やTVシリーズを観るに限ります。特撮TVシリーズは特に13話までの第1シーズンを見返せば色々と小ネタを発見できるでしょう! 後半の展開は萬画版に似ているので、ラストの展開がよくわからなかった人は萬画『仮面ライダー』を読むと良いでしょう。 ちなみにこれら以外にも、短編小説の『二人ライダー・秘話』や特撮シリーズ『ロボット刑事』、『キカイダー01』や『人造人間キカイダー』、『イナズマン』も映画の小ネタの元になっているので観てみるとより理解が深まるはず。詳しくは以下を参考にしてください。 >ラストシーンの元ネタ考察はこちら >小ネタ・オマージュ集はこちら

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③アクションシーンがチープすぎる

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そういえば庵野さんは実写「キューティーハニー」の監督だったと思い出してしまう安っぽいアクションシーンが……これは好み分かれますね。僕は笑っちゃいました

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後半の戦闘シーン暗すぎじゃない!?庵野監督は少年時代に電波が悪い中で見た仮面ライダーのかっこよさを表現したくてよく見えない戦闘シーンを作ったらしいけど、正直わたしはもっとよく見たかった……

特にガッカリポイントとして挙げられていたのがハチオーグとの戦闘シーン。空中戦はコマ数を落として漫画(アニメ)+実写のようなシーンを作り出していますがチープと感じた方もいたようです。 また大量発生型相変異バッタオーグとのトンネルでの戦いはチープなCGと暗すぎる画面で何をやっていたかわからないといった感想もありました。

こうすればもっと面白い!

アクションシーンには仮面ライダーの成長や時代の変遷が描き出されているのではないかという考察もあります。 初戦は「バッタオーグ」、クモオーグ戦は「昭和ライダー」、コウモリオーグ戦は「平成ライダー」、ハチオーグは「アニメと実写の融合」、ショッカーライダー戦は「令和ライダー」というように、徐々に時代が進んでいっているのです。 そして最後、チョウオーグ/第0号戦では再度昭和ライダーの雰囲気に戻り、昭和ならではのカッコ良さが改めて描かれました。 シリーズを昔から振り返って見比べてみると、エモーショナルな感情になれるかもしれません。アニメと実写の融合のアクションは、庵野秀明監督の実写映画『CUTIE HONEY キューティーハニー』も一緒に見てみると興味深いはずです。

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『シン・仮面ライダー』は1回じゃ絶対に楽しみきれない!

『シン・仮面ライダー』はこれまでの多くの庵野作品と同じように、1回ではとても楽しみ尽くせないスルメ映画です。またよほどの特撮オタクでなければ、元ネタをすべて理解しきることも難しいでしょう。 たくさんの考察記事や解説記事、動画などを見て、元ネタとなる過去シリーズを履修してからまた観に行くことで、映画はどんどん面白くなっていくはず。劇場で買えるパンフレットも情報補完にかなりおすすめです。 庵野秀明監督から過去作への愛を試されていると思って、よく研究して何度でも劇場に足を運びましょう! SHOCKER公式アプリでは鑑賞回数に応じた特典があるなど、映画の宣伝側も複数回の視聴を推奨しているようです。

『シン・仮面ライダー』あなたの感想・評価は?

SNSでさまざまな感想が飛び交っている『シン・仮面ライダー』。あなたはどのように感じましたか。 1度観たあとでも原作やスピンオフを予習してから再度観ると違った感想が生まれるという点ではスルメ映画と言えるのかもしれません。まだ観ていない方は映画館で庵野劇場を堪能してみてはいかがでしょうか。