2023年9月20日更新

実写『リトル・マーメイド』がひどいと批判炎上しているのはなぜ?ディズニーの黒人起用・ポリコレについて考える

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実写『リトル・マーメイド』がひどいと批判炎上している理由は?

原作のイメージと違いすぎて受け入れられない

アリエルの外見の特徴といえば「白い肌と真っ赤なロングヘアー」。 しかし、ハリー・ベイリーが演じるアリエルは「黒い肌と茶髪のドレッドヘアー」と原作とは異なる外見であったため「原作と違いすぎる……」「これは私の知ってるアリエルではない!」といった声が一部原作ファンから上がっています。 ついには「#NotMyAriel」(私のアリエルではない)といったSNSのタグまで生まれてしまいました。アリエルがプリンセスの中でもファンが非常に多いキャラクターということもあり、ハリー・ベイリー本人への批判というよりは「アリエルのイメージを守ってほしかった」と感じたファンが批判している状況なのです。 >実際に映画を観た人の感想・評価は?

アリエルが白人から黒人になっている

「原作アニメの白人キャラクターを黒人にした理由が分からない」といったディズニー全体のポリコレ意識も批判の的となっています。 本作だけでなく実写版『ピノキオ』(2022)でブルー・フェアリー役にシンシア・エリヴォ、『ピーター・パン&ウェンディ』(2023)のティンカー・ベル役にヤラ・シャヒディなど実写化で白人キャラクターを黒人俳優が演じる作品が増えてきました。 2024年からアカデミー賞で「主要キャストにアジア人や黒人」を起用する基準が設けられるなど映画界全体でのポリコレ意識の変革があり、ディズニー作品もその例外ではありません。 >実際のアリエルの演技・歌声はどう評価された?

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フランダーがリアルな魚すぎて可愛くない

実写版フランダーが登場するのは予告編の19秒から。丸っこい可愛らしさが魅力のアニメと違って、本物の魚になってしまいました……。 『ライオン・キング』(2019)や『アラジン』(2019)のアブーが動物だったことから当然ではあるものの、ファンからは「生々しい」と言った声が上がっています。 >実写版フランダーを見た人の感想は?

セバスチャンがあまりにもカニすぎる

実写版セバスチャンの登場は予告編の49秒から。こちらはロブスター寄りの見た目だったアニメと違って完全にカニの姿になりました。 実はアニメでもセバスチャンは「トリニダード生まれの赤蟹」と公式から発表されています。ロブスターだと思っていた方も多いのではないでしょうか。 >実写版セバスチャンを見た人の感想は?

実写『リトル・マーメイド』を観た人の評価・感想

リトル・マーメイド
©Disney
リトル・マーメイド』の総合評価
3.5 / 2人のレビュー
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30代女性

ハリー・ベイリーの歌声が美しすぎて、何度も聴いてる「パート・オブ・ユア・ワールド」でも泣いてしまった。この歌声を映画館に聴きに行くだけでも、お金を払って観に行く価値はあると思う。

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20代男性

アニメ版にあまり思い入れがないため、ハリー・ベイリーのアリエルはそんなに違和感はなかった。アースラも実写ならではの怖さが良い。物語は基本的にはアニメ版を踏襲していて、現代風にアップデートもされている感じ。

物議をかもしていたハリー・ベイリーのアリエル役については、アニメ版に思い入れがない人にはすんなり受け入れられているようです。やはり彼女の歌声が素晴らしいという声が多く、字幕版が観たいという人もいます。 とはいえ、アースラがアリエルの記憶を改ざんしたり、エリック王子が王家の出身でなかったりと、追加の設定が気になるという意見も。それでもアースラとトリトン王の見た目は完璧!という評価もあります。 ただアニメでは可愛いキャラであるセバスチャンとフランダーがリアルすぎる……という感想は覆りませんでした。

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本当はクロエ・モレッツの予定だった?降板疑惑を検証

本作が発表される以前の2015年、ディズニー主導とは別で豪華キャスト・スタッフによる『リトル・マーメイド』の制作が発表されていたのをご存知ですか? その『リトル・マーメイド』は、当初アンデルセン童話『人魚姫』を原作にユニバーサル・ピクチャーズ製作、クロエ・グレース・モレッツ主演で企画が進んでいました。 元々はソフィア・コッポラが監督する予定でしたが、製作側と意見が食い違い白紙に。そこで白羽の矢が立ったのが新進気鋭の若手女性映画監督レベッカ・トーマスで、クロエとは意気投合していたとか。 『キックアス』でヒット・ガールを演じたクロエ・モレッツは可憐で純情さも兼ね備えており、アリエル役にぴったり!と多くのファンが期待。しかし2016年9月、クロエが突如女優業休業を発表し、結局クロエ・モレッツの実写アリエルは実現しませんでした。

ディズニーのポリコレ意識について考える

既存のプリンセスに黒人が起用される必要性

ディズニーの実写版リメイクでは、原作の女性蔑視・差別的な表現が変更や削除されています。そしてスクリーン内だけでなくキャスティング面でも肌の色ではなく、演技力や歌唱力などがキャラクターに合うかを重視しはじめました。 本作が発表された直後、海外の黒人の子供達が「アリエルが黒人だ」と喜ぶ姿がSNSに複数アップされています。新たなプリンセスではなく、人気のあるディズニープリンセスが自分と同じ黒人であることが、子供達のエールや喜びに繋がっているのです。 「プリンセス=白人」が当然の時代から意識が変わり、ディズニーは新たな価値観を当たり前にしようとしているのかもしれません。

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ディズニープリンセスの素質は肌の色ではなくハート

実写版の監督を務めるロブ・マーシャル監督はインタビューで「アリエルは自分なりの考えを持っていて、恐れがない女性です。ハリーにも『自分の望み通りになる』と信じているような純粋さがあります」と起用した理由を語りました。 そしてディズニー公式でも「プリンセスたちは見せてくれる。勇気と優しさを持ち続ければ、運命さえも変えられることを」とプリンセス達を紹介しています。 つまり監督もディズニーもアリエルを定義しているのは、肌や髪の色ではなく「夢に向かって努力する気持ちや自由で諦めない姿勢」といった内面にあると語っています。そもそも「外見が違う」という不満自体が間違いともいえるのです。

実写アリエル役のハリー・ベイリーに期待できる理由

ビヨンセのお墨付き!ハリー・ベイリーの歌声

アリエル役に抜擢されたハリー・ベイリーといえば「圧倒的な歌唱力」が大きな魅力。姉のクロエとYouTubeにビヨンセのカバー動画を上げ、本人からオファーを受けてビヨンセのレーベルからデビューを果たしたのです。 2018年以降、グラミー賞に5回ノミネートされるほど歌手として大活躍しています。 予告でも素晴らしい歌声を聴くことができ、アリエルの歌唱シーンが多い本作で抜群の歌唱力を披露してくれるハズです。

監督が太鼓判を押すプリンセスとしての器

ロブ・マーシャル監督は、キャスティングに関して「信じられないほど強く、情熱的で、美しく、賢く、利口」な人物を求めていたといい、ハリーが適任だったと語りました。 そして彼女の演技力に関しても「アリエルのようにハリーもたくさんのことを望んでいることがわかる。それが全身からあふれ出ている」とアリエルとハリーの内面が似ていると称賛しています。

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実写『リトル・マーメイド』のあらすじ

公開日 2023年6月9日
キャスト ハリー・ベイリー , ジョナ・ハウアー=キング , ダビード・ディグス , オークワフィナ , ジェイコブ・トレンブレイ , ハビエル・バルデム , メリッサ・マッカーシー

実写版『リトル・マーメイド』のストーリーは人間界に憧れを持つ人魚・アリエルが溺れるエリック王子を助けたことから始まります。アリエルは恋に落ち、王子もまた彼女の美声に魅せられました。 アリエルは海の魔女アースラと「美声と引き換えに人間の姿に変える」契約を結んでしまいます。しかしアースラはアリエルの父・トリトンの姉であり、弟に恨みを持っていたのです。そうとも知らずアースラと契約してしまったアリエルの運命、そして恋の行方は果たして……。

アニメ版と実写映画の違いは?

実写版がアニメ版と大きく違うのは、「共存」と「多様性」というテーマを前面に押し出していること。トリトン王の娘たちは7つの海から生まれた多様な人種であり、エリック王子が住む島国にも多様な人種が暮らしています。また最後には、人魚と人間の共存にもスポットが当てられました。 加えてエリック王子の出生と養母である女王の存在、そして彼の他文化への好奇心を示すコレクション部屋はアニメ版にはないものです。エリック王子のキャラクター造形を深くすることで、アリエルとの共通点「見知らぬ文化への憧れ」を見せて自然に惹かれ合う流れを作り出しました。 曲目ではエリック王子の歌や声を失った後のアリエルの歌が追加されており、スカットルをオークワフィナが演じているためか歌がラップ調になっていたり、サウンドトラックも聴きごたえがあります。

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『リトル・マーメイド』の原作をネタバレ復習

原作童話『人魚姫』のあらすじ

『人魚姫』は1836年にデンマークの童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンによって執筆された童話。 水難事故に遭った人間の王子を助け、恋してしまった人魚姫。海の魔女のもとへ向かい、声を預ける代わりに人間の姿を手に入れます。しかし王子と結ばれることはなく、人魚姫は海の泡となって消えてしまうのでした。

ディズニーアニメ『リトル・マーメイド』のあらすじ

『リトル・マーメイド』
©2023 Disney

ディズニーアニメ『リトル・マーメイド』は、海を治めるトリトン王の末娘で人間の世界に憧れる人魚姫アリエルが主人公。 アリエルはいつの日か人間の世界に行きたいと強く心で願っており、ある日溺れかけたエリック王子を救って一目ぼれします。またエリック王子も、わずかに覚えているアリエルの面影と可憐な歌声に魅了されていました。 人魚と人間、決して結ばれない間柄の2人ですが、アリエルは海の魔女アースラの呪文で自分の美しい声と引き換えに人間の姿を手に入れます。しかし声を出せないアリエルにエリックは気付きません。 ようやく、あの日救ってくれた美しい歌声を持つ少女だと知ったエリックは、アリエルや海を守るために魔女アースラと戦います。そしてアースラに打ち勝った2人は、晴れて結ばれるのでした。

実写『リトル・マーメイド』の監督はロブ・マーシャル

監督を務めるのは、『パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉』や『メリー・ポピンズ リターンズ』などの実写ディズニー作品も手がけてきたロブ・マーシャル。脚本は同じく『メリー・ポピンズ リターンズ』を手がけたデビッド・マギーが担当しています。 ロブ・マーシャルはアメリカの映画監督で、元々はブロードウェイの舞台振付師として活動していた舞台出身の人物。代表作にミュージカル映画『シカゴ』や『NINE』があります。『NINE』では振付も担当しました。 脚本を務めているデビッド・マギーは、ジョニー・デップ主演の『ネバーランド』やアン・リー監督の『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』で知られるアメリカの脚本家。『ネバーランド』ではアカデミー賞脚色賞にノミネートされました。

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実写『リトル・マーメイド』は本当にひどいのか?歴史を変える作品かも

実写映画『リトル・マーメイド』は2023年6月9日から日本公開スタート!アニメ版が名作すぎる故に、実写版は常に高いハードルが課せられてきましたが、ハリー・ベイリーの歌声を筆頭に公開後の評価は上々です。 アリエル役のキャスティングが物議を醸しましたが、主要キャストには国際色豊かな俳優陣が集結している“多様性に富んだ”本作。かつてない斬新な作品として、ディズニー実写映画の歴史を変えることになるかもしれません。

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