2026年2月26日更新

【ネタバレ】映画『宝島』原作から沖縄の背景やガスマスクの送り主を考察!オンちゃんの最後の言葉の意味は?

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映画『宝島』作品概要

タイトル 『宝島』
公開日 2025年9月19日
上映時間 191分
監督 大友啓史
キャスト 妻夫木聡 , 広瀬すず , 窪田正孝 , 永山瑛太

映画『宝島』のあらすじ【ネタバレなし】

映画『宝島』
©真藤順丈/講談社 ©2025「宝島」製作委員会

舞台は1952年、アメリカの統治下におかれた沖縄。困窮する島民たちを救うため、米軍基地を襲撃して物資を奪う「戦果アギヤー」と呼ばれる若者たちが密かに活躍していました。 絶対的リーダーのオン(永山瑛太)を中心に、「戦果アギヤー」として活躍していたグスク(妻夫木聡)、レイ(窪田正孝)、ヤマコ(広瀬すず)の若者4人組は、大きな戦果を挙げるため嘉手納基地への襲撃を決意します。 しかし襲撃は失敗に終わり、逃走の最中にオンが行方不明に。その時オンは「予定外の戦果」を持ち出していて……?

【ネタバレ】映画『宝島』をラストまであらすじ解説

宝島
©真藤順丈/講談社 ©2025「宝島」製作委員会

英雄オンの消失と残された3人の旅立ち

1952年の沖縄はまだ戦争の傷跡も生々しく、人々はただ日々を生きるだけで精一杯でした。当時アメリカの統治下にあり、米軍基地は島民にとって戦争を象徴する忌まわしき存在。そんな沖縄で、米軍基地から物資を盗み出して市井に配る「戦果アギヤー」と呼ばれる若者たちがいました。 リーダーのオンは親友のグスクと弟のレイとともに戦果アギヤーとして活躍し、恋人のヤマコも彼らを見守っていました。町の英雄となっていたオンは次の襲撃に大勝負をかけますが、米軍に見つかり失敗。オンもそのまま行方不明になってしまいます。

抑圧される沖縄とすれ違う三者三様の執念

その6年後、オンの手がかりを探そうとグスクは刑事に、襲撃時に捕まったレイは刑務所から出所してヤクザに、ヤマコはオンとの約束を守り教師になっていました。グスクは管轄内で起きる事件に度々米軍が関与してくることに憤りを隠せません。そんな時、米軍高官のアーヴィンから米軍のスパイにならないかと勧誘され、オンの情報を掴むため承諾します。 オンが消えた襲撃で一緒だった謝花ジョーを訪ねたグスクは、オンがその晩「予定外の戦果」を手に入れたと聞きます。その頃、覆面集団が米兵を襲撃する事件が多発する一方、ヤマコが勤める小学校に米軍機が墜落爆発する事故も勃発。多くの子どもたちが犠牲になり、成す術もなくヤマコは慟哭するのでした。 生きる意思すらなくしかけていたヤマコ。そんな彼女を励まそうとしたのは、花売りの孤児ウタでした。

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コザ暴動の狂乱

度重なる米軍絡みの理不尽な事件に島民の怒りは爆発寸前。2年後の1972年に沖縄が本土返還されることが決まりますが、米軍基地は残されることに。島民の間に基地反対のデモ活動が広がり、ヤマコも参加するようになります。 覆面集団の背後にオンがいるのではと疑う米軍から距離を置くグスク、覆面集団の仲間になるレイ。オンに関わる重要な情報を掴んだレイはヤマコに会いに行きますが、彼女を求めるも拒まれ、仲たがいしたまま別れてしまいます。 そんな中、酔った米兵が主婦をひき殺す事件が起こり、デモ活動はさらに過熱。さらにコザでも交通事故が起き、犯人を逃がすまいと町中に人が集まって暴動に発展します。人々の波に押されながらも、グスクはその熱量に雄叫びを上げるのでした。 その場に居合わせ再会したグスク、ヤマコ、レイ、そしてウタ。グスクはレイが暴動の波を縫って基地へ向かう姿を目にします。

【結末】「予定外の戦果」の真実とは

米軍基地内で毒ガスを撒くつもりだったレイは、阻止しようとするグスクともみ合うことに。そこへヤマコとウタも来て米軍と相対しますが、ウタが撃たれてしまいます。ウタは重症でしたが、病院ではなくある島へ行ってほしいと懇願され、彼が生まれ育ったという洞窟へ向かいました。 その奥には骨になった遺体があり、グスクたちは残されていた服の切れ端でそれがオンだと気付きました。そしてオンがあの晩、逃げる途中で基地内で出産した妊婦と出会ったこと、そこで生まれたのがウタであり、オンが守っていたことを知ります。ウタは米軍高官の子であり、そのスキャンダルを隠蔽するために諜報員が動いていたのです。 オンが持ち帰ったという「予定外の戦果」とは、ウタのことだったのでした。しかしウタはオンの隣で命尽きてしましました。 すべてを知ったグスクたちは、やるせない気も気を抱えながらオンとウタの海辺で合同葬儀を行います。遥か彼方の水平線を見つめるオンが優しく彼らを見つめていました。

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【ネタバレ考察】映画『宝島』最後のオンちゃんの言葉の意味は?

宝島
©真藤順丈/講談社 ©2025「宝島」製作委員会

映画の最後、葬儀の時にオンが現れ「さあ、起きらんね。そろそろほんとうに生きるときがきた」とグスクたちに声をかけます。このセリフは原作小説ではプロローグで語られる、戦果を挙げた後に語った若き日のオンの言葉でした。グスクたちはこの言葉をこの時に思い返していたのかもしれません。 この言葉は、戦後の過酷な状況下での沖縄で生き抜いてきた人々への力強い呼びかけのように感じられます。映画も原作同様に沖縄語である「うちなーぐち」で語られているのは、沖縄の人々にしっかり届くように描きたかった想いもあったのではないでしょうか。

【ネタバレ考察】映画『宝島』のわかりにくい点を小説の内容から読み解く

小説『宝島』では背景描写がわかりやすい

映画は原作小説のうちなーぐちを忠実に表現していましたが、耳慣れていない分、聞き取ることが難しいというのが難点でした。しかし小説では時代背景とともにうちなーぐちが文字として表されているためわかりやすい印象です。

そもそも戦果アギヤーとは

この物語の軸となる「戦果アギヤー」とは、戦後の沖縄で実在した人々で、米軍基地に忍び込んで食料品などの物資を盗み出し、島民に配っていた若者たちのこと。いわゆる「義賊」といえますが、その定義が小説ではわかりやすく説明されていました。 言葉自体の意味は島の言葉で「戦果をあげる者」というもの。政治家よりもスポーツ選手よりも尊敬される「地元にとって代えのきかない存在」であり、オンはその中でも先頭を走る大器と表現されています。

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悪石島にオンが連れ去られてた経緯

オンは基地襲撃の晩、基地内で出産して絶命した妊婦からウタを預かり、基地を逃げ出しました。しかしその後、謝花ジョーにウタともども「悪石島」へ連れて行かれていたのです。ジョーは密貿易団「クブラ」の一員であり、クブラは悪石島を中継地点として武器や人身売買を行う与那国島の密貿易団でした。 オンはウタを守るために悪石島で労働をさせられており、密貿易団を摘発するために米軍が空襲してきた際に致命傷となるケガを負っていたのです。それでも何とか故郷の島までたどり着いていました。

飛行機墜落事故のヤマコの心境が小説だとわかりやすい

小学校の米軍機墜落事故の場面は映画でも重要なシーンとして描かれており、慟哭するヤマコの姿が痛々しく映し出されていました。映画ではヤマコを演じる広瀬すずの演技で彼女の心情を表現していましたが、小説ではそれがどんな心境だったかが詳しく書かれています。 それまではどこかでオンが生きているのではないかとわずかな願望を抱いていたヤマコ。しかしこの絶望的な事故で子どもたちが成す術もなく死んでいく姿を目の当たりにし、英雄オンはもう“いない”という事実を思い知る様が描かれていました。

オンに諜報員はこだわったのはウタの父親の罪を隠すため

ウタの母親は女給で、父親の正体は米軍司令部の高官でした。もしもこの事実が明るみに出れば、米軍高官が現地の女性を妊娠させて見捨て、さらにその女性が基地に侵入して私生児を産んだという大スキャンダルになります。 米軍にとっては致命的なスキャンダルであるため、諜報員はウタを基地から連れ去ったオンの行方を突き止めようとし、この秘密を闇に葬ろうとしていたのです。オンの行方を捜していたグスクも目を付けられていました。

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ガスマスクに添えられた手紙は誰が書いた?

基地反対運動が過熱する中、ある時から島民に配られる物資の中にガスマスクが入るようになっていました。それは後にレイが毒ガスを基地内でばら撒く計画に繋がっているのですが、そこに添えられていた手紙がまるでオンからのようで、オンの生存説を再浮上させるものに。 しかし実は、その手紙はウタが書いていたことが後々わかります。ヤマコをはじめレイやグスクに気にかけられ可愛がられていたウタが、気持ちが離れていく3人を「オンはまだどこかで生きている」という希望で結び留めておこうとしていたのです。

【原作】小説と映画『宝島』の違いは?

宝島
©真藤順丈/講談社 ©2025「宝島」製作委員会

オンちゃんをグスクやレイが無邪気に追いかける幼少期

原作小説は戦果を挙げた後にオンたちが開いていた宴から始まっていますが、映画では初めに幼い日の4人の姿が描かれています。路地でオンをグスクやレイが無邪気に追いかけるシーンは、彼らがオンの何に惹かれてずっと追いかけ続けてきたのかを描き出す効果がありました。 一方小説ではすでに戦果アギヤーとして活躍しているオンを憧れと尊敬の眼差しで見つめている3人の姿が瑞々しく描かれ、そこから物語が始まっていきます。

語り手が映画ではグスク

原作小説では物語全体の語り口が「われら」と呼ばれる沖縄の語り部(ユンター)たちであり、三人称で記されています。一方映画の方は主人公がグスクになっており、彼の一人称で物語を語っていました。 小説ではカッコ書きでユンターたちの感想や考え方などが入っており、それが島人たちの思いを代弁しているようでもあり、文章のアクセントに。映画はグスクが語り手になっているため、彼の視点から見た物語としての印象が強くなっています。

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【モデル】映画『宝島』のモデルは実話?

映画『宝島』
©真藤順丈/講談社 ©2025「宝島」製作委員会

『宝島』は1950年代から70年代の沖縄が舞台であり、米統治下の戦後から沖縄返還までの激動の20年が背景となっています。そのため政治家からヤクザまで実在の人物も登場し、実際の米軍機墜落事故や「コザ暴動」など史実も盛り込まれているのです。 「戦果を上げる者」という意味を持つ沖縄の言葉「戦果アギヤー」と呼ばれた人々も実在しており、小説『宝島』は彼らを主人公に据えてフィクションとして描いています。

【キャスト】映画『宝島』俳優・登場人物解説

グスク役/妻夫木聡

妻夫木聡
©ホリプロ

米軍基地に忍び込み物資を盗む「戦果アギヤー」として活躍していた青年。グループのリーダーであるオンの親友で、行方不明になった彼の捜査をするため刑事になります。ヤマコに惹かれていましたが、子どもを授かり職場の婦警と結婚しました。 親友の行方を追い続ける刑事・グスクを演じるのは、俳優の妻夫木聡です。主な出演作品には本作と同じコザ市を舞台にした映画『涙そうそう』(2006年)や、『悪人』(2011年)、『ある男』(2023年)などがあります。

ヤマコ役/広瀬すず

広瀬すず

オンをリーダーとする4人組の1人で、彼の恋人でもあった少女。オンの帰りを待ち続け、教師になります。グスクやレイから好意を寄せられるも、2人のことは仲間としてしか見れないようです。 本作のヒロインであるヤマコを演じているのは、話題作への出演が絶えない広瀬すずです。2025年には既に『ゆきてかへらぬ』、『片思い世界』といった映画の主演を務め、同年9月には主演映画『遠い山なみの光』の公開も控えています。

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レイ役/窪田正孝

窪田正孝

「戦果アギヤー」として活躍していた1人であり、オンの実の弟。襲撃の際にアメリカ兵に捕まり、刑務所で3年を過ごしました。出所後は地元の不良集団とつるみ、テロリストとして危険な仕事を請け負うようになります。 英雄の弟でありながらテロリストになり果てた青年・レイを演じるのは窪田正孝です。近年の出演作品には『悪い夏』(2025年)や『ラストマイル』(2024年)、『スイート・マイホーム』(2023年)などがあります。

オン役/永山瑛太

瑛太

グスクたち3人を取りまとめるグループのリーダー。「戦果アギヤー」の活動で様々な伝説を作り、島の英雄と称えられていました。しかし嘉手納基地に忍び込んだ夜にアメリカ兵に追われ、基地から「予定外の戦果」を持ち出したまま行方不明になってしまいました。 島1番の「戦果アギヤー」である英雄・オンを、「まほろ駅前狂騒曲」シリーズや「のだめカンタービレ」シリーズなどで知られる俳優・永山瑛太が演じます。

映画『宝島』の監督は大友啓史

大友啓史

映画『宝島』のメガホンを取ったのは、「るろうに剣心」シリーズやで知られる大友啓史です。原作ファンでもある大友は、本作の映像化にあたり準備期間に長い年月を費やしたことを明かしています。 また「この冒険に集まってくれた俳優・スタッフたちと力を合わせ、多くの人に希望と勇気を感じていただけるような作品を粘り強く作りあげたい。」コメントしました。 これまでの監督作品にはほかに『3月のライオン』(2017)や、『億男』(2018)、『レジェンド&バタフライ』(2023)などがあります。

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【原作】小説『宝島』とは?

『宝島』

映画『宝島』は、真藤順丈の同名小説を原作にした作品です。 終戦後アメリカの統治下におかれた沖縄を舞台にした小説『宝島』は、2018年に刊行され、第160回直木三十五賞を受賞。その他にも第9回山田風太郎賞、第5回沖縄書店大賞などを受賞し注目を集めました。 作者は第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞作『地図男』で、デビューを果たした真藤順丈。著書にはほかに『東京ヴァンパイア・ファイナンス』や『RANK』、『墓頭』などがあります。

『宝島』の感想・評価

『宝島』の総合評価
4.5 / 2人のレビュー
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20代女性

オンちゃんが命がけで守ったウタも結局デモで死んじゃったし、なんだかすごい虚しさが残ったけど、最後のウタ手紙で救われました。グスクもレイもヤマコも、それぞれ別の人生を歩み始めたけど、どうか幸せであってほしい。

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40代男性

恥ずかしながら戦果アギヤーの存在を始め、色々と知らない史実が沢山出てきて勉強になりました。ただただ生き延びるため、命を懸ける男たちの熱量たるや。完全に圧倒されましたね。オンちゃんは正真正銘の英雄だ。

【原作】小説『宝島』を結末までネタバレ解説

嘉手納基地に忍び込むオンたち

「戦果アギヤー」として活動していた幼なじみの4人組、オン、グスク、レイ、ヤマコ。オンとグスクは親友、レイはオンの弟、ヤマコはオンの恋人でした。 さらに大きな戦果を挙げるために、他の戦果アギヤーと共闘して嘉手納基地への襲撃を計画。しかし襲撃は失敗し、レイは米兵に捕まり、オンは逃走中に行方不明になり、グスクは命からがら外で待っていたヤマコのもとへ戻りました。 何年経ってもオンの消息はつかめないまま。レイは刑務所で服役しており、グスクは自首してまでもオンの情報をつかもうとしていました。グスクはレイと刑務所で再会し、そこで共闘した戦果アギヤーから、あの日オンが「予定外の戦果」を持ち帰ったことを聞きます。

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オンの行方を探す一行とウタとの出会い

3人はオンの行方を探し続けていましたが、出所したレイはテロリストに、グスクは情報を得るために警察官に、ヤマコは教師になり、それぞれ別々の道を歩み始めていました。そんな中、ヤマコは街にあふれる浮浪児の1人、ウタと出会います。 ウタは外国人の血を引いており、そのため周りから邪魔者扱いされている様子。それでもヤマコには懐いていました。 1965年、沖縄返還を掲げていた佐藤栄作が沖縄を訪問。沖縄は依然としてアメリカの支配下にあり、米軍によるひき逃げや婦女暴行、飛行機事故など基地問題が多発していました。さらにベトナム戦争での北爆を嘉手納基地から行っていたこともあり、反戦や反基地を掲げてデモも活発化します。

ウタを襲った悲劇とは

街の治安が乱れ、人々の不満が限界に達し、ついに嘉手納基地へのデモ行進が始まります。その頃、米軍が沖縄に毒ガス部隊を配置しようとしているという噂が広まって人々を不安に陥れていましたが、レイはデモの混乱に乗じて基地に毒ガステロを仕掛けようとします。 一方、街のゴロツキの使い走りのようなことをしていたウタも嘉手納基地へのデモ行進に参加。グスクはレイの計画を知って止めようと基地へ向かいますが、2人とも米軍に見つかってしまいます。逃げ込んだ先は、かつてオンと基地を襲撃した日に迷い込んだ「ウタキ」という神聖な森でした。 仲間の助けによって基地から無事に脱出した2人でしたが、デモに参加していたウタは命を落としていました。

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オンちゃんの戦果の真実とは

ウタとは浅からぬ繫がりがあったレイ、グスク、ヤマコ。3人は亡くなったウタの人生に想いを馳せ、ウタが幼い頃に住んでいたという洞窟を訪ねます。 3人はそこで白骨化した遺体を発見。これまでに集めてきた情報から、その遺体がオンのものであり、ウタは彼に助けられた赤ん坊だったことを突き止めます。 実はあの日、オンは生まれてすぐ基地の森に捨てられた赤ん坊を見つけ、満身創痍になりながらも連れ帰ってきていました。これがオンが持ち帰った「予定外の戦果」だったのです。 そしてケガが原因で動けなくなってしまったオンは、洞窟の中で命を落としてしまいます。真実を知った3人はオンの偉大さを改めて実感すると同時に、強く生きていこうと誓うのでした。

映画『宝島』を最後までネタバレ解説!原作を読むともっと面白い

映画『宝島』
©真藤順丈/講談社 ©2025「宝島」製作委員会

戦後の沖縄を舞台に、ただひたすらに生きようともがいた若者たちの姿を映し出した映画『宝島』。混沌とした時代を必死に駆け抜けた彼らの圧倒的な熱量を、ぜひ原作小説とともに体感してみてください!