2017年2月23日更新 325,235view

映画『沈黙-サイレンス-』あらすじ・キャスト・感想評価【ネタバレあり】

マーティン・スコセッシ監督の次回作である遠藤周作原作の『沈黙-サイレンス-』が2017年1月21日に全国公開されます。日本の俳優が多数出演することでも話題を集める本作のあらすじからキャスト、ネタバレや作品解説まで徹底的にまとめます。

遠藤周作の『沈黙』がハリウッドで映画化

数々の傑作を生み出してきたマーティン・スコセッシ監督が満を持して取りかかる作品が、遠藤周作原作の『沈黙』です。

“人間の弱さ”を描く待ちに待った大作が、2017年1月21日に全国公開されることが決定しました。

世界有数の映画オタクであるマーティン・スコセッシは敬虔なカトリック教徒であることが知られており、幼い頃は映画監督ではなく司祭になりたかったのだとか。

そんな彼が映画化を決めた「沈黙」はキリスト教文学の中でも傑作と名高い純文学で、世界的にも不朽の名作として愛されています。

近年の作品ではそれほどスコセッシ自身の宗教観が投影された作品が印象的ではないのですが、過去にはイエス・キリストを主人公とした「最後の誘惑」という作品もありました。

『沈黙-サイレンス-』のあらすじ


ポルトガル人の宣教師ロドリゴは日本に渡って布教活動をしていた師と仰ぐ宣教師が棄教したという知らせを受け、日本へと向かうことになります。

途中で出会った日本人・キチジローの案内で長崎に着港します。江戸時代初期のキリシタン弾圧が厳しい状況の日本で、ロドリゴは自身の信仰心と対峙していくことに…。

日本版本予告編が公開

公開された予告編では、荒んだ村で一人佇むロドリゴの後ろ姿から始まります。

日本に上陸したポルトガル人宣教師を日本の村人が出迎え、宣教師が村人に藁で作った十字架を手渡し、布教している様子がわかります。役人に見つからないようにひっそりと小さな小屋の中でキリシタンたちが祈るシーンなどが映されています。

しかし、次々と隠れキリシタンが役人によって摘発され、海辺の十字架に磔に。藁に包まれたまま海へ投げ入れられるなど、激しい拷問を受けるキリシタンに救いが見えない状況にロドリゴは苦悩します。宣教師である彼も、苦しい状況においてなお沈黙を続ける神に疑問を持ちはじめる表情がうかがえます。

予告編では、日本人キャストの窪塚洋介、浅野忠信、イッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈の姿も見ることができます。

窪塚洋介、小松菜奈らがハリウッドデビュー!

この『沈黙』に、日本人俳優の窪塚洋介が出演することが明らかになりました。窪塚洋介氏の公式Twitterにて明かしています。

[告知]
数年に及ぶオーディションを勝ち抜きまして、
ハリウッド映画に初出演となり、
年初から台湾にいますた。
監督はマーティン・スコセッシ御大です。
作品は遠藤周作さんの「沈黙」です。
光栄にもキチジローという大役授かりまして、
役者冥利に尽きまくる日々を過ごしてます。
引用:twitter.com

また、若手女優である小松菜奈が出演することも明らかとなっています。

さらに、加瀬亮が出演することも明らかとなっています。窪塚洋介、小松菜奈はこの作品でハリウッド映画デビューとなります。

本作に出演する他多くの日本人俳優を紹介していきます!

映画『沈黙』の日本人が演じる重要な登場人物

キチジロー/窪塚洋介

『沈黙-サイレンス-』 窪塚洋介

(c) 2016 FM Films, LLC. All Rights Reserved.

窪塚が演じるキチジローは、マカオで出会った宣教師ロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)らを長崎へ導く存在。日本に到着した後も、苦悩の中で強く信念を貫こうとするロドリゴの対となるかの如く、人間の弱さを抱えた隠れキリシタンとして描かれているようです。

スコセッシ監督は、

キチジローは物語の鍵を握る重要なキャラクター
引用:news.aol.jp

とコメントしています。窪塚は自身が演じるキャラクターについて以下のように語っています。

キチジローは笑って怒って泣いて拗ねて……と人間くさいキャラクター。懐の深い作品だなと思えたので、そんな作品の中で人の弱さを象徴するような役をやらせていただいて光栄です
引用:natalie.mu

「キチジロー」の独特のキャラクターを「善悪のわからないまま成長した人間」と捉え演じたという窪塚洋介。そしてその「キチジロー」はマーティン監督も「本物のキチジローがそこにいた」と大絶賛するくらいの高評価で、窪塚はとても喜んだそうです。

通辞/浅野忠信

『沈黙-サイレンス-』浅野忠信

(c) 2016 FM Films, LLC. All Rights Reserved.

ロドリゴ神父の信念に自身の合理的な理論で対抗し、折り合いをつけろと棄教を迫る通辞役を浅野忠信が演じました。ロドリゴと通辞の対話のシーンは本作最大のみどころの一つでしょう。彼の流暢な英語にも注目です!

はじめはキチジロー役を志望しており、その役のオーディションに参加していたという浅野。そこでスコセッシ監督は通辞役に推薦。見事しっくりとくるキャスティングに仕上がったようです。

浅野は自身が参加する本作の原作について以下のようにコメントし、自分が作品に関われる喜びを伝えました。

原作は自分が信じてるものを否定されることの苦しさが客観的に描かれているのがすごい。僕には理解できないような深い苦しみや、信じるがゆえに生まれた喜びがあったんだろうなと感じました。とても複雑な話だと思いました
引用:natalie.mu

キリシタンの村人/小松菜奈

キリシタンの村人役には新進気鋭の若手女優、小松菜奈が起用されています。

小松菜奈は2008年にモデルデビュー。2014年に『渇き。』で女優デビュー、『近キョリ恋愛』、『バクマン。』など着実に実績を積み、2016年『溺れるナイフ』で初主演を果たしました。また今作がハリウッドデビューになります。

キリシタンの村人/加瀬亮

もう一人キリシタンの村人役として演技派俳優、加瀬亮が起用されました。

加瀬亮は、浅野忠信の付き人として俳優のイロハを学んだ後、映画の製作スタッフとして活動をつづけながら、俳優としても2000年『五条霊戦記』で映画デビューを果たしています。

その後、日本映画のみならず、ハリウッド作品にも活躍の場を広げています。

ハリウッドからは最強俳優陣が出演!

主演はアメスパでおなじみアンドリュー・ガーフィールド


アンドリュー・ガーフィールドはイギリスの俳優で、1983年に生まれました。舞台俳優としてデビューし、各賞を受賞するほどの活躍をしています。映画デビューは2007年の『大いなる陰謀』。同年には『BOY A』で英国アカデミー賞テレビ部門主演男優賞を獲得し、その地位を確固たるものにしました。

『アメイジング・スパイダーマン』に出演したのは2012年で、続編の『アメイジング・スパイダーマン2』でも同様に主役を張りました。

『96時間』で知られる最強パパ、リーアム・ニーソンも!

『沈黙-サイレンス-』リーアム・ニーソン

(c) 2016 FM Films, LLC. All Rights Reserved.

イエズス会の神学者、クリストヴァン・フェレイラ役にはリーアム・ニーソンが起用されました。『96時間』(2008年)の最強パパ、ブライアン・ミルズ役で有名な俳優です。

ニーソンは1952年生まれ。1981年にデビューし、1991年の『シンドラーのリスト』ではアカデミー主演男優賞にノミネートされた経験を持ちます。『96時間』以外では『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999年)のクワイ=ガン・ジンや『バットマン・ビギンズ』(2005年)のラーズ・アル・グール役も有名です。

アダム・ドライバーは宣教師ガルペに


ロドリゴとともに日本へ渡る宣教師ガルペ役にはアダム・ドライバーが起用されています。2015年に公開された『スター・ウォーズ フォースの覚醒』ではカイロ・レン役に抜擢されました。

2009年にテレビドラマで俳優デビューを果たすと、2011年には『J・エドガー』で映画デビュー。スターウォーズのほかに、『リンカーン』などにも出演しています。

『沈黙-サイレンス-』その他のキャスト

ヴァリニャーノ院長/キーラン・ハインズ


マカオの教会の神父、布教学院のヴァリニャーノ院長役はキーラン・ハインズが務めます。

キーラン・ハインズは北アイルランド・ベルファスト出身の俳優で、主な出演作には『ジョン・カーター』や『ハリーポッターと死の秘宝 PART2』があります。

モキチ/塚本晋也


強い信仰を持つキリシタン、モキチ役には塚本晋也が起用されています。

塚本は『鉄男』『双生児-GEMINI-』など監督としても活躍しており、海外でも高く評価されています。また俳優としては2016年に公開された『シン・ゴジラ』にも出演しています。

イチゾウ/笈田ヨシ


同じくキリシタンのイチゾウ役に笈田ヨシが出演します。

笈田ヨシはフランスのパリ在住の舞台俳優であり演出家として活躍しています。また本作の他に『ピーター・グリーナウェイの枕草子』『TAXi2』など多数の海外映画に出演しています。

井上筑後守/イッセー尾形

キリシタンを制圧する井上筑後守役にはイッセー尾形が起用されています。

隠れキリシタンからは残酷で厳しいキリシタン弾圧政策を進めている役人として恐れられるキャラクターです。残忍な性格に反して、口調や態度では穏やかに迫るという腹黒い人物。ロドリゴに棄教するように詰め寄ります。

イッセー尾形は一人芝居のスタイルを確立した一人芝居の第一人者として有名で、過去の出演作には『男はつらいよ』、『トニー滝谷』、『太陽』、『先生と迷い猫』などがあります。

彼の演技は高い評価を受け、LA映画批評家協会賞の助演男優賞次点に輝きました。

監督のスコセッシは、イッセー尾形演じる

井上のキャラクターはオーディション時にすでにできあがっていた
引用:natalie.mu

と語り、撮影本番では

扇子さばき、ハエをピシャリと打つ動作、口の中の埃、彼が意気消沈する瞬間。私たちは皆、お互いに顔を見合わせて『OK』と言ったんだ
引用:natalie.mu

と、イッセー尾形の演技を絶賛。また、主演のアンドリュー・ガーフィールドも

ヘビ使いと同じ部屋にいたようなものだ。彼はヘビであり、同時に食べられてしまう人でもあった
引用:natalie.mu

とイッセー尾形を評価しています。

さらにあの名脇役も!日本人フルキャストが公開!

片桐はいり

まだ役どころは発表されていませんが、印象に残る演技で様々な作品に出演している実力派女優、片桐はいりも出演することが決まっています。

大作の映画、ドラマで主役を演じることは少ないものの、映画では『かごめ食堂』『シン・ゴジラ』『のだめカンタービレ』などの有名作ほか、多数出演しています。テレビドラマの出演作の量に至っては数え切れないほどですので、その印象的な演技と相まって、知らない人がいないほどの知名度ですね。

そんな彼女が『沈黙-サイレンス-』でどのような演技を見せてくれるのか期待が高まります。

AKIRA(EXILE)

人気ダンスボーカルグループ、EXILEのダンスを担当するパフォーマー、AKIRAが出演することも決定しました。2008年ごろから俳優としても活躍し、 NHK大河ドラマ『江〜姫たちの戦国〜』にも出演している実力派としての地位を高めてきました。

人気シリーズ『GTO』では主役の鬼塚を演じた AKIRA。今回の『沈黙-サイレンス-』でハリウッド進出になります。

その他個性派キャスト続々出演

その他にも、日活ロマンポルノ出身で名をあげ、現在でも多くのテレビドラマに出演している伊佐山ひろ子、蜷川幸雄演出の舞台でデビューした経歴を持つ佐藤玲、元プロレスラーの高山善廣の出演も決定しています。

その他にも、朝ドラ『ちりとてちん』で名を広め、2016年に放送され話題を呼んだドラマ『地味にスゴイ!校閲ガール』への出演していた青木崇高、映画監督としても活躍するSABU、『冷たい熱帯魚』『渇き』にも出演していた黒澤あすか、モデルの石坂友里、『ライチ 光クラブ』に出演した注目の若手、藤原季節らをはじめ、実力派が集結している今作。期待が高まります!

巨匠、マーティン・スコセッシが『沈黙』を語る

この作品の監督を務めたのは巨匠マーティン・スコセッシです。マーティンは言葉で表現しにくい領域に達しなければならないと考え信じることとは何かというテーマになったと語っています。

『沈黙-サイレンス-』

(c) 2016 FM Films, LLC. All Rights Reserved.

マーティン・スコセッシは無類の映画マニアでカット割りまで研究したそうです。また、1967年『ドアをノックしたのは誰?』という作品で注目されその後は『タクシードライバー』や『ウルフ・オブ・ウォールストリート』などの監督を手掛けています。

本作での脚本家ジェイ・コックスと監督のマーティン・スコセッシは親友!

『沈黙』の脚本家を務めたのは本作の監督マーティン・スコセッシの50年にわたる親友ジェイ・コックスです。今回『沈黙』を作るにあたって2人は何度も話し合いを重ね脚本を書き起こしたそう。

ジェイ・コックスは『タイタニック』などの脚本にも関わるベテランの脚本家。ジェイとマーティンは2歳違いですが、親友ということで有名。また、2人の共作の作品は『エイジ・オブ・イノセンス』や『ギャング・オブ・ニューヨーク』などがあります。

記者会見で語った作品の魅力とは

2016年10月19日に行われた記者会見では、監督のマーティン・スコセッシが日本人メインキャストの窪塚洋介と浅野忠信と揃って登場しました。

日本人のキャストは自身の知ってる、家族のような役者たちをかき集めたと明かしました。

日本版ポスターから読み取れることは?

待望のポスターは、長崎の荒々しい海をバックにロドリゴとガルぺが、棄教したとされる彼らの師・フェレイラを探すために海岸に降り立った瞬間のシーンが切り取られています。

空には厚い雲がかかり、一筋の光が。この光は一体何を暗示しているのでしょうか。

このポスターはキチジローがロドリゴに説得している様子を写した一枚。空全体はうっすらと曇りがかかっていますが、キチジローの側からはうっすらと光が差し込んでいます。キリシタンを日本に受け入れることは、それは希望に満ちたことだった、ということなのでしょうか。それともほかの意味が込めれれていたのでしょうか。

一方こちらは、通辞とロドリゴの相容れない関係を一見で表した一枚。キリスト教を受け入れることを厄介に思っていた時代。その時代の日本人の宣教師に対する厳しい視線をとらえています。

『沈黙』の撮影裏話・トリビアを紹介

渡辺謙は降板、代役に立てられたのは浅野忠信だった!

明けましておめでたいはずが、お腹を壊して寝正月な2015年の始まりです。昨年秋に撮影に入る筈だった「沈黙」は撮影が延びた為、参加出来なくなりました。マーチンとは10年越しの企画だったので残念です。7月5日の「王様と私」の僕の千秋楽までは他の仕事は一切入ってません。集中してます!
引用:twitter.com

かねてより親交のあった渡辺謙は自身のツイッターで上記のように述べています。

期待が高まっていただけに、残念がる映画ファンも多かったようです。そこで代役として名前が挙がったのが浅野忠信でした。

マーベルの人気シリーズ「マイティ・ソー」でハリウッドデビューした浅野忠信は活躍の場を世界に広げている勢いのある俳優であると言えます。第二の渡辺謙、との呼び声も高い俳優です。

世界的な大作映画に多くの日本人俳優が出演するということで、彼らが各国でどのように評価されるかという点でも注目を集めそうです。ここまでにご紹介した窪塚洋介、浅野忠信、小松菜奈といったキャスト以外にもイッセー尾形、塚本晋也、加瀬亮、笈田ヨシといった日本人が出演することが判明しています。

スコセッシ凄し!尊敬する監督のために減量した塚本晋也

自ら、製作から監督、脚本、撮影、美術、編集、主演までこなす塚本晋也。独特の世界観やバイオレンスにこだわる作品には国内のみならず海外でも名が知られています。

そんな塚本が最も尊敬しているというマーティン・スコセッシ監督。今回、日本原作の小説がスコセッシ監督により映画化されるのは事件とも語っています。

『沈黙』のオーディションの参加を打診された塚本は即答でOKし、オーディションに挑んだそうです。

その結果、見事にモキチ役での出演が決まった塚本晋也。撮影では役作りの為体重を50kgまで落とす減量をおこない、心身ともにギリギリの状態で挑んだ以下のように明かしています。

モキチ役では50kg切るまで痩せなくてはならなく、栄養士がついていたものの、かなりギリギリまで痩せて辛かったです。立ち上がるのも、何かをつかまなくてはならない感じだった

アダム・ドライバーも計23キロの減量…!!

『沈黙−サイレンス−』に出演しているアダム・ドライバーが激やせしたと話題となっています。

アダムは『沈黙−サイレンス−』においてアンドリュー・ガーフィールド演じる宣教師ロドリゴと共にキリシタン弾圧下の日本にやって来る聖職者ガルペを演じています。

この役のために撮影前に約14キロ、撮影中に約9キロ、計約23キロの減量をしたといわれています。

アダムは、

「今回は減量がすべてみたいな現場だった。役づくりのためと思えば楽になるはずなんだけど、悪戦苦闘したよ」

過酷な撮影現場を振り返っています。

浅野忠信と加瀬亮は師弟共演だった

本作で共演した浅野忠信と加瀬亮。加瀬は浅野の付き人をしていたことがあり、本作では師弟共演をしていました。

今回の共演について、加瀬は正直「やりにくかった」と明かし、浅野はそんな彼を「教育しなおさないと」とコメント。仲の良い師弟関係をのぞかせました。

沈黙ジャパンプレミア最高でした!

浅野忠信さん(@tadanobu_asano)が投稿した写真 –

浅野忠信は自身のツイッターで加瀬とのツーショットも公開し、ファンを喜ばせました。

原作小説『沈黙』のストーリーをネタバレ紹介!

沈黙

物語の舞台は江戸時代初期。島原の乱が終わりを迎えてすぐのことです。ある日、イエズス会の名高い神学者・クリストヴァン・フェレイラがキリシタン弾圧によって棄教したとの知らせが入ります。その知らせを受けたフェレイラの弟子であるロドリゴとガルペは、事の真偽を確認するために日本へと向かうこととなりました。

隠れキリシタンの一人、キチジローの手助けもあり、なんとか日本に潜入することが出来た二人は隠れキリシタンたちの歓迎を受け、旅は希望に満ちているかに思われました。

しかしそんな日々もつかの間、「幕府そのものはやはりキリスト教を弾圧している」という事実を知るロドリゴとガルペ。やがて二人存在が長崎奉行所に知られ、追われる身に。棄教を拒む自分たちへの見せしめとして処刑される隠れキリシタン達の姿を見たガルペは、なんとか彼らを助けようと駆け寄りましたが、そのせいで自らも命を落としてしまいます。

一方のロドリゴもキチジローの裏切りにあい、奉行所に捕らえられてしまいます。そして連行されたロドリゴを待っていたのは、かつての師であるフェレイラでした。着物に身を包み、日本名を名乗って。

ロドリゴの師であるフェレイラ、そしてかつてはキリシタンだった井上筑後守との対話の後、ロドリゴは牢へ繋がれてしまいます。

「日本人にとってキリスト教は意味を持っているのか。」

答えを見出せず、ロドリゴは牢の中で苦悩します。

そしてロドリゴが選んだ道は、殉教でした。

ある夜牢の中では、遠くから大きないびきのような音が延々と続き、その音にロドリゴは悩まされることとなります。彼のもとに再びフェレイラが訪れ棄教を諭しますが、頑なに拒み、「あのいびきのような音を止めてくれ。」と叫びました。そこで、ロドリゴはフェレイラからある事実をつきつけられます。

あのいびきのような音は、拷問されている信者の叫び声だったのです。「彼ら隠れキリシタンたちは既に棄教を誓っているが、ロドリゴが棄教をしないかぎり拷問は永遠につづくのだ。」と告げられます。

ロドリゴの殉教の信念が再び揺らぎます。「自分の信念を貫き通し、信仰の道をまっとうするのか。それとも苦しみ、死んでいく人達を救うべき道を選ぶべきなのか。」

フェレイラが同じ理由で棄教したという事実を知り、ついに彼は棄教の証の踏み絵を行うことになりました。

夜明け、ロドリゴは奉行所中庭にて踏み絵を敢行することになります。自己の信仰の対象であるイエスが彫られた銅板に足を近づけた時、今まで沈黙を保っていたキリストが、踏み絵を通して彼に語りかけてきたのでした。

キリストの絵を踏むロドリゴ。

その後彼の元へ、密告をしたキチジローが懺悔に訪れ、神もまた今までの沈黙の理由をロドリゴに語り始めます。

踏み絵を踏んだことで神の教えの意味を知ったロドリゴ。自身が日本に残った最後のキリスト教司祭であった、という事実を受け止めながら。

『沈黙-サイレンス-』の感想・評価

Karin_Yokoyama
戦争とか宗教とかシリアスな題材の映画をあまり観ないから、私にとって新鮮な映画だった。
原作者の遠藤周作自身をモデルとしたと言われているキチジローが、人間の弱さを凝縮した存在なのが印象的。
Keisuke__Aoyagi
好きな俳優さん達が出ているので見に行った。みんな素晴らしい演技だったな。アダム・ドライバーのシーンがもう少し深みとして欲しかった気がする。 #ネタバレ
dtanbe
高額な予算がかかっているであろうハリウッド映画の割にとても地味な演出の作品だったので、攻めているなと思った。クライマックスで派手な音楽が流れることもないし、淡々と進んでいった印象。

ただ自分が宗教に疎いし、かつ、登場人物たちにとってどれほどキリスト教が重要なのかや踏み絵がどれほど耐え難い行為なのかといった説明がないのでピンと来なかった。なので踏み絵のシーンが大げさに見えてしまう。
とはいえ全体的にはとても丁寧に作られた映画だった!

anua1989x
まず本作はスコセッシの映画である、ということ。『沈黙』と言いつつ全員がめちゃくちゃよくしゃべるし、主人公は自分の葛藤をハードボイルドという形で観客に余すところなく強制的に伝える。

当たり前だ。『タクシードライバー』の監督が撮った映画なのだから。「映画は映像で全てを伝えるべき」と本気で思っているシネフィルの方にはお勧めできませんが、僕はこの雄弁さは清々しいと感じる。

とにかく全編台湾ロケでパラレルな日本的SF情緒(似ているが決定的に違う)が漂っているし、登場するほとんどの日本人は宣教師パードレにとっては理解不能な別種の動物として描かれていく。モキチらキリシタンや通辞、奉行様も、大げさでセリフっぽくて、かえって人間臭さが無いという演出。普段日本語で見慣れている人たちが英語で演じてるってのも実際大きいですね僕たち日本人にとっては。

ベルイマン的なセンセーショナルな宗教映画かと思いきや、もはやこれは猿の惑星なのでは…。

スコセッシにとって、アンドリュー・ガーフィールド演じるロドリゴ神父はかつてのトラヴィスであり、彼のインナースペースに自信の監督の葛藤を埋没させていったのでは?とすら邪推してしまう。

映像に関してはモキチやガルペ神父、加瀬亮演じる村人の処刑シーンなどはさすがのスタイリッシュさがあり鳥肌が立ちました。

そして最も語られるべきはやはり窪塚洋介でしょう。感動的な演技。終盤のキチジローはもっと丁寧に扱って欲しかった、もっと見たかった!でもこの余韻でいいんでしょう。きっと。原作を読みます。

ロドリゴの到達した境地は絶望と記念なのか、それとも新たな信仰あり方の誕生なのか。

踏み絵→ジャンプ→カット→ドシャーン→無音

いいですよ。
篠田正浩版もチェックしよう! #ネタバレ

作品の舞台となっている長崎ではスコセッシ×遠藤周作のイベントも


『沈黙』の舞台となっている長崎県はかつて隠れキリシタンが多かった土地です。『沈黙』ゆかりの地である長崎には遠藤周作文学館があります。そして遠藤周作文学館では、今回の映画化を記念して『沈黙』展が開催され、撮影に実際に使用された資料等の展示を予定しているようです。

長崎県には天草四郎メモリアルホールや大浦天主堂などキリシタンに関する文化財が非常に多く残されていたり、『沈黙』の舞台のモデルとなった場所も多いのでそれらと合わせて訪れてみれば、より映画の人物たちに思いをはせることができそうです。

遠藤周作『沈黙』は過去にも映画化されています

2017年版公開前に予習しておいても良いかも知れません。遠藤周作の作品は『沈黙』以外にも多くの作品が映画化されています。

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