2017年11月16日更新

オープニングが最高にイケている映画18選【人は第一印象の3秒で評価する】

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『ウォッチメン』マシュー・グッド、ジェフリー・ディーン・モーガン
© WARNER BROS/zetaimage

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オープニングに惹きつけられる最高にかっこいい映画を紹介

第一印象は人にとっても大切ですが、それは映画も同じです。洗練されてかっこよく、ストーリーや世界観を象徴するオープニングがあれば、観客はすぐに映画の世界に惹きつけられます。 ここでは、そんな最高のオープニングで幕を開ける映画を18作紹介しましょう。

1.『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』(1968年)

セルジオ・レオーネの神業オープニング

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウエスト』(『ウエスタン』)チャールズ・ブロスナン、ヘンリー・フォンダ
© PARAMOUNT PICTURES/zetaimage

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』(別題『ウエスタン』)を見たことのある人なら、このオープニングのシーンはきっと頭に残っているはず。そのペース感が素晴らしいのは言うまでもありませんが、注目すべき点は他にもあります。 まず、様々なショットの使い分け。近距離で大きく写したクローズアップは、メインの登場人物を紹介し、中距離のショットは物事が起こる場所の設定を詳しく、しかし静かに描写します。そして遠くから全景を見回すカメラで、私たちは列車の到着を知るのです。 また音の使い方も脱帽もの。エンニオ・モリコーネは作曲だけでなく、自然音の使い方にも長けています。会話がないこのシーンでは、ハエの羽音や水滴の落ちる音、風車のきしみが緊張感を演出。そして長い積み上げの後に待っているのは、激しくテンポの速い戦闘シーン。セルジオ・レオーネが得意とする手法です。

2.『メメント』(2000年)

そういうことだったのか…!

メメント、ガイ・ピアース
©IFC Films/zetaimage

クリストファー・ノーランは、型破りで非直線的にストーリーを語るのがとても上手い監督です。しかし彼の作品の中で最も際立っているのは『メメント』でしょう。彼がこのシーンに使用したのは、なんとカットなし逆再生! しかも最初は全く自然に見えるので、観客はこれが逆再生であることに気づきません。少しずつ色あせていくこの写真に気を取られていると、シーンは一気に加速。男が人を殺しその写真を撮ったということが分かります。シンプルではありますが、驚きに溢れ、これから始まる映画全体の雰囲気にも見事にマッチ。 逆再生にすることによって徐々に色が薄れていく写真は、主人公の記憶が長く持たないことを暗示しているのです。 映画の鍵となるポラロイド写真を最初に見せた点も実に見事。ストーリーの最後の部分を映画のはじめに見せる語りの手法も素晴らしいとしか言いようがありません。

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3.『セブン』(1995年)

映画の撮り方を変えた!影響力の強いオープニング

『セブン』ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン
© NEW LINE CINEMA/zetaimage

『セブン』と言えばラストにかけてのシーンが最も有名ですが、オープニングシーンにもぜひ注目してみてください。あの電子的な不気味な音楽、断片的に現れる強烈な映像、超クローズアップの多様、そして震えるカメラ…。『セブン』以降、ほとんどのホラー映画がこのような撮影方法を真似るようになりました。 ここで描かれているのは、以後ジョン・ドウとして知られることとなる猟奇殺人鬼が、彼が行う7つの殺人の準備をしているところ。なんだか、見てはいけないところを見てしまったような、自分も共犯になったような、まるで彼の殺人準備を手伝ったような不快な気持ちに襲われます。 デイヴィッド・フィンチャーは高質なオープニングクレジットを作ることで有名ですが、中でも『セブン』は格段に上出来です。そしてすごいのは、オープニングで作り上げた世界観を一度も壊すことなく、ラストのシーンまで継承していることでしょう。

4.『ピンクの豹』(1963年)

あの人気キャラクターはここから生まれた!

『ピンクの豹』
© United Artists/Photofest/zetaimage

ピンク・パンサーと聞いて多くの人が思い浮かべるのは、あのピンク色のヒョウのキャラクターでしょう。しかしもともと「ピンク・パンサー」とは、あるダイヤモンドを指していました。『ピンクの豹』のオープニングで登場したキャラクターが、映画とは別に有名になったのです。 その人気の理由は高度なアニメーション、ダイヤモンドをキャラクター化するという斬新さ、そしてヘンリー・マンシーニ作曲のあの象徴的な音楽にあります。 映画のオープニングに登場したに過ぎなかったピンク・パンサーは、今では独自のテレビシリーズ、映画、そしてグッズを持つようになりました。

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5.『黒い罠』(1958年)

映画史に残る長回し

『黒い罠』ジャネット・リー、チャールトン・ヘストン
© UNIVERSAL/zetaimage

映画史に詳しい人なら、『黒い罠』のオープニングシーンをこのリストに加えることを忘れはしないでしょう。オーソン・ウェルズ監督のこの名作のオープニングは、なんと4分近くの長回し。とても複雑で野心的です。 しかもその7分全体が、まるでヒッチコックの短編映画のよう。はじめに時限爆弾が設置され最後に爆発します。このシーンの撮影を可能にしたのは、恐ろしく複雑で計算し尽くされたカメラワーク。ほんの少しのミスも許されません。 こんなショットを作るには、才能だけでなく、映画技術史に貢献しようという強い意志も必要です。オーソン・ウェルズは、まさにそのような人でした。今では多くの監督の卵たちがこのシーンを研究しています。

6.『レイジング・ブル』(1980年)

シンプリシティの美学

『レイジング・ブル』ロバート・デ・ニーロ
© UNITED ARTISTS/zetaimage

複雑な長回しや、CGをふんだんに使ったクリエイティブなオープニングもいいですが、時には限りなくシンプルなのが良い場合もあります。マーティン・スコセッシ監督の『レイジング・ブル』はまさに、シンプリシティの美学を体現した名オープニングです。 ピエトロ・マスカーニ作曲のオペラの音楽にのせて、ロバート・デ・ニーロ演じるボクサー、ジェイク・ラモッタが試合前にウォーミングアップする姿が、スローモーションで描かれます。 素晴らしい映画の中で、特に素晴らしい荘厳なシーンです。映像の美しさはまさにため息もの。これだけシンプルでありながら、必要なことは全て語られています。

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7.『007 ドクター・ノオ』(1962年)

全てはここから始まった!

『007 ドクター・ノオ』ショーン・コネリー
© UNITED ARTISTS/zetaimage

印象的なオープニングと言えば、何と言っても「007」シリーズ。その全てはここから始まりました。時代を重ねてどんどん派手になってはいますが、セクシーな女性のダンス、といったモチーフは変わっていません。 『007ドクター・ノオ』のオープニングは、たとえば最近の『007/スペクター』のようにポルノチックなものではありません。現代的で洗練されたスタイルにこそ普遍性があります。 あの忘れられないテーマ音楽と、銃口からボンドが観客に向かって発砲するスタイルを生み出した「ドクター・ノオ」は、そのシンプルさとオリジナリティから、史上最高の「007」オープニングと言えるでしょう。

8.『ソーシャル ・ネットワーク』(2010年)

銃弾のように言葉が飛び出す、飛び出す!

ソーシャルネットワーク,ジェシー・アイゼンバーグ
©Columbia Pictures/Photofest/Zeta Image

ここまで紹介したオープニングの多くには、セリフがありませんでした。しかし『ソーシャル・ネットワーク』は全くその逆。マーク・ザッカーバーグとそのガールフレンドが、まるで銃撃戦のように激しい口論を繰り広げ、その結果別れてしまうというシーンで映画は幕を開けます。 2人の会話の原稿は、なんと9ページにも及んだそうです。そんな長い会話ですが、撮影方法はいたってシンプル。しかしカメラはこの超高速の会話に合わせて、こちらも早いスピードで彼らの顔の間を移動します。 会話もうまく練られていて、ザッカーバーグの「クソ野郎」っぷりを見事に表しているだけでなく、緊張感がありながらも見ていて楽しい仕上がりになっているのです。

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9.『続・夕陽のガンマン』(1966年)

これぞ西部劇!

『続・夕陽のガンマン』クリント・イーストウッド
© UNITED ARTISTS/zetaimage

セルジオ・レオーネがオープニングシーンやタイトルクレジットの扱いに長けていることは先に述べた通りですが、中でも『続・夕陽のガンマン 地獄の決斗』は外せない傑作です。それも『ウエスタン』とは全く違った意味で。 まず音楽が評価されています。エンニオ・モリコーネの最高傑作とも言える西部劇のテーマは、とても真似できるものではありません。そして目に飛び込んでくる赤と黒のアニメーションは気持ちが高ぶります。キャストとタイトルが銃声とともに紹介されるのも味がありますね。 クエンティン・タランテイーノが、しばしば自身のオールタイム・ベストに挙げていることでも知られる作品です。

10.『8 1/2』(1963年)

無意識に働きかけるオープニング

『8 1/2』マルチェロ・マストロヤンニ
© FRANCINEX/zetaimage

フェデリコ・フェリーニの傑作『8 1/2』のオープニングは、映画のシュルレアリズムの典型。 トンネルで渋滞に巻き込まれた男が車の中で窒息していく、全く無音の世界です。男は助けを求めますが、なぜか彼の周りの世界は時が止まってしまったようで誰も動きません。ついに男は車から脱出し空高く飛び上がりますが、無念にも地上にいる別の男によって引っ張り降ろされます。 このシーンは人間の無意識に焦点を当てており、夢が持つ呪いのような力を独特な方法で表現したもの。また全てのものが象徴的な意味を持っており、直接的には語ることのできないものを描いています。これこそ、フェリーニの魔法のテクニックとも言うべきものです。

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11.『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(1977年)

一度見たら忘れられない!名作SFのオープニング

『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』
© LUCASFILM/zetaimage

初めて「スター・ウォーズ エピソード4」を観た時のことを覚えていますか?特に当時映画館で見たという人は、強烈な記憶が残っていると思います。「遠い昔、はるか彼方の銀河系で…」そしてパーンとあの音楽!彼方に吸い込まれてゆく黄色の文字でこれまでのあらすじを語るという斬新な手法。とても忘れられるものではありません。 しかしその後のシーンも注目に値します。小さなスペースファイターが巨大な宇宙船に追われているところ。宇宙船はあまりにも大きくて、開いた口がふさがりません。そしてカメラはゆっくりと宇宙船の内部へと移動し、映画史上最も有名なヴィラン、ダース・ベイダーがスクリーン上に現れるのです。 このオープニングシーンは、公開から40年以上経った今でも、そして「スターウォーズ」を何度も観たことがあるという人でも、感嘆せずにはいられないでしょう。 この作品は当時のアカデミー賞の作品賞にもノミネートされましたが、これはSF映画としては非常に珍しいことです。「スターウォーズ」はSFの新時代を切り拓いたのです。

12.『イングロリアス・バスターズ』(2009年)

タランティーノ色全開!

『イングロリアス・バスターズ』イーライ・ロス、ブラッド・ピット
© Universal Studios/Photofest/zetaimage

タランティーノ監督作品をこのリストに含めないわけにはいきません!『レザボア・ドッグス』を挙げることもできますが、ここでは『イングロリアス・バスターズ』を紹介しましょう。 この映画の始まりは『レザボア・ドッグス』のように暴力的なものではなく、むしろ洗練されていて丁寧なもの。クリストフ・ヴァルツ演じるハンス・ランダの武器は銃ではなく、その賢明さ、その忍耐力、そしてその雄弁さにあるのです。 『イングロリアス・バスターズ』のオープニングでは、セリフが重要な役割を果たしています。一言一言が緊張感を高め、観客をつかんで離しません。ランダは全く苦労することなく獲物であるユダヤ人と遊びます。私たちは助けてあげたくて仕方がないのですが、できることは何もありません。 このシーンは、タランティーノのように脚本と監督の両方の飛び抜けた才能がなければ決して実現しません。『イングロリアス・バスターズ』のオープニングは、一度見たら二度と忘れることができないのです。

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13.『裏窓』(1954年)

映像だけでストーリーを見せる!

『裏窓』ジェームズ・スチュワート、グレース・ケリー
© PARAMOUNT/zetaimage

アルフレッド・ヒッチコックは映像でストーリーを語る天才。その才能がはっきりと表れているのが、あのスリラーの名作『裏窓』のオープニングシーンです。映画の背景となる物語を、一言も発することなく見事に語っています。 窓から出たカメラは360度旋回して近所の様相を捉えます。その後カメラはジェフの部屋に入り、気温の高さを暗示するショットが挿入され、また窓の外から見える世界を教えてくれます。そして私たちが再びジェフを見るとき、彼の職業と動けない理由が明らかに。 それも全て、周りにあるものを写すことだけで語られるのです。余計な言葉は一切なし。ヒッチコックはサイレント映画の世界でも見事なキャリアを築いたことでしょう。このシーンでは純粋な「映画」というものが、最高まで極められています。

14.『ファーゴ』(1996年)

洗練された白さ

ファーゴ
© Gramercy Pictures

コーエン兄弟もまた、印象的なオープニングを作ることに関しては天才と言えるでしょう。その中でも『ファーゴ』は特に素晴らしいものになっています。「これは真実の物語である」というイントロはあまりにも有名ですね。2014年に放送が開始されたドラマ版の『ファーゴ』でも、毎回使われています。 そしてその後に待ち受けるのは、真っ白な画面。車が近づいてくることでゆっくりと明らかになっていきますが、これは一面雪に覆われたミネソタの景色です。その銀世界の中に、キャストの名前が洗練されたフォントで映し出され、そしてカーター・バーウェルによる美しい音楽が流れます。 言葉、色、映像、フォント、音楽、すべての要素の使い方が超一流のオープニングです。

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15.『卒業』(1967年)

名曲にのせて送る若者の孤独感

卒業
©︎Embassy Pictures/Photofest/zetaimage

青春映画の名作『卒業』の始まりは、ダスティン・ホフマン演じるベンジャミンの孤独な姿を見事に描いています。クエンティン・タランティーノもこのシーンを非常に気に入っており、自作の『ジャッキー・ブラウン』でオマージュを捧げるほど。 ぼんやりとした目で飛行機の座席に座るベンジャミン。飛行機が着陸すると、カメラはベンジャミンと同じスピードで彼を追っていきます。もちろん、サイモン&ガーファンクルの名曲「サウンド・オブ・サイレンス」にのせて。 映像でストーリーを見せるというのは、まさにこういうことです。

16.『ハード・デイズ・ナイト』(1964年)

元気いっぱい!笑顔になれるオープニング

『ハード・デイズ・ナイト』(『ビートルズがやって来るヤァヤァヤァ!』)ビートルズ
© UNITED ARTISTS/zetaimage

1964年に『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』という邦題で公開された『ハード・デイズ・ナイト』。純粋にお金儲けのために作られたとしか思えない映画が、真にアーティスティックになろうとは誰が想像できたでしょうか?この映画の特にオープニングシーンは、実験的で革新的な形であの大人気の4人組を礼賛しています。これはただのコマーシャルではなく、まさに芸術。 熱狂するファンから逃げながら、様々なところに隠れたり、ポールのようにつけ髭をつけたりするビートルズ。このシーンは勢いがあって明るく、見ていて最高に楽しいものです。さらに「ビートルマニア」と呼ばれた熱狂的なファン層の姿を、見事に捉えてもいます。 最初の数分ですぐに元気が出ますね!

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17.『ウォッチメン』(2009年)

変わる時代を数分に凝縮

『ウォッチメン』マシュー・グッド、ジェフリー・ディーン・モーガン
© WARNER BROS/zetaimage

フランク・ミラー原作の濃密でディティールに満ちたコミック『ウォッチメン』を、一本の映画で描こうとするのは不可能とも言える挑戦。ですから、映画『ウォッチメン』の出来があまり良くなかった時も、そんなに驚くことではありませんでした。 しかし、オープニングの数分間に限って言えば、『ウォッチメン』は傑作です。この短い時間の間にぐっと凝縮して、我らがヒーローたちの歴史を第二次世界大戦から事故で亡くなるまで、割愛することなく丁寧に描いています。 さらにそのBGMとしてボブ・ディランの「時代は変わる」を使っていることで、ヒーローの栄光と死や紛争がうまく対峙され、耐え難い悲しさがこみ上げてきます。この曲の歌詞は少々あからさますぎる、との批判もありますが、哀愁感漂うメロディと声は映画に見事にマッチしています。

18.『エイリアン』(1979年)

シンプルさに隠された恐るべき不吉な予感

『エイリアン』
© 20TH CENTURY FOX/zetaimage

リドリー・スコット監督の『エイリアン』のオープニングが素晴らしいのは、特別何も変わったことをせずに恐怖感、緊張感、そしてこれから何か不吉なことが起こりそう、という予感を作り出しているからです。映画全体が自信に溢れ、ミニマルでありながらじわじわとした恐怖を見事に醸し出していますが、それは『エイリアン』開始の3秒からすでにそうなっています。 宇宙の暗闇の中をゆっくりと動くカメラは、宇宙の底のない深さだけでなく、ノストロモのクルーたちがいかに孤立した力のない存在であるかを象徴しています。惜しみなく時間をかけて出てくる「ALIEN」の文字は、映画の中でモンスターがゆっくりと姿を現わす様に繋がっています。 気味の悪いテーマ音楽も手伝って、観客は不安とストレスのさなかに取り残されます。あの恐ろしい人殺しのモンスターは映画の中だけでなく、どこにでも、そうあなたの後ろにいるかもしれません!姿を現わすことなく、ゆっくりと近づいてきて、気付いた頃にはもう手遅れなのです。

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映画はオープニングが9割!?名作の予感を抱かせる幕開けに注目

映画史に名を残す魅力的なオープニングの数々。その多くは、ほんの短い時間で観客を作品の世界に引き込む計算し尽くされたものです。映画の内容はもちろんですが、オープニングに注目して、好きな作品を選んでみるのも一興かもしれませんね。