2017年7月28日更新

石井隆〜それは甘美なエロスとドス黒い暴力。マルチに危険な監督の10のコト

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1:もともとは漫画家だった石井隆

独特の作風で高い評価を得る映画監督石井隆。多くの作品で映画賞を受賞していますがクリエーターの出発点は実は漫画家としてでした。 早稲田大学を卒業し1970年雑誌”事件劇画”にて出木英紀の名義で漫画家デビューを果たします。1975年頃からは”ヤングコミック”で筆を執り、自身最初のヒット作へと繋がっていきます。

2:マンガ『天使のはらわた』が大ヒット、日活ロマンポルノとして映画化される

1977年に発表された漫画『天使のはらわた』。土屋名美という女性との出会いをきっかけに運命を狂わされていくというストーリーのこの漫画は大ヒットを記録しました。 1978年には日活ロマンポルノで映画化されシリーズ化もされるなどしていて、この作品は石井隆が知名度を高めるきっかけとなった作品とも言えます。映画『天使のはらわた』には蟹江敬三や泉じゅん、草薙良一などの俳優が出演していました。

3:脚本家としてロマンポルノを牽引

『天使のはらわた』の映画化の際、その2作目の脚本を担当したことによって石井は脚本家としての活動もスタートさせることになりました。 『天使のはらわた』シリーズ以外にも1982年『団鬼六 少女木馬責め』、1984年『縄姉妹 奇妙な果実』、1985年『ラブホテルなど時代を彩った数々の作品で脚本を手掛け、その手腕を発揮しています。

4:映画『天使のはらわた 赤い眩暈』で監督デビュー

上記の作品以外にも数多くの脚本を担当し、劇画の原作も手がけていた石井は1988年、『天使のはらわた 赤い眩暈』でついに映画監督としてのデビューを飾ります。 漫画家、脚本家、監督、とマルチに才能を発揮する石井。この監督デビューが多数の作品を撮影する契機となりました。

5:代表作『GONIN』

映画監督石井隆を象徴する作品として知られるのが『GONIN』。社会からはじき出されてしまった5人の男たちが、暴力団事務所から大金を盗んでしまったことによって二人組みのヒットマンに命を狙われてしまうというストーリーのバイオレンス・アクション映画です。 後に人気シリーズとなるこの作品には佐藤浩市、本木雅弘、ビートたけしなどのビッグネームが名を連ねています。

6:『GONIN2』

前作のヒットを受けて1996年に制作されたのが『GONIN2』。今度は様々な事情を抱えた5人の女性をメインに据えたキャスティングになっています。宝石店で強盗団から宝石を奪った5人の女性が前作同様組織に追われてしまうというストーリーです。 ストーリー同様、出演陣にも有名俳優を揃えていて緒形拳を筆頭に、大竹しのぶ、余貴美子、夏川結衣などが出演しています。

7:『GONIN サーガ』

2015年、『GONIN』の19年後を描いた『GONIN サーガ』が公開されました。前作のストーリーに起因した様々な要素と刺激的なシーンの数々は今シリーズの集大成と呼ぶに相応しい出来に仕上がっています。 主演には東出昌大を起用しているほか、桐谷健太、土屋アンナ、柄本佑、安藤政信、など人気、実力共に兼ね備えるキャストが伝説のシリーズに参加しています。また俳優を引退していた根津甚八が、石井隆の熱望によって11年ぶりの俳優復帰を果たしました。

8:愛と暴力に傾倒する石井映画

劇画や日活ロマンポルノなどにバックボーンを持つ石井。彼の作品の特徴は何と言っても肉感的な愛と、印象に残る暴力的なシーンの数々です。 映画監督のクエンティン・タランティーノも石井をお気に入りの監督の1人として挙げるなど、その一貫した作風は国内外問わず高い評価を得ています。

9:1992年、映画『死んでもいい』

『天使のはらわた』、『GONIN』以外の石井映画で代表的なのが1992年公開の『死んでもいい』です。 気ままに旅をする青年が、人妻に一目惚れをしてしまったことから始まる激しい愛憎劇である本作は、ギリシャのテッサロニキ国際映画祭で最優秀監督賞を受賞するなど数々の映画賞で高く評価されました。 また本作に出演した大竹しのぶはキネマ旬報ベスト・テンなど複数の主演女優賞を受賞しました。

10:竹中直人、椎名桔平らを重用した

彼の特徴として同じ俳優を何度も起用することが挙げられます。特に竹中直人は『GONIN』シリーズはもちろん、『死んでもいい』など初期の名作から近年の『フィギュアなあなた』などに出演し石井作品には欠かせない役者の1人です。 椎名桔平も『GONIN』や『ヌードの夜』など、彼が若い頃からその才能を石井は見ぬいて度々起用していました。また大竹しのぶ、余貴美子なども石井作品の多くに出演している役者として有名です。