イギリスの大人気ドラマ『ドクター・フー』にまるわるトリビア15選

2017年7月6日更新

1963年から現在まで絶大な人気を誇っている、世界最長のSFテレビドラマ『ドクター・フー』は、50年以上の歴史があるだけあって、あっと驚くトリビア満載!この記事ではシリーズがもっと楽しくなること間違いなしのトリビアを15紹介します。

1.もともとは子ども向けの教育番組として始まった

『ドクターフー』ロゴ

1960年代前半に『ドクター・フー』を企画したBBCは、毎週土曜日に家族全員が集まって楽しみながら学べるドラマにすることを意識していました。タイムトラベルを使ったり歴史的な人物を多く登場させたりすることで、子どもたちが科学と歴史について知ることができるように、との思いで始まったシリーズなのです。

そのため当時BBCのドラマ部門の長であったシドニー・ニューマンは「ぎょっとするようなモンスターを登場させることはしない」と言っていました。

しかし憎悪の感情にあふれ、自身以外のあらゆる生命を抹殺しようとしている悪役「ダーレク」の登場こそが世代を超えたイギリス国民の人気を獲得することにつながりました。

2.BBC初の女性プロデューサーを登用

『ドクターフー』ランバート

ニューマンは何人かのプロデューサーに『ドクター・フー』の話を持ちかけましたが、最終的にこの仕事を引き受けたのは、BBC最年少、そして初の女性ドラマプロデューサーとなるヴェリティ・ランバートでした。

60年代の『ドクター・フー』は生放送であり、さらにターディスのドアが吹っ飛ぶなどのアクションもあったので、プロデューサーには大きな負担がかかることが予想されましたが、ランバートにとってこれくらいのことはお手の物。

実は彼女は以前担当した生放送番組の途中に、役者がセット上で倒れそのまま亡くなった、というアクシデントに見舞われたことがあったのです。彼女はカメラの向きを変えて見事にその事態を見事に乗り切りました。

ニューマンは後に「ランバートを採用したことは、私が人生の中で下した最も良い決断だった」と語っています。

3.「再生」のアイディアはLSDのバッドトリップから生まれた

『ドクターフー』再生

『ドクター・フー』といえばドクターの命が危機に陥ると、別の体に「再生」できることが有名ですよね。そうやって1963年から現在まで、ドクターは再生による世代交代を続けながらシリーズの主役であり続けているのです。ちなみに今のドクターは11代目。

もともと第1代ドクターを演じたウィリアム・ハートネルの体調悪化に伴い考案された「再生」。2010年に公開された当時のBBCの内部メモによると、再生は「LSDを摂取して幻覚作用による恍惚感を味わう代わりに、地獄に突き落とされてじめじめとした恐怖を経験する」ようなものとして記されています。

『ドクター・フー』には今でも、LSDなどの幻覚剤の最盛期である1960年代の足跡が残されているのです。

4.リドリー・スコットがダーレクをデザインするはずだった!?

『ドクターフー』リドリー・スコット

『ドクター・フー』の人気を大きく伸ばすきっかけとなった「ダーレク」。実はこのダーレクが初登場する回のデザイナーに指名されていたのは、60年代当時BBCで働いていたリドリー・スコット!

しかしスコットは映画監督になるトレーニングを積むためにイギリスを離れることになり、代わりにデザインを請け負ったのがレイモンド・キュージックでした。

ダーレク

登場直後からダーレクは大人気となり、全英にダーレクマニアが出現するほどに。撮影に使われたオリジナルのダーレクは今ではコレクターズアイテムにもなっています。しかしデザイナーであるキュージックはその利益を受け取ることはなく、ダーレクの著作権は考案者のテリー・ネーションが持つことになりました。

2005年に『ドクター・フー』の新シリーズが作られることになった際、このダーレクの著作権関係でネーションと揉め、あわやダーレクの登場はナシになるところに…

リドリー・スコットは現在監督として大成功を納めていますが、彼のデザインするダーレクも見てみたかったですね。

5.ダーレクのモデルはナチス

『ドクターフー』ダーレク

優生学を盲目的に信じ、全体への絶対服従に献身し、合い言葉は「抹殺セヨ!」のダーレク。第二次世界大戦中に育った考案者のネーションは、明らかにナチスをイメージしていました。

“何にも耳を貸さず、何も考えず、ただ単に相手の破壊を望む指導者に従う”存在のダーレクはあまりにもナチスに似ていたので、最初に書かれた脚本は酷すぎる、と大バッシングを受けました。

ダーレクがロンドンの街に侵略するシーンでは、大戦期実際に起こり得たナチスによる英本土侵略を描いているのです。

6.ソニックスクリュードライバーは製作者の間では不人気?

ドクターフー

新シリーズの中でなくてはならない存在での「ソニックスクリュードライバー」。機械を遠隔操作したり、鍵を開けたり、金属を溶接したり、物体を調査したり、もうとにかく何でもできてしまう万能のガジェットです。初登場はシーズン5、第2代のドクターの時でした。

しかし、あまりにも何でも簡単にできてしまうので、ドキドキするシーンを描くことが難しくなった、と不満を口にする脚本家も現れます。そしてソニックドライバーは80年代に封印されることとなったのです。

『ドクターフー』ソニックスクリュードライバー

2005年から始まった新『ドクター・フー』ではこのソニックドライバーがさらに進化して再登場!GPSになったり火を起こしたり、さらには傷を癒すこともできたりと、そのあまりの万能性にやはりまた不満の声が上がります。

そこでプロデューサーは制約をかけることにします。この魔法のドライバーは木製の物には使えず、また特殊な封印をかけられた扉を開けることもできません。

そしてこのソニックスクリュードライバー、様々な大学の研究者たちが実現を夢見て研究を続けています。なんと今では、その一部の機能を再現できるようになったそう…?

7.4代目ドクターのシンボル「超長いマフラー」はアクシデントによって生まれた

『ドクターフー』マフラー

世代交代が続く長いシリーズの中で、今でも人気ナンバーワンの4代目ドクターの目印と言えば、あの長ーいマフラーですよね!しかしこのマフラー、実は計画されたものではなく、間違ってできてしまったものなのです。

コスチューム・デザイナーのジェームズ・アチソンは、衣装を製作するニット職人のもとを訪ねた時「この中から好きなものを選んで」という意味で非常にたくさんの毛糸を渡したそうです。しかし職人はこの指示を勘違い。与えられた毛糸全てを使って一本の長いマフラーを編んでしまいました。

しかしアチソンはこの失敗をそのまま採用することにします。これがたちまち大人気となるのです。ドクター役のトム・ベイカーもこのマフラーがお気に入りで、撮影時にスタッフたちに踏まれることも良くあったそうです。

8.「トーチウッド “Torchwood”」は海賊版を防止するための暗号だった

『ドクターフー』トーチウッド

トーチウッドとは『ドクター・フー』の中のエイリアン対策が専門の組織のこと。シリーズ内ではヴィクトリア女王によって組織されたことになっています。2006年にはこのトーチウッドをメインにしたスピンオフ作品も公開されました。

実は「トーチウッド”Torchwood”」は「ドクター・フー”Doctor Who”」の文字を並び替えて作られたアナグラムなのです。

新シリーズのシーズン1の製作が開始された2005年、プロデューサーのラッセル・T・デイヴィスはシリーズが違法にコピーされて海賊版として出回ることを恐れていました。そこで、データ類を伝達する際に外部に漏れることがないよう、シリーズを「トーチウッド」と名付けていたのです。

9.11代目ドクターは最年少?

DOCTOR WHO SERIES 7 B

出典: collider.com

再生する度に外見や年齢までもが変わるドクター。そんな第11代目のドクターを演じるマット・スミスは27歳でデビューし、今までで最も若いドクターとなりました。これまでの最年少記録は5代目の29歳。

逆に最年長記録は初代ドクターのウィリアム・ハートネルで、彼は55歳で初登場しました。それから長いことドクターは40~50代の中年男性、としてのイメージが強かったのです。

ちなみにBBCは女性のドクターを登場させることも検討していましたが、5代目を演じたピーター・ダヴィソンによるとそれは「ジェームズ・ボンドを女にするようなもの」と批判され実現しませんでした。

10.人種問題の扱い方はうまくない『ドクター・フー』

『ドクターフー』ロイ・スチュワート

同じく20世紀後半という時代を駆け抜けたSFテレビシリーズ『スター・トレック』とは違って、『ドクター・フー』は世界の多様な人種の存在を写し出すことがあまり上手ではありません。

それは歴代ドクターが全て白人である、ということだけではありません。シリーズに黒人のキャラクターが初登場したのは1967年。オリジナルの脚本で彼は耳が聞こえない、との設定になっていましたが、直前になってそれは却下されます。

結果として『ドクター・フー』初の黒人キャラクターは、ほとんど口をきかない従順な「奴隷」そのものだったのです。

また10年後になっても、中国人の役は白人がメイクアップをすることで演じられました。さらには「俺たちがみんな一緒に見えるのは分かってるよ」との台詞までも…。今では考えられないことです。

11.『銀河ヒッチハイクガイド』の著者が脚本を書いた回が存在する

『ドクターフー』ダグラス・アダムズ

70年代後半、人気小説シリーズ『銀河ヒッチハイクガイド』の著者であるダグラス・アダムズは『ドクター・フー』の脚本に携わっていました。彼の“The Pirate Planet”と題された回は放送されましたが、次回の”Shada”は運悪くBBCプロダクションチームがストライキを決行したため、幻の未完成回となってしまったのです。

驚くことではないかもしれませんが、フーヴィアンの間でアダムズの脚本は4代目ドクター、トム・ベイカーの最も面白い部分、むしろ発狂したような性格を引き出すものとして知られています。

また、映画『銀河ヒッチハイクガイド』でガイドの声を担当した俳優スティーブン・フライも『ドクター・フー』の脚本を書いたことがありました。しかしその脚本はあまりにも複雑すぎてシーズンに含めることができず、撮影されることのないままとなりました。

12.『ドクター・フー』は英語に新しい表現をもたらした!

『ドクターフー』ソファ

『ドクター・フー』はイギリスで社会現象ともいえる人気を誇り、なんと英語に新しい語彙を追加するにまで至ったのです!英語界の広辞苑ともいえる「オックスフォード英語辞典」にはあの「ダーレク”Dalek”」に加え「見かけよりもずっと収容能力が大きい建物」との意味で「ターディス”Tardis”」も載っています。

さらに「ソファーの後ろに隠れる”Hiding behind the sofa”」という表現。テレビで怖いシーンが流れる時、子どもたちが怖がってソファーの後ろに隠れながらも番組を見続ける、という日本語でもたまに耳にしますよね。

実はこれ『ドクター・フー』の放送時に、ダーレクが登場するシーンなどで怖がってソファーの後ろに隠れるも、見逃したくないから見てしまう…という子どもたちが続出したことから生まれた表現なのです!

あのアンドリュー王子もウィンザー城でテレビを見ながらソファーの後ろに隠れたとか…!?