海外ドラマ『アメリカン・クライム・ストーリー』が熱い!
『アメリカン・ホラー・ストーリー』のライアン・マーフィが制作を務める!
2011年、プロデューサー、ライアン・マーフィーは大ヒットドラマ『NIP/TUCKマイアミ整形外科医』シーズン6を終わらせて程なくして、今度こそお得意の1話完結の医療ドラマシリーズではなく、何か別のものに挑戦してみようと決心してFXに戻ってきました。
マーフィーは自身の作品『アメリカン・ホラー・ストーリー』からスピンオフして、1話ごとに実際に起こった犯罪の話にフォーカスした『アメリカン・クライム・ストーリー』を作り上げているのです。
ドラマはちょうど20年前、世界中が釘付けになった”O.J.シンプソン事件”で幕は開けます。スター大集結の事件の詰まった全10話はスリル満点!!
ドラマ『アメリカン・クライム・ストーリー』のあらすじ
舞台は1990年代半ば。ちょうどロドニー・キング事件のあとでロス暴動が起こり、ロス市警と市のアフリカ系アメリカ人コミュニティーとの関係が一触即発の状態になったあとのことです。このシリーズはO.J.がリムジンで飛行場まで向かうシーンから始まり、その後ある二人の人物の死体が発見されます。
O.J.は容疑を否定しますが、その殺人の容疑がO.J.にかけられてしまうのです。容疑者に転落してからは、なんとしてでも有罪にしたい検察側とO.J.の無罪を証明したい弁護士側のハラハラするやりとりが続いていきます。ほぼ有罪確定!というところで…!?
ドラマ『アメリカン・クライム・ストーリー』のキャスト
主人公O.J.シンプソンはフットボールプレイヤー役経験ありのキューバ・グッティングJr.
“ジュース”の愛称で大人気だった元アメフトのスターであり、このドラマの元となった事件の中心人物O.J.シンプソンを演じたのは1968年ニューヨーク生まれのキューバ・グッティングJr.。
『ヒルストリート・ブルース』(1982)、『冒険野郎マクガイバー』(1988)にゲスト出演し、初の主演『ボーイズ’ン・ザ・フッド』の大成功のおかげで『ア・フューグッドメン』(1993)『ライトニング・ジャック』、『アウトブレイク』(1995)などの有名作品への主演が決まります。
とてつもない興行成績を修めた『ザ・エージェント』(1997)ではアカデミー最優秀助演男優賞を獲得しました。また2002年にはハリウッド・ウォーク・オブ・フェームにキューバの名前の書かれた星が加わりました。
ロバート・カーダシアン弁護士役にデヴィッド・シュワイマー
O.J.の長年の友人であり、常に味方をしてくれる弁護士、ロバート・カーダシアンを演じるのはニューヨーク生まれロサンゼルス育ちのデヴィッド・シュワイマー。
高校の専任講師に勧められノースウェスタン大学の演技に関する夏のプログラムに参加します。それがきっかけとなり、同大学に進学しスピーチ/演劇の学士号を取得することとなるのです。
1988年に他の卒業生7名と共にシカゴ・ルッキンググラス・シアター・カンパニーを設立します。出演作品は『フレンズ』、『6デイズ/7ナイツ』(1998)、『マダガスカル1~3』(2005、2009、2012)など。
サラ・ポールソン、検察官マーシャ・クラークとして出演
髪型が何かと話題になった離婚経験マーシャ・クラーク検察官を演じたのはフロリダ生まれのサラ・ポールソン。幼少期のほとんどをニューヨークで過ごしたポールソンはアメリカン・アカデミー・オブ・ドラマティック・アーツや芸術を学べる高校へ進学します。
『シスターズ・ローズンズワイ』でブロードウェイデビューを果たし、『トーキング・ピクチャーズ』でオフブロードウェイデビューを果たしていますが、1994年の終わりに既にNBCの『ロー&オーダー』にゲスト出演でデビューしていたのです。
ドラマ『アメリカン・ゴシック』や、『ジャック&ジル』、『リープ・オブ・フェイス』などに出演。また、『ハート・オブ・ウーマン』(2001)、『カーラの結婚宣言』(2000)、『砂漠でホールド・アップ!』(1999)などのコメディ映画にも出演しています。
いい奴?悪い奴?ロバート・シャピロ役にはベテラン、ジョン・トラボルタ
O.J.シンプソンの雇った弁護士ロバート・シャピロを演じるのはニュージャージー出身のジョン・トラボルタ。初主演は地元プロダクションの『Who’ll Save the Plowboy?(原題)』。若くしてミュージカルコメディーパフォーマーになる決心をし、16で初ミュージカル『バイ・バイ・バーディー』。
初ブロードウェイ作品は18の時の『グリース』。『サタデー・ナイト・フィーバー』(1978)で初のオスカー、ゴールデングローブ賞受賞。続いて映画版『グリース』(1978)、『アーバン・カウボーイ』(1980)、『キャリー』(1977)、『ミッドナイトクロス』(1982)など数々の作品に出演していきます。
またクエンティン・タランティーノの『パルプ・フィクション』(1994)などで、2度アカデミー賞にノミネートされるなど数々の業績を残しています。
クリス・ダーデン検察官にはスターリング・K・ブラウン
ストレスを抱えた検察官の助手、クリス・ダーデン検察官を演じるのはスターリング・K・ブラウン。
ベテランの舞台および映画俳優であるスターリング・K・ブラウンの最も最新の出演作がこの『アメリカン・クライム・ストーリー』。
メディア、デッドラインでは”釘付けになるほどおもしろい”と、雑誌ハリウッド・リポーターでは”最高”とブラウンの演技は絶賛されました。映画『アメリカン・レポーター』や『スプリット』、ドラマ『アーミー・ワイフ』や『PERSON of INTEREST犯罪予知ユニット』などに出演。
ブラウンはスタンフォード大学の演劇芸術の学士号を取得したあとニューヨークのティッシュ・スクール・オブ・アートで修士号を取得しています。
もう1人弁護士、ジョニー・コクランを演じるのはコートニー・B・ヴァンス
クリス・ダーデン検察官のメンター役のような一面もあるジョニー・コクラン弁護士を演じるのはデトロイト生まれのコートニー・B・ヴァンス。
俳優でありプロデューサーでもあるヴァンスは『LAW&ORDER:クリミナル・インテント』、『ターミネーター:新起動/ジェネシス』(2015)で知られています。
優れた制作チームのバックアップ
優れているのはキャストだけではなく、カメラの前と同じようにその後ろでも優れた人たちによってこのドラマは制作されているのです。
ゴールデングローブ賞受賞作家スコット・アレクサンダーとラリー・カラスツースキーの最強コンビが『アメリカン・クライム・ストーリー』の数々のエピソードに加え、全シリーズの詳細がわかる“バイブル”を手掛けているのです。
マーベルが『ブラック・パンサー』の執筆のためだけに雇ったというジョー・ロバート・コールも多くのエピソードに参加。さらには自身の幼少期を映画の元に取り入れた『それでも、やっぱりパパが好き!』のマヤ・フォーブスも。
あまり深くドラマ化されてこなかった物語
信じるかどうかは別として、シンプソン事件についてのドラマはほんの一握りしかありません。(良くも悪くも)あまりに衝撃的な事件だっただけに、国民はみな何らかの形でこの事件が報道されるのを期待しました。2000年にCBSがドラマ化もしました。
ドラマは忘れ去られるようなものかもしれない一方で、シンプソンが犯罪にあやかろうとしたことは誰もが覚えています。シンプソンが筆を執った『もしわたしがやっていたら』の中で”仮に”殺人を犯していたら、と釈明しています。世論の反対が大きかったため著書の出版は取りやめになりました。
ほぼ作り物ではない!
著書はもともともっと早くにFOXが“イベント”番組のために権利を獲得していました。しかし問題だったのは長年放送局のトップを務めたケヴィン・ライリーが辞めてしまったため、計画が振出しに戻ってしまったこと。
状況が一変したのはマーフィーがHBO 『ノーマル・ハート』を終えてからでした。脚本を書いてくれると約束していました。
マーフィーは『アメリカン・ホラーストーリー』のもっと実際に起こった事件のバージョンを作りたいと長年思っていて、シンプソン事件はもってこいの題材だと感じたそうです。
単なる裁判についてのドラマではない
このドラマはシンプソンが有罪か無罪か、ということに限った物語ではありません。真実をありのままに伝え、そして人種という問題がどのように関係しているのか、ということが根底にあるのです。
シーズン2は既に計画中
『アメリカン・クライム・ストーリー』への期待が高いことを考えると、FXが既にシーズン2を計画中というのも頷けますね。しかし新たな事件の代わりに次のシーZンは別の方向に進んでいくということをマーフィーは明らかにしました。
『アメリカン・クライム・ストーリー』のエピソードを紹介【ネタバレ注意】
エピソード1:「悲劇の始まり」
O.J.が遅刻したことを詫びたところでブレントウッドで犬を散歩中の近隣住人のシーンに画面は切り替わり、その隣人がO.J.の元妻ニコルのペットである秋田犬を見つけます。犬の足に血が付いていることに気づき、裏庭でニコルとロンの死体を発見します。
このエピソードはロス市警がどのようにO.J.を容疑者だと特定していったのかと、シャピロ弁護士が雇われた経緯を時系列で進めていきます。
シカゴから戻ると、どのように親指を切ってしまったかなど、事件当夜の自分の行動についてO.J.は警察に支離滅裂な話をし、その後嘘発見器で-24という結果になってしまいます。
シャピロ弁護士はそれについて”最悪な結果だ”と言いますがカーダシアン弁護士は”我々に任せてくれればいい。そんなの大したことないさ。”とO.J.を元気づけて擁護するのです。
エピソード2:「命をかけた逃走」
エピソード2では1994年6月17日に起きた悪名高いブロンコの追跡がフォーカスされています。また、O.J.の旅行かばんの中からパスポートとO.J.の友人である警官の充填された拳銃、357スミス&ウェッソンとビニール袋に入った付け髭と接着剤除去剤が見つかってしまいます。
エピソード3:「ドリームチーム」
このエピソードで印象に残るのは検察側がどれほど傲慢かということと、被告側の当初の裁判の計画がいかに逆の方向に進みねじ伏せられようとしているかということ。しかしぎりぎりの所で反論を行い回避。
(テレビで放送されると知りながら“これは計画的な殺人です”とマーシャ・クラーク検察官が協議会で発言してしまうことで、そのことが独房にいたO.J.の耳に入ってしまう。)
エピソード4:「100%無罪」
この回は裁判に挑むまでの経過についてが描かれていて、コクラン弁護士がシャピロ弁護士をドリームチームのトップに引き抜きます。一方クリス・ダーデン検察官は検察側に加わることになります。
(”こっちにも黒人弁護士が付いたわよ”これで文句ないでしょ、と言わんばかりのマーシャ・クラーク検察官。”いつの間に…”と驚きを隠せないO.J.。)
両者のパワープレーや騙し合い、やられてはやり返す、もどかしい44分が続き次のエピソードへ。
エピソード7:「陰謀説」
被告人の計画はあらゆるところで利用されていきます。例えばニコル・ブラウンがかつてコカインを使用していたことから、コロンビアの麻薬組織が殺人に絡んでいる可能性があることをコクラン弁護士が持ち出します。
一方でコクランは前妻と元愛人がテレビに出演してコクランが二重生活を送っていた過去の情事について語ってしまった時に、シャピロがはめたのではないかと責めるのです。
このエピソードでより際立っているのはクラーク検察官とダーデン検察官の関係が深くなりその後気まずくなるという点です。
ちょうどその頃、クラーク検察官はロッキンガムの殺人現場で見つかった手袋をO.J.シンプソンにはめさせようとすることをかたく禁止されていたのでした。
このエピソードは敗北感漂う音楽で締めくくられています。判決に反し、シンプソンは手袋をはめてみたが、皆さんもご承知のとおりはめるのに苦労し、被告は指を曲げて手袋が合わないことを主張したのです。
エピソード8:獄中の陪審員
O.J.の裁判のため選ばれた12人と補欠の12人を目撃することになるのです。1995年の1月、任務を果たし報告をするために、前者は8ヶ月もの間メディアからも家族からも隔離され自由を奪われ、後者は2日間拘束されました。
最終的に判断を下した陪審員はアフリカ系アメリカ9人、ラテンアメリカ人1人、白人2人でした。
犯罪学者のデニス・ファングはシンプソンのDNA鑑定を主張し、クラーク検察官は最後の切り札である科学捜査になお自信がある様子でした。しかしDNAが専門のバリー・シェック弁護士は被告側に味方し、証拠がずさんに扱われたと主張するのです。
エピソード10:「評決」
最終話でついにジョニー・コクラン弁護士は目的を達成し、オレンタール・ジェームス・シンプソンが前妻ニコル・ブラウンとその友人ローランド・ゴールドマンを殺害に関与していない、無実であることが明らかとなるのです。
キャスティングはいかがですか?
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