2019年2月17日更新

年間鑑賞本数300本のciatrスタッフが選ぶ!絶対に観てほしい映画10選

ゾンビ
©T.C.D / VISUAL Press Agency

ciatrでレビューを投稿し続けた結果、声をかけられciatr編集部で活動するようになったsouthpumpkinが「ciatrユーザーに観てほしいおすすめ映画10選」を選びました。映画選びの参考にしてください。

目次

観たが最後、あなたも囚われる

southpumpkin
southpumpkin 5

クローネンバーグの傑作。勇気を持って星5を捧げます。 古い作品ながらも、その気持ち悪さは過去の作品の追随を許しません。拳銃が手に刺さる辺りは「鉄男」がインスパイアされてる気がしますがどうでしょうか。個人的にお気に入りなのは、柔らかくなったテレビでしょうか。普段から堅いとの既成概念に囚われがちなものが歪むととても変な気分になります。 僕も完全に全てを理解したつもりは無いですが(登場人物の役割がいまいち・・・)しかし、この映画の恐怖などはなんとなくわかります。例えば、幼い頃にインターネットで見たグロテスクな画像が一生忘れられずトラウマになった場合、それがヴィデオドロームなのですよね?インターネットが浸透した現在ではより理解されやすい作品なのでは無いでしょうか。この作品が20年以上前に撮られていることに驚くばかりです。さらに公式に「リング」はこの映画に影響を受けていることが認められています。確かに形無きヴィデオドロームの具現化が貞子だと思えば納得だし、この映画の解釈のコツです。

人間はゾンビを内包しているのでは

southpumpkin
southpumpkin 5

人を襲い始めた死体から身を守るべく、夫婦と二人の兵士がショッピングモールに立てこもります。 ショッピングモールから人間が消え、ガランとした中では好きなものを食べ放題盗り放題、かと思えばゾンビに埋め尽くされて一気に地獄絵図へ。普段よく見るショッピングモールがこのような舞台になることへの目新しさは色あせることなく、さらに今後のリメイク、オマージュ作品と比べてももっとも大きなインパクトで描かれています。さすがゾンビ映画史における王者、そのすべてにおいて他のゾンビ映画の追随を許していません。 大量消費社会へのアンチテーゼ、といういまいちピンとこないテーマかもしれませんが、映画を見れば一目瞭然。ゾンビは人肉への欲望、人間は物や安全への欲望、似て非なる両者が表裏一体の存在となり、人間はゾンビを内包しているのでは、と錯覚してしまうほどです。とは言えゾンビ映画なのでチープですがホルモンがホロホロと飛び出すので鑑賞には注意です。しかし、それでも観てほしいです。 今回観たのはダリオ・アルジェント版でした。いろいろ調べてみると昔観たのはディレクターズカット版のようです。他にもバージョン違いが多く、音響や展開に差があります。ファンとしては全部観てみたいものですが・・・。

眼球に正気が感じられない演技

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southpumpkin 5

京都みなみ会館にてオールナイト上映 最高でした。パッケージとは裏腹に超絶過激です。(最近だと冷たい熱帯魚みたいです。ってかあれはこの映画にインスパイアされてるとしか…)特に前半の緊張感は尋常ではありません。ピッチピチに若い水谷豊(最高にイケメン)が相棒では見られないような尋常ではない震え方をしたかと思えば、市原悦子のありゃなんですか。目の奥が真っ黒です。眼球に正気が感じられない演技ってどういうことですか。機会があれば前半だけでももう一度みたい。 後半は地味、とも言えますがそんなことありません。心の葛藤は前半を凌ぎます。鑑賞が深夜だったにもかかわらず身体中に力が入りました。今年観た一本に、というか暫定一位です。

妄想と現実が入り混じる。もう観てられない!

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southpumpkin 5

今年観た映画top10に入れます。スコセッシ監督作品でもデニーロ出演作品でも一番です。 有名コメディアンの座を狙う男のお話。映画は有名コメディアン他に邪険にされる現実と彼がコメディアンになって活躍する妄想とが入り交じります。素晴らしいシーンが中盤とラスト。中盤に彼の別荘へ行くシーンがありますが、ここに脚本上のちょっとした仕掛けが上手く働いています。思わず手を叩いて喜びました。スコセッシは天才かと。ラストも同様に素晴らしくあれ以上無いエンディングだったと思います。この中盤とラストのために映画を撮ったと言っても過言では無いような。ネタバレ回避のためにボンヤリとした描き方ですが、ぜひご自分の目で!スコセッシはこういうのが好きなんだなあ、と思います。以降の作品にも同じのがありますね。 渋くないデニーロを初めて観ましたが、ものすごいですね。デニーロファンには外せない一本。

あのニトロ、絶対に本物だと思う

southpumpkin
southpumpkin 4.5

社会から溢れた男たちが流れ着く街、高額の報酬に釣られて男たちは集められた。男たちの仕事は爆発寸前の不安定なニトロを運搬することだった。 最高。ここ数年ずっと鑑賞したかった映画のように感じました。しばらく放っておいて、それでもこの感動が色褪せなければ星を5にしたい。そのうえでオールタイムベストに加えたいです。最高の感動でした。絵がとても汚い。ブニュエルを思わせる上品なパリのシーンなどは、その後続く泥まみれの映像に対しアクセントとなっています。スピード感皆無、緊張感マックスの運搬シーンが至高。映画なので運んでいるニトロが偽物なのは当然なのですが、その嘘をこれでもかと突き通し、本物のニトロに肉薄するスリルを味わうことができます。もうあのニトロは本物のニトロ。映画体験としてこれ以上のものはないでしょう。 大仕事で成功し、その後足元を掬われる。サラリーマンの私にとっても他人ごとではありません。この映画はすべての労働者にささげられているように思います。労働に労働を重ね、そこに金銭的な欲望などとっくに消えうせた先にあるものとは。

史上最高の追いかけっこ

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southpumpkin 5

追悼ウェス・クレイヴン 前からウェス・クレイヴンのファンを名乗っているのですが、本作がなかなかレンタルできず歯がゆい思いをしていました。この度ようやく鑑賞で、ここにきて最高傑作に巡り会いました。ありがとう、ウェス・クレイヴン。 悪いおっさんにけしかけられて大家の豪邸に忍び込むことになった少年が豪邸でひどい目に遭う、という話。序盤こそ全く期待していませんでした。少年が主人公である以上あまりに過激な演出が無いのでは、とも思いましたが全くの杞憂。MIシリーズでおなじみヴィング・レイムスがぶっ殺されてからどんどん怪しくなってきます。あれこの映画ちょっとすごいかも…。と思い始めたが最後、むちゃくちゃに強い犬、ヒステリックなババア、そして全身ボンデージで侵入者を狙うおっさん…、たちと壮大な追いかけっこが始まるのです。『スクリーム』で確立し、ウェス・クレイヴンの代名詞となった追いかけっこの源流を垣間見ました。そして少年が出会う、ババアとおっさんに監禁された少女、そしてゾンビ化した人々。少年のみ命からがら逃げ出すものの、少年は再び彼らを助け出すために家に忍び込むのです。もうわかったでしょうか、2015年の大傑作『マッドマックス 怒りのデスロード』そのものなのです。ゾンビ化した人々はウォーボーイズにしか見えないし、少女はフュリオサにしか見えなくなってしまいます。そして完全にマッドとなった少年。役者と舞台が完全に揃っているのです。例えるならば『怒りのデスロード』と超過激『ホーム・アローン』を足して二で割った映画を『スクリーム』直前で最高に脂ののったウェス・クレイヴンが初期の『鮮血の美学』並みのマッド演出で描く!!!!どうだ!!!!これはもう観るしかないでしょう!!!!!!!

父、子、そして信仰…。

southpumpkin
southpumpkin 5

石油の採掘家の半生。久々の星5。 大きなポイントとなるのは「息子の存在」と「資本主義と宗教」と言えます。自身を人間嫌いだ、と豪語する男は子供に対してとりわけ自分の息子に対してのみ優しくする。その理由は資本主義的に言えば投資なのです。息子に石油の匂いを嗅がせ、採掘の現場を見せ、自分の跡取りとさせようとした。様々な原因で、うまくはいかないのですが、ラストの激昂も自分への未練を断ち切らせるための優しさだと捉えれば、結局主人公の資本主義の勝利と言えます。賢い息子は、父のその優しさに気づくことができたのでしょうか。僕は出来たのだと思います。 その主人公と対極にある存在が「宗教」でした。その土地に根付いた怪しげな宗教(いかにも園子温に出てきそう)は利益ばかりに目をくらませるものを悪とする。簡単に言えば宗教のために金を稼ぐのか、金を稼ぐために宗教をするのか、というわかりやすい対立構造が物語で発生します。最終的にどちらが勝つのか。これも主人公のラストの展開、そしてラストの言葉ですべて判明します。そしてその勝敗と真逆の皮肉な末路。渋くもあり、滑稽でもあり、それでいて深い。 PTA作品の中では最も良かった。一人の人間の栄光を描いたという意味では『ブギーナイツ』っぽくも映像は『パンチドランク・ラブ』っぽい。作風が洗練されてきていますね。間違いなく傑作です。

イザベル・アジャーニから汁が出る!

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southpumpkin 5

まだこんなにすげえホラー映画を観ていなかったなんて…。生涯ベスト級の驚きと感動がありました。 長い単身赴任から帰ってきた夫は、妻に違和感を覚えます。問いただすとやっぱり浮気。すぐに浮気相手を見つけますが、どうやら別にもいるようで。どんどん狂気に捉われていく妻に、次第に夫の心も乱されていきます。 何と言っても恐ろしいのがイザベル・アジャーニ、サム・ニールらの至極の演技。これまでに観た映画の中で最も狂っていた『こわれゆく女』ジーナ・ローランズを凌ぐ狂いっぷり。本当に美人な女優さんで日本人受けも良さそうな顔立ちですが、崩壊する理性を繊細かつ豪快に演じています。体からジュルジュルに漏れ出すアレも、本当にイザベル・アジャーニから漏れ出しているようでした。これにサム・ニールが演技力で食い殺されていないのがすごい。十分な見応え。 さらに見事なのがこの世界観。西ドイツを舞台にし、ベルリンの壁と思しきものもあるが、街にはほとんど誰もいない。洗練されたカメラワークと美しい画面構成も相まってどこか退廃した近未来の設定を思わせます。異常な世界観の構築から人間的の心理面での軋轢を描いているのです。かと思えば、急転直下でオカルトホラーへ。すごい!すごい!と手を叩いてしまいました。鑑賞後も何一つ意味が理解できません。ただ恐ろしくものすごいものを観てしまった強烈な感覚と、どんよりと心に何かが溜まっているような感覚を得られます。女の寂しさの果て、とはこういうことなのでしょうか。

本当に許されざる者は誰か。

southpumpkin
southpumpkin 5

暴力に溺れ暴力から逃れることができないガンマンが賞金稼ぎにとある街にやってくる、という西部劇のテンプレートをなぞった作品でありながら、随所に意味深長なシーンを挟んで実に味わい深くしたクリント・イーストウッドの傑作でした。久々に難解な映画を鑑賞したので独自に解釈を進めたいと思います。 脇役として登場した小説家にこの作品を読み解くヒントがあるのだと感じました。この作品には「伝説」の歪みに対する皮肉が込められていると思います。登場するガンマンの多くは登場してすぐこそ各々に名の知れたガンマンであることを仄めかします。キッドもネッドもボブも保安官も、そしてイーストウッド演じるマニーもです。当然今までの西部劇であれば腕利きのガンマンたちが打ちあう絵を想像するのですが、そうならないのが本作。キッドは近視だし、ネッドは年老いてもうダメ、ボブは嘘つきだし、保安官もマニーを目の前にして何もできない。現実には「西部劇」ほど甘くなく本人や他人の誇張により伝説化されてしまうのです。その伝説を語り、「西部劇」を作るのが小説家の役目なのです。マニーは確かにラストシーンで激しい銃撃戦を制しました。しかしそれは親友であるネッドを殺されたことによる復讐なのです。悪はマニーにあり、保安官は善であったのです。しかし、マニーの行いは小説家によって「憎き保安官を殺したヒーローである」とされ「西部劇」になるのです。つまりこの作品は西部劇でありながら「西部劇」の存在を考え直す、言わば”脱構築”をしているのではないでしょうか。ここまでくれば本作が「最後の西部劇」と言われる所以に辿りつくと感じました。「許されざる者」とは小説家であり、大衆なのではないか…! 以上適当なことを書きました。この傑作の解釈は自身の目で確かめた方がいいかもしれません。 とても気に入った作品になりました。勇気を持って星5にしたいと思います。

張り巡らされた凄まじい伏線と鮮やかな回収

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southpumpkin 5

見事なアクション娯楽大作。130分を超える長尺も余裕で耐えます。アクション映画では類を見ないレベルの丁寧な伏線が張られています。最初の飛行機のシーンからもう伏線が張られ始めているんです。「あの時隣にあいつが居なければ…」となるわけ。クリスマスに何度でも観られる理由は、観れば観るほど発見できる伏線があるからでしょう。実は僕も今回が初めての鑑賞ではなかったのですが、飛行機のシーンにはもう一つ伏線があったことに気づきました。 アラン・リックマン演じる悪役のキャラクターも非常に魅力的。アクション映画を観ていると、まぬけな敵をバッサバッサとなぎ倒していく主人公なんかが描かれます。しかし本作の敵が明らかにキレ者。知的で冷静で仲間思いなのです。ジョン・マクレーンとハンスが偶然対峙するシーンの機転の利き方、その描き方!『オーシャンズ』なんかで「こいつが盗みに入ったら絶対成功するだろ…」みたいな泥棒が敵なのです。個性の違う二人の実力がギリギリのところで戦いをするのが良い。だからこそあのハンスのラストシーンで声が出るんですね。映画史に残る悪役としてもいいかと思います。

10作品選んだのはciatrまとめ編集者のsouthpumpkin

ciatr使いすぎて、いつの間にか中の人になっていました。

性別:男 年代:20代 年間映画鑑賞本数:300本 好きな映画ジャンル:ホラー、サスペンス