【映画ニュース】『関ケ原』完成披露イベントで主要キャストが制作秘話を語った!
岡田准一、東出昌大、役所広司らが、戦国武将の意外な一面を熱演。
天下分け目の合戦を描き、今夏の超大作時代劇となりそうな映画『関ヶ原』。その完成披露イベントが7月18日に行われ、監督と主要キャストたちが本作について熱く語りました。 主演の岡田准一が演じるのは、関ケ原の合戦で西軍を指揮した石田三成です。 「純粋に正義とは何かを考えた三成。現在の日本にはこういう人が欲しいんだ、という思いに浸れると思います。家康は随分評価されているし、秀吉もどうでもいいんですが……。三成は今こそ、という感じがありますね」(原田監督)。 「(本作を通じて)三成の評価が今後変わっていけばいいな、と。実は、三成公のお墓の前で『喜んでもらえる役柄を演じます』と誓って、この撮影に臨みました。人間らしく、いろんな側面がある三成をご覧頂きたいですね」(岡田)。 そして三成に敵対する東軍の総大将・徳川家康を演じるのは役所広司。 「今回の映画の中で、三成とは逆のキャラクターでいたいと思いました。家康の魅力は、やっぱり度量の広さ。部下の意見を先に聞くところや我慢強さは、会社社長や企業戦士が見ると、いい手本になるはず」(役所)。 さらに東出昌大演じる合戦のキーマン・小早川秀秋は、これまでにあまりクローズアップされなかった彼の内面が丁寧に描かれている様子。 「小早川は秀吉の奥さんのお兄ちゃんの七男に当たります。当初は秀吉に可愛がられたものの、秀吉に実の子が生まれたら『あっちに行け』と、小早川家に行かされるという、自分の生まれを呪っている人物です。その精神的な揺れを含めた新しい魅力を原田監督が深めてくださった。この小早川に出会えたのは嬉しかったですね」(東出)。
時代劇初挑戦の有村架純。三成演じる岡田をひと刺し!?
三成に仕える忍・初芽を、今回が時代劇初挑戦という有村架純が演じているのも本作の見所です。 「すごく戸惑いはありましたし、所作とかアクションとかもあって難しいところがありました。けれど、原田監督をはじめ、素晴らしいキャストの方々に囲まれて、刺激的な撮影を送ることができました」(有村)。 「有村さんは、これだけ活躍されているのに『時代劇は初めてなので勉強したい。いろいろ分からないことがあるんで教えてください』ということを、すごくおっしゃっていたんです。それがすごいな、と思って。あんまり言えないじゃないですか。素敵だなと思って見ていました」(岡田)。 アクションシーンは舞台でしか経験したことがなかったという有村。三条河原のシーンでちょっとしたハプニングがあったとか。 「映像で忍びとして短刀を持って戦っていたんですけど、岡田さんのおでこにポンッと刀を当ててしまって。その時は冷や汗が止まらなかったです。申し訳ありませんでした(苦笑)」(有村)。 「ちょっとタイミングがずれちゃったみたいで、架純ちゃんに切られちゃいました(笑)。その後は、切られたのをごまかしながら芝居続けています。見ている人には全然分からないと思いますが」(岡田)。
伊藤歩に絡み付くのは、原田監督がオーダーした本物のヘビ!
東軍に仕える伊賀の忍・蛇白を演じるのは、映画版『昼顔』での怪演で話題の伊藤歩。本作には蛇白という役名にちなんでヘビと絡むシーンが出てくるよう。 「実は、本当の蛇を持って登場しています。撮影の途中で『本物?』と監督に聞かれたのですが『え? 監督、本物でやってくださいって言いましたよね?』みたいなやり取りもありました(苦笑)」(伊藤)。 本編からはカットされたものの、当初、懐にヘビが入って登場するシーンもあったとか。 「その際は、ずっと懐から出てこなくて。住みやすかったみたいで、出すのが大変でした。ヘビが私に懐いてくれて、楽しい撮影でしたね」(伊藤)。 「すごく小さなヘビなんですけど。伊藤さんは『そのまま持って帰りたい』って(笑)」(原田監督)。 「撮影前日に対面して、ヘビ使いの人に指導された時に『噛みますか?』と聞いたら『(撮影のために絶食させていて)ちょっとお腹空いているので、噛むかもしれません』って言われたんですけど……(苦笑)」(伊藤)。
スタッフすべての力が結集した『関ヶ原』は見どころは満載
配給元の東宝で行われた初号試写の際には、「黒澤明の『七人の侍』に負けずとも劣らない素晴らしい作品が出来ました」と原田監督が宣言したと、前田利家役の徳馬徳馬は言います。 「ラグビーの世界で『One for All. All for One.』という言葉があります。『ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために』ということで、岡田くん演じる三成がシンボルマークにした『大一、大万、大吉』にも同じ意味があるんです。この映画もまさにそう。みんなが頑張ってできた作品だと思います」(西岡)。 「本当に緊張感ある現場でした。ほかの作品で戦闘シーンで端の方見ると、たまに楽しそうなエキストラが映っていたりします。だから現場では『笑わないでください~』となることがよくあるんですけど、それが必要なかったくらい、この映画は誰ひとり笑っていない。歴史好きな方が集まって頂いて、みんなで関ヶ原が撮れた」(岡田)。 「エキストラの方の動きというのが素晴らしくて。槍を持った人たちが戦っている姿が、多々映し出されます。役者のみならず、そういう方たちの力によってこの映画ができたんだなと、試写を見て実感しました」(伊藤)。 三成とともに戦う島左近役の平岳大は映像の美しさを絶賛。 「普段は入れないようなところに入ってのロケもあり、本当に、この美しい国はどこなんだろう、と思うくらい美しい映画になっていると思います。この映画は出演者、スタッフみんなの情熱とエネルギーが本当に凝縮した映画だと思いますので、見どころ満載。新しい発見がいろいろあって、何度見ても面白い。僕はもう2度見たんですが、2度泣きました」(平)。 原田監督作の映画『クライマーズハイ』で世に出てこられたという思いがあり、相当な気合いを入れて撮影に臨んだという豊臣秀吉役の滝藤賢一によれば、物語のスピーディな展開にも圧倒されるとか。 「秀吉の特殊メイクには、4、5時間掛かっています。暑い季節の中で着物をたくさん羽織ったりして、とても楽しかったですね。脚本の時点でものすごく面白かったんですけど、映画になってさらに面白くなっている。駆け引きというか、腹の探り合いみたいなのが、すさまじいスピードで進んでいく。試写を見て、本当に面白かったです」(滝藤)。
原作ファンのキャストも認める納得の出来
原作は故司馬遼太郎さん作の『関ヶ原』(新潮文庫)。単行本・文庫本を合わせて累計発行部数が620万部を超えるベストセラーです。原作ファンの東出も、映画の再現度に太鼓判を押します。 「原作が上巻、中巻、下巻にわたって石田家の何々とか、徳川家の誰々とか、すごくたくさんの人物が出てきます。今回の映画を見るとその中の一人ひとりの人物造形が、すごく細やかで、一人ひとりが生きてると感じる映画になっています。僕は原作ファンのひとりとして2回、3回、見たいな、と思うし、決して分かりやすすぎず、難しすぎない映画になっているのではないでしょうか。ほかの原作ファンも『あ、これだ。関ヶ原は!』と思える作品になっていると思います」(東出)。 岡田も原作ファンのひとりだそうで、原田監督と一緒に仕事ができたこと、そして作品に対しての思いも強いとか。 「若い頃、時代劇ができる俳優になって欲しいと、先輩とかにすごく言って頂いていました。やっとその先輩方に見て頂きたいなと心から思える時代劇の本格エンターテインメント作品に出れて、しかも原田監督に撮って頂けたと。出れたことに涙が出ます。出演できて本当によかったと思える作品ですね」(岡田)。
キャスト一同が傑作だと語る『関ヶ原』は、8月26日より全国ロードショーです。