2018年3月4日更新

ドラマ『カルテット』が視聴者を惹きつけた魅力13選【キャスト・ネタバレ含】

このページにはプロモーションが含まれています

AD

大人のラブミステリードラマ『カルテット』【ネタバレ注意】

2017年1月から3月まで、TBSの火曜ドラマ枠で放送されたドラマ『カルテット』。主演は松たか子、満島ひかりや高橋一生、松田龍平の共演で注目を集めました。 本作は、秘密を抱えた30代の男女4人がカルテット「ドーナツホール」を組み、軽井沢でルームシェアをする人間ドラマです。それぞれが持つ心の穴や生き辛さ、人生の機微を繊細かつ丁寧に描き、"視聴率以上の価値がある"と絶賛されました。 平均視聴率は9.8%と振るわなかったものの、大人向けの良質な作品として、熱狂的ファンを獲得した『カルテット』の魅力をご紹介します! 記事ではストーリーに関わるネタバレを含んでおりますので、まだ観ていない方は注意してください。

『カルテット』の動画を観たい方はこちら!

2018年、年明けにドラマ『カルテット』の再放送が決定!

ファンに朗報!2018年1月3日にドラマ『カルテット』が一挙再放送されます。ドラマを観たことのある人も、観たことがなかった人も是非チェックしてみてください!

1.ドラマ『カルテット』を盛り上げた主演キャストの魅力

第1ヴァイオリン奏者の巻真紀/松たか子

巻真紀は声がかなり小さく、極度の心配性で自分に自信が無い性格です。かつてはプロの演奏家を志しており、4人の中で唯一プロの演奏経験があります。 ドラマのストーリーが始まる3年前に幹生と結婚しましたが、飾らない関係を求める真紀とそうではない彼の間にすれ違いが生じ、夫は1年前に失踪。作中で離婚が成立し旧姓の早乙女真紀に戻ったものの、実は山本彰子という名の別人だと発覚しました。 彰子は事故死した母の再婚相手に預けられ、日常的に虐待を受けていたのです。300万円で早乙女真紀の戸籍を購入し、行方を眩ませた後に幹生と出会ったのだとか。最後は警察に任意同行を求められ、メンバーにも真実を打ち明けました。 そんな真紀を演じたのは、歌手としても活躍する実力派女優・松たか子です。 2014年に大ヒットを記録した、ディズニー映画『アナと雪の女王』に声優として出演し、担当した劇中歌「レット・イット・ゴー」も大きな話題に。その他の代表作には、月9ドラマ『HERO』シリーズ、映画『告白』などがあります。

AD

2.満島ひかりの演技と相まってキャラクターの魅力が倍増!

チェロ奏者の世吹すずめ/満島ひかり

世吹すずめは、"人類最大の発明は布団"と思っているほどの二度寝好き。ストリート時代に真紀の姑・鏡子に声を掛けられ、彼女の依頼で真紀を探っていました。 かつて超能力者として世間にもてはやされたものの、実父の詐欺だと発覚後は様々な苦悩を経験し、父とも疎遠になったとのこと。チェロだけがすずめの友達であり家族でしたが、父を看取らなかったことを肯定してくれた真紀と固い友情を築きます。 想い人である司には諭高が好きだと偽っており、司の真紀への一途な想いを察して、2人の仲が成就するよう画策していました。 すずめ役の満島ひかりは、園子温監督作『愛のむきだし』で注目を浴び、ドラマ『Woman』では多数の主演女優賞を獲得した実力派。本作でもわずかな仕草、視線だけですずめの繊細な心情を表現するなど、実力を如何なく発揮しました。

3.世の女性を虜にしたキーパーソン!

ヴィオラ奏者の家森諭高/高橋一生

家森諭高は軽井沢の美容室勤めですが、美容師資格は持っていません。35歳にしてアルバイトのバイトリーダーで、何事も持続しない一風変わった人物です。 女性にモテるものの、こだわりが強く理屈っぽい性格が災いして長く続かないそうです。実は離婚歴があり、元妻・大橋茶馬子との間に光大という息子がいます。息子を愛する一方で茶馬子をピラニアと呼んで憎んでおり、現在はすずめに片思い中です。 諭高も目的があって真紀に近付き、怪我で入院中に同室の幹生から「妻にベランダから突き落とされた」と聞いて、その件で真紀を強請る算段でした。 少しめんどくさい諭高を演じたのは、ジブリ映画『耳をすませば』の天沢聖司役の声優としても知られる高橋一生。2017年は本作、NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』の好演が評価され、イケメン俳優として大ブレイクしました。

AD

4.ギャップ多きドラマ『カルテット』の名キャラクター

第2ヴァイオリン奏者の別府司/松田龍平

別府司は世界的指揮者を祖父に持ち、プロ揃いの「別府ファミリー」に生まれました。司自身はプロに進まず、「ふくろうドーナツ」の社員として働いています。 人生で怒った経験がなく、破天荒な自由人への憧れを募らせていた時、カラオケボックスで出会った3人とカルテットを組むことに。これも偶然ではなく、大学生時代に一目惚れした真紀への告白のタイミングを逃し、ストーカー化していたのです。 司は祖父の別荘を共同生活の場として提供し、共に暮らす真紀に告白します。1度目は一蹴され、2度目は「ありがとう」と言われたものの、片思いのままでした。 司を演じた松田龍平は、故・大島渚監督に才能を見出され、NHK朝ドラ『あまちゃん』の水口琢磨役で人気を博しました。独特の存在感を武器に、映画『舟を編む』では主演を務め、国内の映画賞で主演男優賞を総なめにしています。

5.緻密に構成された先の読めないストーリーがすごい!

幹生←真紀←司←すずめ←諭高という、全員片思いの純粋な恋愛ドラマかと思いきや、根幹にあるのは謎が謎を呼ぶミステリー要素!真紀の夫殺害疑惑を軸に、すずめたちが真紀に近付く目的、それぞれの嘘が少しずつ明らかになりました。 さらに、何でもないような視線、台詞にさえ細かな伏線が潜んでいるのです。視聴者はすずめの口癖「みぞみぞする」を真似つつ、SNS上で考察を繰り広げたのだとか。とにかく先の読めない展開なので、ファンの数だけ物語が誕生していきました。 謎と仕掛けが潜む緻密な脚本は、視聴者が物語を受け止めるだけでなく、自ら参加する新たな楽しみ方を生んだと言えるでしょう。

AD

6.『カルテット』で実力派俳優4人が繰り広げる絶妙な会話劇

劇中の大部分を占めるのが、4人が別荘で軽口を叩く日常シーンです。会話の内容は"から揚げにレモンをかけるか"など、ムダ話のようなものが大半。しかし、キャッチ―な台詞と俳優4人の絶妙な"間"が心地よさを生み、視聴者を惹きつけました。 それぞれの嘘が判明する毎に、言葉の応酬一つ一つにも緊張感が生まれ、観る側は行間を読もうとして深読みにハマってしまうのです。 ただの日常会話に見えて、から揚げにレモン論争が真紀の過去に関する発言へ繋がるなど、重大な伏線も潜んでいました。爆発的な盛り上がりは無くとも、脚本家・坂元裕二の手腕と実力派俳優の本領が充分に発揮された会話劇と言えます。

7.吉岡里帆など脇を固めるキャストの好演

注目の若手女優・吉岡里帆は、魔性の女こと来杉有朱役で出演し、メインの4人にも劣らない存在感を発揮したと話題でした。 有朱は地下アイドルの経歴を持ち、異性を誘惑する術を熟知しています。他人の心を弄び、会話中でも一切目が笑っていない悪女キャラクターです。吉岡は最後まで改心せず、視聴者を大いに恐怖させ、時にムカつかせた役を見事に演じました。 また、物語のキーパーソン・幹生を演じたのは、脚本家の宮藤官九郎です。NHK朝ドラ『あまちゃん』などの名作を生み出す一方で、俳優として多数の作品に出演。脚本家のイメージが強いですが、本作でも味のある演技を披露しています。 そのほか、真紀の姑・鏡子役のもたいまさこ、有朱のバイト先の店長を演じたお笑い芸人・富澤たけしなど、脇役キャストも高い評価を得ました。

AD

8.賛否両論?多くの謎と疑問が残された『カルテット』最終回

最終回では、真紀が警察の任意同行に応じてから1年後が描かれます。再会したカルテットは、真紀の提案で大ホールでコンサートを開催することに。ワゴン車で「For Sale」と看板が立つ別荘を後にし、会場へ向かうシーンで幕を閉じました。 いわゆる後日談的なもので、注目されていた謎、疑問はそのままでした。 さらに、諭高と司が下の名前で呼び合ったり、帽子を被った女性の正体などなど……。1年の空白と最終回で増えた謎もあり、新たな考察が加熱したのです。 この結末に「中途半端でよくわからない」などの意見もある一方、「はっきりしないのが『カルテット』らしい」と、絶賛する声が多かった様子。最後まで読めない展開が新鮮で、このドラマには相応しいと支持されました。

9.深読みから生まれた時間軸ズレてる問題とは?

深読みが行き過ぎた末の騒動が、時間軸ズレてる問題です。視聴者の盛り上がりと解釈の多様さは、つくり手の予想を遥かに超えていました。 第6話の放送後、諭高と司のスマートフォンに表示された日時が第5話よりも前だったため、時間軸が前後したのでは?と言及された模様。視聴者は出来事を時系列表にしたり、カレンダーの日時といった例を挙げ、深読みが拡散され始めました。 これを受けて、プロデューサーが公式Twitterで「単純なミスであり、時間順に進んでいます」と釈明する異例の事態でした。作り手の技が巧妙なあまり、全てが伏線に見えてしまうという、本作ならではの騒動ではないでしょうか。

AD

10.『カルテット』の脚本は人間ドラマの名手・坂元裕二

脚本を手がけた坂元裕二は、ドラマ『東京ラブストーリー』や『Mother』、満島ひかり主演の『Woman』で有名な人間ドラマの名手。シリアスな空気の中に、可笑しさや人間の滑稽さを織り交ぜた作風が持ち味と言われています。 時代性を的確に捉え、女性差別やシングルマザーの過酷さといった、社会問題をテーマにした重厚な作品を発表してきました。2016年には、月9ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』で、介護現場の実情や格差社会を描いています。 一方で本作はあまり重苦しくなく、キャラクターもどこかコミカルで、落ち切る前に誰かが救いあげてくれるような作品だそうです。

11.視聴者の胸に刺さる詩的な名言の数々

坂本裕二の脚本の魅力は、リアリティがありながら非常に詩的な名言です。 独特の感性から紡がれる言葉は、時代ごとの視聴者の胸に刺さるものでした。大人のラブミステリーとして、より間口を広げた本作でも魅力を存分に披露しました。 そこで、視聴者に好評だった『カルテット』の名言をいくつかご紹介します。

夫婦って、別れられる家族なんだと思います

司に「夫婦って、何ですか」と問われ、それに答えた真紀の台詞。夫婦と言えど元は血の繋がらない他人、きっかけがあれば別れてしまうのも真理です。 視聴者の中では、"夫婦ほど別れやすい家族はいない"と、目を背けていた事実を突きつけられたとの声も上がっていました。同枠の全クール作『逃げるは恥だが役に立つ』が、偽装の夫婦が本当になる過程を描いたため、その落差にも衝撃を受けたようです。

AD

レモンするってことはさ不可逆なんだよ

断りなくから揚げにレモンをかけたすずめと司に対して、諭高が言った台詞です。 たとえ小さなことでも、起きてしまったことは二度と元には戻りません。真紀も人生に絶対は無いと言い、まさかということは起こると同意します。後悔してももう遅いと知りながら、いつまでも引きずってしまう経験は誰にでもあるでしょう。

人間関係ってどれもズボン履いてるけどノーパンみたいなことじゃないですか

真紀とすずめと、浮気について話していた時の有朱の台詞です。浮気は絶対にダメだと言う真紀に、「バレないようにしてくれたらいい」と返しました。 すずめが「ズボン履いてるけどノーパンってことですよね」と漏らすと、有朱は"人間関係はそういうもの"と言い放ちます。裏を内側に秘めつつ、表面は何もないかのように振る舞うおとなという存在を、見事な言い回しで表現しました。

12.椎名林檎プロデュースのED曲「おとなの掟」

エンディング曲「おとなの掟」は、松たか子らによる番組限定ユニット「Doughnuts Hole」の楽曲で、作詞・作曲を椎名林檎が担当しました。レトロな雰囲気が漂うMVは、ドレスをまとった女性陣と花を添える男性陣のただならぬ色気が印象的です。 キャッチコピーの「嘘つきはオトナの始まり」「全員片思い。全員嘘つき」などと同じく、歌詞には"おとな"や"嘘"が盛り込まれました。 中でも「自由を手にした僕らはグレー」からは、大人とは白黒つけないことで、本作のテーマでもあると解釈する説があります。意味深な歌詞が劇中の台詞、キャラクターの心情と深くリンクして聴こえるのも、この楽曲の魅力なのでしょう。

AD

13.ドラマ『カルテット』がコンフィデンスアワード・ドラマ賞で5部門を受賞!

コンフィデンスアワード・ドラマ賞は、オリコンのグループ会社「oricon ME」が発行する、エンタテインメント情報誌・コンフィデンス主催の賞。同社の独自調査により、有識者と視聴者の双方から支持を得た"質の高いドラマ"が表彰されます。 第7回の審査対象は、2017年1月期に放送された地上波ドラマ計29作品です。本作は作品賞を始め、松たか子が主演女優賞、高橋一生が助演男優賞、坂元裕二が脚本賞、吉岡里帆が新人賞に輝き、全7部門中5部門を受賞しました。 同賞のほか、ギャラクシー賞(3月度月刊賞など)、第92回ザテレビジョンドラマアカデミー賞(作品賞など6部門)も受賞しています。 ドラマ『カルテット』は様々な仕掛けが実を結び、視聴率が全てではないと証明しました。