2018年3月4日更新

朝ドラ『べっぴんさん』の視聴率が右肩下がりになったワケとは。『ひよっこ』にも影響?

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べっぴんさん

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NHK朝ドラ『べっぴんさん』の評価とは?【ネタバレ注意】

アパレルメーカー・ファミリアの創業者がモデル

2016年10月から2017年4月にかけてNHKで放送された朝の連続テレビ小説『べっぴんさん』。アパレルメーカーとして著名なファミリアの創業者・坂野惇子をモデルにしたドラマです。 ヒロインに選ばれたのは2261人のオーディションを勝ち抜いた芳根京子。朝ドラの出演は2014年の『花子とアン』に続いて2度目となります。 戦後の混乱期の神戸や大阪で、子供服づくりに信念を持って取り組んだヒロインの成功物語ですが、視聴率は徐々に下り坂となり、視聴者からの辛辣な意見もネット上に氾濫するようになりました。なぜそのような結果になってしまったのか?詳しく検証していきましょう。

ヒロインのキャラクターが朝ドラ向きでなかった?

朝ドラのヒロインといえば明朗快活なイメージがあります。どんな逆境にもくじけず、前向きに困難に立ち向かってゆく女性の姿に、視聴者は自分を重ね、応援したくなるのです。 ところが『べっぴんさん』のヒロイン・坂東すみれは、このキャラクター像には当てはまりません。 裕福な家庭で育った彼女はおっとりとした性格で、自分の意見を言うのが苦手。典型的な「お嬢様」タイプなのです。主体的に逆境に立ち向かうことの少ない、恵まれた環境で育つヒロインの煮え切らない態度は、一部の視聴者の反感を招く要因ともなりました。

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『べっぴんさん』は脚本がつまらなかった?

ドラマの骨子となり、作品の出来を左右するのが脚本。本作の脚本家は『泣かないと決めた日』『ファーストクラス』などの話題作を手掛けてきた渡辺千穂です。しかし、その脚本にも批判が多く寄せられました。

ドラマの展開が早すぎる

主人公・すみれの女学生時代のエピソードがあまりにも早い展開で描かれてしまい、結婚、妊娠、出産、夫の出征など人生の節目であろう重大な出来事も1週間ほどで一気に放送されました。 観ている方が追いつくのに苦労する、急なドラマの進行に戸惑った視聴者が多いようです。感情移入がしづらく、のめりこめないドラマの展開は、視聴率低迷の一因といえるでしょう。

ストーリーが暗い

本作は戦中から戦後という日本全土が大変な思いをした時期を描いたドラマです。その分、暗いエピソードが多く、「朝から気分が落ち込む」という、朝ドラならではの批判もネット上に多く見受けられました。 さらにヒロインが困難にさらされた時、必ず誰かが救いの手を差し伸べ、簡単にピンチを乗り越えてしまい盛り上がりに欠ける、との指摘も多いです。ドラマの起伏が少ないというのが、テンポの悪さを感じさせるようです。

キャストが高齢に見えなかった?

主人公の坂東すみれを演じたのは、撮影当時19歳の芳根京子。60歳前後と老齢に達したヒロインを演じるに、多少無理があったのは否めません。 彼女の演技というよりも、その見た目に違和感を感じた方が多いようです。肌の質やシワのなさ、白髪のなさなど、メイクで補填できるのでは?と視聴者に思わせてしまったところが、違和感を助長してしまったポイントです。 芳根京子以外にも、百田夏菜子、土村芳、谷村美月など、主要キャストは20代前半から20代半ばの俳優が多く、服装や演技のみで高齢の人物を表現しても、視聴者には伝わらなかったようです。

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『べっぴんさん』の気になる視聴率は?

そんな批判の多い『べっぴんさん』ですが、ドラマ全体の平均視聴率は20.3%を記録しています。これは朝のテレビ小説としては良くも悪くもない数値と言えます。 しかし、23週以降の終盤にかけて平均視聴率は20%を下回り、最終回では関東地区で19.8%、関西地区で18.0%と、2009年の『ウェルかめ』以来の7年ぶりの低視聴率を記録します。 最終回にかけての盛り上がりがなく、あっさりと主人公が難題をクリアしてしまうストーリーに、がっかりした視聴者が離れていってしまったのかもしれません。

『べっぴんさん』のバトンを受けた『ひよっこ』の災難?

『べっぴんさん』からのバトンを受けて2017年4月からはじまった朝ドラ『ひよっこ』。有村架純を主演に向かえ、注目度の高い作品でしたが、初回視聴率は19.5%と、20%を下回るスタートとなってしまいました。 これには前作である『べっぴんさん』の影響が関係者から指摘されています。 NHKの朝ドラのファンは固定した層が多く、毎日習慣的にテレビをつけ半ば時計代わりにドラマを視聴しています。 その固定していたファンが、『べっぴんさん』により離れてしまったことが、『ひよっこ』低迷の要因として考えられているのです。 記録的な低視聴率を叩き出してしまった朝ドラ『べっぴんさん』。実在の人物をモデルにし、これまでにないヒロイン像を提示しようとした意欲作ですが、その物語はうまく視聴者に届かず、多くの支持を得ることは叶いませんでした。