『女王の教室』が大ヒットした理由とは。他の学園ドラマとは一線を画す名作に迫る。

2017年9月11日更新

2005年7月に放送された学園ドラマ『女王の教室』。鬼教師と生徒の戦いを描いた物語で、ドラマ内容に過激な描写が多いことから放送当時は賛否両論の議論が巻き起こりました。この記事では『女王の教室』がなぜ大ヒットしたのか、その理由に迫ります。

放送当初から多くの議論を巻き起こした人気ドラマ『女王の教室』

『女王の教室』は日本テレビの土曜ドラマ枠で放送された学園ドラマで、2005年7月2日から9月17日まで放送されました。物語では半崎小学校6年3組のクラスを舞台に、鬼教師の阿久津真矢と生徒たちの1年間の戦いが描かれています。 過激な描写が多い本作ですが、そのテーマには一貫して生徒の成長が描かれており、現代社会の闇に対する強いメッセージが込められています。問題作でもある本作がヒットを記録するにいたった理由、その魅力を他の学園ドラマと比較しながら紹介します。

他の学園ドラマではありえない!教室を支配する冷徹な鬼教師

従来の学園ドラマでは、教師が生徒に対して熱心に指導をして夢や希望を与えるというのが一般的でしたが、『女王の教室』ではそんなものは一切ありません。教師が生徒たちを冷たく突き放し、そればかりか現代社会の理不尽な現実を突きつけてくるのです。 ドラマの中で阿久津真矢は、クラスの決めごとを全て毎週行うテストの成績順位で決定させ、最下位の2人には代表委員という名の雑用係をさせています。また第4話では、クラスの人気女子生徒の弱みを握り、スパイのようなことまでさせています。ここまで来るともはや教師とは思えません。 阿久津の真の狙いは、生徒たちに「問題を自分で解決できる力」や「自立心」を培わせることでした。6年3組の大きな「壁」として立ちはだかり、自分と戦わせることで生徒たちを成長させようとしたのです。この教師としての在り方が、他の学園ドラマとの大きな相違点であるといえます。

PTAから名指しで批判されるなど、視聴者から多くのクレームが寄せられるように

『女王の教室』はドラマの内容に過激な描写が多く、ドラマを観た視聴者からクレームを寄せられることが多々ありました。PTAなどの団体から名指しで非難されることもあり、事態を受けた番組スポンサー各社は提供クレジット表示を自粛するようになります。 このためドラマの第5話から第8話のクレジットは全スポンサーのクレジットが非表示という、日本のドラマでは異例の事態が起こっています。スポンサーからクレジット表示を自粛されてもなおドラマの方針が変えられることはありませんでした。

ストーリーで描かれる、主人公の阿久津や子供たちが抱える深い闇

阿久津真矢はドラマ本編では冷徹な鬼教師ですが、新米教師の頃は明るく優しい笑顔の絶えない教師でした。しかし甘過ぎる指導方針が仇となり、彼女は教員の座を追われることに。さらには退職後に授かった子供の翔を事故で失うなど、つらい出来事が重なります。 その後一度は自殺を図ろうとするものの、再会したかつての教え子を叱咤激励し立ち直らせたことがきっかけとなり、阿久津は教員生活をやり直すことを決意します。この時から阿久津の鬼教師としての道は始まったのです。

6年3組に登場する生徒にも、心に闇を抱えた人物が何人も登場します。真鍋祐介は普段はおちゃらけた態度をとる男の子ですが、男遊びの激しい母親に捨てられたという悲しい過去があります。進藤ひかるも、父や親友に関するある出来事から母親や周囲に対して心を閉ざしていました。 生徒たちは阿久津との戦いの中で、自分自身とも戦うことで強く成長していきます。最終話の卒業式では、自分の中の闇を克服した子供たちの明るい笑顔を見ることができます。

ドラマの主演には元宝塚女優の天海祐希と当時新人俳優の志田未来が出演!

『緊急取調室』天海祐希
(C)テレビ朝日

主人公の阿久津真矢を演じているのは、元宝塚歌劇団月組の天海祐希です。笑顔を見せないクールな女性を見事に演じ、第46回ザテレビジョンドラマアカデミー賞で主演女優賞を受賞しました。天海は収録中、生徒役の子供たちにはむやみに近づかないようにするなどして徹底した役作りを行ったそうです。

もう一人の主人公である神田和美には当時12歳だった志田未来が演じています。優しくて真の強い和美役を熱演し、第46回ザテレビジョンドラマアカデミー賞で新人俳優賞を受賞しました。この役で志田は一躍有名になり、その後『14才の母』で連続ドラマ初の主演を果たしています。

『女王の教室』で阿久津が子供たちに伝えたかったこと

『女王の教室』の阿久津が行った教育法は人として間違っていますが、生徒たちに「現代社会の現実」や「自己責任」、「勉強をする理由」といった生きる上で大切なことを教えてくれています。他の学園ドラマでは扱いにくい現代社会の闇に真正面から向き合っている点が、ドラマが大ヒットした理由のひとつであると考えられるでしょう。 2000年代の名作ドラマ『女王の教室』。まだ観ていない人はぜひ本編を視聴して、このドラマの意図について考えてみてはいかがでしょうか。