『侍戦隊シンケンジャー』は戦隊ヒーローの歴史を変えた名作!キャスト・あらすじ(ネタバレあり)紹介

2018年3月16日更新

2009年2月から2010年2月まで放映された、スーパー戦隊シリーズ第33作『侍戦隊シンケンジャー』。本作は制作会社・東映が長年培ってきたノウハウとシリーズ初の試みが同居した名作です。今回は本作の魅力をネタバレも交えながら紹介します。

モチーフは侍!『侍戦隊シンケンジャー』

1974年の『秘密戦隊ゴレンジャー』から始まった、スーパー戦隊シリーズ。『侍戦隊シンケンジャー』は本シリーズの33作目として、2009年2月から2010年2月まで放送されました。 モチーフに選ばれたのはシリーズ初となる「侍」でした。シンケンジャーの力の源である、漢字が持つ力「モヂカラ」も作品の和風テイストを強めています。 また、劇中に登場する室内のセットが「外国人が考える日本」のイメージをもとに製作されるなど、「馬鹿なことをまじめにやろうとする」という作品コンセプトが生み出したシュールな情景や、終盤の驚きの展開も視聴者を大いに楽しませました。 本記事では『侍戦隊シンケンジャー』の魅力を、ネタバレを交えながら紐解いていきたいと思います。

「シンケンジャー」のあらすじ

三途の川から現れ人々を苦しめる妖怪、外道衆。志葉家とその家臣の侍たちは文字の持つ不思議な力「モヂカラ」を武器に侍戦隊シンケンジャーとして代々外道衆と戦っていました。 外道衆の大将、血祭ドウコクを志葉家の先代当主が封印してから幾年月。一人で外道衆と戦っていたシンケンレッド・志葉丈瑠の後見人、日下部彦馬は外道衆の本格的な侵攻を察知し、かつてのシンケンジャーの4人の子孫を招集します。 本作は志葉丈瑠が「殿」、他のメンバーが「家臣」という関係がはっきりしていたのが特徴でした。最初は上下が厳格だったメンバー同士の関係が、徐々に肩書にとらわれない仲間へと変化していく過程が丹念に描かれています。

殿と家臣!個性豊かな主要キャスト一覧

シンケンレッド/志葉丈瑠役:松坂桃李

志葉丈瑠は火のモヂカラを操るシンケンジャーのリーダーで、「殿」として志葉家18代目当主として仲間たちを率います。他方、現代では「殿」や「家臣」という概念が時代錯誤だと考えており、自身の考えを常に意識する仲間に家臣や忠義にとらわれすぎるなと諭したこともありました。 シンケンジャー結成まで一人で戦っていたため、シンケンジャーで最も実力のある人物。たびたび二刀流で戦い、刀と銃という異色の取り合わせの二刀流も披露しました。 丈瑠を演じる松坂桃李は1988年生まれで、本作『侍戦隊シンケンジャー』がドラマ初出演であり初主演でした。代表作は本作のほか『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』『ゆとりですがなにか』『ガッチャマン』など。 名前の桃李は中国の歴史書「史記」の文言や同じく中国の故事成語で十人十色に近い意味を持つ「桜梅桃李」からとられました。バンドBUMP OF CHICKENの大ファンで、BUMP OF CHICKENのドキュメンタリー映画『BUMP OF CHICKEN "WILLPOLIS 2014" 劇場版』に声優として出演したこともあります。

シンケンブルー/池波流ノ介役:相葉弘樹(相葉裕樹)

池波流ノ介は水のモヂカラを操るシンケンジャーのサブリーダーで、4人の家臣の中で最も忠義心に厚い侍です。丈瑠不在時に指揮を執る場面も多くみられました。 周囲に敬意を払うことを忘れず、毎日規則正しく鍛錬に打ち込むまじめな姿は仲間からの信頼を集めました。その一方で感情の起伏が激しく、ムードメーカーとしても存在感を発揮します。 相葉裕樹が本名の相葉弘樹名義で流ノ介を演じました。相葉はダンスユニット「BRIGHTS」として活躍したのち、ミュージカル『テニスの王子様』不二周助役で俳優業に転身します。シンケンジャーや「カフェ代官山」シリーズが代表作です。 2012年には『新テニスの王子様』にて声優デビューを果たし、翌年『銀河機攻隊 マジェスティックプリンス』では主役のヒタチ・イズルを演じました。2013年ごろからは主な活躍の場を舞台に移しています。

シンケンピンク/白石茉子役:高梨臨

天のモヂカラを受け継いだ女侍・白石茉子。冷静で鋭く、自分のことをあまり表に出さない女性ですが、両親とすれ違いを続けてきた影響で心優しく面倒見の良い性格をしています。 モヂカラを操ることに非常にたけています。また、祖母に叩き込まれた侍としての技量も高く、千明やことはからは姉貴分として慕われています。 茉子を演じたのは高梨臨です。2005年にアイドルグループ「ピンクジャムプリンセス」の一員としてデビューし、2007年にはJTBエンタテインメント第1号タレントとして所属、2008年に映画『GOTH』にて初主演を獲得しました。 大のぬいぐるみ好きで、専用の洋服を着せ替えるほどの入れ込んでいます。特に好きなのがクマのぬいぐるみで、映画ロケでハワイへ赴いた際にもクマのぬいぐるみを持参したほどです。

シンケングリーン/谷千明役:鈴木勝吾

シンケンジャーになる前は普通の高校生だった谷千明は、木のモヂカラを扱う侍です。シンケンジャーとして活動していたため、高校の卒業式に参加できませんでした。 メンバーの中で一番の現代っ子で、ゲームを好み主従関係や稽古漬けの生活にもなかなかなじめずにいましたが、丈瑠との実力差を感じてからは彼を超えることを目標に真剣に向き合うようになります。また、柔軟な発想が活躍する場面も見られました。 鈴木省吾が千明を演じました。鈴木は本作で俳優デビューし、2010年にはバンド「ココア男」を結成、avexからCDを発売しました。 2014年には「ミュージカル『薄桜鬼』~風間千景篇~」で初主演を果たします。『忍者戦隊カクレンジャー』『忍風戦隊ハリケンジャー』という2本の忍者のスーパー戦隊シリーズが好きで、「シンケンジャー」のオーディションを受けた理由もこれら2戦隊が好きだったためです。

シンケンイエロー/花織ことは役:森田涼花

京都で生まれた花織ことはは京都弁を話します。本来は姉のみつばがシンケンジャーとして招集されましたが、体が弱かったため代わりに東京に出てきました。 年の近い千明以外のメンバーを敬称を用いて呼んでいます。心優しく純粋で、土のモヂカラを受け継いだ女侍としての使命に真剣に向き合う一方、天然ボケで空気が読めない一面があります。 寿葉役は森田涼花。ホリプロ所属のタレントとして活躍する一方、2008年から2012年には「アイドリング!!!」の一員としてアイドル活動も行っていました。 「アイドリング!!!」脱退後は複数の作品で主演を射止め、役者として躍進します。2017年にはアイドル育成番組『アイドルING!!!~ネクスト育成ング!!!』に元アイドリング!!!メンバーの一人として出演しました。

シンケンゴールド/梅盛源太役:相馬圭祐

6人目の戦士、シンケンゴールドに変身する梅盛源太は光の「電子モヂカラ」を用いる侍で、ゴールド寿司という屋台のすし屋を経営するすし職人です。性格は江戸っ子気質でムードメーカーとして活躍します。 丈瑠と幼馴染であり、彼から教わった情報などからモヂカラを解析することに成功し、電子モヂカラを生み出しました。武装なども自作する学者肌の人物ですが、我流の居合や割りばし型手裏剣を生かした戦闘にも秀でています。 源太を演じたのは相馬圭祐。2007年にデビューし、シンケンジャーは彼にとって初のレギュラー作品となりました。2010年からは舞台俳優として活動を始め、のちに主軸を舞台へと移します。 ヘビーなネットユーザーで、自身が初登場する17話の放送時にはインターネットの実況掲示板を見てファンの反響を生で感じたそうです。本作で共演した松坂とは同郷であることもあり、一緒にドライブに行くほどの仲です。

敵組織「外道衆」の王道的な魅力

妖怪をモチーフとした本作の敵役、外道衆。この世とあの世の境目にあたる三途の川に住まうアヤカシたちの集団で、この世にあらわれて人々を苦しませていました。 この世に存在する「隙間」から現れる彼らは、人の苦しむ姿を好む性格や長寿なうえに2つの命を持つという種族的な特徴から人間と大きく異なる価値観を持っています。そんな彼らの弱点は三途の川から長く離れていることで起きるパワーダウン「水切れ」です。 外道衆の中には外道として死んだのちにアヤカシへと転生した「はぐれ外道」などもいます。一応の首領は血祭ドウコクですが、外道衆に彼への忠誠心はほとんどなく、自分勝手に行動する場面も多いです。 彼らはまさに外道としか表現できない悪辣な攻撃を行ってきますが、同時に人間らしい思考や感情を見せることが不思議な魅力を生んでいます。首領である血祭ドウコクと彼の側近であるはぐれ外道、薄皮太夫の関係性などが視聴者の共感を呼びました。

戦隊ロボ「侍巨人」は鎧をまとって強くなる

シンケンジャーは2つ目の命で生き返り巨大化した外道衆と対決するため、それぞれが「折神」に乗り込み「侍巨人」に合体して戦います。スーパー戦隊シリーズではおなじみとなった巨大合体ロボです。 2話にて登場した侍巨人・シンケンオーは、獅子・龍・亀・熊・猿の折神が合体した侍巨人。また、20話からはシンケンゴールドが操る巨大ロボダイカイオーが登場し、33話ではシンケンレッドが操縦する侍巨人・モウギュウダイオーも登場しました。 侍巨人は新たな折神が登場するにつれ徐々に強化されていきます。そのモチーフは鎧兜となっており、例えばシンケンオーは頭部に新たな折神を被ることでカブトシンケンオー、カジキシンケンオー、トラシンケンオーと強化されていきました。 合体には侍巨人化する侍合体のほか、折神を武装として合体に取り入れる侍武装、侍巨人同士が合体する真侍合体やすべての折神が合体する全侍合体などが存在します。合体には合のモヂカラが必要です。

東映時代劇のノウハウが光る殺陣がかっこいい

本作の魅力の一つに、他のシリーズとは一味違う殺陣(アクションシーンでの動きの振り付け)があります。侍がテーマとなり主人公たちの武器や敵の得物にも刀が多いため、切られたら死ぬという剣劇特有の緊張感が取り入れられたのです。 スーパー戦隊シリーズを製作する東映は1950年に東映時代劇ブームを生んだことで知られる時代劇の大家であり、本作の殺陣では半世紀以上にわたって蓄積されたノウハウがふんだんに用いられています。いかにして相手の攻撃を受けないかという駆け引きや、キャラクターごとの戦い方や流派の違いが光りました。 時代劇風の殺陣は巨大ロボの戦闘にも取り入れられました。今までのスーパー戦隊シリーズの巨大ロボシーンでは基本的に敵怪人との一対一の戦闘が描かれていましたが、本作では敵戦闘員も参加し、時代劇のクライマックスのような多対一の大立ち回りが繰り広げられるのです。

『仮面ライダーディケイド』と共演!「スーパーヒーロータイム」ならではの演出も

本作ではシリーズ初の試みとして本作の直後に放送された『仮面ライダーディケイド』と連動したストーリーが製作されました。それも、両方共に視聴することが前提となった濃密な連動となっています。 まずは2009年7月5日のシンケンジャーにて、エンディング直前で翌週のディケイドにつながるストーリーが語られました。翌週7月12日はシンケンジャーの放送がスポーツ中継のために休止された代わりに、ディケイドにシンケンジャーのメンバーが登場します。 コラボレーションのラストを飾ったのは7月19日で、シンケンジャーとディケイドが一続きの話として放送されました(それぞれの放送自体は別番組扱い)。2003年から同じ制作会社の特撮番組によるコンプレックス枠として扱われてきた「スーパーヒーロータイム」の放送形態を最大限に生かした作りとなっています。 シンケンジャー単体ではストーリーがわからなくなるため、本作のBlu-rayには映像特典としてコラボレーションが行われたディケイドの24話、25話が収録されています。如何に濃密な共演が行われたのかがわかる配慮です。

【ネタバレ】〇〇は影武者だった!終盤に明かされた衝撃の設定

本作で一番衝撃的だったのは終盤のストーリーを置いて他にないでしょう。志葉家伝来の封印のモヂカラを狙われ、丈瑠が瀕死の重傷を負わされてからの展開です。 リーダーである殿を欠いてピンチに追い込まれるシンケンジャーの前に、シンケンレッドが現れます。このシンケンレッドは、人里離れた場所で封印のモヂカラの訓練を行っていた真の志葉家当主・志葉薫でした。 丈瑠は薫の影武者だったのです。メンバーは新たな主君に戸惑い、丈瑠もまた影武者としての役割を終え仲間と離れることに戸惑います。 そんな中、薫の力では外道衆首領・血祭ドウコクを倒すことができないと判明しました。そこで薫は自身が身を引き、丈瑠に当主の座を明け渡すと共に封印のモヂカラを彼に託すのです。 最終決戦を前に、一度離れることで強い絆を確信する丈瑠たちの姿が視聴者の胸を打ちました。

『侍戦隊シンケンジャー』が戦隊ヒーローの歴史を変えた!

最後に本作のトリビアを一つご紹介します。 放送開始以来16ミリフィルムとオールアフレコを堅持していた本シリーズですが、本作ではシリーズ初となるビデオ撮影と同時録音が採用されました。ビデオ撮影の採用は高度な特撮・CG処理の手間を大きく軽減し、同時録音によって役者は自然な演技ができるようになりました。 作品自体には常に新しい風が吹きながら、製作体制には古い手法が残り続けていたスーパー戦隊シリーズに本作が新しい風を吹き起んだのです。古式ゆかしい侍をテーマとした作品で技術革新が行われたというのも、知ってみると興味深い事実ですね。 旧態依然としたシチュエーションがシリーズに新鮮な魅力をもたらし、技術的にも新たな地平に挑戦した本作は、シリーズにおける節目となった作品です。そして何より面白いので、ぜひお手に取ってみてください!