『特命戦隊ゴーバスターズ』は視聴率以上に奥が深い大人向け戦隊!【キャスト・あらすじ(ネタバレあり)】
シリーズの改革を狙った『特命戦隊ゴーバスターズ』
前作『海賊戦隊ゴーカイジャー』が従来の作品を総括する作品であったことから、本作では戦隊シリーズの新しい時代を作るため、様々な挑戦的な試みが行われました。デザインのモチーフも「スパイ」という初めての要素が用いられ、変身後のスーツの素材にレザーが使われたのも初めてのことです。 巨大ロボットのメンテナンスが多くの人間によって行われているなど、リアリティのある描写が特徴的な本作ですが、「失ったものは戻らないが、それでも前を向いて生きていく」人たちを描いた本作は、従来の戦隊作品と比べて暗いトーンが目立ったため、視聴率は奮いませんでした。 しかし本作のメインライター小林靖子が小学校高学年の子供に見てもらいたいと語るほど、スーパー戦隊作品としては比較的複雑な設定によって構成された精巧なドラマは高年齢層から一定の評価を受け、本作を傑作とみる意見も少なくはありません。
『特命戦隊ゴーバスターズ』のあらすじ
舞台は新西暦という異なる暦が採用されている設定の日本。エネトロンという新たなクリーンエネルギーが人々の生活に必要不可欠となっています。エネトロンの管理を行う組織エネルギー管理局は、日夜エネトロンを狙う組織「ヴァグラス」に対抗するため、特命部という部署を設けました。 特命部の戦闘員「ゴーバスターズ」は、13年前の災害で生き残った3人の若者で構成されています。エネトロンを守りながら、13年前の災害を起こした張本人メサイア率いるヴァグラスを倒し、異次元に囚われてしまった家族を救うためにゴーバスターズは日々戦います。
『特命戦隊ゴーバスターズ』のメインキャスト
レッドバスター/桜田ヒロム:鈴木勝大
スカッとジャパン本日19時から2時間スペシャルです。 pic.twitter.com/plGGsss3Pe
— 鈴木勝大 (@kthr_official) December 18, 2017
桜田ヒロムは天才肌のパイロット。メガゾードの操縦技術は自他ともに天才的と認められていますが、自信家な上にあまり社交的ではなく、思ったことをそのまま口にしてしまう癖があるので、相棒であるアンドロイドのチダ・ニック(声・藤原啓治)によく注意されています。 当時現役大学生だった鈴木勝大は本作がテレビドラマ初主演でした。本作終了後は、ドラマ『弱くても勝てます』や映画『帝一の國』などに出演し、映像作品や舞台などで幅広く活躍しています。
ブルーバスター/岩崎リュウジ:馬場良馬
岩崎リュウジはメンバー最年長の28歳。年齢的なハンディを埋めるための鍛錬を欠かさない努力家です。エンジニアを目指していたこともあり、メカニックでもある相棒のゴリサキ・バナナ(声・玄田哲章)と共に機械の調整を行うこともあります。 「ミュージカル・テニスの王子様」の5代目青学の手塚国光役で知られる馬場良馬は、本作以前から舞台と映画を中心に活躍しています。本作終了後に『宇宙刑事シャリバン NEXT GENERATION』と配信ドラマ『仮面ライダーアマゾンズ』のシーズン1に出演し、東映特撮作品の3大シリーズ全てで変身する役を演じました。
イエローバスター/宇佐見ヨーコ:小宮有紗
宇佐見ヨーコは16歳の現役高校生。気が強く口も悪いものの実は仲間思いの少女です。まだ精神的に未熟なところもあり、自分の世話役でもある相棒のウサダ・レタス(声・鈴木達央)とは些細なことでよくケンカをしています。 本作がテレビドラマ初出演となった小宮有紗は、本作終了後は女優としてキャリアを築いた後、アニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』で声優としてデビューし、劇中のユニット「Aqours」としてライブ活動もしています。また、「週刊プレイボーイ」の表紙を飾るなど、グラビア活動も積極的に行っています。
ビートバスター/陣マサト:松本寛也
増上寺に居ます pic.twitter.com/GWHB6tKJF2
— 松本寛也 (@HiroyaMatsumoto) November 3, 2017
エンジニアの陣マサトは13年前の災害に巻き込まれて行方不明になっていましたが、異次元で敵の目を盗んで自分の装備を開発していました。相棒のビート・J・スタッグ(声・中村悠一)とよく一緒に行動しています。非常に明るい性格ですが、悲しい真実を多く抱えています。 『魔法戦隊マジレンジャー』にも出演していた松本寛也は本作が2度目のスーパー戦隊シリーズレギュラー出演となりました。本作終了後は、俳優として舞台を中心に活躍しながら、「スーパー戦隊親善大使」として戦隊シリーズ作品の広報活動も行っています。
革新的なロボット戦の描写
本作以前の作品では、1度倒された怪人が巨人として蘇り、その巨人に対して巨大ロボで立ち向かうというのがお決まりのパターンでした。しかし、本作における怪人は破壊活動を行うだけの存在ではなく、異次元から巨大ロボを転送するための装置でもあります。 敵の巨大ロボが転送されるまでの時間は決まっていないため、巨大ロボが登場する前に怪人を倒すことができれば、ゴーバスターたちはロボット戦に集中することができます。しかし、作中では怪人の対処が巨大ロボの登場に間に合わないこともあり、二手に分かれて戦うこともしばし強いられていました。
一筋縄では行かない最大の敵エンター【ネタバレあり】
13年前の災害を引き起こした宿敵メサイアは実体を持たないコンピュータープログラムであり、住処としている異次元から動くことができないため、エネトロンの調達を自ら作り出したアバターのエンターに任せています。分身とはいえ自我を持っているエンターは、主人であるメサイアのわがままに辟易しています。 ゴーバスターズによってメサイアが破壊された後も生き残り、更なるパワーアップを画策します。彼の非道な手法は仲間であるエスケイプの反感を買い、一度は彼女に殺されてしまいますが、レッドバスターの体内に自分のバックアップを埋め込むことで復活。最期までゴーバスターズたちを苦しめました。
エンターを演じたのは陳内将
13年前の災害の被害者の記憶や知識から作られた無機質なデータの塊という難しい役どころを見事に演じ切ったのは、舞台を中心に活動する陳内将でした。 本作終了後は舞台『TRUMP』で最重要キャラクターを2013年と2015年の2度演じたり、演劇集団キャラメルボックスの作品に主要な役で客演したりするなど、引き続き舞台を中心に活躍しています。
美しき敵幹部エスケイプ【ネタバレあり】
エンターが自分を喜ばせてはくれないことに嫌気がさしたメサイアは、新たに女性型のアバター・エスケイプを生み出しますメサイアを「パパ」と呼び、人間を苦しめるというメサイアの望みを忠実にこなすエスケイプは、好戦的かつ享楽的な性格でゴーバスターズを苦しめました。 エスケイプは決別したエンターを一度は倒しましたが、復活したエンターによってデータを初期化され、以前の記憶を失い性格も変わってしまいました。その後何度もエンターに初期化されたことからデータが損傷してしまい、最期には正気を失ってしまいました。
エスケイプを演じたのは水崎綾女
エスケイプ役として激しいアクションをこなしたのは、ドラマ『キューティーハニー THE LIVE』や映画『ユダ』などでおなじみの水崎綾女。メリハリのあるボディを生かしたセクシーな役から繊細な役まで幅広く演じることのできる女優です。 本作終了後に出演した河瀬直美監督の映画『光』ではヒロインを演じて注目を集めました。
『特命戦隊ゴーバスターズ』と『動物戦隊ゴーバスターズ』の共闘?
スーパー戦隊の後日談を描いてきた「帰ってきた」シリーズも本作では型にはまっていません。本編の途中でチダ・ニックがひょんなことから13年前の災害がなかったパラレルワールドを体験するという設定のストーリーでした。 そのパラレルワールドはスーパー戦隊シリーズのお約束がふんだんに盛り込まれた戦隊作品『動物戦隊ゴーバスターズ』の舞台でした。この『動物戦隊ゴーバスターズ』はあくまでもVシネマ『帰ってきた特命戦隊ゴーバスターズVS動物戦隊ゴーバスターズ』の劇中劇ではありますが、『百獣戦隊ガオレンジャー』の主題歌を歌った山形ユキオが歌うOP曲を作成するなど、とても力が入った作品となっています。 放映当時は革新的な演出やシリアスなストーリーゆえに人気が奮わなかったものの、根強いファンも多く抱える本作『特命戦隊ゴーバスターズ』。当時から好きだった人はもちろん、当時いまいちだと感じた方ももう1度見直してみるのはいかがでしょうか。