2019年6月5日更新

『おっさんずラブ』はなぜ面白いのか おっさん同士の純愛ドラマの魅力を完全解説!

おっさんずラブ

SNS上で人気沸騰中のドラマ『おっさんずラブ』。登場人物たちが可愛すぎる!と女性を中心に話題となっています。『おっさんずラブ』はなぜそんな人気作となったのか?その魅力について迫ります!

ドラマ『おっさんずラブ』は笑えて泣けて実は深い!正統派ラブコメディ

テレビ朝日系毎週土曜の深夜帯で放送されていた連続ドラマ『おっさんずラブ』。少女漫画さながらの純愛ラブストーリーに田中圭のすっとぼけた演技、吉田鋼太郎の愛らしいヒロインぶりがSNS上で大きな話題となった大人気ドラマです。 同ドラマは視聴率としては、他の深夜帯ドラマと大きく差はないものの、「ザテレビジョン」が発表しているSNS上の調査を基にした視聴熱ランキングでは、ぶっちぎりの1位を獲得。これは同クール放送ドラマ『ブラックペアン』や『花のち晴れ~花男Next Season~』を凌ぐ勢いで、各回放送終了後大きな反響呼び社会現象を起こしました。 ドラマの原作はなく、ドラマ『チア☆ダン』の脚本も務めた徳尾浩司によるオリジナル脚本で制作されました。 男性同士の恋愛は敬遠されがちなテーマかもしれませんが、純粋なラブストーリーとして楽しめる本作。映画化を記念して、ヒットの要因を考察していきます。 ※本記事にはドラマのネタバレが含まれます。作品未視聴の方はご注意ください。

最終回まで視聴者を離さなかったドラマ『おっさんずラブ』のあらすじ

33歳にもなって一緒に住む母親に身の周りの世話を任せる独身ダメンズ、春田(田中圭)。巨乳がタイプと豪語する彼でしたが、なんと思わぬモテ期がやってきます。 しかし、その相手は部長の黒澤武蔵(吉田鋼太郎)と同僚の牧凌太(林遣都)と、どちらも男性でした。 男性からのアプローチに戸惑いながらも、春田は人を好きになるということは何なのかを学んでいくのです。

【ネタバレ注意】ストーリーは映画へと続く!

2018年に放送された連続ドラマ、いったんは完結を迎えましたが、2019年8月23日に公開される映画でその続きが描かれます。

唯一無二のキャストがはまり役すぎた 田中圭と林遣都が本作で再ブレイク!

ドラマ『おっさんずラブ』に出演したキャストは田中圭(春田創一役)、吉田鋼太郎(黒澤武蔵役)、林遣都(牧凌太役)ら実力派俳優ばかり。今勢いのある若手俳優ではなく、演技経験の長い実力派を揃えたことがヒットの要因の1つだったのかもしれません。 主人公・春田創一を演じた田中圭は、本作で再ブレイクし、本作放送後ドラマ・バラエティ・CMなどでメディアに顔を出す機会が増えました。さらに健気な部下・牧を演じた林遣都にも注目が集まり、本作で日刊スポーツのドラマグランプリ助演男優賞を獲得しました。 またドラマを盛り上げる脇役には、月9ドラマ『海月姫』で三国志おたくで強烈キャラのまややを熱演した内田理央(荒井ちず役)、俳優としても一目置かれているアンジャッシュの児嶋一哉(荒井鉄平役)、ドラマ『隣の家族は青く見える』でも同性愛者を演じ話題になった眞島秀和(武川政宗役)ら個性的な俳優が集結。 メインキャストから脇役まで、それぞれの個性が引き立つキャストが集結したドラマとなりました。

『おっさんずラブ』は何故ここまで愛されたのか

このドラマの面白い所はなんといってもまず登場人物達の個性です。 田中圭演じるピュアで子どもっぽい主人公や吉田鋼太郎演じる乙女すぎる部長など、少々オーバー気味の演技は観ているだけで笑えてきます。さらに「俺の為に喧嘩しないで」や「お前が俺をシンデレラにしたんだ」など、普通のラブストーリーであれば絶対に使わない様なセリフ回しも本作の魅力です。 好きになっちゃいけない人なんていない、愛に形なんてあるのか、など所々に深いセリフが散りばめられており、主人公が男性を一人の人間として考えるようになるなど、学ぶべき所も多い本作。

さらに、恋愛の本質を説く上で、この「男性同士の恋愛」の描き方がマイルドかつファンタジー色が高かった点も、ヒットの要因ではないでしょうか。同性同士の恋に免疫がなかったり、はたまた敬遠していた視聴者としては、これが見易さに繋がっていたはず。 また恋愛対象が同性であるという視聴者からは、「実際のんけ(異性愛者)がこのようになびくわけがない」と物語の非現実性を訴える声がある中、「同性愛を笑いのネタにしたり逆に強調しすぎたりしていないバランスの良さ」が好評であったり、「セクシャルマイノリティの思うことをドラマのキャラクターが台詞として代弁してくれている」と、比較的良い評判だったという背景もあります。 多面的な視聴者を捉えた、これがヒットの大きな原因なのではないでしょうか。

【キャラからドラマを深掘り】春田創一は何故、牧と付き合った?

田中圭演じる、本作の主人公・春田創一は不動産会社に勤める33歳独身。仕事はそこそこ出来ますがだらしがなく子どもっぽい性格で、母親に頼りきりだった為1人では光熱費の払い方も分からないいわゆるダメ男です。母親が出て行った後は生活がままならず、家事が得意な牧に同居を申し出ています。 その同居生活を通して、牧から告白、交際を申し込まれる春田。巨乳好きだった彼はこれを了承し、彼と付き合うことにします。そして徐々に彼に対する思いが強まり、別れることになった時は号泣するほどに。 春田が牧と付き合ったのは、「流されやすい」という彼の性分が大部分を占めるように思えますが、彼の心境の変化にも注目するべきです。春田は確かに、牧に徐々に惹かれていきました。

これは、春田がゲイになったわけでなく、本来そういった恋愛趣向であったことに気づいたのではないかと考えられます。そしてそれは、好きになる相手の性別が変わる(性別は関係なく、好きになった人が好き)というセクシャルフルイディティだった可能性が高いです。 そんな彼が、自分自身の気づかぬ感情によって悩みながら、そして時には流されながらも、最終的に牧への確固たる気持ちに気づくという過程に心打たれるのです。

【キャラからドラマを深掘り】黒澤武蔵が壁を乗り越えた瞬間

不動産会社の営業部長で55歳の本作のヒロイン。春田も尊敬する理想の上司で妻も居ますが、10年前から部下である春田に恋をしています。春田のことを“はるたん”と呼ぶ唯一の人物で、隠し撮りした写真を携帯やパソコンに溜め込んでいました。しかし、バレてしまった事で積極的にアプローチをかけていき、遂にはバラの花束を渡して春田に告白しています。 そんな本作の“ヒロイン”とも呼ばれる黒澤が乗り越えた壁も、多くの人に感動を与え、本作が愛されドラマになった要因なのではないでしょうか。その壁とはまず、誰もが恋愛の時にぶち当たる「自分自身をさらけだす」ことでした。 妻のいた彼もまた、もともとゲイだったというよりかは春田のようなセクシュアリティだった事が考えられます。そして、何年もの間その感情を奥底にしまって、近くで彼のことを見つめる日々を過ごしていたのです。それは、本当の自分自身をさらけ出せば「引かれてしまう」と思った臆病な気持ちによるものでした。

しかし黒澤は、きっかけが偶然だったにしてもその壁を乗り越えます。乗り越えたあとはもう、ありのままの自分をぶつけまくるのです! そして、そんな彼が程なくしてぶつかった次の壁が「ライバル」。どんな恋愛漫画にも、現実の恋愛でも、このライバル出現というイベントは欠かせません。しかし、彼が乗り越えた壁は「ライバル」というより、「相手の幸せを考える」という壁だったのです。 牧から別れを告げられた春田。ライバルがいなくなったことは、黒澤にとって好都合でした。悲しみに暮れつつ、荒れる彼の元にやってきて身の回りの世話をすることで、彼と付き合うことに成功します。最終的にはプロポーズにも成功するのですが、彼は薄々春田が牧を忘れきれてないことに気づいていました。そして、流されやすい彼はこのまま自分と違和感を感じながら結婚するだろう、という事にも気づきます。 そんな黒澤が、自身の幸せを手放すことで相手の幸せを叶えるという、我々視聴者でも乗り越えづらい壁に乗り越えた。そのキャラクターの成長ぶりに、思わず涙してしまうのです。

【キャラからドラマを深掘り】牧凌太が愛されるドラマに仕上げた存在だった

入社4年目の25歳で、本社から異動してきた春田の後輩です。高学歴のエリートで整った顔立ちから女性受けもいいですが、恋愛対象は男性。 当初は拒絶されることを恐れて春田への想いは胸に秘めていましたが、部長が春田にアプローチしていると知って告白してしまいました。家事が得意で、同居を始めてからは掃除したりご飯を作ったりと、好きな春田の為に母親のように世話を焼いています。

春田のだらしない所も含めて好きになっており、春田を取り合って部長と喧嘩をした際、好きな所10個言おうとする部長に対しダメな所を10個言い対抗していました。そんな牧が、本ドラマをより愛されるものに仕上げた存在のように思います。 牧が、本当は別れたくないけど自ら春田を手放すシーン。ぐちゃぐちゃの泣き顔になる牧に、春田はつられて泣きじゃくります。実はこのシーン、台本ではもともと春田が泣く予定はありませんでした。しかし、牧の涙を受けて春田は(そして監督を含む現場スタッフ全員が)泣いたと、『おっさんずラブ』プロデューサーの貴島彩理が明かしています。 これは林遣都の演技力もそうですが、それより牧がこのドラマで一番感情移入しやすいキャラクターだったからではないでしょうか。そして彼の英断、さらに一年後も春田を忘れることなく、ほどよい距離感を保ちながら思い続ける彼の「純愛」こそ、本ドラマの「純愛」なのです。

ヒットの要因のひとつ?『おっさんずラブ』はSNS活用もうまかった!

ドラマ『おっさんずラブ』には公式Twitterに加え公式instagramがありますが、裏アカといわれているもう一つのinstagramアカウント、“@musashis_room”が面白いと話題になりました。 これは部長の黒澤武蔵がインスタをやっている、という設定の公式アカウント“武蔵の部屋”で、黒澤が隠し撮りした春田の写真が延々とアップされています。あくまでも隠し撮りなのですが、添えられているコメントが乙女すぎて面白いと注目を集めました。 回を重ねるごとにフォロワー数が伸びていき、2019年6月時点では公式Twitterの27万人を遥かに凌ぎ、さらには公式Instagramの36万人も超え、44万人のフォロワーを有する人気ぶりです。 はるたんへの想いがひしひしと伝わってくる愛情たっぷりのインスタ。このドラマという架空な世界が実際にあるSNSで、あたかも現実社会で起きていることと錯覚させるような連動も、ファンを巻き込むことに成功し、ヒットに繋がった要因になったのかもしれません。

『おっさんずラブ』が祝・映画化!春田と牧はどうなった?

そして、この人気っぷりから、ついに映画化が決定! 2019年8月23日に公開される映画『劇場版 おっさんずラブ 〜LOVE or DEAD〜』は、メインキャストはそのままに、沢村一樹と志尊淳という新たな“おっさん”を加えて、五角関係(!)が展開されます。ドラマのその後を描くということで、最終回で見届けた春田と牧の関係の変化や、新キャラによる新たな騒動が気になりますね。 ciatrのこちらの記事では、映画について詳しく紹介しています。

『おっさんずラブ』旋風は2019年になっても止まらない!

2018年に社会現象を巻き起こした、『おっさんずラブ』。ドラマ終了後も、「おっさんずラブ展〜君に会えてよかった。〜」というイベントを開催し、多くのファンが駆けつけるなど人気ぶりは衰えませんでした。 2019年にも本作で再ブレイク中の田中圭は、各メディアに引っ張りだこ。映画公開も含め、2019年もまだまだ旋風が止まる予定はなさそうです。