2020年5月26日更新

『Fate/stay night』言峰綺礼を徹底解説!神父が迎える複数の結末とは

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『Fate/stay night』言峰綺礼を徹底解説!神父が迎える複数の結末とは サムネイル

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『Fate/stay night』言峰綺礼は聖杯戦争の監視役【ネタバレ注意】

第五次聖杯戦争の監督役として登場する言峰綺礼は遠坂凛の後見人でもあります。セイバーを召喚した衛宮士郎に聖杯戦争の説明をするなど、中立的な立場からマスターたちを見守っている……と思いきや、その裏側は真っ黒。暗躍する彼の胡散臭さはもはや表側にも滲み出ています。 今回は、自身の「愉悦」のために数多くの人間を地獄へ叩き落としてきた彼の奥深くへ迫っていきます。 ※本記事は『Fate/stay night』および『Fate/Zero』のネタバレ情報を扱っています。読み進める際にはご注意ください。

不幸や醜さに「愉悦」を見出す破綻者

言峰綺礼の性格を端的に表現した言葉があります。それはずばり「他人の不幸は蜜の味」。 「美しさ」や「幸せ」を否定する綺礼。彼は聖職者でありながら、他人が不幸に絡め取られて醜く堕ちていく様を見たときに胸中に生まれる「愉悦」を感じることによってのみ、自身の生を実感することができる人格破綻者なのです。 崖っぷちに立つ人間の背中をそっと押すことが生きがいの綺礼は『Fate/stay night』における「BAD END」の象徴とも言えるでしょう。

高い戦闘能力を持った武装信徒!聖堂教会の「代行者」として暗躍

聖堂教会とは「異端狩り」に特化した巨大な宗教組織。綺礼はその「代行者」のひとりとして、教義に反する存在を片っ端から武力で排除する役割を担っていました。 そんな綺礼の戦闘能力は「代行者」の中でも指折りで、「黒鍵」の技量は銃の連射を全てはじき返すことができるほど。魔術師としての能力は見習い修了レベルですが、父譲りの八極拳は独自の殺人術に発展しており、サーヴァントほどではないにせよ人間の域を超えた強さを見せつけます。 特に『Fate/Zero』におけるセイバーのマスター、衛宮切嗣との死闘は必見です。

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「黒鍵」って何?

作中では殆ど説明のない「黒鍵」。これは、「死徒」に対して効果のある武器です。死徒とは人間から後天的に吸血種になったものを指します。一般に認知されている吸血鬼の大部分がこの種であるそうです。 これらには不死の概念(復元呪詛)があるため、倒してもすぐに復活してしまいます。「黒鍵」はこの死徒に対して「昇天」「死」「天寿」といった概念を上書きすることで、元の肉体に洗礼し直し、倒すことを可能としているのです。

最強の英霊・ギルガメッシュとの関係

第四次聖杯戦争ではアサシンのマスターとして戦っていた綺礼は師のサーヴァントであるアーチャー、英雄王ギルガメッシュとも運命的な出会いをします。 アサシンが敗退し、冬木教会に避難した綺礼は地下室でギルガメッシュと共に酒を酌み交わすことになります。そこで、英雄王の観察眼は彼が無意識下に他人の痛みと嘆きを求めていることを看破します。そのうえでアーチャーは綺礼に己の真の愉悦を追求することを勧めました。 英雄王との問答の最中、アサシンと共に失ったはずの令呪が復活。これは他のマスターからサーヴァントを奪い取り、聖杯戦争に再び身を投じるチャンスを得たことを意味します。聖杯によって自身の幸福のありかを示すため、師を裏切った綺礼はギルガメッシュと契約します。 第五次聖杯戦争ではランサーの本来のマスターであったバゼット・フラガ・マクレミッツを騙し討ちし、令呪ごとランサーを奪い取り契約。ギルガメッシュとランサーの2騎と共に暗躍します。

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『Fate/Zero』での言峰綺礼

令呪の兆しが現れたことで魔術教会に派遣され、遠坂時臣に弟子入りした若き日の綺礼。第四次聖杯戦争のマスターとしてアサシンを召喚し、同じくアーチャーのマスターである時臣をサポートしました。 ライダーにアサシンが敗れ、聖杯戦争から脱落した綺礼は冬木を去ることに。時臣は綺礼に感謝の言葉と、遠坂の魔道を修め、見習いの課程を終えたことを証明する品として「アゾット剣」を贈りました。綺礼に長話を詫び、彼が乗る飛行機の時間を心配する時臣でしたが、その背後に忍び寄る影。 貰ったばかりのアゾット剣は時臣の背中に突き立て、綺礼は「もとより飛行機の予約などしておりませんので」と言い放ちます。聖杯を求める理由を見つけていた彼は時臣を暗殺。英雄王と契約し、再び第四次聖杯戦争の舞台に上がった綺礼は、かねてより「同類」と見なしていた衛宮切嗣と対決します。

『Fate/stay night』での言峰綺礼

『Fate/stay night』では第五次聖杯戦争の監督役を引き受けた傍ら、バゼットからランサーを奪いマスターとしても参加。様々なルートで自身の「愉悦」のために動きました。第四次聖杯戦争以来ギルガメッシュとも裏で通じており、お互いの目的のために協力し合います。 一応監督役としての任務もきっちり果たしていて、聖杯戦争が行われていることを一般人に悟らせないための隠蔽工作に奔走。ライダーの宝具やキャスターの魔術による被害をありふれた事故として処理、校舎内で発生したサーヴァント戦によってボロボロになった学園も綺麗に修復しています。

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両作で言峰綺礼が迎えた結末とは

『Fate/Zero』では己の「愉悦」のありかを求め、衛宮切嗣と激突

英雄王ギルガメッシュと手を組んだ綺礼は間桐雁夜の妄執を利用し、聖杯であるアイリスフィールを誘拐させる取引をすると同時に、雁夜が想い人である遠坂葵を殺害するように仕向け、それをワイングラスを片手に眺めます。 綺礼はさらってきたアイリを殺害し、聖杯として起動させたのち、衛宮切嗣との決戦に臨みます。「固有時制御」や「起源弾」を駆使する切嗣に、彼は黒鍵と八極拳で対抗。死闘を繰り広げました。 戦いは互角に見えましたが、2人が聖杯から溢れ出してきた「泥」に飲み込まれることで中断。そして、先に目を覚ました切嗣は綺礼に拳銃を突き付け、引き金を引きました。 心臓を撃ち抜かれ、命を落としたかと思われた綺礼でしたが、やがて焦土と化した街の中で目覚めます。戸惑う彼の前には、同じく聖杯の泥に飲み込まれたはずの英雄王の姿が。泥の力を逆に吸収することで受肉を果たした彼と共に、綺礼もまた聖杯の泥が心臓の代わりになったことで蘇生したのでした。

『Fate/stay night』では邪悪な狂言回しに

『Fate/stay night』では、言峰綺礼はいずれのルートでも物語を大きく動かす役割を担っています。 「fate」ルートでは英雄王と共にラスボスとして士郎の前に立ち塞がったほか、「Unlimited Blade Works」では遠坂凛の殺害を拒否したランサーを令呪によって自害させようとするも、最後の力を振り絞ったランサーによって刺殺されるという比較的あっさりとした最期を迎えています。 「Heaven’s Feel」では共通の目的のために士郎と一時的に共闘することに。しかし最後の最後「アンリマユ(この世全ての悪)」の誕生のために再び彼とは敵対。相容れぬ2人は、満身創痍の状態で己を賭けて殴り合います。

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自身の歪みに懊悩する青年時代

冬木教会の神父、言峰璃正の子として生まれた綺礼。ある日、彼は自身の心の歪みに気づきます。世間一般の「美しさ」に対してなんの感動も覚えず、むしろ「他人が苦しむ様」などに心が躍る自分自身を、清く美しくあれと育てられた彼は受け入れることができませんでした。 10代から父の璃正に従って聖堂教会の「代行者」見習いとなり、自身の歪みを正そうと厳しい修練に明け暮れる日々。 やがて第四次聖杯戦争を数年後に控えたあるとき、綺礼には令呪の兆しが現れます。このことを受けて魔術教会に派遣された彼は、遠坂時臣に弟子入りします。

人並みの幸福を実感するため妻を迎えるも……

家庭を持つことで、自身が人並みの幸せを得ることに繋がるのではないかと考えた綺礼。ある異端審問で彼はクラウディアという女性に出会い、彼女を妻として迎えることにしました。 綺礼のことを心の歪みも含めて深く理解していたクラウディア。しかし綺礼は彼女との2年間の結婚生活でも幸福を実感することはできませんでした。 そんな自分自身に絶望する綺礼でしたが、それに対してクラウディアは自殺という手段で彼に生きる気力を与えようとしました。自分が死ぬことで綺礼は悲しみ、それが彼が人を愛せる人間であることの証明になると考えたのです。 妻の自殺を受けて、綺礼の胸の内には確かに悲しみが生まれます。しかし、その悲哀は「どうせなら自分の手で殺したかった」というものでした。このときの自分自身の感情を恐ろしく思った彼は記憶に蓋をし、妻との日々も含めて忘れることにしました。

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『Fate/hollow ataraxia』では娘が登場!?

第五次聖杯戦争終了後の物語『Fate/hollow ataraxia』には新たなヒロイン、カレン・オルテンシアが登場します。言峰綺礼の後任として聖堂教会から冬木市に派遣された修道女である彼女もまた、一癖も二癖もある性格の持ち主です。 敬虔な信徒であるカレンは、自らを犠牲にしてでも他人を救おうとする聖女のような側面を持つと同時に大変な毒舌家でサディスト。曰く、「幸福そうな人を見ると皮を剥がしてみたくなる」とのこと。どことなく鬼畜神父を思い出させますね。 それもそのはず、実は彼女は言峰綺礼とクラウディアの娘であることが公式に示唆されています。極端な性格も両親譲りなのでしょう。 カレンが冬木にやってきた時点で綺礼は故人となっているので、2人の直接的な絡みはありませんが、「タイガーころしあむ」のような何でもありの番外編で対面した際には同族嫌悪から毎度口喧嘩が絶えません。

アニメ版「Fate」シリーズで言峰綺礼を演じる声優は中田譲治

「Fate」シリーズで言峰綺礼を担当するのは中田譲治。もともとは俳優としてスタートした彼は今年で芸歴41年目。深く沈み込むような声質は、一度聴くと耳を離れません。 『宝石の国』では金剛先生役、『HELLSING』ではアーカード役など、様々な濃いキャラクターに命を吹き込んでいる中田ですが、TYPE-MOONとは縁が深く、「Fate」シリーズをはじめとした「型月」作品には必ずと言っていいほど声優として出演しています。 これは、『空の境界』のドラマCDに荒耶宗蓮役として参加した際、当時は同人誌だった『空の境界』を全て入手し読了したのちに収録に臨むという姿勢にTYPE-MOONの奈須きのこや武内崇が感激したため。高いプロ意識を持つ人気声優である中田はファンからは「ジョージ」という愛称で親しまれています。

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『Fate/stay night』破綻者・言峰綺礼の暗躍を再チェック!

自身の幸福のあり方に苦悩する若き日の言峰綺礼と、「悪」であることを受け入れ愉悦を求め策謀を巡らす神父となった言峰綺礼。『Fate/stay night』では、いずれのルートでも命を落とす彼ですが、その生涯の多くは「自己とは何か」という問いの回答を得ることに費やされました。 「破綻者」という点で似た者同士とも言える綺礼と衛宮士郎ですが、相容れぬ目的のために2人は幾たびも拳を交えます。5月25日現在、公開延期となっている『劇場版『Fate / stay night [Heaven's Feel]』最終章』では、そんな彼らの闘いの集大成も描かれます。 「HF」最終章の公開に備え、今一度『Fate/Zero』から始まる言峰綺礼の旅路を追ってみるのも、愉しいかもしれません。