ネットフリックスでドラマ化した『デアデビル』
マーベルコミック『デアデビル』は、2003年にベン・アフレック主演で映画化。2015年にはネットフリックスでオリジナルドラマ化されました。
チャーリー・コックスが主演したネットフリックス版『デアデビル』は高評価を得て、2016年3月18日にシーズン2が配信されることが決定しています。
今回は主にマーベルコミックの原作『デアデビル』にまつわるトリビアをご紹介いたします。
1.ユリ・ゲラーと共演していた!?
70年代、スプーン曲げをする超能力者として日本で有名だったユリ・ゲラー。
そんな彼の人気にあやかろうと、
はユリ・ゲラーをコミックに登場させる計画を立てます。しかし、進んでユリ・ゲラーをコミックに登場させる作者が現れません。
結果、責任を押し付けられる形になったのがデアデビルの担当者でした。出来上がったプロットはデアデビルコミックの中で最もクレイジーでエキセントリックな内容、押し付けられた担当者はとんだ災難でした。
2.フランク・ミラー版がリアルな理由!?
デアデビルコミックの中で特に人気が高いのがフランク・ミラー版のデアデビルです。80年代からシリーズを引き継ぎ、シリアスタッチな作風が人気を博しました。
フランク・ミラーのデアデビルはなぜシリアスでリアルだったのでしょうか?
デアデビルを製作中、フランク・ミラーはニューヨークで2度も強盗に遭っていたそうです。その出来事が彼に大きなインスピレーションを与え、作品に転化されていたそうです。
3.視力を取り戻していた!?
盲目であることがデアデビル最大の特徴のひとつですが、マット・マードック(デアデビル)は何度か視力を取り戻したことがあります。
最初はムーンドラゴンの能力によって一時的に視力を回復しています。その時にはレイダーセンスを失い、ビルに飛び移ることを恐れるようになっていました。
さらに、90年代にはビヨンダーによってマット・マードックは視力を取り戻しています。しかし、そういったエピソードはコミックファンには不評だったようです。
4.アイアンマンとデアデビルは人気がなかった!?
は実写映画化したヒーローの中で最も成功したキャラクターの一人。一方、デアデビルの実写化は失敗の連続、ネットフリックスのドラマシリーズでようやく人気に火がついた状態です。
今では大きな人気格差がある二人のキャラクターですが、1970年代の二人はマーベルの中でどちらも人気がないキャラクターでした。そのため、当時は一冊のコミックを二人で分けあう計画まであったそうです。
5.新たなキングピンを名乗っていた!?
2000年代初頭、デアデビルシリーズを受け継いだのはブライアン・マイケル・ベンディス。
彼が目指したものは80年代、フランク・ミラーが描いたようなダークでシリアスタッチのデアデビル、マット・マードックは前シリーズよりも繊細で精神的に脆い人物として描かれていました。
ある場面では手下の前でキングピンを容赦なくボコボコにした後、自分こそがニューヨークの新たなキングピンだと宣言、FBIに目をつけられマット・マードックは逮捕されてしまいます。
6.スタン・リーお気に入りのエピソードとは!?
現在マーベルの名誉会長スタン・リーはデアデビルの原作を手掛けていたことがあります。デアデビルコミック47号の話が特にお気に入り、長いキャリアの中でも特別なものであると語っています。
デアデビルコミック47号のエピソード
デアデビルがベトナムでウィリー・リンカーンという盲目の兵士と出逢う、ウィリーは賄賂を強要されたことで解雇されてしまった元ニューヨークの警官だった。そのことを知ったデアデビルがウィリーの名誉と職を取り戻すために奮闘します。
7.デヴィッド・ボウイの奥さんがブラックウィドウ!?
1975年イギリスのミュージシャン、デヴィッド・ボウイの奥さんがデアデビルのテレビシリーズ化を計画、デアデビルをベン・カラザース、自身がブラックウィドウを演じるつもりだったそうです。
デビッド・ボウイの衣装を担当していた人物にブラックウィドウの衣装デザインを依頼、写真撮影までしていました。しかし、マーベルが彼女の計画に興味を持つことはなく、努力は水の泡に。
もし実現していたら、デヴィッド・ボウイがカメオ出演していたはずです。
8.アベンジャーズに貢献した人物!?
デアデビルの共同作者だったビル・イブレットは仕事が遅くデアデビルコミックの第1号が発売された後、マーベルから解雇されてしまいます。
デアデビルがスケジュール通りデビュー出来なかったことでマーベルは大きな混乱に陥ってしまいます。その時、スタン・リーが思いついたのがアベンジャーズだったそうです。
デアデビルの穴を埋め合わせるため、アベンジャーズシリーズは急ピッチで製作されることになりました。
9.スパイダーマンのヴィランだった!?
デアデビルのヴィランと言えばキングピン。しかし、元々はスパイダーマンのヴィランとして登場したキャラクターでした。
フランク・ミラーが容姿の特徴を残し、新たなパーソナリティを与えて生まれたのがデアデビルのヴィランとして知られる現在のキングピンでした。
冷酷な裏社会のボスキングピンはすっかりデアデビルの宿敵として定着。フランク・ミラーの手腕によってスパイダーマンのC級ヴィランがマーベルコミック全体でも人気が高いヴィランへと生まれ変わっています。
10.デアデビルの彼女になると災難がふりかかる!?
マット・マードック(デアデビル)にはある不吉なジンクスが存在します。特に深い関係になる時は細心の注意が必要です。
カレン・ペイジはマットと別れた後、ポルノ女優になり、ブルズアイに殺害されてしまいます。ヘザー・グレンはマットと別れた後、アルコール依存症になり自殺を図る、グロリアンナ・オブリーンはクルエルに窓の外へと投げ出され死亡。マットの妻、ミラ・ドノバンはミスターフィアーに気を狂わされ、施設に入所してしまうなど。
一体なぜデアデビルと関係を持つと不幸な出来事が起こるのか?その真相はまだ明らかになっていませんが、このシリーズのパターンになっています。
11.黄色いデアデビル!?
デアデビルといえば赤いコスチュームが印象的なキャラクター。しかしコミックに初登場した時は赤ではなく黄色いコスチュームを着ていました。
コミックの売れ行きが悪く、何か変化が必要だと感じたマーベルはデアデビルのコスチュームを変更する決断をしました。
12.デアデビルはマーベルのキャラクターではなかった!?
ザ・フラッシュ、グリーン・ランタンのように現在知られているスーパーヒーローが実は初代ではなかったということがよくありますが、デアデビルもその内の一人です。
今の前身のデアデビルはマーベルのキャラクターでさえなく、別会社、レヴ・グリーソンのキャラクターでした。
そのデアデビルは盲目ではなく耳が聞こえない設定、現在このバージョンのデアデビルを知っている人はほとんどおらず、マーベルのデアデビルが一般的に知られている状態です。
前身のデアデビルからどれほど影響を受けていたのか、マーベルは明らかにしていません。
13.ブラックウィドウと交際していた!?
デアデビルと関係を持つと、災難が降りかかるパターンについて説明しましたが、中には例外の女性も。
フランク・ミラーがシリーズを受け継ぐ前、デアデビルはブラックウィドウと交際していたことがあります。
ふたりの関係は不可思議なものでした。同じアパートの別々の階に住み、交際していたにも関わらず、同じベッドで眠ることはありませんでした。
それはコミックス倫理規定委員会の規定の一つに、結婚していない男女が同居する描写を描いてはならないという規定があったからだと言われています。
14.コスチュームチェンジ2?
フランク・ミラー版のコミックが終了した後、デアデビルは一時迷走期に突入します。
その一つの例がデアデビルのコスチュームが革新的デザインに変更されたこと。青いアーマーのようなコスチュームを着たデアデビルが一時登場していました。
しかし、ファンから不満が続出、アーマーコスチュームは長く続かず2年ほどで赤いコスチュームに戻っています。
ネットフリックスの『
』は幾分か人気のなかったアーマーコスチュームからインスパイヤーされているようです。
15.うつ病を患っている!?
マット・マードックは子どもの頃に両目を失明、ギャングに父親を殺されるなど数多くのトラウマを抱える人物です。
デアデビルになってからも、キングピンに人生を破滅させられるなど、苦労が絶えません。そのためマットは精神を患い、うつ病を発症しています。
16.ベン・アフレックはブルズアイのオーディションを受けていた!?
マーク・スティーブン・ジョンソン監督作『デアデビル』(2003)でマット・マードックを演じた
。
ベン・アフレックは元々、ブルズアイ役のオーディションを受けていました。しかし、プロデューサーがデアデビルが適役だと判断(ほとんどのコミックファンは反対意見)ベン・アフレックがマット・マードックを演じることになりました。
(ベン・アフレックの親友)も今作に出演する可能性があったそうです。
17.双子の兄がいる!?
60年代、マットはシークレットアイデンティを守るために双子の兄マイク(存在しない)がデアデビルであると公言していたことがあります。
スパイダーマンはマットがデアデビルであることを知っていて、そのことを伝える手紙をマットに送ったことがあります。原作者はあまり効果的でないと判断、マイクの設定はフェイドアウトすることになりました。
18.タートルズに影響を与えている!?
日本ではアニメーションが放映されていたことでお馴染み、ケヴィン・イーストマン&ピーター・レアード製作の『ティーン・エイジ・ミュータント・タートルズ』。今作は『デアデビル』から多大な影響を受けています。
例えば、タートルズの師匠スプリンターの名前の由来はデアデビルの師匠スティック、タートルズが敵対する組織“ザ・フット”はデアデビルが敵対する組織“ザ・ハンド”が由来です。
『デアデビル』と『ティーン・エイジ・ミュータント・タートルズ』には多くの共通点があるものの、権利の問題などによりクロスオーバーは実現したことがありません。
19.女性版デアデビル!?
90年代、アメコミは不遇の時代、マーベルとDCは何とか業界を盛り立てようと、数多くのクロスオーバーが企画されました。その中には、ただのクロスオーバーだけではなく、マーベルとDCのキャラクターを組み合わせ、全く新たなキャラクターを生み出すという無謀なものも含まれていました。
デアデビルはデス・ストロークと組み合わされ、スレード・マードックというキャラクターが誕生。
男性ではなく女性キャラクター、盲目であることはマット・マードック(デア・デビル)と変わりませんが、アイパッチやエニグマ・フィスクによって埋め込まれた角があります。
20.『キャプテン・アメリカ/シビルウォー』に登場する可能性!?
デアデビルのシークレットアイデンティティがキングピンによってマスコミに漏れた時、マット・マードックは逮捕されて牢獄へ。
その間にシビルウォーが起きているため、2016年公開予定の『キャプテン・アメリカ/シビルウォー』にデアデビルが登場する可能性は低いでしょう。
21.チャーリー・コックスはデアデビルを演じた初の外国人俳優
テレビドラマ版『デアデビル』で主役のマシューを演じたチャーリー・コックス。1982年イギリスのイースト・サセックス生まれのイギリス人俳優で、父方の祖先は貴族であり、自身もパブリック・スクールで学んで由緒正しき家系の出身です。
実はチャーリー・コックスはデアデビルを演じた初めての外国人俳優です。映画版『デアデビル』ではアメリカ人俳優のベン・アフレックでした。
2004年公開の映画『ヴェニスの商人』やイギリスの人気ドラマ『ダウントン・アビー』などの話題作に出演しており、現在注目の集まる演技は俳優の一人と言えるでしょう。
イギリス貴公子の演じるデアデビル、一見の価値ありです。
22.マーベルとネットフリックス初のタイアップ作品
今や多くのひとが家でのリラックスタイムに欠かせないアイテムとなっているネットフリックス。話題の映画やドラマ、またネットフリックス限定の作品を気軽にパソコンで鑑賞できるため、2017年12月現在、190ヶ国以上もの国の人々がネットフリックスを楽しんでいます。
そのネットフリックスと『デアデビル』の生みの親であるマーベルがタイアップした初の作品が『デアデビル』です。
ネットフリックスでの配信で多くの視聴者を得ることができるか、マーベルにとってネットフリックス初の作品が重要であったことは間違いありません。そのため『デアデビル』がマーベルが満を期してネットフリックスに送り出した自信作であることは疑う余地はないでしょう。
23.テレビドラマ『超人ハルク』にも登場
1978年から1982年にかけて放送されたテレビドラマ『超人ハルク』。そのスペシャル版が1989年に放送され、実はそのスペシャル版にデアデビルが登場しています。
登場するのはただマスクを被っただけのデアデビルですが、マーベルコミックが生んだ2大キャラクター同士が共演する『超人ハルク』は必見の価値ありの作品です。
24.エレクトラ役のエロディ・ユンは空手の黒帯を持っている!
テレビドラマ『デアデビル』のシリーズ2からエレクトラ役を演じているエロディ・ユン。どことなくオリエンタルな雰囲気の漂う彼女は、カンボジア人とフランス人のハーフの、フランス育ちの女優で、イギリスで演技の勉強、そしてフランスでは法律を学んだ才女です。
2011年『ドラゴン・タトゥーの女』でハリウッドデビューを果たしたエロディ・ユンは、数多くのアクション映画に出演しており、どれもサマになっています。それもそのはず、実はエロディ・ユンは映画デビューを果たした2004年から空手を習っており、黒帯の持ち主なのです。
アクションシーンでの見事な演技は、演技ではなく、彼女が普段から鍛えあげている技の結晶と言えるでしょう。
25.『デアデビル』は驚異の高評価!
ネットフリックス製作の『デアデビル』。批評家からも視聴者からも驚異的な高評価を得ています。
テレビドラマや映画の批評サイトであるIMDb(インターネット・ムービー・データ・ベース)では、8.6〜9.4(10点満点中)という高得点を取得。またその他の批評サイトでも批評家から98パーセントの支持、視聴者からも96パーセントの支持という高評価を得ています。
なぜこれほどの高評価を得ることができたかは様々な理由がささやか得ていますが、アメコミでは珍しく、心理描写が巧みに描き出されていることが理由の一つと言えるでしょう。