2023年1月16日更新

グザヴィエ・ドラン監督おすすめ映画ランキング

このページにはプロモーションが含まれています
クザヴィエ・ドラン

AD

グザヴィエ・ドラン監督おすすめ映画ランキング!作品の特徴と評価は?

グザヴィエ・ドラン
© Picture Alliance/Photoshot

2009年に『マイ・マザー』で監督デビューしたグザヴィエ・ドラン。デビュー作がいきなりカンヌ国際映画祭で3冠を果たし、その後も出品した作品がそれぞれ高く評価されています。作品の特徴は、家族や性のあり方を若者の視点で鋭くシビアに描くリアリズム。 1作目『マイ・マザー』から、『胸騒ぎの恋人』(2010)、『わたしはロランス』(2012)、『トム・アット・ザ・ファーム』(2013)、『Mommy/マミー』(2014)、そして2016年に発表された『たかが世界の終わり』までの6作品のおすすめ度をランキング形式でご紹介します。

【6位】死に直面する若者と家族の葛藤を描く

YU66
YU66 4

登場人物たちが、見事に動と静に分かれ激しい会話と長い半日が描かれます。何故なのか…を探るために必死で会話や仕草まで追いかけます。 最後の最後に主人公の過去を全てあらわしているようでした。 じれったい台詞まわしやイラつきはこちらまで感染ってしまうようですが、これが流石のグザヴィエドランでした。

2016年5月にカンヌ国際映画祭でプレミア上映され、日本では2017年2月11日公開の『たかが世界の終わり』は、グザヴィエ・ドラン監督の6作目です。 マリオン・コティヤールやレア・セドゥ、ギャスパー・ウリエルなどフランス映画界を代表するキャストを集めた作品で、原作は劇作家ジャン=リュック・ラガルスの『まさに世界の終わり』。 12年ぶりに帰郷した若手作家のルイは、実は家族に自分の死期が近いことを打ち明けるために訪れたのですが、久しぶりに顔を見せたルイに明るい態度を見せる家族になかなか言い出せず・・・。 死に向き合う若者と家族間の愛憎を描いた作品です。 『たかが世界の終わり』は第69回カンヌ国際映画祭でグラン・プリを受賞しました。しかしIMDbの平均評価は7.1、Rotten Tomatoesでは残念ながら批評家の平均評価5.9、47%Rottenの低評価を記録しています。

AD

【5位】ケベック州を舞台にした心理スリラー

southpumpkin
southpumpkin 4.5

グザヴィエ・ドラン監督作品は実は初鑑賞。若干毛色が異なるサスペンス色の強い映画、と言われる本作を最初に観るのに若干抵抗がありましたが、これまでのドラン作品に引っ張られない分素直な気持ちで観ることができたと思います。なにこれ超すごくないですか。 近年の映画に田舎の暗部を描いた作品は数多くありますが、その闇をまるで輪廻のように、降りることのできないメリーゴーランドのように描かれていると思います。ドラン演じる青年が閉鎖的な村から降りれなくなります。他のレビューにもあるように『白いリボン』という似た題材の話がありますが、『白いリボン』はメリーゴーランドに嫌々乗っている人と回転していることにすら気づいていない人がとても近くにいる恐怖を描いていると思うんです。それに対して、この映画は誰がメリーゴーランドを回しているか、というのが大きなテーマになっています。ギリギリネタバレになっていないと思うのですが…!注目して観ると楽しめると思います。 10月のトウモロコシが発する謎の胞子が人々の心を惑わす、くらいのオチだった方がよほど救いようがある地獄のようなラストです。久しぶりにもう一回見てもいいな、と思える映画です。

2013年に監督・主演・脚本・編集を務めた『トム・アット・ザ・ファーム』は、第70回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門で国際映画批評家連盟賞を受賞しました。監督の出身地でもあるカナダ・ケベック州の田園地帯を舞台にしたサイコ・スリラー作品で、男性の恋人を亡くしたトム役を監督自身が魅力的に演じています。 恋人のギョームを亡くし悲嘆にくれるトムは、葬儀に出席しようとギョームの故郷を訪れます。しかしそこで待っていたのは息子のセクシャリティーやトムの存在を知らない閉鎖的な家族でした。そんな中、ギョームの兄フランシスだけがトムの存在を知っており、恋人であることを家族に黙っているように強要されますが・・・。 『トム・アット・ザ・ファーム』は、IMDbでは平均評価7.0と『たかが世界の終わり』よりも低い数値ですが、Rotten Tomatoesでは批評家の平均評価7.2の78%Fresh、観客の平均評価3.6の72%likedでした。

【4位】切ない三角関係を描く

Moto_Ishiduka
Moto_Ishiduka 5

グザヴィエドランにハマるきっかけになる映画。衝撃の色彩美に貴方はついていけないだろう。個々の心情を吐露するシーン、スローモーション、遠くからのアングル、横顔、狙って撮られた一つ一つのカットは妖しくも美しく観てる側に入り込んでくる。 危険な三角関係、こんなシチュエーションなかなかないのだけど、男女が一人の男を取り合う姿は醜さを通り越してもはや美しいの形容詞に変わった。誰かを思うことの綺麗さと汚さが見ることができる。 マシュマロが降ってくるシーンはいつぞやの私はロランスの服が降ってくるシーンと同じでスローで観る人の目を決して離させはしないだろう。あとはみんなの衣装がカッコよすぎる、3人の色気を存分に出してくる。雰囲気でオシャレを語るとはこのことか、なるほど。 恋の女神はどちらに微笑むのかひと時も放すことなくみてほしい。

長編2作目『胸騒ぎの恋人』も、監督自身がゲイの青年役で主演しています。そしてこの作品では監督・製作・脚本・編集に加え音楽の選曲も手がけ、才気あふれる若手監督として注目されました。第63回カンヌ国際映画祭ではある視点部門で上映され、若者の視点賞を受賞しています。 ゲイの青年フランシスとその親友の女性マリーが、あるパーティで出会った美しい青年ニコラに同時に恋をしてしまうという、若者たちの切ない三角関係を描いています。 フランシスをドラン監督が、マリーを『わたしはロランス』のモニア・ショクリが、そしてニコラを『マイ・マザー』にも出演しているニールス・シュナイダーが演じました。 『胸騒ぎの恋人』の評価は総合的には6作品中の中ほどで、5位の『トム・アット・ザ・ファーム』と比べると、IMDbでは平均評価7.2と高く、Rotten Tomatoesでは批評家の平均評価6.9の73%Fresh、観客の平均評価3.6の70%likedとやや低い結果になっています。 『トム・アット・ザ・ファーム』はサイコ・スリラー、『胸騒ぎの恋人』は恋愛映画とジャンルの違う作品のため、ダイレクトに比較することは難しいですが、監督独特のスタイリッシュな映像ではこちらの作品の方がおすすめ度は高いかもしれません。

AD

【3位】天才監督が誕生したデビュー作

whentheycry
whentheycry 5

見始めた瞬間は20歳の僕にはまだ見るのが早いと思った。ユベールと歳がそう変わらなくて彼が母親に感じる感情をつい最近までとても感じていたから。 ご飯の食べ方、服のセンス。学校に送られるユベールが言った言葉そのまま笑 でも最後まで見てユベールの気持ちが凄くわかる分とても感情移入できて見て良かったと思った。また10年後とかに、見たら見え方が全く違ったりするのだろうけど今観れて良かった。監督のグザヴィエ・ドランが17歳で脚本を書き19歳で映像化しのだから。むしろ歳が近い方が感情移入しやすいのかも。 ユベールの母親にぶつけた言葉の8割は言ってると思う笑でも今まで他人に3割も思いの丈をぶつけたことないのに母親にはほぼ全部ぶつけてたということを気付かされた。 ユベールの言ってることほとんど印象に残ってるからいちいち書けないけど、あの"母親は息子の友達にはなれない"という詩は印象に残った。だから母親なんだ。 ユベールの感情以外にもいくつか共通点があって不思議な感じがした。 内容も文句なしなんだけど、BGMの使い方とシーンとの合わせ方、シーンの撮り方と見せ方。回想シーン。頭の中のシーン。ユベールが着る服、母親が着る服、ユベールとアントナン、全て美しくて可愛くて素敵。 アントナンの名前が思い出せなくてウィキペディアで調べてたらユベールを演じてたのがグザヴィエ・ドラン自身と知り多才さと美貌に完全に惚れました笑

監督デビュー作『マイ・マザー』は、監督の半自伝的作品といわれています。2009年カンヌ国際映画祭で若者の視点賞など3冠に輝き、鮮烈なデビューを飾りました。この作品から監督・製作・脚本・主演を兼ねており、その才能を見せつけています。 カナダ・ケベック州に住むユベールは17歳の少年。そりの合わない母親との関係に悩み、愛憎の間で揺れ動く思春期を鮮やかに切り取った作品です。17歳で脚本を書き、19歳でユベールを演じて撮った監督の恐るべき才能に、ただただ驚くばかりです。 『マイ・マザー』の評価はドラン監督の6作中、どのメディアでもほぼ均一の3位で、IMDbでは平均評価7.5、Rotten Tomatoesでは批評家の平均評価7.1の81%Fresh、観客の平均評価は3.9の81%likedでした。

【2位】トランスジェンダーをテーマにした恋愛映画

s_p_n_minaco
s_p_n_minaco 0

『胸騒ぎの恋人』の次に観たグザヴィエ・ドラン監督作。まず画面がスタンダードサイズとは驚き。しかも屈指の男前メルヴィル・プポーが女になるとは、心の準備なしで観ると結構衝撃な絵面。途中、魔夜峰夫の漫画みたいだったけど、だんだん見かけもこなれていくのが何とも言えず細かい。アッと度肝を抜くような心象風景が何度かあって、やりすぎってくらいスペクタクルな仕掛けは好き。音楽もドラマティックだが、中でもベタなクラシックがハマってる。後姿、スローモーション、しっとり美しいカナダの景色、若干力みすぎな気もしつつ迸る瑞々しさ。相手に応えたいけど自分を捨てられないって葛藤は、どんなカップルにも通じると思う。

監督23歳の3作目『わたしはロランス』が2位!男女問わず幅広い支持を獲得しているこの作品は、LGBTの中でもトランスジェンダーの性同一性障害を持つ男性を主人公にしています。 フランスの俳優メルヴィル・プポーが主人公ロランスを、そしてロランスを支えるフレッドを『マイ・マザー』『Mommy/マミー』にも出演しているスザンヌ・クレマンが演じています。 カナダ・モントリオールに住む国語教師のロランスにはフレッドという恋人がいましたが、ある日突然、ロランスは「女になりたい」とフレッドに告白します。 二人の愛と葛藤の10年間を描いた斬新なラブ・ストーリーです。やはりドラン監督の独特な映像と構成には多くの高い評価がついています。 フレッド役のスザンヌ・クレマンがこの作品で評価を得て、2012年カンヌ国際映画祭ある視点部門で最優秀女優賞を受賞しました。またこの作品ではドラン監督自ら衣装も担当しています。 『わたしはロランス』の評価は、IMDbでは平均評価7.6、Rotten Tomatoesでは批評家の平均評価7の83%Fresh、観客の平均評価は3.8の78%likedでした。

AD

【1位】ADHDの息子を持つ母親の現実を描く

Satoko_Suzuki
Satoko_Suzuki 4.5

2015/06/17 強烈にグイグイ、ズカズカ入ってくる映画。画面に釘付けにして離さない。感情を鷲掴みにしておいて「WONDER WALL」で泣かす。 ずるい。 母と息子の、いびつで太い絆=線、に近所の主婦を加えた、三角形。終わりが来ることがわかっているからこそ、輝く三角形。眩しくて危うくて涙が出ちゃう。 こんなに音楽の使い方が上手い映画って、得した気分になる。選曲、タイミング、音の強弱などが本当にステキ。

堂々の1位に輝いたのはドラン監督5作目『Mommy/マミー』。2014年カンヌ国際映画祭でパルム・ドールにノミネートされ、審査員賞を受賞しました。 多動性障害(ADHD)を持つ息子スティーヴをアントワン=オリビエ・ピロンが、その母ダイアンをアンヌ・ドルバルが、そして『わたしはロランス』のスザンヌ・クレマンが二人の隣人カイラを演じています。 ADHDのため施設に預けていた息子スティーヴが放火事件を起こしたため、引き取って育てることにしたシングルマザーのダイアン。二人の新しい家の隣に住む教師カイラはストレスから吃音になり休職中。そんな三人が築いていく不思議な関係を描きながら、家族と親子のあり方を真摯に問う物語です。 この映画の最大の特徴は1:1で構成される画面アスペクト比と、作中を彩る音楽の選曲のすばらしさ。音楽担当は『わたしはロランス』も担当したノイアです。 『Mommy/マミー』の評価は、IMDbでは断トツの平均評価8.1、Rotten Tomatoesでは批評家の平均評価7.9の89%Fresh、観客の平均評価は4.2の89%likedでした。