スネイプ先生でおなじみのアラン・リックマン
イギリスを代表する俳優だったアラン・リックマン。その低音ボイスが魅力の彼、日本では『ハリー・ポッター』シリーズのスネイプ先生役でおなじみですよね。アラン・リックマンは1946年イギリスはロンドン生まれ。8歳で父親を亡くすという不幸に見舞われますが、奨学金を得ながら学校を卒業します。
グラフィックデザイナーをしていた
アラン・リックマンは俳優として働く前はグラフィックデザイナーとして活躍していました。1968年から69年までロイヤル・カレッジ・オブ・アートに学んだ後、スタジオをソーホー地区にオープンします。 クリエイティブな人々がひしめくソーホーで本の装丁や雑誌のイラストなどを手がけていたよう。 その後、俳優を志すことになるわけですが、そのきっかけについて本人は次のように話しています。
フリンジ・シアターで働いて王立演劇学校に入学したことでデザイナーとしての仕事はごく自然に終わったんだよ。
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彼がデザイナーを辞めて本格的に俳優を目指すため王立演劇学校から奨学金をもらって入学したのが26歳のとき。決して早いとはいえない俳優としてのキャリアをスタートすることになりました。
映画『ダイ・ハード』での体を張った演技
その後舞台で活躍していたアラン・リックマンの映画デビューは1988年『ダイ・ハード』でのこと。ブルース・ウィリス演じる巡査部長ジョン・マクレーンにテロリスト集団のリーダー、ハンス・グルーバー役を演じ、鮮烈な映画デビューを飾りました。
撮影の一番最初に怪我!
ド派手なアクションが見ものの『ダイ・ハード』は演じるキャストも体当たりの演技。アラン・リックマンは一番最初の撮影シーンで怪我を負ってしまったのだとか。
本当に初めての撮影シーンで靭帯をやっちゃったと思ったんだよ。本当は軟骨だったんだけどね。そのとき僕はまだ映画のシーンを1つも撮っていなかったし、まだ衣装を着ていたんだよ!
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スタントマンから落とされた!?
またハンスがビルの屋上から落ちるシーンで、リックマンは実際20フィート(6メートル強)落ちてしまうというハプニングも。実はこれ、スタントマンが故意にやったことで、リックマンの表情をよりリアルにするためのサプライズだったそう。様々な事故やハプニングを経て熱演したハンスは高い評価を得、映画俳優としてのキャリアが花開きました。
ハリーポッターシリーズの裏話
アラン・リックマンを語る上で外せないのが『ハリー・ポッター』シリーズ。全編を通じて鍵を握る最重要キャラクタースネイプ先生を演じています。そのためこのシリーズ撮影にはリックマンのエピソードが多数あります。
作者たっての願いでスネイプ先生を演じた!
『ハリー・ポッター』シリーズの映画化が決まったとき、作者のJ・K・ローリング自らアラン・リックマンにスネイプ役をオファーしたと言います。 さらにスネイプを演じるからには彼の過去をしっておいてほしいということで、世界中でただ1人リックマンにだけスネイプの過去と結末をあらかじめ伝えていたと言います。 もちろんリックマンはスネイプの秘密を最終作が出版されるまでかたく秘密にしていました。そのため次のようなことが撮影現場で起こっていたとプロデューサーのデイヴィッド・ヘイマンは話しています。
監督がアランに演技の指示をしたときに、「いや、それはできないよ。だって僕は今後物語がどうなっていくか知っている、でもあなたは知らないでしょう」と言ったことがあるんだよ。
出典: www.bustle.com
物語の結末を知っていたからこそ、スネイプのあるべき姿を作り上げることができたのかもしれませんね!
実はいたずら大好き!?
子役相手にいたずらを仕掛けたことも。それは大広間でホグワーツの生徒が集まって一夜を過ごすシーンでのこと。なんとリックマンはハリー・ポッター役のダニエル・ラドクリフの寝袋の中におならの音がする機械を仕込んでおいたのです!ラドクリフはこのシーンについて次のように話しています。
カメラは大広間を映し出してから、段々と僕の顔にクローズアップしてきたんだ。僕の顔がしっかり捉えられるところまでカメラが寄った時に、(遠隔操作で)おならの音が大広間中に響き渡ったんだよ。
出典: time.com
この様子はビデオ映像で公開されています。おならの音に必死で笑いをこらえるリックマン、知らないふりをして話し続けようとするマイケル・ガンボン(ダンブルドア先生)、寝袋の中で笑いをこらえているラドクリフ、全員の反応がとっても面白いですね。
車に近寄っちゃダメ!
時には子供相手に本気で(?)怒ったことも。それはロン役のルパート・グリントとネビル役のマシュー・ルイスがリックマンの車にミルクシェーキをぶちまけたことがきっかけ。新車のBMWだったとかで、リックマンは2人に車に近づくなと命じたのだとか。
舞台での活躍がブレイクのきっかけに
ハリー・ポッターシリーズなど映画俳優としての一面がフューチャーされがちですが、アラン・リックマンのキャリアは舞台から始まりました。中でも、1987年にブロードウェイで上映された『危険な関係』は高い評価を受け、トニー賞にもノミネートされています。
アラン・リックマンが演じたちょっと変わった役
スネイプ先生のシリアスな役のイメージが強いですが、コメディも難なく演じられる幅広い演技力を持っています。
まさかの天使役!しかも一番くらいの高い大天使
マット・デイモン&ベン・アフレックのコンビが主演の『ドグマ』(1998年)は2人の堕天使が繰り広げるドタバタ劇。天国に何が何でも帰還しようとする2人とそれを必死で阻止しようとする周囲の人々(天使)のコメディです。
リックマンは大天使メタトロンを演じており、天使らしく大きな羽をつけている姿はなんともシュール。
元俳優の医師役!人気作のパロディ
同じく1998年公開の『ギャラクシー・クエスト』は『スター・トレック』のパロディ的作品。『ギャラクシー・クエスト』という人気TV番組のキャストたちが本当に宇宙人との戦いに巻き込まれるというストーリーです。 リックマンはアレクサンダー・デーンという役で登場。かつてリチャード3世を演じたイギリス俳優という設定はリックマン本人とリンクしているのかも?
幸せな結婚生活が羨ましい!
"Dumbledore trusts Snape, therefore I do." - Lupin
— Harry Potter Film (@HarryPotterFilm) October 7, 2015
Do you? #AppearancesAreDeceiving pic.twitter.com/j3wO5L2zM0
ハリウッドでは派手な恋愛模様を繰り広げる俳優が多い中で、アラン・リックマンは堅実そのもののプライベートを送っていました。彼は19歳の時、当時18歳だったリマ・ホートンと交際を始めます。2人は1977年から同棲を開始し、その後関係を築いていきます。 2012年に2人は正式に結婚。19歳の時から50年以上も連れ添った2人、その仲睦まじい様子が度々写真に収められています。
カナダが大好きなアラン・リックマン
Happy birthday, Snape! Thanks for reminding us that oftentimes things aren't what they seem. #Always pic.twitter.com/wnqiqEOlls
— Harry Potter Film (@HarryPotterFilm) January 9, 2014
イギリス生まれのリックマンですが、カナダを第二の故郷と明言しているほどカナダに強い思い入れがあります。一番の思い出としては24時間かけて横断したカナディアンロッキー・ジャスパーからバンクーバーまでの電車の旅をあげています。
本当に素晴らしかったし、みんなにオススメするよ。24時間ロッキーで過ごし、船でトフィーノへと向かったんだ。
出典: www.fame10.com
アラン・リックマン出演おすすめ映画6選!
クリスマスのロンドンを舞台に、19人もの男女の恋模様をグランドホテル方式で描くラブストーリー【2003年】
2012年8月19日 やっと観ることができました。 色んな人の愛のお話が時に交差しながら描かれていきます。一度でも恋をしたことがある人なら登場人物19人の中に誰か一人でも共感できる人がいるはずです。当然この映画はフィクションなので実際には起こりえないようなことばかりですが、それでも自分の等身大に縮小していくとどこにでもありふれたお話ばかり。序盤では「ああ、こんなことあったな(ありそうだな)・・・」と感情が入って、エンディングであるクリスマスに向かっていきます。愛にポジティブになれること間違いなしでしょう。ちなみに僕は英国首相にぐっときました。あんなかっこいいことしてみたいです。こんなに観た人みんなが幸せになれる映画もないでしょう。 リーアムニーソンも雪山で凍えていたり敵ボスを演じたりしてるよりもこっちの優しいお父さんの方が素敵です。 2015年1月11日 再鑑賞 僕もようやくこの映画を素直に楽しめるようになった、ってわけですね。
さまざまな角度からあたたかくて優しい人間ドラマを描いたこの作品。アランリックマンは部下に言い寄られて戸惑う会社社長ハリーを演じています。
主人公は生まれながらに超人的な嗅覚を身につけていた。ある匂いの再現に固執する余り、彼は禁断の術に手を出してしまう【2006年】
こんなにおしゃれで官能的な映画はない ストーリー構成、映像、完璧だった とにかく上品な映画、香りの上品さ奥深さを完全に表現できていた 最後の乱交シーンはヤバい
類まれなる嗅覚をもって生まれた孤独な少年が、ある匂いに目覚め、その香りを求めて人間の道を踏み外していってしまいます。 リックマンは香水の街として知られるフランスのグラースに住む商人・リシを演じています。
平和な生活を壊された1人の男。彼は復讐のために舞い戻り、協力者の女性と共に猟奇的な犯行を重ねていくが……【2007年】
意外とグロい、復讐サスペンスもの。でもミュージカルなので変な唄歌い出すわ、テンポのいいブラックジョークは出るわ、でなかなか楽しい。作っている方が完全に楽しんじゃってる映画です。私はやっぱり好き。
ティム・バートンが監督を務めたミュージカル映画。無実の罪で投獄された主人公・スウィーニー・トッド(ジョニー・デップ)が復讐に動き出すというストーリーです。アランリックマンは物語のキーパーソン、ターピン判事を演じています。
嫌味なイギリス人を演じるアラン・リックマンが巧すぎる【2008年】
アメリカの田舎ワイナリーが本場フランスに勝利した日…確かに米国史に残る快挙でしょうなあ。実話のせいか『ロッキー』みたいなミラクルやカタルシスはないものの、いささか頼りないワイナリー経営者にビル・プルマン、そのバカ息子にクリス・バイン、メキシコ人労働者にフレディ・ロドリゲス、ワイン通の英国紳士にアラン・リックマンなど、役者の持ち味がピッタリ合ったアンサンブルが気持ちいい。エピソードも盛り沢山で楽しめるし、オチも良いね。
カリフォルニアワインがフランスのワインに歴史的勝利を収めた「パリ・テイスティング事件」をモチーフに描いた映画。アランリックマンは、パリのソムリエ・スペリエを演じています。
アラン・リックマンが声優で出演した実写映画【2016年】
2016/07/22 前作もそうですが、原案「鏡の国のアリス」とは全く別モノですね。 ルイスキャロルのあのシリーズが、トリッキーな話なので、ある意味、ティムのシリーズがまとも過ぎてつまらない、と言えなくもないです。 前作よりも、キャラクター説明が要らない分だけ、話の展開が早く、まとまっている印象でした。 でもまとまり過ぎていて、なんかなあ、と。所詮はディズニー映画か。 冒頭で、アラン・リックマンの声が聴けたのは、ちょっとウルっときました。見どころはそこ!
『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』は、アリスが再び不思議の世界に行き友人の為に過去を旅する物語です。 アラン・リックマンは前作では芋虫のアブソレム役でしたが、本作では青虫から蝶になったアブソレムの声を担当しており、アリスの導き手を演じました。
アラン・リックマンの遺作は現代の戦争を描いたサスペンス【2016年】
ソマリアで自爆テロを目論むテロリストのアジトを発見。今すぐ攻撃したいが建物の前で少女がパンを売り始めてしまう。1人を救うか、テロで多数の犠牲者が出るのを見逃すか。何がすごいって攻撃するのは2万ft上空のイギリス軍のドローンってこと。現場にいなくても人って殺せるんですなあ…。今はどこからか映像が漏れて全世界にYoutubeで広まってしまう時代だから、誰もが判断しかねて指示を仰ぐのにたらい回し。色んな意味で恐ろしい。誰か早くパン買ってあげて!って手に汗握った。
遺作となった映画『アイ・イン・ザ・スカイ』は、正義とモラルを問う戦争を題材にした作品です。 英米合同でテロリストの捕獲作戦が計画され、最新鋭のドローンを使い凶悪なテロリストたちの隠れ家を突き止める。司令官たちはその様子を会議室のスクリーンで確認し、彼らが大規模な自爆テロを計画していると知ると、殺害作戦へと発展していく。しかしその殺害範囲には幼いパン売りの少女がおり、作戦を決行するか否か議論が勃発していきます。 アラン・リックマンは国防相のフランク・ベンソン中将役で出演しました。
2016年に惜しくも死去したアラン・リックマン
"I can tell you how to bottle fame, brew glory, and even put a stopper in death." - Professor Snape #BackToHogwarts pic.twitter.com/CUscUOgeAt
— Harry Potter Film (@HarryPotterFilm) September 8, 2015
『ハリー・ポッター』シリーズの終了後は監督業含め精力的に活動していたアラン・リックマン。しかし、2016年1月ガンによる急逝が発表されます。61歳でした。彼の死を受けて共演した俳優や女優がコメントを発表しました。 『ハリー・ポッター』で共演したダニエル・ラドクリフは「疑う余地もなく、僕が一緒に仕事をした俳優の中で一番素晴らしい俳優の1人」と称しています。
多感な年頃に彼と一緒に仕事ができたことはとても大切だった。彼が教えてくれたことをこれからの人生やキャリアで守っていきたい。
出典: www.bbc.com
『ハリー・ポッター』、『ラブ・アクチュアリー』(2001年)で共演したエマ・トンプソンはリックマンのユーモア、知性、そして優しさについて言及しました。彼は私の良き友人で、このコメントを書くのはとても辛い。でも彼はとても希少で、ユニークな人でした。
出典: www.bbc.com
亡くなった今でも、アラン・リックマンはスクリーンの中でファンに愛されながら生き続けることでしょう。