2023年2月17日更新

スリザリンは嫌だ?悪い所ばかりじゃない野心家の寮の特徴・創設秘話【ハリー・ポッター】

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「ハリー・ポッター」シリーズに登場するホグワーツ魔法学校の4つの寮。グリフィンドールと並んで有名なスリザリンは、どちらかと言えば嫌われ者の集まりでした。 果たして本当にそうなのか、スリザリン寮の歴史や寮生の特徴、本来の魅力に迫ります。

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スリザリン寮はこんな寮

創始者 サラザール・スリザリン
シンボル
シンボルカラー 緑と銀
寮監 セブルス・スネイプ→ホラス・スラグホーン
ゴースト 血みどろ男爵

スリザリンは「狡猾な(ずる賢い)者が集う寮」。勇敢さ重視のグリフィンドールとは特に不仲で、クィディッチの試合でも目の敵にしていました。他の3寮とは完全に決裂している一方、スリザリン生同士の結束は非常に硬く、閉鎖的な寮と言えるかもしれません。 ハリー・ポッターの組分けの際、帽子は「大きな栄光と名誉が手に入る」と入寮を薦めたものの、「スリザリンは嫌だ」と断固拒否されました。

スリザリンに入寮する為の素質・特徴

狡猾な純血主義者が多い闇の魔法使いの寮?

4寮の中で卒業生の犯罪率が最も高く、闇の魔法使いのほとんどはスリザリンの出身です。 スリザリンは古くから、狡猾な野心家が多く入寮しており、組分けの帽子の歌にも「スリザリンではもしかして君はまことの友を得る。どんな手段を使っても目的遂げる狡猾さ」とあります。その他の素質・特徴は、機知や断固たる決意、あえて規則を無視する傾向など。 寮生の多くは純血主義者で、マグル(人間族)生まれの生徒への差別的な言動が目立ちます。

誤解の一方でいいところも!

ヴォルデモートの影響もあって、犯罪者予備軍と思われがちなスリザリン。それも事実と言えば事実ですが、決して邪悪な生徒ばかりの寮ではありません。 寮内ではリーダーシップや成果を重視し、個人主義のレイブンクローと違い、困っている仲間がいたら他の寮生が助けてあげることも……。魔法薬学や閉心術にも長け、持ち前の野心や狡猾さ、蛇のような慎重さなどを活かし、政治家・指導者として成功する者も多いです。 卒業生にはリタ・レストレンジやセブルス・スネイプ、ホラス・スラグホーンといった良い人も存在し、特にスラグホーンは温厚な雰囲気の教師です。ただし彼は差別意識こそ薄いものの、関心がない相手に対して冷酷な一面がありました。 つまり、“自分や同胞の栄誉のため、狡猾に立ち回る”のが本来のスリザリン生かもしれません。

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創設者サラザール・スリザリンはどんな人物?

蛇語を話す偉大な魔法使いだったが……。

スリザリン寮の創設者はサラザール・スリザリン。彼は蛇語を操るパーセルマウスであり、蛇を自在に従えるだけでなく、優れた開心術で相手の心をも操ったとされています。 マグルの権利を主張した高名な魔法使い、マーリンに教えを授けた師でもあったようです。 しかし自身は純血主義者であり、寮生を選ぶ際も純血性を重視していました。創設から数年後、彼は学校全体で純血の生徒だけ受け入れるべきだと提案します。 他の創設者3人は強く反発し、特に親友でもあったグリフィンドールとは決闘に発展。4人は完全に決裂してしまい、スリザリンは学校を去ることになりました。

純血主義から作った秘密の部屋

魔法史の教授カスバート・ビンズ曰く、スリザリンは他の創設者と決裂した後、ホグワーツ内の「秘密の部屋」にバジリスクを棲まわせました。 彼が秘密の部屋を造った目的は、マグル生まれの生徒の追放を後世に実現するためでした。 1943年、スリザリンの「真の継承者」であるトム・リドル(ヴォルデモート)が秘密の部屋を開き、バジリスクがマグル生まれの生徒を襲撃しました。 さらに、2作目「秘密の部屋」(2002年)でヴォルデモートにより再び開かれ、ホグワーツに恐怖をもたらします。

スリザリンのロケットの最初の持ち主

のちに分霊箱となったロケットは、子孫に受け継がれたサラザール・スリザリンの遺品。重金属で造られており、表にはS字の蛇のような形で緑色の石がはめ込まれています。

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スリザリンの談話室はどんな所?入り方は?

談話室は「ホグワーツの湖に面する地下室」。稀に地下牢と訳されていることもありますが、正確には牢屋ではありません。 玄関ホールの2つの階段のうち、魔法薬学の教室へ続く階段を降りた所の石壁が入口です。 特定の場所で合言葉を唱えると扉が出現しますが、合言葉は2週間おきに変更されるため、談話室の掲示板で確認する必要があります。大理石に囲まれた室内が幻想的な雰囲気を醸し、まるで沈没船か古代の城のよう。窓からは湖内の生物を観察することも可能です。

スリザリンの寮監はだれ?

本編開始時から6年間は、魔法薬学の教授セブルス・スネイプがスリザリンの寮監を務めました。 「謎のプリンス」(2009年)で彼がヴォルデモート陣営に寝返ると、1980年頃に同じく魔法薬学を担当したホラス・スラグホーンが復職し、再び寮監の仕事も兼任。スネイプは校長としてホグワーツに戻った後も、そのままスラグホーンに寮監を任せました。

スリザリン寮の生徒・先生一覧

ドラコ・マルフォイ

ハリーのライバル(?)ドラコ・マルフォイは純血の名家・マルフォイ家の息子です。父ルシウス・マルフォイに続いてスリザリンに組み入れられました。 ホグワーツ入学前にハリーとは2度遭遇していますが、お互い印象は悪く、ホグワーツ入学後も何かとハリー、ロン、ハーマイオニーをはじめとするグリフィンドールの生徒たちと対立します。 シリーズを通してマルフォイを演じているのはトム・フェルトン。「ハリー・ポッター」シリーズ完結後は、ルパート・ワイアット監督作『猿の惑星:創世記』(2011年)に出演しています。長きに渡り、お高くとまったドラコを演じていたトム・フェルトンですが、素顔は鯉釣りが好きな、気さくで良い人だそうです。ドラコ役が好評で、2011年にはMTV映画賞の最優秀悪役賞を受賞しました。

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ビンセント・クラッブ

英国版内山君のような立派な体格のビンセント・クラッブは、純血の魔法族クラッブ家の出身です。 ドラコの家来のように一緒に行動していたのは、彼の父ルシウスとビンセントの父の力関係によるもので、本人は渋々付き合っていた節があります。 2人の父はヴォルデモートに賛同した闇の魔法使いの集団「死喰い人」の一員です。 原作第7巻「死の秘宝」では、ヴォルデモートの分霊箱「レイブンクローの髪飾り」を探しに来たハリー、ロン、ハーマイオニーをドラコたちと待ち構え、襲撃しました。その際、自分が仕掛けた「悪霊の火」に巻き込まれて死亡しました。 演じたのはジェイミー・ウェイレット。2009年に大麻所持で逮捕され、さらに自宅で大麻栽培をしていることも発覚してしまいました。2011年8月に起こった「イギリス暴動」に加わり、略奪行為に関与していたとして、2012年3月に禁錮2年の判決が言い渡されています。

グレゴリー・ゴイル

クラッブと同じく、ドラコ・マルフォイの子分的存在だったグレゴリー・ゴイル。ロンのペットのスキャバーズ(正体はピーター・ペティグリュー)に噛みつかれたこともあります。 映画「死の秘宝 PART2」(2011年)はクラッブが登場しないため、原作における彼の役割を担当。「悪霊の火」を放ったものの、使いこなせずに焼死してしまいました。 演じていたのはジョシュア・ハードマン。2015年には父親とバイクの2人乗りをして事故にあったと報道されました。そして誰もが驚いたのが2016年5月、全身タトゥー、筋骨隆々の総合格闘技家としてデビューしたと報じられ、映画に出ていた頃とは別人のようになっていました。

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パンジー・パーキンソン

ドラコ・マルフォイに気があるパンジー・パーキンソンは、原作ではあまりかわいくない女の子の設定で描かれています。ハーマイオニーを敵視していて、あれやこれやと難癖をつけてくる子です。 作品によってキャストが違い、「アズカバンの囚人」(2004年)ではジュヌヴィエーヴ・ゴードン、「炎のゴブレット」(2005年)ではダニエル・クロックフォード、「謎のプリンス」と「死の秘宝 PART2」ではスカーレット・バーンが演じました。

ブレーズ・ザビニ

母親が美人で父親も7人いたけれど全員死亡し、そのつど保険金が入るので大金持ちのザビニ。お高くとまった性格で、ドラコとは決して仲が良いわけでありません。 映画版は「謎のプリンス」と「死の秘宝 PART2」に登場し、ルイス・コーダイルが演じています。

セオドール・ノット

痩身で内気なセオドール・ノットは、ドラコと同じく父親が「死喰い人」のメンバー。かといって、ドラコの子分ではなく対等な付き合いをしています。登場するのは残念ながら原作小説のみで、映画版には未登場のキャラクターです。

フローラとヘスティア・カロー

フローラ、ヘスティアの双子の姉妹は、映画版のオリジナルキャラクターです。「謎のプリンス」と「死の秘宝」2部作に登場しています。

トム・リドル(ヴォルデモート)ら悪名高い死喰い人

ハリー・ポッターの宿敵「ヴォルデモート卿」こと、トム・マールヴォロ・リドルは魔法界を支配し、マグル生まれを排除しようと画策しました。 目的達成のためならば、容赦なく赤子も殺すことができる残忍な性格です。しかし、ハリー殺害に失敗し、自らの力と体を失ってしまいます。 邪悪な思想は他の魔法使いから恐れられ、その名を口にすることも憚られる存在として、現在は「名前を言ってはいけないあの人」と呼ばれています。 死喰い人とは、ヴォルデモートの思想に賛同し、忠誠を誓った闇の魔法使いたちのこと。 彼の復活を待ち望む主なメンバーは、セルブス・スネイプ、ルシウス・マルフォイ、ドラコ・マルフォイ、ピーター・ペティグリュー、バーテミウス・クルラウチ・ジュニア、ベラドリックス・レストレンジです。

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セブルス・スネイプ

ホグワーツで魔法薬学の教鞭を取り、スリザリンの寮監を務めるセブルス・スネイプ。彼は学生時代から、ハリーの父・ジェームズとシリウスとは犬猿の仲でした。そのため、ジェームズに生き写しのハリーを目の敵にしていました。 死喰い人のメンバーであり、後にダンブルドア校長を殺害し、自らが校長の座に就きます。 しかし、これらはすべて仮の姿。若き日のスネイプは、ハリーの母であるリリーに恋していました。 一時はヴォルデモートに従っており、占い学の教授シビル・トレローニーの「ヴォルデモートを倒す者が7月の終わりに生まれる」という予言を彼に伝えてしまいます。その結果、ポッター一家が狙われることになりました。 スネイプは「リリーの命だけは助けてほしい」と懇願したものの、願いが聞き入れられなかったため、ダンブルドアに助けを求めます。その後、ダンブルドアの命で死喰い人と「不死鳥の騎士団」の二重スパイをしながら、ハリーのことも守っていました。 直接的にはハリーに厳しい態度をとっていたスネイプですが、最愛の女性を死なせた贖罪として、ホグワーツに入学したハリーのことを守っていたのです。「ハリー・ポッター」シリーズは、セブルス・スネイプの壮大なリリーへの愛の物語だったとも言えるでしょう。 演じたのはイギリスの名優アラン・リックマン。『ダイ・ハード』(1988年)や『ロビン・フッド』(1991年)、『ラブ・アクチュアリー』(2003年)など、シリアスからコメディーまで、幅広い役どころを演じた実力派です。 惜しくも2016年1月14日、膵臓ガンのため亡くなりました。享年69。

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ホラス・スラグホーン

ホグワーツ在学中、スリザリン寮に所属していたホラス・スラグホーン。卒業後は母校に勤めるようになり、ダンブルドアとは同期です。 また教師だった頃、スラグホーンはトム・リドルと最も親しかったとされています。 非常に優れた魔法使いと称され、死喰い人からも勧誘を受けていましたが、ヴォルデモート、ダンブルドアのどちらにもつきませんでした。 優秀な生徒たちに声をかけ、プライベートな会合「スラグ・クラブ」も開いていました。当時のメンバーはトム・リドル、リリー、スネイプ、ルシウス・マルフォイ。現役生徒たちの中からは、ハリー、ハーマイオニー、ネビル、ジニーらが参加しています。 本編におけるヴォルデモートとの戦いでは日和見な態度でしたが、最後は多くの魔法使いたちに声をかけ、一緒にヴォルデモートと戦いました。

アンドロメダ・トンクス

姉はベラトリックス・レストレンジ、妹はシリウス・マルフォイと結婚したナルシッサ・マルフォイであり、家柄からスリザリン寮のOGと思われます。アンドロメダの従弟で、ハリーの名づけ親シリウス・ブラックとは大変仲が良く、そのためか、ハリーたちの味方になってくれました。 アンドロメダは若い頃、デッド・トンクスと駆け落ちして結婚し、2人の間に生まれたのがニンファドーラです。ニンファドーラは不死鳥の騎士団に入団し、仲間のリーマス・ルーピンと結婚しましたが、2人ともホグワーツの戦いで命を落としました。 アンドロメダは映画に登場しませんが、物語上では、死んだ娘夫婦の忘れ形見を育てたそうです。

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リタ・レストレンジ

前日譚「ファンタビ」シリーズに登場する魔法省の魔法法執行部職員。聖28一族・レストレンジ家出身の純血の魔女ですが、繊細で優しく、勇敢さを持った女性です。 レストレンジ家は闇の魔法使いを多数輩出しており、学生時代は寮内でも爪弾きにされていました。 孤立を深める中、同じ境遇のハッフルパフ生ニュート・スキャマンダーと友人に……。最期はニュートとその兄で自身の婚約者でもあるテセウスを守ろうとして命を落としました。

優秀なスリザリンの素質があなたにも隠れているかも?

スリザリン生の狡猾さや野心は、良い方向に開花すれば他人を導く才能になるでしょう。 彼らは手段を選ばないだけで、行動原理はすべて自分と仲間のため。組み分け帽子の歌の「まことの友」とは、誤解されやすい本質を理解する人とも解釈できます。歴史に名を刻んできたスリザリン生たちと同じ素質が、あなたにもあるかもしれませんよ!