「エヴァ」ヤシマ作戦とは?作戦の結末からBGMに使われた楽曲まで徹底解説
ヤシマ作戦、「エヴァンゲリオン」シリーズに登場する作戦とは?
アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』で登場した作戦
ヤシマ作戦とは、アニメ版『新世紀エヴァンゲリオン』の第5話と第6話に登場した、第5使徒「ラミエル」を倒すために考案された作戦名です。
新・劇場版『ヱヴァンゲリヲン:序』でも登場 アニメ版との違いはある?
新・劇場版『ヱヴァンゲリヲン:序』は基本的にはTVアニメ版の1~6話をセルフリメイクした内容となっています。「序」でのヤシマ作戦は、クライマックスを飾るシーンとして登場しました。 大きな違いとして使徒のナンバリングが挙げられます。アニメ版では第5使徒ラミエルを倒すための作戦でしたが、劇場版でのヤシマ作戦は第6使徒を倒すための作戦となっており、次作への伏線となっていました。
劇中のヤシマ作戦の結末 殲滅させた使徒は「ラミエル」
ネルフ本部のある第3新東京市に襲来した、第5使徒ラミエル。初号機が迎撃に向かいますが、出撃直後に長距離射撃に遭い中破してしまいます。 ラミエルを迎撃しようにも、視認できるほどの強力なATフィールドが正八面体のボディを包み込むように展開しているため手出しできません。一定距離に近づいた敵を、荷粒子砲で正確に射撃する能力を持ち、強力な防御能力を有したラミエルを、作戦部長の葛城ミサトは空中要塞と称しています。 これを打開するために彼女が考え付いた奇策が、ヤシマ作戦です。作戦内容はいたってシンプル。ラミエルの射程範囲外からの超長距離射撃で殲滅するというものです。 射手に初号機、防御役として零号機が割り振られました。射撃に使う陽電子砲は、研究所で開発中だったものをネルフ特権で接収しています。 陽電子砲に必要な電力は、計算上1発1億8千万kwらしく日本全体で発電できる電力と同等になるそう。劇中では2発分確保し、ラミエルとの戦いに臨むことに。 初手はラミエルとの同時射撃により、ビーム同士が干渉しあったことにより外れてしまいます。2発目の充填中にラミエルから追撃が飛来。その攻撃を何とか零号機が耐えつつ、2射目で見事ラミエルのコアにヒットしたことにより撃破しました。 ヤシマ作戦といえば他にも、中破した零号機からパイロットの綾波レイを救出したときシンジが「笑えばいいと思うよ」の名台詞が印象的。
シンジの名言「笑えばいいと思うよ」が生まれた作戦
ヤシマ作戦では、碇シンジと綾波レイが協力して使徒に立ち向かいました。 シンジは射撃、そしてレイがサポートとして作戦に挑むことに。作戦前、「死ぬかもしれない」と怖気付いたシンジに対し、レイは「貴方は死なない、私が守るもの」と超男前な名言を残しています。 そしてレイはシンジの盾となり、宣言通り彼をラミエルの砲撃から死守。しかし彼女の乗った0号機の機体はボロボロになってしまいました。 機体をこじ開け、レイを救い出すシンジ。アニメ版でシンジは「自分には他に何もないって、そんな事言うなよ。別れ際にサヨナラなんて、そんな悲しい事言うなよ」と涙を流します。それに対してレイは「なんで泣いているの?」「ごめんなさい。こういうときどんな顔すればいいかわからないの。」と返しました。 それに対し「笑えばいいと思うよ。」と言ったシンジにレイがゆっくりと笑いかけるシーンが有名ですが、新劇場版ではかなり省略されてしまっていました。
ヤシマ作戦で流れていたBGM
『DECISIVE BATTLE』
『エヴァンゲリオン』の戦闘シーンのBGM曲として認知されている「ヤシマ作戦」BGMですが、正式名称は『DECISIVE BATTLE』と『MARKING TIME,WAITING FOR DEATH』です。『DECISIVE BATTLE』の意味は「決戦」となります。
『MARKING TIME,WAITING FOR DEATH』
『MARKING TIME,WAITING FOR DEATH』の意味は直訳すると「マーキングする時、死ぬために待つ」となりますが、意訳すると「待ち受ける死を狙い打て」となり劇中の「ヤシマ作戦」BGMに相応しい曲名となります。
『Battaille Décisive』
新・劇場版『ヱヴァンゲリヲン:序』 の「ヤシマ作戦」BGMでは、『DECISIVE BATTLE』のグレードアップ曲『Battaille Décisive』(フランス語で決戦)が使用されています。
『Angel of Doom』
新・劇場版『ヱヴァンゲリヲン:序』では、『MARKING TIME,WAITING FOR DEATH』の代わりに新曲の『Angel of Doom』(日本語で破滅の天使)が使われています。
現実に起きたヤシマ作戦
ヤシマ作戦の名前の由来①屋島の戦い
旧世紀版で作戦名の由来とされているのは、1185年に起こった源平合戦「屋島の戦い」です。この戦いは弓の名手として知られる那須与一宗隆が、平氏の船上に浮かぶ扇を射落とした伝説を生んだことで有名な戦いで、『源氏物語』の名シーンでもあります。 那須が長距離から扇を射抜く「扇の的」のシーンと、「ポジトロンスナイパーライフル」で使徒のコアを狙う姿が似ています。ヤシマ作戦の遠距離攻撃の部分に焦点を当てた命名です。
ヤシマ作戦の名前の由来②大八洲
新劇場版で赤木リツコが語った作戦名の由来は、『古事記』に記されている日本の古称「大八洲(おおやしま)」です。 『古事記』では本州・九州・四国の他に、対馬や佐渡などの日本の周りに浮かぶ島々を含めて8つの島で日本を形成しています。また古来より日本神話では8は聖なる数字であるとされ、数が多い時にも用いられていたようです。 大八洲という言葉の成り立ちは、日本中から大量の電力を集めるという作戦内容と近しいものがあります。
ヤシマ作戦に使われた電力について考察
西暦2000年8月に実行されたヤシマ作戦。現実社会での2000年8月の1日あたりの総電気需要は、電気事業連合会のデータを元に計算すると約26億KwHです。さらに24で割ると、1時間あたり約1億833万KwHとなります。 ポジトロンスナイパーライフルの発射に必要な電力は1億8千万Kw。つまり1発発射するには、日本全国で使う電力の1時間とちょっと分の電力が必要ということになります。 劇中ではこれを2発使用していました。2発分を補うには最低でも3時間以上の停電をしないと足りない計算です。人類を守ることが最優先とはいえ、8月に電気が完全に数時間も止まると考えると、冷房や冷蔵庫など生活はかなり大変なことになりそう。 具体的な数字を見れば見るほど、ヤシマ作戦に踏み切ったミサトの判断力の高さがうかがえます。
ヤシマ作戦と『シン・ゴジラ』のヤシオリ作戦には関係がある!?
どちらの作戦名も日本の昔の書物から名前が採用されています。ヤシマ作戦は陽電子砲ポジトロン・ライフルで使徒を撃退する作戦で、ポジトロン・ライフル発射に必要な超大量の電力を賄うため日本中の電力を1か所に集めポジトロン・ライフルを発射しています。 一方、ヤシオリ作戦はシン・ゴジラを凍結させるために「血液凝固剤」と「活動抑制剤」を使いゴジラを凍結させる作戦です。大量に必要となる「血液凝固剤」と「活動抑制剤」の生産に日本中の生産能力を結集、フル活用させ短期間で大量生産に成功しました。 また作戦開始前に艦船による砲撃やミサイル爆撃などで飽和攻撃を仕掛け、作戦対象(第5使徒、シン・ゴジラ)を消耗状態にしようと試みています。どちらの作戦も官民共同戦線によって成功に導いた作戦であることは間違いありません。
ヤシオリ作戦の内容とは?
ヤシオリ作戦とは、劇中で出現した巨大生物「ゴジラ」に対抗するために、内閣に設置された巨大不明生物特設災害対策本部(巨災対)にて承認された作戦。 この「ヤシオリ」は神話に登場する怪物・八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を眠らせるために素戔嗚尊(スサノオノミコト)が用いた「八塩折之酒(やしおりのさけ)」に由来しています。 ゴジラは体内に熱核エネルギー変換装置を有しており、核分裂でエネルギーを補給していました。排熱処理を血液循環で行っていることから、血液の流れを滞らせればゴジラが凍結すると結論。血液凝固剤を投与することでゴジラを凍結させる計画です。 作戦は全5段階に分けて実行されました。 実行前に休眠していたゴジラに、爆薬を搭載した無人新幹線をぶつけ強制的に目覚めさせつつ作戦実行地点まで誘導。近づいてくる飛行物体を撃ち落とす習性を利用して、無人戦闘機群による陽動でゴジラに放射火炎させてエネルギーを消費させます。作戦実行地点までやってきたら、予め設置していた爆弾を起動して低いビル群を倒壊してゴジラを足止めさせました。 血液凝固剤を投与させるためにはゴジラを寝かす必要があるため、倒壊したビルの周りの高層ビル群をミサイルで倒壊させてゴジラを押し倒します。最終段階として、寝かせたゴジラの口に血液凝固剤を投与してゴジラを凍結させて作戦終了。 作戦に万全を期すため、途中でゴジラが暴れた場合を考慮して、無人戦車群をゴジラに突撃させて再度動きを封じるプランも用意。実際に血液凝固剤を投与中にゴジラが暴れたため、予備プランも実行されて作戦完了しています。 しかし今回の作戦でゴジラが死んだかどうかは劇中では描かれていません。復活する可能性を残しています。
ヤシマ作戦の生みの親!監督・庵野秀明とは?
2020年5月22日
— 株式会社カラー (@khara_inc) May 22, 2020
庵野秀明
㊗️ 還暦 ????
????????????????????#庵野秀明#還暦不行届#監督不行届#カントク不行届
???? #安野モヨコ pic.twitter.com/LM6vvJYgkw
庵野秀明は日本を代表するアニメーター・映画監督。幼少時より絵を描いて育ち、漫画をたくさん読む少年でした。 学生時代は美術部で部長を務めるほどの画力で、大学在学中に作成した自主映画はプロをも絶賛させるほどだったとか。その中でも、特にメカを描く能力がずば抜けており、『超時空要塞マクロス』の制作に誘われ、アルバイトの身でありながら幾つかの動画や原画を担当しました。 彼が本格的にアニメーターとして活躍し始めたのは、『風の谷のナウシカ』の求人広告を見て上京し、原画担当として採用されたことにはじまります。『風の谷のナウシカ』で庵野が手掛けたシーンで1番有名なのは、巨神兵がドロドロに溶けながら現れるシーンで、誰もが1度は目にしたことがあるのではないでしょうか? 庵野の監督代表作には、『トップをねらえ!』、『ふしぎの海のナディア』、『新世紀エヴァンゲリオン』等があげられます。また自身が声優として参加した作品に『風立ちぬ』の主役・堀越二郎があります。
ヤシマ作戦は「エヴァ」を語る上で欠かせない名シーン!
碇シンジの名セリフ「笑えばいいと思うよ」にもつながるヤシマ作戦は、「エヴァ」の数ある戦闘シーンの中でも特に有名な作戦です。「エヴァ」を語る上で欠かせないシーンとも言えるでしょう。 ヤシマ作戦を知ると作品自体の面白さも、より一層感じられるはず。この記事でヤシマ作戦の知識を「補完」して、さらに「エヴァンゲリオン」シリーズを楽しんでみてください。