2017年12月31日更新

2017年ciatr的ベストムービーはコレだ!【ライター編】

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ciatrライターの2017年度ベストムービーはコレだ!

ciatrベストムービー2017
©アサミヤカオリ

日に日に冷え込む日が増え、今年も年の瀬が近づいて来ました。 「今年は豊作だったね」と編集部でも話題に上がるほど、王道アクションから一味違った作品まで、まさによりどりみどりだった2017年。そんな今年の個人的ベストムービーについて、普段からciatrで執筆いただいているライターが熱く語る! あなたの見逃している名作も見つかるかも。最後までお見逃しなく!

映画が映画でない時代へのカウンター

by 小野寺系

映画が際限なく軽快に、逆にドラマや配信作品に重厚な内容の作品が増え、映画とドラマの区別がなくなってきている。そんな2017年、本格的な劇場作品として存在感を放ったと感じられたのは、擬人化された動物たちのカラオケ風・歌謡ショーを題材にしたアニメ映画『SING/シング』だった。 「気持ちよくカラオケを歌っているところを、お金を払って観るなど正気の沙汰ではない」という偏見から、危うく見逃すところだった本作。ショーや劇場に夢を託した人々(動物たち)の心情を、まさにハリウッドの手垢にまみれた、オーソドックスな脚本や演出によって描き、強いカタルシスをもたらすことに成功している。いま「映画」の存在価値を示すというのは、この“直截さ”なのではないか。 本作でパロディー化された『サンセット大通り』のイメージが表すのは、「夢に生きることの狂気」に他ならない。ショーの出演者も、観客も、一時の夢を見ることで、つらい現実を生きていける。だからこそ日常から離れた劇場が必要なのだ。

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姉妹の絆はバトルで築く!7つ子ハードアクション!

by 人間食べ食べカエル

強制一人っ子政策施行後の世界で生きる、全員顔がノオミ・ラパスな7つ子を描いたSFアクションスリラー!ハードSF版おそ松みたいな内容だが、これがメチャクチャ面白い! 敵の容赦ない追撃により次々とノオミ・ラパスがやられていく中で、残ったノオミ・ラパス達が決死の逃避行をするという手に汗握りまくる展開。一切緊張感が途切れることなく真相に迫っていく、練りに練られた話運びに唸らされる。 本作のノオミは正に圧巻で、全員顔は同じなのに1人1人のキャラに全く違う生命を吹き込む前代未聞の7つ子演技は、間違いなく彼女のベストアクトと言えるだろう。更には限界突破の痛撃アクションまでこなすのだから本当に凄い。ひたすらに血生臭く美しい姉妹の絆に体の内側から熱くさせられる秀逸な作品。 豊作だった2017年公開作の中でも全く引けを取らない。今年のダークホース枠はこれです!!

質問「2017年を代表するゾンビ映画は何?」

by southpumpkin

みんな「『新感染 ファイナル・エクスプレス』でしょ!」 ぼく「『ディストピア/パンドラの少女』かなあ(ドヤ顔)」 そりゃ僕も『新感染』大好きですけど、ここはゾンビ映画好きとしてカッコつけて今年ひっそりと公開された『ディストピア/パンドラの少女』を挙げます。 子どもたちは大人たちによって拘束され地下に監禁されている。一体なぜ。実は子どもたちはゾンビ化した妊婦から生まれたハイブリッドだったのだ。 ロメロ『死霊のえじき』ライクな設定で幕を上げる本作は、この設定だけでもうサイコウ。しかし映画の雰囲気は不思議とシリアスなのです。半ゾンビの少女の存在によって人間とゾンビとの境界線が徐々にあやふやになってくる。そして映画はあのラストに集約されています。映画が終わりそうになる辺りで映画の意図がカチッと理解できるのです。ある問いに対する明確な一つの答えと共に怒涛のようなカタルシスが溢れだします。たまんねえ。 ロメロがゾンビを用いて突きつけた命題に、本作はより磨きをかけていると言えます。例えばこの映画を観る前に「ゾンビなんて余裕で殺せるよ!」と豪語していた人が、鑑賞後に一瞬躊躇するようになる、そんな映画です。

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今の邦画界では作られることのない"日本アニメ"

by regency

いにしえの日本を舞台にした寓話アニメ。それゆえに類型的すぎるとして、今の邦画界では企画自体が立案されないかもしれない。 でもこれは、類型的でなく個性的なお話ととらえたスタジオライカが、気の遠くなるようなストップモーション技術を駆使して生み出した、日本へのアンサーフィルムなのだ。 三味線なのに何故「二本の弦」なのか?その謎が分かるラストに唸らされれば、ジョージ・ハリスンの名曲を“泣きの三味線”で奏でた主題曲も必聴。 『まんが日本昔ばなし』を彷彿とさせる、矢島晶子や田中敦子らによる日本語吹替版も必見。

ハッピーな気分になれる社会派映画

by タキガワ

1961年、アポロ計画の前段階となるマーキュリー計画で活躍した3人の黒人女性を描いた作品。アカデミー賞ノミネート発表から、ずっと日本公開を待っていました。 人種差別、性差別など重要なテーマの作品でありながら、決して重くならず、見終わった後には爽快感、ハッピーな気分になれる作品です。 差別も色濃く残る60年代に、仕事、家庭、恋愛、全てに全力で挑んだ女性たちの姿は輝いていました。彼女たちの懸命な姿に感化されていく夫や恋人、NASAの同僚たちも人間味たっぷりに描かれています。 全く無駄がなく、一見地味な物語でも飽きさせない構成もさすが。ケビン・コスナーの名台詞が心に残ります。

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エロスの世界に耽溺したい愛書家にお勧め

by imagaco

『オールド・ボーイ』(2003)などの奇才、パク・チャヌクの新作はエロティック・サスペンスです。原作はサラ・ウォーターズの歴史犯罪小説『荊の城』ですが、日本統治下の朝鮮半島へと舞台が移し替えられ、完全にパク・チャヌク・ワールドになっています。 スッキ(キム・テリ)と藤原伯爵を自称する詐欺師(ハ・ジョンウ)が共謀して、秀子お嬢様(キム・ミニ)の莫大な財産をだまし取ろうとする物語なのですが、そういったあらすじがどうでもよくなるほど、ディテールが素晴らしいです。 例えば、秀子お嬢様の家は大変な蔵書家で、奇書・珍書の類の朗読会があります。秀子お嬢様が朗読する小説らしきものにはサド侯爵やアンドレ・ピエール・ド・マンディアルグを思わせる、激しい性描写があるのです。 太平洋戦争前夜ですから、時代は1930年代後半。とてもそのような内容の書物が日本語で出回っていたとは思えませんが、とても想像力をかき立てられます。奇しくも本作と同時期に三島由紀夫賞を受賞した『伯爵夫人』の著者、蓮實重彦がタイムスリップして書いたのではないかという妄想さえも……。

泥舟沈みませんでしたよ、空知先生

by suppy841

『銀魂』原作ファンの予想を大きく裏切って、なかなかどうして〜?!の出来栄えだった実写版。ビジュアルの完璧さ、脚本の合わせ技、そしてキャストたちのはじけっぷり、どれを取っても中途半端感はなく、良い意味で時代劇SF人情漫画『銀魂』の世界観を踏襲できていたのではないでしょうか。 そして、まさかまさかの実写版『銀魂2』製作発表を受け、どうしても福田監督にお伝えしたい!お願いだから絶対にまた橋本環奈の神楽と菜々緒の来島また子をキャスティングしてください。そして小栗旬は張り切ってまた銀髪にしてください。しかし泥舟の下にまだドジョウはいるのでしょうか?

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日本よ、これが本気の韓国エンタメだ

by コモゆゆ

映画『トガニ 幼き瞳の告発』のコン・ユがまたやってくれました! 韓国気鋭のリアリズム・アニメーション監督ヨン・サンホと初タッグを組んだ映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』。ヨン・サンホ初の実写映画は走る新幹線!走るゾンビ!最大級にまで引き上げられた感動と興奮とハラハラドキドキに観客の心も走りっぱなし!突如パンデミックが起こった高速鉄道の中で繰り広げられる父(コン・ユ)と幼い娘(キム・スアン)の逃亡劇を中心に描いた、まったく新しい感涙系ゾンビ映画です。 極限状態の中で高まる親子愛、夫婦愛、ゾンビより怖い追い詰められた人間の本性をリアルに描き出し、私たちの願いなど軽く打ち砕く展開に、溢れる涙が止まらない!救いようがないのに、清涼感すら漂うラストに呆気にとられたままエンドロールへ。 凄いものを観ているという興奮で、途中から歯がガチガチ震えて止まらない韓国エンタメの真骨頂です!

もはや反則!予想できないビックサプライズ

by ネジムラ89

前作『LEGO ムービー』もアニメの域を超えた驚きの展開が最後に待ち受けていましたが、続く『LEGO バットマンザ・ムービー』でもまたもや“レゴでしかできない”夢の共演が用意されていてビックリ! ポスターでもバットマンのヴィランズ達や、スーパーマンなどのジャスティスリーグメンバーが表に出てきているので、そこまでの登場こそ予想していましたけど、まさかその上を行く出血大サービスのゲスト出演がクライマックスに待ち受けているとは。 しかも、そんなお祭り映画でありながら、ちゃんと一つのお話として綺麗にまとまっているうえ、何度も笑わされて、そして何度も泣かされる、ホント完璧です。かつての『ダークナイト』も自分に突き刺さるような映画でしたが、またバットマンに忘れられない一撃をお見舞いされましたよ。ありがとー!

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こいつらにフォースは似あわない。絶対!

by qtama1125

アニメ好きにオススメの、エンタメ系スペースオペラの超痛快作。 冒頭から、vs宇宙モンスターの壮絶な肉弾戦とベビー・グルートのノリノリなステップとの絶妙コンビネーションに、まずは魅了されてしまうハズ。仲間たちとのどつき合いも楽しげです。気づけばいつの間にか、自分までガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのメンバーになった気分に。 そうなればあとはあらゆるシーンでドキドキワクワクしながら、最後までともに冒険する醍醐味を満喫することができます。さながら、簡易型VRMMORPG的体験といったところでしょうか。 ちなみに個人的なイチオシ美少女はマンティスです。自分でアバターにするなら絶対、ロケットです。このチョイス、なんか変?

13年越しの映像化にシリーズファンは泣きます!

by kikuya13

2017年ベストムービーは『Fate/stay night [Heaven's Feel]I. presage flower』です。 一見さんお断りの大胆な構成ではありましたが、スクリーンで観るに値するリッチなアニメーションと原作を補完する丁寧な導入は、PCゲーム時代からのファンも唸らせる出色の出来栄え。躍進を続けるアプリゲーム『Fate/Grand Order』から「Fate」シリーズにハマった人も是非劇場に足を運んでほしい! 本作に続く第二章、第三章は原作通りに作ればR指定は避けられないダーク&エロスな展開が待っているため、続編でどうアレンジしてくるかにも注目。ファンムービーにとどまらず、アニメ映画史に残る1シリーズとなることを期待したいです。

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サブカル×コメディ×ホラームービーfeat.奥田民生

by 辻本智哉

若手編集者コーロキ(妻夫木聡)は仕事で出会った美女・天海あかり(水原希子)との恋に落ちるが、あかりは出会った男全員を狂わせる「狂わせガール」で……。 この映画は恋愛映画でも、ラブコメ映画でもない。本作がレンタルビデオ店の棚に置かれるとすれば、置かれるべき棚は「ホラー」か「サスペンス」のどちらかである。 快活だった主人公が狂わせガールと出会うことで徐々に蝕まれていき、束縛男・ストーカーと呼ばれる人種へと変化していく。深夜に鬼ラインを送る男の虚しさ、そして虚しさを自覚しながらも連絡をやめられないコーロキの悲哀。過去に女性と一悶着あった男は全員これを見て思い出し泣きするべし。

映画ラブなciatr編集部員たちが選ぶ今年の一本はこちらの記事で紹介!