2019年2月13日更新

『ウォーキング・デッド』のグレン・リーが童貞を卒業して衝撃の最後を迎えるまでの軌跡

ウォーキング・デッド

人気ドラマ『ウォーキング・デッド』の中でも、ファンから最も愛されていると言っても過言ではない男グレン・リー。主人公に並んで古株の彼が、何故ここまで人気なのか。グレンの立ち位置、彼が体現してくれる人間の善意や魅力を深掘りします。

「ウォーキング・デッド」シリーズ屈指の愛されキャラ、グレン・リー

2010年より放送され、2019年現在シーズン9まで制作されている人気海外ドラマ『ウォーキング・デッド』。 保安官である主人公のリックが、事故に遭い意識を取り戻した時、そこはすでに「ウォーカー」と呼ばれるゾンビが蔓延る世界となっていたーー。そんな世界観の中で、シーズン1では間一髪となった主人公・リックを助け出すという登場の仕方でファンの心を鷲掴みにしたグレン・リー。 彼のシーズンを通しての活躍や、唯一変わらない存在であることの魅力を徹底紹介します。

※本記事にはシーズン9前半までのネタバレが記載されています。ご注意ください。

若くて元気!グレン・リーの基本プロフィール

グレンはもともとアトランタでピザの宅配人をしていました。年齢は推定20代前半から半ば。戦車の中でゾンビに囲まれたリックを、無線を通して救い出したのが初登場でした。その後、自分のチームと合流してメルルを除く全員と街を脱出します。 性格は誠実で、心優しく正義感に溢れる青年です。嘘をつくことも苦手で、他のメンバーに比べると少しコメディリリーフな一面を持っています。戦闘能力はさほど高くなく、見張りや物資の調達、車の修理などを得意とします。

演じる俳優はスティーブ・ユアン

演じるのは俳優スティーブ・ユァン。韓国出身で、五歳の時にアメリカに移住。本シリーズ以外にも、Netflixオリジナル『オクジャ』をはじめ、数々の映画に出演。「ウォーキング・デッド」で人気に火がつき、『ゼット・インク』という作品で主演を務めるなど現在躍進中です。

『ウォーキング・デッド』の主人公を築き上げた功績

まず本シリーズにおけるグレンの大きな活躍は、何と言っても主人公を築き上げたことでしょう。先述の通り、リックはグレンが助けださなければ戦車から脱出することができず、その場で絶命したに違いありません。さらにグレンはリックの命を救っただけではなく、彼をリーダーとして導いた功績があります。 リックはもともと保安官で、家族を愛する誠実なキャラクターでした。そのため初期はグレンと同じ倫理観の強い立場でしたが、腐敗した世界を見聞きしていくと次第に人間の善意やモラルを疑い始めます。しかし、グレンは常にそんなリックに対して、その「善意」を自分が体現することで失わせないようにしていたのです。 シーズンを追うごとに人殺しも厭わなくなったリックのように、大体のキャラクターは心情や性格に変化があります。しかし、グレンは唯一“変わらない”存在として、一貫した心情を貫いた。これこそ、本シリーズにおける彼の最大の功績であり役割なのです。

マギーとの出会い、初恋と脱童貞

正義感が強く、愛されキャラなグレンでしたが実は彼は女性を知りませんでした。それなのにゾンビによる世界の終わり「アポカリプス」が訪れ、もう一生そんなチャンスが訪れない……と落ち込んでいた彼に、転機が訪れます。それがシーズン2の農場にて、マギーとの出会いでした。 マギーは家長であり獣医のハーシェルの娘。ベスという妹がいました。グレンはアポカリプス後に初めて同じ年頃の女性・マギーと出会い、彼女を意識します。 マギーも彼を意識したようで、二人で物資の調達のために街に行った際、グレンはついに初体験を迎えます。それがきっかけで彼らは恋仲に。女性経験がなかった彼はマギーの態度の変化を理解できずデールに相談するなど、可愛らしい一面もありました。

シーズン3で二人の愛はより強いものに

ハーシェルもグレンを認め、農場から離れなければ行けなくなった時もマギーを連れて脱出。その際「一生愛する」と誓いました。 それから順調に愛を育んできた二人。しかしシーズン3では生き延びたメルルに誘拐され、二人とも拷問を受けます。グレンは暴力を受けながらも、仲間の居場所について決して口を割らないという誠実さを見せました。 しかし、ガバナーがマギーを辱めたことを知ったときに自分の無力さを痛感し、悲しみと怒りを覚えます。そのため、リックがガバナーを殺さなかったことを責めるという普段と違う一面を見せました。同シーズンの15話ではウォーカーについていた指輪をとって、マギーに求婚。二人は晴れて夫婦となります。 それから彼らは、どんなに離れ離れになってもお互いを信じ、いつも支え合う。シリーズを通して最も美しい愛の形を、見せてくれました。

グレンの死はフェイクだった?衝撃のシーズン6【ネタバレ注意】

どんなピンチも切り抜けてきた、愛されキャラのグレン。そのため誰も、彼が死ぬという展開は予想していませんでした。しかし、その衝撃は突然やってきたのです。 シーズン6の6話でニコラスと共にウォーカーに追い詰められた時、二人はコンテナの上に登ってしのぎを削っていました。行き止まりのそこに、大量のウォーカーが押し寄せ脱出は不可能と思った時、ニコラスが拳銃を自身の頭に向けて自殺するのです。 グレンは懸命に彼に声をかけていましたが、その努力も虚しくニコラスが倒れるのに巻き込まれてグレンも地上に落ちてしまいます。そこに待ち構えていたウォーカーが押し寄せ、グレンが泣き叫ぶ中、腹をさき腸をえぐり出して食べる……。 視聴者の誰もが彼に起きた突然の悲劇に困惑し、7話がモーガンの過去を描くエピソードで、「モーガンはいいから、グレンはどうなったの!?」とグレンの消息が不明だった事に怒りました。 幸いにも、グレンは生きていたことが後のエピソードでわかります。グレンの体の上にニコラスの上が被さっていたため、ウォーカーはニコラスを食べていたのでした。そのすきにグレンは逃げ出す事に成功。それにしても衝撃的な展開でした。

常に仲間を裏切らない、嘘をつかないーー。貫かれる善人としての信条

グレンの命を結果的に救ったニコラスは、物資の調達の際に自分の保身のためにノアを犠牲にして見殺しにしました。グレンもその場にいて、ノアを救えなかったことに落ち込み、ニコラスを責めます。しかし、ニコラスはそんなグレンにも攻撃。右腕を打たれ、殺されそうになるも、形勢逆転でグレンにチャンスが。しかし、グレンはニコラスを殴り、彼を殺しはしませんでした。 もしこれがグレンでなく、他のキャラなら迷うことなく(正当防衛で)ニコラスを殺していたでしょう。しかしグレンはそうせずに、彼をアレクサンドリアに連れ戻しただけでなく、かばったのです。 彼の善行はこれ以前にも数多く見受けられました。シーズン4で刑務所に取り残された時は、ハーシェルを殺めたガバナー側にいたタラを見捨てずに共に終着点に向かいます。その道中ウォーカーの群に囲まれ、タラは自分を置いていけと言いますが、グレンは彼女を助けます。一刻も早くマギーと再会したかったのに。 たとえ自分の仲間ではなくても、助ける。無駄な殺し合いを好まない。みんなが生き延びる方法を常に探すグレンの善意や行動は、究極的かつ非人道的になりがちな世界の中で光り輝く唯一の希望なのです。

原作コミック『ザ・ウォーキング・デッド』でのグレン・リーは?

グレンは原作にも登場するキャラクター。 ドラマのキャラクターは、ダリルのようにオリジナルもいれば、原作キャラなのに全く違う展開を迎えるものもいます。グレンはその中で、比較的に原作に忠実だったものの、いくつかの違いがありました。 例えば、ドラマ版でグレンはマギーとの間に自分の子供をもうけます。しかし原作では、ドラマとは違ってキャロルが序盤で死んでしまい、ソフィアが生き残っているという展開で、グレン達は彼女を養子にするのです。 その他のキャラクターの違いについては、以下の記事で触れているのでご覧ください。

グレンの最後はあまりにも唐突で、最もショッキングなものだった【ネタバレ】

しかし、少し違いがありながらも原作通りになってしまったのが、グレンの死。グレンは「救世主」のリーダーであるニーガンに、有刺鉄線が巻かれたバット「ルシール」で頭部を激しく殴られます。目玉が飛び出てしまう演出も原作通りとなり、そのまま頭の原型がなくなるまで撲殺されるという、あまりにも残酷な死に方でした。 原作とは違い、「イーニーマイニーモー(神様の言う通り)」で当たったのはエイブラハム。グレンの死は回避されたかと思いましたが、エイブラハムにしたことを許せなかったダリルが感情的になってニーガンを殴ります。そのせいで、見せしめに近くにいたグレンが餌食となったわけです。 このグレンの死は、単なる死ではありません。先述の通り、彼は我々がシリーズの中で見続けていた唯一の「倫理」でした。 信条の変化はなくとも、誰よりも成長したキャラクターであり、徐々に戦闘能力も伸びて頼り甲斐のある男になっていた。そんな彼が、あんなにも容易く無残に殺されたという事は、このドラマにおける倫理観の崩壊を意味していたのです。

ファンが発狂、ドラマを離脱する人続出?グレン・リーの死の反響

さて、そんなグレンの死は多くのファンを悲しませました。これはSkyboundという「ウォーキング・デッド」の原作者ロバート・カークマンが立ち上げた会社の公式動画。グレンが死んだシーズン7の1話を観ているファンのリアクションを集めたものです。 中には号泣したり、憤慨したり、様々なリアクションをとるファン。「もうこのドラマを観るのをやめる」という人までいます。 エイブラハムの展開があったからこそ、グレンの死は余計に不意打ちとなってしまいました。その後、数々のファンメイドの追悼ムービーが作られたことから、どれだけグレンが愛されてきたキャラクターだったのかが伺えます。

グレン・リーから、『ウォーキング・デッド』ファンの皆へ

グレンはシーズン7の1話をもって、本シリーズを卒業してしまいましたが、上で紹介した動画のようにあまりにもファンが悲しんだので、彼を演じたスティーブ・ユァンによるメッセージ動画が公開されました。 「よりよいものを作る力を皆さんからもらい、人生最高の経験ができました」と語る中、グレンの活躍のハイライトが流れる内容。観ている途中に、思わずまた涙が溢れ落ちてしまうかもしれません。

グレンの想いは息子ハーシェル・リーに託されるーー。

グレンの死後、リックやマギーはニーガンへの復讐を胸に誓いました。しかし、リックは結果ニーガンを生かすことにします。 グレンとの子供がお腹の中にいるマギーは、リックとその時点で決別。シーズン9の前半では、無事産まれたハーシェル・リーを育てながら、いまだに生きているニーガンを殺そうと目論むのですが、彼女にはできませんでした。 その理由は独房の中にいる彼が、死ぬより酷い目に遭っているから、かもしれません。しかし、もしかするとどこかで「グレンが生きていたら、彼は敵を殺したりしない」という考えも浮かんだからなのではないでしょうか。 こうして、グレンの善意が他の生存者、そして息子のハーシェル・リーに継がれていく事を切に願うばかりです。