実は都会よりも怖い田舎
麻薬・暴力・殺人……都会の怖さを描いた映画はたくさんあります。華やかなイメージを与え、便利さを叶えてくれる反面、思わずその後ろに潜む闇を連想してしまうことがあるからでしょう。
一方、田舎は穏やかでのんびりし、人々が優しい……そんなのどかな楽園的イメージを抱く方もいるかもしれません。しかし、限定されて密度の高い人間関係、不便で閉鎖的な土地など田舎にもマイナス要素があり、それが都会以上の恐怖を与えることも。そんな田舎ならではの雰囲気を描いた映画をご紹介します。
1:ミヒャエル・ハネケ監督のパルム・ドール受賞作
epocheche
ストーリーがとても難解で、もう何回か観なければ掴めそうにありません。
ですが、町に渦巻く陰湿な空気が痛いほど伝わってくる作品でした。時間を空けてもう一回観たいです。
Ken_Chang
始めから終わりまで胃のあたりがズーン
常に問題作を発表するミヒャエル・ハネケ監督の作品。タイトルの『白いリボン』は村の牧師の子供たちが罰を与えられる時に腕につけられるもの。しかし、それは彼らにとって理不尽さも含んだ抑圧の象徴なのです。
第一次世界大戦前のドイツにある、プロテスタントを信仰する小さな村。帰宅途中だった医者の落馬事故をきっかけに、小さな村に次々と事件が発生します。怪我をしたり、命を落とす者が出る中で、村人たちは犯人は誰なのかと疑心暗鬼になっていきますが……。
2:外から来た女性に向けられた村人たちの傲慢さを描いた実験作
Asami_Honma
ラースフォントリアでいちばんすき。
なにこれ前衛的ゆーてワクワクしてたら、いつの間にか世にも恐ろしい人間の奥底。
パパさん、人が人を赦すことは傲慢なの?
mayo0401
前衛舞台のようなシチュエーション、醜い感情と表情をみせる村人たちの間で、白い一輪の百合の花のようなニコール・キッドマン。ラストは圧巻。こういうのが好きなんです
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』などでおなじみのラース・フォン・トリアー監督作品。白い枠線をひいた床に、説明の文字を描き、建物はごく一部のセット。映画と言うよりもむしろ演劇のような空間で展開する内容はとてもショッキングです。
アメリカのロッキー山脈の近くにある寂れた町ドッグヴィル(「犬の町」という意味)。ある事情から町(むしろ村)にやってきた女性グレース(ニコール・キッドマン)。ギャングに追われて助けを求めて逃げ込む彼女を匿う村人たちですが、一生懸命村に慣れようとするグレースに対し、その傲慢な心をむき出しにしていき……
3:『ドッグヴィル』の続編にあたる衝撃ドラマ
Atsushi_twi
ドッグヴィルの続編。前作が圧倒的だったので、ちょっと見劣りしますが、やっぱり良い作品。どんなに酷い制度も誰かのためになっているのかもしれません。
whentheycry
ドッグヴィルの何かも引継ぎながらも「奴隷制度」という明確なメッセージ。
冒頭でドッグヴィルで語られた「傲慢」という言葉が使われるけどどう見てもラストはやはり主人公が1番傲慢に見える。
そしてドッグヴィルと同じくショッキングなエンディング。
正直あのエンディングはもう二度と見たくないけどキング牧師の話をするよりああいうものを見せた方がよっぽど学ばなきゃいけないことがわかるんじゃないかな。
最後のナレーションも印象的。
トリアー監督が『ドッグヴィル』の続編として発表した作品。今回グレース役はニコール・キッドマンからブライス・ダラス・ハワードへ変更していますが、前作と同じ演劇を思わせるスタイルは健在です。この作品は本来三部作として製作されたのですが、諸事情により2016年現在三作目の製作は無期延期となっています。
アラバマ州の大農場マンダレイ。そこはかつての黒人奴隷制度と同じように黒人たちが奴隷として虐待されている場所でした。前作の終盤以降ギャングに戻り、部下達と旅をするグレースは、このマンダレイを自由の場所として作り直そうとしますが…
4:深い森の中の学校に通う少女たちの物語
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謎は謎のままだけどそれでいいと思える映画
Takay_Eiga
性の目覚めは誰にも止められることの出来ない、無垢なままではいられない、というのがこの映画のテーマなのかな?
印象的なシーンはたくさんありますが、どれも曖昧に終わってるので、まぁ考察はあんたらで勝手にしてくださいという監督からのメッセージでしょう。なので自分もひっそりと好き勝手に、この映画を考察したいと思います。
フランスの女性監督ルシール・アザリロヴィックが、フランク・ヴェデキントの小説『ミネハハ』を原作に少女たちの世界を美しく幻想的に描いた作品です。邦題の『エコール』はフランス語で学校という意味ですが、原題は「無垢、純真」を表す『Innocence』です。
棺に入れられ、奥深い美しい森の中へ連れてこられたイリス(ゾエ・オークレール)。そこには彼女と同じく、6歳から12歳までの少女が暮らす大きな屋敷が存在していました。学校でもあるその屋敷で、他の少女たちと共にダンスや勉強を学ぶイリスですが……
5:邦題にインパクトがありすぎる狂気に満ちた作品
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パッケージ通り、村人に捧げられた主人公。
ゴルゴタの丘。
絶望と希望がうずまく様はうまく言い表せているな、と。
邦題微妙だけれど。
928uhen
2013/3/31
よくぞここまで気が狂っためちゃくちゃな世界を描けたなあ、という感じ。なんて救いのない映画なんだ…
ファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督のフランス・ベルギー合作映画。ミュージシャンのマルクはクリスマスの時期にベルギーの老人ホームで慰問ライブを行いました。帰り道で迷ったため村はずれのペンションに泊ることにしたマルク。しかし、それが狂気の始まりでした。
原題はラテン語で“ゴルゴタの丘”を表す言葉です。作中に登場する村人たちは変態というよりむしろ狂気に取り付かれた人々です。閉鎖的な村の不気味さは見る人に恐怖を与えます。
6:ご存知、金田一耕助の代表作を映画化
ririri511
期待外れ・・・。
寅さんが金田一耕助ってのが1番驚いたかも(笑)
でも金田一耕助のイメージでは無い。
とりあえず展開もスローでグダグダ感で・・・。
このテンポで2時間30分きつい。
離島や田舎など、閉鎖的な場所で起きる殺人事件を推理する事が多い金田一耕助シリーズ。この『八つ墓村』は実在の事件をモデルにし、排他的な田舎の雰囲気や登場人物の「祟りじゃー!」の台詞で有名な作品です。金田一耕助には『男はつらいよ』シリーズの寅さんで有名な渥美清が扮し、当時大ヒット作品となりました。
新聞の訪ね人広告をきっかけに、自分がある村の跡継ぎだと知った寺田辰弥(萩原健一)。自分のルーツがわからない彼は、母の生まれ故郷である八つ墓村へと向かいます。村で不可解な連続殺人事件が起こる中、彼は名探偵金田一耕助(渥美清)と出会い……。
渥美やショーケンの他にも山崎努、小川真由美ら名優が揃い踏みな本作。監督野村芳太郎のどっしりとしたカメラワークに、芥川也寸志の重厚な音楽も加わり、数ある金田一映画の中でも屈指の名作と言われています。
7:ダスティン・ホフマン主演の陰惨な問題作
Keimiyazato
話し合いを受け入れない相手には暴力で対抗するしかない 解決にはならないけどそれ以外に何がある?と問われてる感じです その問いにうまく答えられないのとストーリーの胸クソ具合で非常に後味の悪い作品。
Satoko_Suzuki
サム・ペキンパーの暴力描写がスゴイ、っていう伝説を聞いて、実際見て見たら、そうでもなかったです(昔だから、公開当時はすごかったんでしょうね)。でも真面目な主人公が、こんな事を!っていうギャップが効いてました。
1971年に制作されたサム・ペキンパー監督、ダスティン・ホフマン主演作品です。過激な暴力描写のある内容で公開当時は大反響を巻き起こし、2011年にはリメイク版も作られました。
都会の喧騒を逃れて、アメリカから妻の故郷であるイギリスの片田舎の村へ引っ越してきたデイヴィット(ダスティン・ホフマン)とエイミー(スーザン・ジョージ)夫妻。しかし住人達はとても暴力的で、彼らにも執拗な嫌がらせを繰り返します。無用な争いを避けたいと抵抗しなかったデイヴィットですが……。
8:名匠ケン・ローチ監督の初期代表作
Keimiyazato
ケン・ローチ1969年の作品 オープニングから続いて出てくる街並みでU2とかカモーン アイリーンのPVなんかを連想、家庭環境に恵まれない少年が鷹と心を通い合わせながら成長していきますが ラストは過酷、、自分的に身につまされ観るのが辛いのだけどイギリス独特のユーモアも挟んでいるし ラストだってその先に希望があるように終わっているので救われます。
『麦の穂をゆらす風』などの代表作があり、イギリスの労働者階級を描いた作品を発表し続けるケン・ローチ監督。『ケス』は1969年に発表された彼の初期傑作です。
イギリス、ヨークシャーの炭鉱町に母と兄と共に暮らすビリー(デヴィッド・ブラッドレイ)。勉強もスポーツも苦手でおとなしい彼は、修道院跡の崖に鷹の巣を見つけ、そこから雛を連れて帰ります。"ケス"と名付けた鷹の雛を大切に育てるビリー。鷹の雛を育てるために難しい本を読み、自身も成長していくビリーですが……
9:全世界でブームを巻き起こしたサスペンスドラマの金字塔
Satoko_Suzuki
熱狂した割には、TVシリーズの最後の方はわけ分からずに、観たり観なかったり、、、。この映画がリリースされる頃には冷めてしまいました。それでもやっぱり、映画は丁寧でした。あっという間に熱狂した頃に戻り、でもやっぱりわけ分からずじまい。
今見直してもやっぱり分からないかも、、、。
1990年から1991年にかけて放送されたTVドラマ『ツイン・ピークス』。ワシントン州にあると設定された自然の美しい架空の田舎町、ツイン・ピークス。アイドル的存在の女子高生ローラ・パーマーが惨殺された事件が起こり、町は騒然となります。
そしてこの事件をきっかけに、感じのいい住民たちが実はそれぞれに秘密を抱えていることがわかるなど、浮かび上がってくる町の闇。謎が謎を呼ぶ展開が話題となり、世界的に大ブームを巻き起こしました。
映画はドラマ本編の前日譚、すなわち被害者ローラ・パーマーが殺害されるまでの状況を追った内容になっています。後に『24』が代表作になるキーファー・サザーランドと、先日他界したアーティストのデヴィッド・ボウイが出演しているのも注目ポイントです。
10:反戦の要素もあるフランス映画の隠れた名作
フランスの監督フィリップ・ド・ブロカの1966年の作品。これまでコメディ作品を多く発表していたブロカ監督ですが、反戦をファンタジックに描いた本作は彼の新たな魅力が出たと高く評価されました。
第一次世界大戦末期のフランスの小さな村。ドイツ軍はこの村を占拠したイギリス軍を全滅させるために、大量の爆薬をしかけます。フランス語ができるという理由で、爆弾解除を命じられたイギリス軍人のプランピック(アラン・ベイツ)。ドイツ軍の目を逃れて精神病院に逃げ込んだ彼は、戸惑いながらも入院患者達と心を通わせていきますが……
11:ヴェルナー・ヘルツォーク監督若き日の問題作
ニュー・ジャーマン・シネマを代表し、1972年には『アギーレ/神の怒り』を発表したドイツの監督ヴェルナー・ヘルツォーク。2016年現在も精力的に活動する彼が1970年に若干28歳で公開した問題作です。
人気のない荒野に建っている小人症患者が収容施設が舞台の本作。施設いた2人指導員のうち一人が外出し、患者13人を前にたった一人の監視員が取り残されてしまう、という場面から物語が始まります。
13人の小人は、今まで自分たちを虐げた施設の管理者へ達の倍返しとも言える壮絶な復讐を始めます。コメディの体裁をとっていますが、その内容はとてもブラックで、乾いた暴力性が渦巻いている異様な一作と言えるでしょう。