2017年11月30日更新

『ウルヴァリン:SAMURAI』をネタバレ徹底解説!【新作『ローガン』との繋がりは!?】

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『ウルヴァリン:SAMURAI』を徹底解説!

「X-MEN」シリーズにおけるウルヴァリンを主人公にしたスピンオフ・シリーズは、2017年6月1日公開の第3作目『ローガン』で物語に終止符が打たれます。 このシリーズの第1作目は2009年公開の『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』。そして、第2作目は2013年公開の『ウルヴァリン:SAMURAI/サムライ』で、日本を舞台とした物語となっています。 ウルヴァリンが登場する「X-MEN」シリーズの時系列でいうと、この作品は初期三部作3作目『X-MEN:ファイナル ディシジョン』の後にあたり、シリーズの新三部作2作目『X-MEN:フューチャー&パスト』の前に位置しており、エンドロールにはこの次作に繋がるシーンが挿入されています。 この記事では、そんな本作をネタバレを含み徹底解説します。

『ウルヴァリン:SAMURAI』の気になるあらすじは?

長崎に原爆が落ちた1945年、ウルヴァリン(ローガン)が青年将校の矢志田(ヤシダ)を助けたところから物語は始まります。 ヤシダはその後、日本の大企業「矢志田産業」総裁となり、老衰によって死期を悟った際にローガンを日本に呼び寄せ、「助けてもらったお礼に不老不死の生き地獄から解放する」と伝えて亡くなりました。 その葬儀中ヤクザに襲われたヤシダの孫娘・真理子(マリコ)を守りながら、東京からヤシダと出会った長崎へ逃亡するローガン。マリコを愛するようになったローガンは、ヤシダの言う通り体の回復能力が低下していき、死に直面します。 ヤクザにマリコを連れ去られ、ヤシダの部下・雪緒(ユキオ)をともに傷だらけのまま救出に向かいますが、マリコの父・矢志田信玄(シンゲン)と原田剣一郎(ハラダ)率いる忍者軍団、そしてX-MENのヴィランであるヴァイパーが行く手を阻みます。 ローガンはマリコを無事救出し、不老不死の体を取り戻せるのでしょうか?

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ウルヴァリン(ローガン)役/ヒュー・ジャックマン

「X-MEN」シリーズでウルヴァリンことローガンを演じているのは、オーストラリア出身の俳優ヒュー・ジャックマンです。2000年に「X-MEN」シリーズ第1作目『X-メン』の主役ローガン/ウルヴァリン役に抜擢されてから、この役を長年演じてきました。 出身地のオーストラリアでのキャリア初期は、映画やテレビ出演、また舞台でも活動していました。2012年にはミュージカル映画『レ・ミゼラブル』でジャン・バルジャンを演じゴールデングローブ賞ミュージカル・コメディ部門で主演男優賞を受賞しています。 彼が演じてきたウルヴァリン/ローガンというキャラクターは、映画「X-MEN」シリーズの主軸となる役柄で、プロフェッサーX率いる「X-MEN」とマグニートー率いるミュータントのテロ集団「ブラザーフッド」との戦いに巻き込まれていく不老不死のミュータントです。

マリコ・ヤシダ役/Tao Okamoto

ウルヴァリンとともに逃避行をしながら信頼関係で結ばれていくマリコを演じたのは、元ファッションモデルの女優TAOです。本名は岡本多緒、国外での表記は「Tao Okamoto」。マリコ役は女優としてのハリウッドデビュー作となります。 流ちょうな英語発音は高校時代のイギリス留学で培ったもの。その後単身渡仏、モデルとして2006年から活動を始めました。2013年本作で女優活動も始め、2016年にはDCコミックを原作とした『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』にも出演しています。 2014年には日本国内でもWOWOWドラマ『血の轍』で女優活動を始めていました。 マリコ・ヤシダ(矢志田真理子)はローガンが長崎で助けた矢志田市朗の孫娘で、ヤシダの財産をすべて受け継ぐことになりヤクザに追われる身となります。ローガンに助けられながらも彼を守ろうとする強く健気なキャラクターで、コミック版ではローガンと婚約もしています。

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ユキオ役/福島リラ

ローガンをヤシダの元に呼び寄せる使命を受けた部下・ユキオ(雪緒)を演じたのは、福島リラです。 国内外でトップモデルとして活躍しており、本作でハリウッドデビューを果たしていました。 その後は日本国内でも映画・ドラマ出演を開始し、2014年NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』や2016年『テラフォーマーズ』に出演しています。アメリカでは2015年にドラマ『ARROW/アロー』や『ゲーム・オブ・スローンズ』、2017年に映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』にも出演しました。 ユキオは本作中ずっと一貫してローガンを助ける役柄で、ヤシダに幼少時拾われてマリコと姉妹として育ったキャラクターとして描かれています。ウルヴァリンのバディ役として、危機に陥った際には見事な剣さばきで戦っています。また、予知能力を持ったミュータントという重要なキャラクターでもあります。

シンゲン・ヤシダ役/真田広之

マリコの父親でヤシダの息子・シンゲン(信玄)を演じたのは、日本国内外で舞台・ドラマ・映画と幅広く活動している真田広之です。2000年代には本格的に世界進出し、イギリスでの舞台『リア王』や2003年のハリウッド映画『ラストサムライ』に出演、2006年には『PROMISE 無極』では全編中国語のセリフで演じました。 1973年にJAC(ジャパンアクションエンタープライズ)に入団し、アクション俳優を目指していましたが、高校入学後は一度学業に専念し芸能活動を休止。1978年に時代劇で再デビューを果たし、1983年の『里見八犬伝』や1984年の『麻雀放浪記』では主演を演じて注目を集めました。 シンゲン・ヤシダ(矢志田信玄)は矢志田市朗の息子で、矢志田産業の総裁の座を狙う人物。そのためにはヤクザを雇ってまで娘のマリコを葬ろうとする非情なキャラクターとして描かれています。剣の達人でユキオを圧倒し、ローガンとも互角に戦いました。

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『ウルヴァリン:SAMURAI』ネタバレ解説!

物語のクライマックスに登場する大型の銀色の鎧は「シルバーサムライ」と呼ばれ、実はこの中にいる人物こそ、ローガンの不老不死の治癒能力を狙っていた矢志田市朗だったのです。 シルバーサムライはローガンの骨格と同じ不壊の金属「アダマンチウム」で作られており、これに手を貸したのがヤシダがアメリカから連れてきたDr. グリーンことヴァイパーでした。 Dr. グリーンはヤシダの不老不死への願望を利用し、ウルヴァリンを破滅させようとしたのです。ウルヴァリンの治癒能力を弱める装置を体内に入れ込んだのも、Dr. グリーンでした。ヴァイパーは「X-MEN」シリーズと『アベンジャーズ』に登場する敵役・スーパーヴィランで、毒に対する耐性を持った「毒蛇女」です。

ヤシダの剣には何と書いてある?

長崎での原爆投下後、ローガンに助けられたヤシダがお礼にと渡そうとした剣には6文字の漢字が刻まれていました。 「不老不死不壊」 この6文字はまさに、ローガン/ウルヴァリンの人生そのものを表したものです。しかし、ローガンはその場ではこの剣を受け取りませんでした。この時にヤシダに教わった「刀は両手で持つ」ということが、シルバーサムライとの最後の戦いで役に立つことになります。

シルバーサムライのキャラクターは合わせ技?

『ウルヴァリン:SAMURAI』に登場するシルバーサムライは、コミック版のキャラクターを組み合わせたものです。タキオン・ブレードを持つミュータントの武士であるケンイチロウ・ハラダと、その息子で鎧の技術を持つシン・ハラダの設定を矢志田市朗に集約させています。 しかし映画ではケンイチロウ・ハラダはマリコの幼なじみで元恋人、そして矢志田家に代々仕えてきた忍者集団のリーダーという役柄です。さらに映画版のハラダはミュータントではありません。 また、シルバーサムライはコミック版のキャラクター「Ogun」も元にされています。Ogunはウルヴァリンの敵・スーパーヴィランで、彼に剣を与え、その治癒能力を奪おうとする人物です。

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コミック版ユキオとのキャラクター設定の違いは?

コミック版のユキオはショートヘアでピッタリしたブラック・レザーという出で立ちですが、映画版のユキオはロングの赤い髪に普通の服を着ています。 ユキオ役の福島リラはこの役を準備するためにコミック版を読んでいましたが、役のために髪を赤く染めるように言われてショックを受けたそうです。彼女が読んでいたコミック版では、ユキオの髪は自分と同じ黒いロングヘアだったようです。 またコミック版のユキオは女性忍者として描かれている一方、映画版では剣の使い手に加えて予知能力のあるミュータントとしてのキャラクターにもなっています。

『ウルヴァリン:SAMURAI』での肉体改造がすごい!

本作中でヒュー・ジャックマンが披露している上半身は筋肉がキレキレです。これにはジャックマン自身のこだわりがあったようで、ボディビルディングで行われる「脱水ダイエット」を取り入れてまで肉体改造をしたといいます。 このダイエット法で、上半身裸のシーンの撮影前の36時間何も飲まずに臨んだといいます。さすがにこの方法で頭が痛くてフラフラになったそうですが、この結果には満足していて、より強調された筋肉を披露することができました。この作品でようやく、ジャックマンが今まで「ウルヴァリンはこうあるべき」と望んでいた通りの身体つきにできたようです。 またウルヴァリンを演じるために、「ワイルドスピード」シリーズでホブス役を演じる肉体派のドウェイン・ジョンソンに筋肉をモリモリにする秘訣を教えてもらったようです。ジョンソンはジャックマンに、大量のチキンやステーキなどで6ヵ月以上1日6000カロリーの食事を摂り続けるよう助言したそうです。

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前作『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』との繋がりは?

スピンオフ作品第1作目である『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』は、ローガンがなぜウルヴァリンと呼ばれるようになったのか、彼のオリジンを語るものでした。 ジェームズ・ハウレットは、実の父親が育ての父親を殺す場面を目撃してしまい、手の甲から骨でできた爪を出すという能力に目覚めました。実の父の名がトーマス・ローガン、そして骨格にアダマンチウムを注入されて改造されてからは「ウルヴァリン」と名乗るようになります。 同じく治癒能力を持つ兄のビクターとともに不老不死のまま様々な戦いに身を投じ、150年以上もの年月を生きてきたローガン。しかし、『ウルヴァリン:SAMURAI』ではその治癒能力を奪われ初めて「死」に直面する様子を描いています。 前作との明確な繋がりはないようですが、ウルヴァリンの物語を語る時には、必ず死ねない運命と愛する者の死が関係しています。

映画『ローガン』との繋がりは?

最新作『ローガン』では、今まで「X-MEN」シリーズで見せてきたような不老不死の鉄人ウルヴァリンではなく、年老いた一人の男ローガンにスポットを当てています。 同じ能力を持つミュータントの少女ローラが登場し、絶滅の危機に瀕しているミュータントたちを描いた作品となっています。ローラはローガンを父親のように慕い、治癒能力が弱まり老化が進行しているローガンとともに逃避行を続けることに。 あらすじからも分かるように、『ウルヴァリン:SAMURAI』との共通項が「死」と「逃避行」。監督は前作同様ジェームズ・マンゴールドです。『ローガン』は『Old Man Logan』が原作エピソードであり、ヒュー・ジャックマンが演じるウルヴァリンは今作で最後となります。

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『ウルヴァリン:SAMURAI』の海外評価・感想まとめ

最後に『ウルヴァリン:SAMURAI』の海外評価と感想を映画サイト「IMDb」のレビューから抜粋して、まとめてご紹介します。

ヒュー・ジャックマンはまさに「ウルヴァリン」だった!

とてもよい評価をして本作が気に入ったと感想を出している中には、長年の「X-MEN」シリーズのファンでこの作品を心待ちにしていたと語っているものが多いようです。そしてこの続編を待ち望む声も多々ありました。 コミックの「ジャパン・サガ」の映画化とあって、コミックを愛読しているファンの中には、主要キャラクターが違った形で映画に登場したり、脚本がストーリーを変えていることに不満もあったようですが、映画ならではのキャラクターやアクションシーンが良かったと評価しているようです。 何より、ヒュー・ジャックマンが演じたウルヴァリンが、それまでのシリーズ中でもすばらしい出来だったという評価が高いことがうかがえます。中には前作『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』よりも良かったという感想もあるようです。

安っぽく筋が通らない脚本では?

あまりよくない評価やほどほどだという感想の中には、脚本があまり筋が通っておらず、アクションもありきたりだというものもありました。 ヒュー・ジャックマンの演技に対する評価はあるものの、脚本やプロットのちぐはぐな部分を指摘する声も。またキャラクター設定が弱いという感想もあります。 特にウルヴァリンの治癒能力の低下に関する設定の「穴」を指摘するものもあり、かなり激しい戦いのシーンでボロボロになったローガンがなぜ死なないのかという疑問も確かに不思議ではないと考えさせられます。 とはいえ、この作品の平均的な評価は星10つのうち星6つを獲得しています。不満はありながらも。作品自体は楽しめたファンが多かったのかもしれませんね。