2019年5月5日更新

「アベンジャーズ2/エイジ・オブ・ウルトロン」をMCU作品への強烈な伏線と共に解説

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アベンジャーズ、エイジ・オブ・ウルトロン
(C)Marvel 2015

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第2弾『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』を徹底解説 後のMCU作品への伏線もチェック

※注意!この記事には『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』他、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を含むMCU他作品についてのネタバレがあります!

MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)作品は各作品の完成度もさることながら、そのつながりの見事さも人気の秘密です。そんなMCUも初期アベンジャーズが活躍するフェーズ3が終了間近となってきました。 そこで今回は、これまでのシリーズの鍵をにぎる作品とも言える『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』を徹底解説していきます。本作では、その後の作品につづく重要なキャラクターが初登場したり、後の作品への伏線が多く張り巡らされているのをご存じでしたか? ちょっと複雑な本作ですが、今回はその解説と伏線を確認していきましょう。また、興味深いトリビアも紹介します。

「エイジ・オブ・ウルトロン」のあらすじをMCU時系列ともに復習

まずはMCUの時系列をおさらい

2008年の『アイアンマン』から始まったMCUでは、その後ハルク、ソー、キャプテン・アメリカの単独映画が公開され、それぞれのヒーローのオリジンが描かれました。 そして2012年の『アベンジャーズ』でこれらのヒーローが一堂に会し、ソーの弟であるロキから四次元キューブ(スペース・ストーン)を奪還。アスガルドへそれを持ち帰りました。ここから少しずつインフィニティ・ストーンのストーンの存在が明らかになっていきます。2013年の『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』では、アスガルドの地中からエーテルという液状のリアリティ・ストーンが登場しました。 「エイジ・オブ・ウルトロン」の前作である『キャプテン・ソルジャー/ウィンター・ソルジャー』では、ロキから奪取しS.H.I.E.L.D.が保管していたセプターを内部に潜んでいたヒドラの残党・ストラッカー将軍に奪われてしまいます。

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『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のあらすじ

本作の冒頭で、アベンジャーズはセプターを取り戻すためストラッカーたちの基地に奇襲攻撃を仕掛けます。ストラッカーによる人体実験でスーパーパワーを手に入れたマキシモフ姉弟に苦戦を強いられますが、作戦は成功しセプターを奪還。ソーがセプターをアスガルドへ持ち帰る前に、埋め込まれた石を研究したいと申し出るトニー・スターク。彼の狙いは石の力で人工知能による平和維持計画<ウルトロン計画>を進めることでした。 J.A.R.V.I.S.が石を解析している間、アベンジャーズはソーの送別会を兼ねてセプター奪還のお祝いパーティーを開いていました。そのときウルトロンが突如自我に目覚め、J.A.R.V.I.S.を殺して金属の肉体を作り、アベンジャーズを襲います。

ウルトロンとは何者なのか?

映画版のウルトロン

ウルトロンは金属の身体を持つ人工知能です。トニー・スタークが、バナー博士と共に密かに進めていた人工知能による平和維持「ウルトロン計画」。スタークはヒドラの残党、ストラッカーから奪還したロキの杖の力を使ってその計画は進行するも突然自我を持ち暴走します。 J.A.R.V.I.S.を殺し、自ら機械の身体を作り上げました。そして“ウルトロン・セントリー”というロボット軍団を組織。平和維持のための唯一の驚異は人類であると結論づけ、アベンジャーズを全滅させようとします。 ウルトロンはトニーが設計したため、彼の多少傲慢で皮肉屋な性格が反映されています。

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コミック版のウルトロン

原作では、ウルトロンはトニーではなくハンク・ピム博士(初代アントマン)によって作られました。元々アシスタントとして開発したアンドロイドでしたが、ピム自身の脳波パターンを基にしたせいで邪悪な意思を持ち、人類を滅亡させようと決意しました。 コミックでは、アベンジャーズと頻繁に対決しているヴィランで、倒されるたびにバージョンアップをくり返し力を増して戻ってきます。

MCUでウルトロンを演じたのはジェームズ・スペイダー

ウルトロンの姿はロボットですが、映画でその声を演じているのは名優ジェームズ・スペイダーです。80年代には『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』や『セックスと嘘とビデオテープ』などに出演し、人気を博しました。 2000年代にはテレビシリーズ『ザ・プラクティス ボストン弁護士ファイル』やそのスピンオフである『ボストン・リーガル』、そして2013年からはサスペンスシリーズ『THE BLACKLIST/ブラックリスト』などのテレビシリーズで活躍しています。

その他、本作から登場する重要新キャラクターを紹介

ワンダ・マキシモフ/スカーレット・ウィッチ

ヒドラの残党によるセプターを使った人体実験で能力を手に入れたワンダ・マキシモフ。当初は過去にスターク・インダストリーズの兵器によって家族を失ったため、彼に復讐心がありました。 彼女の能力はテレキネシスで、物体を意のままに動かしたり、読心や幻覚によるマインドコントロールも可能。その能力でアベンジャーズを苦しめますがウルトロンの真の目的を知り彼から離れ、アベンジャーズと共闘します。

ワンダの能力はアベンジャーズでも最強レベルを誇り、その後は主要なメンバーに。また、彼女はその後ヴィジョンと惹かれ合い、恋人同士になります。本作でヴィジョンに命を助けられたことがきっかけかもしれません。

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ピエトロ・マキシモフ/クイックシルバー

ワンダの双子の弟。姉をかなり大事にしているちょっとシスコン気味な性格です。幼いころに紛争で両親を亡くし、ワンダとふたりきりで生きてきました。姉と同じく軍事産業に携わっていたスタークを恨んでいます。ピエトロもやはりストラッカーたちの実験によってスーパーパワーを手に入れました。その能力は音速レベルのスピードで、目にも止まらない速さで敵に不意打ちを仕掛けます。

しかし、彼は最後のウルトロンとの戦いでホークアイを守って死亡。初登場にして最後の登場となってしまいました。

ユリシーズ・クロウ

闇の商人であるユリシーズ・クロウ。彼は多くの武器を取り扱い、特にヴィブラニウムの密輸に携わっていました。クロウはウルトロンに脅され大量のヴィブラニウムを売ることに。しかし、スタークの名を出したことでウルトロンを怒らせ、左腕を切断されてしまいました。

クロウはその後、ヴィブラニウム関連で『ブラックパンサー』に登場。ウルトロンに切り落とされた左腕はヴィブラニウム製で武器の埋め込まれた義手になっていました。密輸犯としてワカンダに追われており、ヴィランであるキルモンガーと結託します。

ヴィジョン

ブルース・バナーの友人である科学者ヘレン・チョによって作られた人工肉体の細胞に、ウルトロンがヴィブラニウム、そしてセプターに隠されていたマインド・ストーンを使って最強のボディを作り上げます。 この人工肉体に、ブルース・バナーがJ.A.R.V.I.S.のプロトコルを組み込んで誕生したのがヴィジョン。彼の能力は、超人的な身体能力、飛行、エネルギービームなど、ヒーローたちのなかでも最強レベルです。

作中で、誕生したばかりで邪心のないヴィジョンは「ソーと同等以上の高潔な心を持つ者しか持ち上げることができない」というムジョルニアを軽々と持ち上げていました。 ヴィジョンはその後、ワンダと恋人同士に。マインド・ストーンを持つ彼は、「アベンジャーズ」シリーズ第3作目『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で物語のキーとなるキャラクターになります。

【ネタバレ】「エイジ・オブ・ウルトロン」を徹底解説

ウルトロンの誕生

東欧のソコヴィアに隠れていたヒドラの残党ストラッカーとその部下たち。彼らがS.H.I.E.L.D.から盗み出したロキの杖、セプターを奪還するためアベンジャーズはその基地を奇襲します。スタークはアーマー軍団“アイアン・レギオン”を呼び寄せ、基地周辺の住民を避難させました。そしてアベンジャーズは無事セプターの奪還に成功。トニー・スタークはソーが杖をアスガルドに持ち帰る前に調査したいと申し出ます。しかし、彼はそれを使って密かに計画してきたAIによる平和維持計画「ウルトロン計画」を実行に移そうとしていました。ブルース・バナー博士もしぶしぶ協力することになり、J.A.R.V.I.S.がセプターの人工知能の解析を進めます。 アベンジャーズがソーの送別会を兼ねたセプター奪還の祝賀会をしている間、ウルトロンは突如自我に目覚めます。彼はJ.A.R.V.I.S.を殺し、機械の体を作ってアベンジャーズを襲います。そして自身の軍隊“ウルトロン・セントリー”とともに飛び去ってしまいました。

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ユリシーズ・クロウとマキシモフ姉弟

ストラッカーの基地で人体実験によってスーパーパワーを手に入れたワンダとピーターのマキシモフ姉弟は、アベンジャーズが基地を襲撃したときに解き放たれ、彼らを苦しめました。ストラッカーたちが敗れ、自由の身になったマキシモフ姉弟。

彼らは、かつて祖国の戦争でスターク・インダストリーズのミサイルによって両親が命を落とし、自分たちも不発弾に怯えて暮らしたことでスタークを恨んでいました。ウルトロンに接触した2人は、彼の命令で密輸業者ユリシーズ・クロウのもとを訪れます。そこにウルトロンも現れ、クロウの持っていたヴィブラニウムをすべて買い取ります。 アベンジャーズはウルトロンの居場所に目星をつけ、クロウの根城へと乗り込みました。しかし、ワンダの力によって幻覚を見せられたソー、スティーブ、ナターシャが戦闘不能に。 そしてやはりワンダの力によって錯乱したバナー博士はハルクに変身し、ヨハネスブルグの街を破壊します。トニーがなんとか取り押さえたものの、アベンジャーズは世界中から避難を浴びることになってしまいました。

ヴィジョン誕生

精神的にダメージを受けたアベンジャーズは、ホークアイの家族が暮らす農場に身を寄せます。そこでトニーはフューリーにウルトロンから核ミサイルの発射コードを守っている謎の存在がいると聞かされ、正体を突き止めるためにノルウェーへ。残りのメンバーはウルトロンを追って韓国に向かいます。 ウルトロンは人工皮膚細胞テクノロジーを専門とするヘレン・チョ博士をセプターの力で洗脳し、ヴィブラニウムと人工皮膚、そしてセプターに隠されていたマインド・ストーンを使って新たな最強のボディを完成させます。

ウルトロンが自分の意識をそのボディにアップロードしようとしたとき、ワンダは彼の思考を読み取り、彼の真の目的は平和ではなく人類の滅亡であることを知ります。 ワンダとピエトロはウルトロンのもとを離れ、チョ博士はワンダの能力で洗脳から解放されました。新たなボディを持ち去ろうとするウルトロンを追うスティーブ、ナターシャ、ホークアイ、ワンダ、ピエトロ。彼らはボディの奪取には成功したものの、ナターシャが捕虜として連れ去られてしまいます。 アベンジャーズタワーでトニーと合流した彼らは、ウルトロンを妨害していたのがJ.A.R.V.I.S.であることを知ります。そして、ウルトロンが作ったボディにJ.A.R.V.I.S.のプロトコルをアップロードし、ヴィジョンが誕生しました。

ソコヴィアでの最後の戦い

核ミサイルのコードを手に入れられなかったウルトロンは、代わりにソコヴィアの街を宇宙まで浮かせ、隕石として地球にぶつけようとします。さらに手下である無数のウルトロン・セントリーを放ち、街がパニックに。アベンジャーズは人々を避難させながら戦います。

ヴィジョンはウルトロンの前に舞い降り、彼の頭脳をハッキングしてネットに逃げられないようにします。怒ったウルトロンは弱ったヴィジョンを地面に叩きつけ、街を浮かせる装置を起動させました。街が浮上していくなか、バナー博士はナターシャを救出しアベンジャーズと合流。 フューリーは、旧型のヘリキャリアで市民を避難させます。その後も激しい戦闘がつづき、ピエトロがホークアイを守って命を落としていまいます。それを知ったワンダは力を暴走させ、ウルトロン・セントリーを破壊。さらにウルトロンの心臓を抉り取って危機を脱しました。 しかし、ウルトロン・セントリーの1体が装置を起動してしまい、街は急降下を始めます。トニーとソーが落下するソコヴィアの街を破壊し、なんとか難を逃れました。ワンダはヴィジョンに救われて脱出。その後、ヴィジョンはウルトロン・セントリーの最後の1体を発見し、彼が死を恐れていると確認した後、突進してきたウルトロン・セントリーを破壊しました。 その後、アベンジャーズはスターク・インダストリーズの保管庫を改装した新たな基地へ移動し、ローディ、ワンダ、ヴィジョン、サムをアベンジャーズに迎え入れるための訓練を開始するのでした。

MCU他作品に関わる重要な伏線がこんなに隠されていた

ヴィブラニウムとワカンダの存在

本作では『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』以来、久しぶりにヴィブラニウムの話題が出てきました。本作ではじめて、世界最強の金属であるヴィブラニウムはワカンダでのみ採掘され、ユリシーズ・クロウが密輸していることが明らかになりました。 ここが『ブラックパンサー』への伏線となっています。

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本作での出来事が『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の発端に

本作がその後のMCU作品にとって重要な理由は、最初の戦いと最後の戦いが行われた場所がポイントになっています。 『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でヒーローたちが対立した原因となったのは、ヒーローたちを国連の管理下に置き、その指示に従って活動しなければならないという協定でした。その名も「ソコヴィア協定」。 ヒーローたちは、もちろんこれまで地球の危機を救ってきたのですが、その度に世界中の都市は壊滅的な被害を受け、ついに「ソコヴィア協定」が制定されるに至ったのです。

『マイティ・ソー バトルロイヤル』につながるハルクの行方

本作のクライマックスのアクションシーンで、ウルトロンはクインジェットを奪い攻撃をしかけました。しかしその後、ハルクがウルトロンをクインジェットから叩き落としました。

そこにナターシャからの通信が入りますが、ハルクは悲しそうな顔をしてそのままどこかへ飛び去ってしまいます。 そして『マイティ・ソー バトルロイヤル』で、その後ハルクが惑星サカールにたどり着き、グランドマスターのもとで「バトルロイヤル」のチャンピオンとして試合に明け暮れていたことが判明します。 ちなみにその間はハルクは一度もバナー博士に戻っていませんでした。

エンドロール中にサノスが自ら立ち上がる

本作のエンドロール中のシーンでは、ロキをはじめとするヴィランを影で操っていたサノスが自らインフィニティ・ストーンを集める決意をします。サノスはまだストーンがひとつもはまっていないガントレットを身につけ、「よかろう、私の出番だ」と不敵な笑みを浮かべます。

「エイジ・オブ・ウルトロン」のトリビア

ナターシャとブルースのロマンスが生まれたきっかけ

ナターシャ・ロマノフ(ブラック・ウィドウ)とブルース・バナー(ハルク)のロマンスが大きな見どころの一つである『アベンジャーズ・エイジ・オブ・ウルトロン』。 2人が恋に落ちるという構想は『アベンジャーズ』一作目を撮影している時に偶然生まれたそうです。 『アベンジャーズ』でナターシャがブルースを仲間に誘うシーンで画面に映る2人の相性が驚く程良かったことと、シーン撮影前、スタッフがジョス・ウィードンに許可を取らず勝手にゆりかごをセットに飾ったことがきっかけだったとか。 監督はブルース役のマーク・ラファロにセリフを言いながらゆりかごを押すという演出をしています。そのシーンでブルースが言うセリフが ”I don’t get what I want every time!”(欲しいものがいつでも手にできる訳じゃない)と、二人の末路を意図せず仄めかすものでした。

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ホークアイの死亡フラグ?

ジェレミー・レナー演じるホーク・アイにまつわるこんなエピソードが存在します。 ホークアイが家族の写真を眺めたり、戦いに向かう前、奥さんと別れを惜しむなどホークアイの死が仄めかされるシーンが登場します。 ホークアイが『アベンジャーズ・エイジ・オブ・ウルトロン』で結局死なずに生き延びることを知っていたため、監督はこのシーンの撮影をとても楽しみ、笑いで吹き出しそうになっていたといいます。

『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』の伏線を整理すればMCUの面白さは倍増!

『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』は、MCUのなかでも特に多くの他作品とのつながりがあります。物語としては「トニーの作ったAIが機械の体を持って地球を破壊しようとする」というシンプルなものですが、そこには他の作品につながる様々な要素が盛り込まれ、複雑な印象を与えるのではないでしょうか。 ここでスッキリと理解できれば、MCUの面白さがさらに増すと思います。 『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』は、2019年5月5日(日)、夜9時からテレビ朝日系列で地上波初放送となります!この機会に見直してみてはいかがでしょうか。