『マイティ・ソー バトルロイヤル』のネタバレあらすじ!キャストから伏線、小ネタまでを徹底解説!
MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のヒーローたちはカッコいいばかりでなく、ときに軽快なセリフで私たちを笑わせてくれます。特に、「マイティ・ソー」シリーズ3部作を締めくくる『マイティ・ソー バトルロイヤル』は過去2作とは異なりコミカルな作風へと大きく方向転換を果たします。 7月8日にはシリーズ4作目となる『ソー:ラブ&サンダー』が公開されました。この記事で前作のあらすじ、伏線などをおさらいして、公開に備えましょう!
『マイティー・ソー バトルロイヤル』のネタバレあらすじ
スルトの思惑とオーディンの行方
アベンジャーズとウルトロンの戦いから2年、ソーは故郷であるアスガルドを出て惑星ムスペルヘイムの王・スルトと対峙していました。「ラグナロクに従って、アスガルドを破壊する」ーー。それを聞いたソーはスルトの力の源である王冠を奪い、アスガルドへ帰還します。 一方ロキはオーディンを地球に追放し、父親に化けて王宮で豪遊していました。そんな彼を連れてオーディンを探すために地球へ向かうソー。その時魔術によってサンクタスに招かれたソーはドクターストレンジと出会い、彼の協力もあってオーディンがノルウェーにいることを知ります。 ようやく父親に再会した2人ですが、ソーの姉であり死の女神でもあるヘラが復活することをオーディンから伝えられます。
最凶の姉ヘラが復活
ヘラはオーディンの最初の子でありながら、はるか昔にオーディンによって追放され、オーディンの力で復活を止められていました。彼女は、圧倒的な力を持ちながら、その力をアスガルドのために使うのではなく世界征服のために使おうとしたのです。ソーにアスガルドを託したオーディンは、そのまま消えてしまい、ソーとロキの前にヘラが現れます。ソーは全力で対抗しますが、ムジョルニアが呆気なく破壊されます。 勝つことはできないと判断したロキはヘイムダルに呼びかけ、ビフレストで逃げることを選択。ソーはこのまま倒そうとしましたが、後を追ってきたヘラに2人はビフレストの外へ吹き飛ばされてしまいます。そしてアスガルドへやって来たヘラは兵たちをねじ伏せ、一国を掌握したのでした。 一方ヘイムダルや一部の国民たちはかろうじて亡命しており、対抗する術を画策しています。
サカールで「リベンジャーズ」結成
ビフレストから吹き飛ばされたソーは惑星サカールへと墜落し、ヴァルキリーやグランドマスターの手によってバトルロイヤルの参加者になってしまいます。グランドマスターとの交渉の結果、王者との戦いでソーが勝てばアスガルドへ帰すと約束させました。 サカールにはロキもいましたが、観戦者として素知らぬふりをしています。そして迎えた王者との対決。ソーの前に現れたのは、なんと暴走状態のハルクでした。ソーは再会に喜びますが、ハルクは彼を無視して攻撃を開始したため、やむ終えず迎え撃つことになります。 そして戦いの最中、ソーは雷神としての本来の力に目覚め……。形勢逆転したように見えましたがグランドマスターの邪魔が入り、試合には負けてしまいます。 そして試合後にソーはハルクと和解し、彼が乗っていたクインジェットの中にある音声機能を使って、ハルクをバナーの姿へと戻しました。さらにヘラに因縁があるヴァルキリーを説得して「リベンジャーズ」を結成するのでした。
ヘラと最終決戦
追手から逃げながらアスガルドへ到着したリベンジャーズ。一方ロキはサカールで出会った囚人・コーグやその仲間と共に脱出します。そしてアスガルドで圧政を敷いていたヘラとの最終決戦を迎えるのでした。 映画終盤、雷神の力に目覚めパワーアップしたソーは決死の覚悟でヘラに立ち向かいます。成長し強くなった主人公が一度負けた敵にリベンジを果たすというストーリーは、王道中の王道です。 しかし成長したソーが仲間と協力してさえアスガルドから無限に力を得られるヘラには歯が立ちません。そこでソーは思いもよらぬ作戦を実行します。
その作戦とはアスガルドに恨みを持つヴィラン・スルトを復活させ、スルトにアスガルドを破壊させることでした。力の源ごとヘラを消し飛ばしてしまう作戦です。 ロキの協力で復活したスルトは瞬く間にアスガルド全土を火の海に沈めます。これにはヘラも仰天、これで万事解決かと思いきや、突如ハルクが巨大なスルトに飛びかかりスルトを殴り始めます。 と、思いがけぬハルクの乱入はあったもののスルトによりアスガルドはヘラと共に消滅し、ソーはアスガルドの民を「ラグナロク(終末の日)」から救います。
『マイティ・ソー バトルロイヤル』のクレジットシーンを解説
ミッドクレジットの謎の船
無事にアスガルドから脱出し、地球へ向かうことを決意する一行。ソーとロキは「どうせ最後にはなんとかなる」と談笑を交えながら、仲睦まじい姿を見せていました。しかしそんな彼らの前に、超巨大な宇宙船が出現し……。 ヘラを倒し、ロキとも仲直りしたため物語は平和な終わりを迎えたように思えましたが、突然穏やかな雰囲気ではなくなります。実はこの超巨大な宇宙船は、ロキにニューヨークを襲わせ、インフィニティ・ストーンを奪おうとしたサノスのものだったのです。 果たしてソーやロキ、アスガルドの民はどうなってしまうのでしょうか。そして『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は、衝撃のシーンから幕を開けます。
エンドクレジット、サカールのその後
一方グランドマスターは、コーグらが革命を起こしたことによって逃亡していました。行きついた先は、ソーがヘラに吹き飛ばされて落下したゴミ捨て場。そして自分を取り囲む人々に、「今回は引き分けかな」と饒舌に語り説得しようとするのでした……。 本編中盤でソーを殴り、ヴァルキリーに懲らしめられた人々がエンドクレジットで再登場。そんな野蛮な彼らにグランドマスターは痛めつけられてしまうのではないかと思われます。 しかし実はグランドマスターが今後のMCU作品に再登場するという噂があるのです。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』などに登場したコレクターとは兄弟関係にある彼の今後に注目してみてください。
他MCU作品との伏線
『マイティ・ソー ダークワールド』
2013年に公開された『マイティ・ソー ダークワールド』にて、ストーリーの最後にソーはオーディンに対して「王座には着きません」と伝え、地球へ帰っていきました。しかしこのオーディンこそが、ロキが幻術によって変装していた姿だったのです。 『マイティ・ソー バトルロイヤル』までのおよそ4年間、ロキはアスガルドを統治していたことになります。またオーディンの宝物庫にはすでに完成されたインフィニティ・ガントレットが展示されていましたが、『マイティ・ソー バトルロイヤル』ではヘラに偽物だと見破られていました。
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』
『マイティ・ソー バトルロイヤル』では、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』以来の登場となったハルク。当時彼は自分が多くの人を傷つけ、悲しませたことに責任を感じていました。そしてウルトロンとの最終決戦で、自責の念からクインジェットに乗ってどこか遠くへ逃げていきます。 その行きついた先が、惑星サークルだったのです。
『マイティ・ソー バトルロイヤル』のキャスト一覧
ソー | クリス・ヘムズワース |
---|---|
ロキ | トム・ヒドルストン |
ヴァルキリー | テッサ・トンプソン |
ハルク | マーク・ラファロ |
ドクターストレンジ | ベネディクト・カンバーバッチ |
グランドマスター | ジェフ・ゴールドブラム |
ヘラ | ケイト・ブランシェット |
オーディン | アンソニー・ホプキンス |
ヘイムダル | イドリス・エルバ |
スカージ | カール・アーバン |
スルト | クランシー・ブラウン |
ホーガン | 浅野忠信 |
コーグ | タイカ・ワイティティ |
登場人物・キャスト解説
雷神ソー役を務めるのはおなじみクリス・ヘムズワース
主人公・ソー役はこれまでも同役を演じてきたオーストラリア出身の俳優、クリス・ヘムズワースです。 彼は、2009年公開の『スター・トレック』で主人公ジェームズ・T・カークの父親役で映画デビュー&ハリウッドデビューを果たしました。本作で5回目(カメオ出演も含めると6作目)となるソー役は、代名詞ともいえるハマリ役となりました。
ソーが短髪になったのは、飽きたから?
これまでブロンドの長髪がトレードマークだったソーですが、本作からは短髪になっています。劇中では、グランドマスターの命令でその部下に髪を切られてしまいますが、このソーのイメチェン、実はクリス・ヘムズワーズが長髪に飽きたからなのだそう。 サンディエゴにて開催されたコミコン2017に登壇した彼は、この件に関して「5回も(ソーを)演じたから、(長髪は)もう飽きてしまって」と語っています。
クリス・ヘムズワースの涙ぐましい努力
再びソーを演じるために厳しいダイエットとトレーニングをしたというクリス・ヘムズワース。 クリスのトレーナーのルーク・ゾッキは、彼の美しい二の腕の筋肉に注目し、より鍛え上げることを提案。30キロのダンベルを片手で持ち上げるトレーニングを薦めました。さらに筋肉量を9キロ増やし、体重を90キロ以上にするため、1日に約6000キロカロリーを摂取しなければならなかったとか。 本作のために最高の肉体を届けようと決意したというクリス。新しい衣装のデザインは、彼のたくましく鍛え上げた二の腕をバッチリ見せつけてくれます。
マーク・ラファロ演じるハルク/ブルース・バナーも登場
2012年に公開された『アベンジャーズ』からハルクを演じているマーク・ラファロ。エリック・バナやエドワード・ノートンら演技力の高い俳優が務めてきたハルク役ですが、彼らに勝るとも劣らない演技を見せました。映画『スポットライト 世紀のスクープ』ではアカデミー助演男優賞にノミネートされています。
「バトルロイヤル」ではハルクがしゃべる!
大量のガンマ線を浴びたことから、怒りの感情を爆発させると超人ハルクに変身してしまう科学者ブルース・バナー。ハルクに変身中の彼は人間の言葉を失い、怒りや悲しみを呻くだけという設定でしたが……。 本作のハルクはしゃべるんです! サカールで格闘大会の王者として2年ほど変身後の姿であり続けたという設定なので、その間に言葉を習得したとのこと。 マーベル作品を同一の世界観で描いたマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の中では、ハルクが2語以上の言葉をしゃべるのは今作が初めてです。
ソーとの凸凹コンビに注目!
本作の見どころといえば、やはりアベンジャーズの中でも最強クラスの二人=ソーとハルクの共演です。規格外のパワーを持つコンビの戦いはもちろん魅力的ですが、本作の二人はまるで凸凹コンビの漫才師のように観客を笑わせてくれます。 2年近くブルース・バナーに戻らなかった影響か、カタコトでなら喋れるようになったハルクとソーのかけ合いは抱腹絶倒。ハルクの協力を得るためにソーが必死にハルクを説得するシーンなど、いつもは余裕たっぷりのソーがタジタジになっている姿は必見の爆笑ポイントです。
トム・ヒドルストンが演じるのは大人気キャラクター ロキ
ソーの義弟ロキ役も、過去の全シリーズで同役を演じたトム・ヒドルストンが続投。実は彼は、当初ソー役のオーディションを受けていたのだそうです。しかしその後、監督からロキ役を提案されたのだとか。 ヒドルストン演じるロキは、第1作目の『マイティ・ソー』のヴィランとして登場。しかしその後の作品にもたびたび登場し、徐々に兄であるソーと和解していきました。本作では、いつ裏切るとも知れないながらも、ソーたちとともに戦いに挑みます。
ロキは1作にしか登場しない予定だった!?
実はロキは『マイティ・ソー』のラストで次元のはざまに消えたあと、2度と登場しない予定でした。しかし、同作であまりにも人気が出たため、その後の作品にも登場することに。これはひとえに、ロキを魅力的に演じたヒドルストンの功績といえるでしょう。
ソーたちの姉で死の女神ヘラを演じるのはケイト・ブランシェット
本作のヴィランは、シリーズ最強ともされる死の女神ヘラ。世界を滅ぼすほどの破壊力を持ち、アスガルド崩壊を目論みます。そのパワーはソーのハンマー、ムジョルニアを軽々と壊すほど。 ヘラを演じるのは、『ブルージャスミン』(2014)や『キャロル』(2016)、「ロード・オブ・ザ・リング」のガラドリエル役などで知られるケイト・ブランシェットです。ヘラはMCU初の女性ヴィランとなりました。
出演を決意した理由は息子たち
3人の子供の母であるブランシェットは、大のマーベルファンである息子たちを喜ばせるためにヘラ役を引き受けることにしたのだとか。また、長男はこの役が今後のキャリアを後押しするのでは、と出演を促したそうです。 ちなみに、彼女の三男は本作にカメオ出演しています。
ヘラを演じるのに大変だったのはスーツ?
役作りのためにブラジルの格闘技カポエイラを研究したというブランシェットは、撮影ではモーションキャプチャー・スーツを身につけて撮影に臨んでいました。 モーションキャプチャー初挑戦だったため、スーツを着用して演じることに違和感を感じつつ役を演じていたそうです。
若手注目女優テッサ・トンプソンが女戦士ヴァルキリーを演じる
アスガルドの女戦士であるヴァルキリーを演じるのは、テッサ・トンプソン。彼女は「クリード」シリーズの主人公の恋人ビアンカ役などで知られています。 『ヴェロニカ・マーズ』や『ウェスト・ワールド』など、テレビシリーズでも活躍する彼女は、その後もMCU作品に出演しています。
劇中では明かされない本当の名前
本作を観て気づいた方もいると思いますが、“ヴァルキリー”は彼女が所属していた女性のみの戦闘部隊の名前であって、彼女個人の名前ではありません。 彼女の本名は“ブリュンヒルデ”で、北欧神話の楯の乙女“ブリュンヒルド”がモデルになっています。
テッサ・トンプソンがヴァルキリー役にキャスティングされた理由とは?
原作コミックでもその元になっている北欧神話でも、ヴァルキリーは、色白でブロンドのヴァイキングの女戦士として描かれています。それに対してトンプソンは、アフリカやメキシコに祖先を持つイギリス人。近年では、キャストの多様性を担保するためにキャラクターの人種を変更することも珍しくありませんが、ヴァルキリーの場合は、そういった理由でトンプソンが起用されたのではありません。 監督は、コミック原作の映画を製作するからといってキャラクターをそっくりにする必要はないと考えていたそうです。「映画の主役はストーリーです。そしてその役に最適な人と仕事がしたいですよね。今回の場合、それがテッサだったのです」と語っています。
ジェフ・ゴールドブラムは「バトルロイヤル」を始めたグランドマスター役
宇宙一、長寿と言われる種族の長老であるグランドマスター役は、『ジュラシック・パーク』や『インデペンデンス・デイ』で知られるジェフ・ゴールドブラムが演じます。
コミックのグランドマスターは肌の色がブルーだったけど……
原作コミックに登場するグランドマスターは、肌の色がブルーのキャラクター。しかし監督タイカ・ワイティティは、ゴールドブラムは肌を青く塗る必要がないほどいい俳優だと判断し、本作では青い肌にするのは見送られたとか。その代わりなのか、衣装やメイクに印象的に青が使われています。 また、この決定のもうひとつの理由はゴールドブラムが1988年の『ボクの彼女は地球人』で、すでに青い肌のキャラクターを演じていたからとも言われています。
ベネディクト・カンバーバッチ演じるドクター・ストレンジも登場
ベネディクト・カンバーバッチ演じるドクター・ストレンジも本作冒頭に登場します。 事故によって外科医としての道を絶たれ、魔術師となったストレンジは単独作の最後でニューヨークにあるサンクタム・サンクトラムの守護者として住んでいます。そこにソーが訪ねてくることに。このシーンは『ドクター・ストレンジ』のエンドクレジット中にすでに登場していましたね。
『ドクター・ストレンジ』より先にソーとの共演シーンが撮影された!?
先ほど紹介したとおり、ソーとストレンジの初対面のシーンは『ドクター・ストレンジ』のエンドクレジット中に登場しました。 しかし、このシーンが撮影されたのは『ドクター・ストレンジ』の撮影が始まるより前だったとか。元々『ドクター・ストレンジ』の脚本にはこのシーンはありませんでしたが、マーベルと監督のスコット・デリクソンは、ストレンジが今後MCUで活躍するのを示唆するのに最適なシーンと判断し、エンドクレジットに入れたのだそうです。
その他のキャスト&キャラクターを紹介
オーディン役:アンソニー・ホプキンス
ソーとロキ、そしてヘラの父であるアスガルドの王オーディンは、前作にひき続きイギリスの名優アンソニー・ホプキンスが演じています。 実はホプキンスは前作でオーディン役を降板するつもりだったとか。しかし、本作の脚本を読んで気が変わり、オーディンを最後まで演じ切りました。
ヘイムダル役:イドリス・エルバ
シリーズを通してイドリス・エルバが演じているヘイルダムは、北欧神話の光の神がもとになっています。 アスガルドと9つの世界をつなぐ虹の橋“ビフレスト”天文台の番人にしてソーの親友であるヘイルダム。彼は千里眼の持ち主で、9つの世界全てを見通すことができます。
スカージ役:カール・アーバン
アスガルドの戦士で、ハルクに立ちはだかることになるヴィランのスカージ役には、カール・アーバンが抜擢されました。 『ロード・オブ・ザ・リング』のエオメル役で認知されるようになり、『スター・トレック』シリーズではレナード・"ボーンズ"・マッコイを演じています。
ホーガン役:浅野忠信
ホーガンは、“ウォリアーズ・スリー”と呼ばれるアスガルドの冒険家にして勇敢な男性戦士3人組のひとりです。“強面のホーガン”と呼ばれ、ヘラが都にやってきた際には果敢に撤退を迫りました。 浅野忠信が、シリーズを通してホーガンを演じています。
監督はタイカ・ワイティティ
本作の監督を務めるのは『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』のタイカ・ワイティティです。 『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』は日本では2015年に公開。タイトル通り、ヴァンパイア達と共同生活することになってしまった大学生の生活を追ったモキュメンタリー映画です。ワイティティは、自身もヴァンパイアのヴィアゴ役として出演しています。 ニュージーランド生まれのワイティティは、大学時代コンビを組んでコメディアンとして活動していました。その影響もあってか『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』に代表される彼の映画には気の利いたギャグが散りばめられています。 映画以外にもワイティティは『ホビット』とのコラボ企画でニュージーランド航空の「壮大すぎる機内安全ビデオ」なども監督しています。こちらの動画もコメディが得意な監督だけあって、大いに笑える内容なので要チェックです。 インディペンデント映画で高い評価を受け、本作がスタジオ映画初監督となったタイカ・ワイティティ。意外な人物が監督に抜擢されることもあるMCU作品でも、もっとも映画ファンを驚かせた起用だったのではないでしょうか。
監督のお気に入りのシーンは?
ワイティティ監督にとって、今作で一番のお気に入りシーンはソーとハルクが口論をした後、ベッドに座りながら仲直りをするシーンなんだとか。「もともと撮る予定のなかったシーンではあるけど、スーパーヒーロー同士は喧嘩したら仲直りをしなきゃ」という意図が監督にはありました。 なんだか、『キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー』で仲違いしたアイアンマンとキャプテン・アメリカを思わせますね。
知ればもっと楽しいトリビア
スタン・リーのカメオ出演
『スパイダーマン』や『X-メン』などの原作を手掛け、マーベル・メディアの名誉会長などを務めていたスタン・リー。そんな彼は、MCU作品にカメオ出演することで有名です。 『マイティ・ソー バトルロイヤル』では、サカールの散髪屋として登場。髪を短くするのを嫌がっていたソーに対して、恐ろしい機械で無理矢理髪の毛を切っています。
豪華すぎるノンクレジット出演者
スルトを倒し、アスガルドへと帰還したソーはそこで衝撃的な光景を目にします。 まるでシェイクスピア劇のようにソーやロキ、オーディンに扮して舞台の上で演技する役者たち。どうやらアスガルドでは前作『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』での出来事が演劇になっていたようです。 と、ここまでは何の前知識が無くても面白いコメディシーンなのですが、実はこのシーンでは豪華なカメオ出演が行われています。 ソー役は本物のソーを演じるクリス・ヘムズワースの兄ルークが、オーディン役は『ジュラシック・パーク』で主人公の恐竜学者を演じたサム・ニールが、そして極めつけのロキ役は『ボーン』シリーズや『オデッセイ』でお馴染みのマット・デイモンが演じていたのです! 豪華すぎるノンクレジット出演に、海外ファンからは「あの寸劇をフルバージョンで見てみたいよ」という声があるほど。秀逸なセルフパロディでもあるアスガルドの演劇は、コメディ路線を押し出した本作の象徴とも言えるようなシーンです。
コーグ役は監督のタイカ・ワイティティ
惑星サカールで囚人とされていたクロナン人のコーグ。体は青みがかった岩でできており、サカールで観客も盛り上げる前座として暮らしています。陽気でおしゃべり好きな性格。ストーリー後半からは、ソーたちと協力してアスガルドの民をヘラの手から守っていました。 本作の監督でもあるタイカ・ワイティティが、コーグを演じています。
アベンジャーズメンバーとの仲がわかるあのシーン
本作でも物語の節々でアベンジャーズメンバーの仲の良さが伺えます。例えばハルクが乗ってきたクインジェットを再起動させようとするシーンで、ソーは声認証でさまざまなキーワードを試しますが、全く成功しません。 しかしトニーがソーに付けたあだ名である「サーファーくん」を試すと、認証に成功します。さらにバナーを落ち着かせるためにソーが言った「the sun’s going down」というセリフは、ナターシャのセリフです。 自由奔放なキャラクターのソーですが、仲間が言った言葉はしっかりと覚えているのですね。
80年代のファンタジー・アクション映画から影響を受けていた
タイカ・ワイティティ監督は本作の製作にあたり、1986年に公開されたアクション・アドベンチャー映画『ゴーストハンターズ』から大きな影響を受けたと語っています。 『ゴーストハンターズ』は、「ハロウィン」シリーズなどのホラー作品で知られるジョン・カーペンター監督、『バックドラフト』(1991)などの出演で知られるカート・ラッセル主演。チャイナタウンを舞台に、恋人をさらわれた主人公二人組が幽霊に戦いを挑むというストーリーです。ワイティティ監督いわく「大きな賭けをする楽しいアドベンチャー作品だけど、同時におそろしいスピードで観客を狂った冒険の世界に連れて行くんだ。」とのこと。 他にも魅力的なチームが活躍する作品として、『明日に向って撃て!』(1970)や『48時間』(1983)、『ウィズネイルと僕』(1991)、『ミッドナイト・ラン』(1988)、『大災難P.T.A.』(1988)なども参考にしたそうです。
映画の本編8割がアドリブ演技だった!?
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— Thor (@thorofficial) January 5, 2017
MTVニュースのインタビューでタイカ・ワイティティが語ったところによると、本編の8割が役者によるアドリブなのだそう!脚本はたたき台くらいにしかなっていないのだとか。 確かに、ソーとハルクが冗談混じりで話すシーンや、ロキを交えたコミカルな戦闘シーンなど、これまでの作品に比べると非常にユーモアに富んだ雰囲気になっています。それというのも、コメディアンでもある監督が、自身が手がけた他作品の持つ空気感を今作にも応用したい気持ちがあったから。彼はそのために、撮影現場では音楽をかけ、時にはダンスをしたり皆でご飯を食べる等をして、キャスト全員が楽しめる空間を作りました。 またColliderのインタビューでは、俳優たちがアドリブで演技することに前向きで驚いたとも語っています。特に、脚本を読み込んで役作りをすることで知られるアンソニー・ホプキンスが楽しんで演じていたようです。
劇中で印象的に流れる楽曲「移民の歌(Immigrant song)」の解説
本作のオープニングとクライマックスのアクションシーンで印象的に流れる楽曲は、レッド・ツェッペリンの「移民の歌」。重要なシーンで二度もこの曲が使用されたのは、北欧神話というモチーフを「マイティ・ソー」シリーズと共有しているからです。 「移民の歌」は北欧神話の神オーディンを信仰する海賊ヴァイキングをモチーフにしていると言われており、事実歌詞にも「神々のハンマー(Hammer of the gods)」、「ヴァルハラ(Valhalla=オーディンの宮殿)」など北欧神話を思わせるキーワードが続出します。 また本編の最後でソーとアスガルドの民は宇宙船に乗って故郷アスガルドを離れますが、これには北欧神話の神々の加護を受け航海するヴァイキングのイメージが重ねられているのかもしれません。
曲を使用できたこと自体がレア!
レッド・ツェッペリンは、映画などの他メディアで自分たちの曲を使用するのをなかなか許可しないことで知られています。 これまで彼らの曲が使用された映画は、『初体験/リッジモント・ハイ』(1982)、『あの頃ペニー・レインと』(2000)など音楽ジャーナリストのキャメロン・クロウに関する映画や、ジャック・ブラック主演の『スクール・オブ・ロック』(2003)など。 音楽映画やミュージカルでない作品でツェッペリンの曲が使われる(使用許諾がおりた)のは、とても珍しいケースです。
『マイティ・ソー バトルロイヤル』は笑って泣けるヒーロー映画!
これまでの「マイティ・ソー」シリーズから大きく方向転換し、コメディ路線に振り切った『マイティ・ソー バトルロイヤル』は、ワイティティ監督の手腕によってコミカルなシーンとカッコいいアクションシーン、そしてドラマティックなストーリーがバランスよく盛り込まれた作品になっています。 そして考え抜かれたうえでのキャスティングやアドリブを多用した演出など、MCUのなかでも他とは一線を画す作品と言ってもいいのではないでしょうか。