2019年4月25日更新

脚本家ってどんな仕事?映画・ドラマを支える有名脚本家一覧

文章でストーリーの道筋を作り、作品の設計者と呼ばれることもある「脚本家」。舞台やアニメなどでも必要とされ、なりたいと憧れた人もいるかもしれません。今回は映画・ドラマを支える脚本家に焦点を当て、収入やなり方、有名脚本家も一覧にして紹介します。

知ってるようで知らない職業「脚本家」って一体どんな人たち?

映画・TVドラマ・アニメ・漫画・ゲーム・舞台・ラジオドラマなど多くの業界で必要とされ、聞き馴染みがあるようで、意外と知らない「脚本家」という職業。 シナリオライター、ラジオの放送作家、舞台の劇作家をそう呼ぶこともあります。そのため、「結局何て呼べばいいの?」と戸惑った人もいるのでは?“なり方”がいまいちはっきりしておらず、どうすれば名乗れるのか、決まった資格があるのか、わかりにくいですよね。 この記事では、仕事内容や収入、脚本家のなり方、これまで映画・ドラマを支えてきた大ベテランから近年話題の脚本家まで一覧で紹介します!

脚本家はハードワーク!?気になる仕事内容と収入

芸術分野で創作活動を行う人を主に「作家」と総称し、「脚本家」はそのうちの一つ。一般的には、映像化を前提に物語を書く人を指します。 映画・ドラマでの仕事は、時間配分、場面や状況説明(ト書き)、カット割りなどを考慮した上でストーリーを組み立て、「台詞」を考える設計者。シナリオライターもほぼ同じですが、主にゲーム界で定着した呼び名で、各業界ごとに違いがあるようです。 脚本家は原作のあり・なし、媒体はなにか、スポンサー・芸能事務所・監督などの要求にも上手く応え、臨機応変に対応するスキルを求められます。連続ドラマは視聴率命で、第1話の反響が悪ければ大幅な方向転換を余儀なくされる、かなりのハードワークなのです!

脚本家の収入は?一本で食べていくのは難しい?

脚本家はフリーランスが基本。フリーランス同士で事務所を設立する人もいますが、毎月決まった給料は得られません。クライアントからの報酬が収入となります。 1時間ドラマの報酬は約60万~100万、売れっ子であれば200万円~300万円と言われています。連続ドラマの1クール(3ヶ月、約10話)だと、600万円~1000万円程度とされていて、名前が売れるほど単価は高額になります。 売れなければ低収入ですが、大ヒットを飛ばせば億単位の収入も期待できるというのですから、脚本家は夢がある職業と言えますね。

「公募」が一番の近道

「脚本家になりたい!」と思った時に、決まったなり方、ルートは存在しません。最もスタンダードなところで言えば、脚本賞・コンクールへの応募になります。 業界関係者が、即戦力になる新人脚本家を求めて公募するため、ある程度の実力が備わっている人には一番の近道。一から学ぶには、関連する学部を設置している大学・専門学校、プロが開催する講座もあります。 先輩脚本家に師事するほか、別の職種で映像関係の企業に入社、劇団で俳優として活躍した後に脚本家に転身した人もいます。とにかく脚本を形にしたいのであれば、自主制作作品を映画館で上映してもらい、関係者の目に留まるのを待つ手もあるでしょう。

意外な経歴を持つ人も!映画・ドラマを支える有名脚本家一覧

宮藤官九郎 (代表作『池袋ウエストゲートパーク』『あまちゃん』)

宮藤官九郎
©︎ciatr

宮藤官九郎は1970年7月19日生まれ、宮城県出身。劇団「大人計画」所属。俳優、ミュージシャン、監督としても活躍し、「クドカン」の愛称で親しまれています。 ハイテンポ&テンションかつ喜怒哀楽を直球で表現する台詞回しと、スピーディな展開が特徴で、視聴者をぐいぐい引き込む脚本家です。『木更津キャッツアイ』や『池袋ウエストゲートパーク』で注目を集め、台詞の「じぇじぇじぇ」が新語・流行語大賞に選ばれた、朝ドラ『あまちゃん』で幅広い層に支持される脚本家となりました。 東野圭吾原作の『流星の絆』など数々の代表作があり、2019年の「いだてん」にて、朝ドラ・大河ドラマを制覇しています。

北川悦吏子 (代表作『ロングバケーション』『半分、青い。』)

北川悦吏子は1961年12月24日生まれ、岐阜県出身。広告代理店を経て、日活撮影所で業務の傍ら脚本を学び、1989年に脚本家デビューしました。 1992年以降、最高視聴率31.9%を記録した『素顔のままで』をはじめ、『あすなろ白書』、『ビューティフルライフ』、『ロングバケーション』など恋愛ドラマが大ヒット!「恋愛ドラマの神様」の異名を取りますが、主人公がハンディキャップを持つ作品も特徴です。 『愛していると言ってくれ』や『オレンジデイズ』では聴覚障害を扱い、2018年には北川作品のあらゆる要素が詰まった朝ドラ『半分、青い。』を手がけました。

坂元裕二 (代表作『東京ラブストーリー』『カルテット』)

是枝裕和、坂元裕二『三度目の殺人』
(C)2017『三度目の殺人』製作委員会

坂元裕二は1967年5月12日生まれ、大阪府出身。1987年、何と19歳の若さで第1回フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞し、脚本家デビューしています。 その4年後、純愛ドラマ『東京ラブストーリー』が大ヒットを記録。『Mother』や『それでも、生きてゆく』などのシリアスな社会派ドラマから、現代社会の問題を鋭く突きつつ、コミカルな会話劇を描いた『カルテット』まで多くの名作を生みました。 リアルな人間描写や、些細なシーンも伏線にしてしまうプロット力は業界屈指と言われており、幅広い世代から支持されています。

倉本聰 (代表作『北の国から』『やすらぎの郷』)

倉本聰(くらもと そう)は1935年1月1日生まれ、東京都出身。1959年にニッポン放送に入社し、ディレクター業などの傍ら、脚本家としての活動を開始しました。 大河ドラマ『勝海舟』制作における紆余曲折の末、北海道富良野市に移住し、1981年に現地を舞台にした名作家族ドラマ『北の国から』が誕生。『前略おふくろ様』や『風のガーデン』のほか、往年のスターが一同に介し、高級老人ホームを描いた『やすらぎの郷』も話題でした。 語尾を濁した独特のモノローグや「間」で心情を語らせ、景色や音楽でも情緒を盛り上げる、心にじんわり染みるような作品が特徴です。

大石静 (代表作『セカンドバージン』『家売るオンナ』)

大石静は1951年9月15日生まれ、東京都出身。「NOTE」所属。エッセイスト、小説家の顔を持ち、劇団で活躍した女優でもあります。 1986年に『水曜日の恋人たち 見合いの傾向と対策』で本格デビューし、以降、TVドラマのオリジナル作品を中心に活躍。第15回向田邦子賞、第5回橋田賞を受賞した朝ドラ『ふたりっ子』、『セカンドバージン』など数々の名作を手がけました。 異名は「ラブストーリーの名手」で、2018年は『大恋愛~僕を忘れる君と』も話題に。『家売るオンナ』では、不動産業界を舞台に異色のお仕事ドラマを描きました。

野木亜紀子 (代表作『逃げるは恥だが役に立つ』『アンナチュラル』)

野木亜紀子は1974年生まれ、東京都出身。2010年に、第22回フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞し、受賞作『さよならロビンソンクルーソー』でデビューしました。 有川浩原作の映画『図書館戦争』やドラマ『空飛ぶ広報室』、『重版出来!』といった原作ものを多く担当する脚本家です。高い構成力のほか、『アンナチュラル』にも見られた社会風刺、時代や人間の内面を鋭く見つめる視点が女性の共感を呼んでいます。 新垣結衣とは何度も(大ヒット作『逃げるは恥だが役に立つ』、第37回向田邦子賞受賞作『獣に慣れない私たち』など)タッグを組み、黄金コンビとなりました。

古沢良太 (代表作『ALWAYS 三丁目の夕日』『リーガルハイ』)

古沢良太は1973年8月6日生まれ、神奈川県出身。28歳で第2回テレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞を受賞し、デビューを果たしました。 ドラマ「相棒」シリーズ(Season4以降の一部)や、第27回向田邦子賞受賞作『ゴンゾウ 伝説の刑事』など、刑事モノに定評がある古沢。「ALWAYS」シリーズといったハートフルな作品から、恋愛ドラマ『デート〜恋とはどんなものかしら〜』まで幅広く手がけ、大ヒット社会派ドラマ『リーガルハイ』などなど……話題作が目白押し! 『コンフィデンスマンJP』のように、話が二転三転する予測不能な展開と、抜群のコメディセンスが融合した作風が特徴です。

大森寿美男 (代表作『風林火山』『なつぞら』)

大森寿美男(おおもり すみお)は1967年8月3日生まれ、神奈川県出身。劇団「自家発電」などの活動を経て、オリジナルビデオ『新・静かなるドン』で脚本家デビューしました。 2000年には『泥棒家族』、および『トトの世界~最後の野生児~』の”社会に対する確かな視線”が評価され、向田邦子賞を当時史上最年少(33歳)で受賞。ジャンルはコメディから時代劇まで幅広く、『てるてる家族』と『風林火山』で朝ドラ・大河ドラマ制覇を果たし、NHKから絶大な信頼を寄せられてきました。 2019年には、朝ドラ100作目『なつぞら』の脚本を担当しています。

金子ありさ (代表作『花燃ゆ』『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』)

金子ありさは1973年生まれで、脚本家以外に、小説家としても活躍。日本大学芸術学部映画学科監督コース在学時、当時22歳の時に第8回フジテレビヤングシナリオ大賞に応募し、『ときわ菜園の冬』で大賞を受賞しています。 1996年に脚本家デビューし、ドラマ『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』や映画『ボクの妻と結婚してください。』など、「結婚」がテーマの作品を多く手がけました。 その他の代表作は、亀梨和也主演の『サプリ』と『FINAL CUT』、大河ドラマ『花燃ゆ』や蜷川監督の『ヘルタースケルター』などがあります。

中園ミホ (代表作『ドクターX』『花子とアン』)

中園ミホは1959年7月16日生まれ、東京都出身。「NOTE」所属。広告代理店、占い師、脚本家の田中陽造の清書係などを経て、1988年に脚本家デビューしました。 34歳で未婚の母となり、1995年の月9ドラマ『For You』には、シングルマザーとしての経験が反映されているとのこと。代表作は派遣社員を描く『ハケンの品格』、米倉涼子主演の「ドクターX」シリーズや朝ドラ『花子とアン』などがあり、たくましく働くカッコいい女性像が、同性の支持を集めてきました。 その一方で、近年は堺雅人主演の『Dr.倫太郎』や大河ドラマ『西郷どん』も担当しており、男性主人公でも一定の評価を得ています。

野島伸司 (代表作『高校教師』『高嶺の花』)

野島伸司は1963年3月4日生まれで、絵本、小説、漫画原作、作詞など幅広い分野に進出しており、SMAPの名曲「らいおんハート」の作詞者でもあります。 シナリオ講座の講師だった伴一彦(ばんかずひこ)に師事した後、1988年に第2回フジテレビヤングシナリオ大賞し、本格的にデビューしました。『101回目のプロポーズ』、『プライド』などの泣ける恋愛ドラマを手がける一方で、『高校教師』を含む「TBS野島伸司シリーズ」と呼ばれる作品群は、レイプ、近親相姦といった過激な描写でPTAから苦情が殺到! 社会的タブーや人間の心の闇を生々しく描くのが特徴で、近年は「パパ活」(『パパ活』)、「格差婚」(『高嶺の花』)もテーマに取り入れました。

橋田壽賀子 (代表作『おしん』『渡る世間は鬼ばかり』)

橋田壽賀子は1925年5月10日生まれ、京城府(現:大韓民国・ソウル)出身。1949年に松竹の脚本部に配属され、1958年に脚本家デビューしました。 『愛と死をみつめて』を皮切りに、大河ドラマ『春日局』、朝ドラ『おしん』、『渡る世間は鬼ばかり』などの名作を手がけ、日本を代表する脚本家に!「渡鬼」では、シリーズごとに最新の社会問題を取り入れ、台詞回しと超・長セリフが多いことも有名でした。 「橋田賞」創設者であり、御年90歳を超えて未だ現役ですが、流行の影響もあり2010年頃を境に第一線からは退きつつあるようです。

遊川和彦 (代表作『女王の教室』『家政婦のミタ』)

遊川和彦は1955年10月24日生まれ、東京都出身。1987年に脚本家デビューし、1998年のドラマ『GTO』は反町隆史効果もあり、平均視聴率28.5%の大ヒット作になりました。 教師と生徒の恋愛(『魔女の条件』)、特別養子縁組(『はじめまして、愛しています。』)など、時代ごとの社会テーマに切り込むタイプ。『家政婦のミタ』や『女王の教室』など、過激かつシリアスな作風から、スポンサーの降板や抗議が殺到したことも。しかし、それが評価されている脚本家でもあります。 朝ドラ『純と愛』も賛否ありましたが、後々まで語り継がれる作品が多く、2017年には『過保護のカホコ』が高い評価を得ました。

活躍の場が広がる「脚本家」という物語の設計者

近年は「テレビ離れ」が囁かれる一方で、月額制の動画配信サービスが急成長し、各々の“オリジナルドラマ”も急速に台頭してきました。 地上波ではドラマ枠が増設されており、脚本家の活躍の場が増えつつあります。それもあって、裏方のイメージが強かった彼らが表に出る機会が増え、「この俳優が出てるから~」と同じくらい「この脚本家だから観る!」という人もいるようです。 仕事内容も収入も振れ幅が大きく、なるのも続けていくのも難しい職業ではありますが、挑戦すれば道が開けるかもしれません!