2023年5月17日更新

『ドロヘドロ』最終巻をネタバレ解説!【独特な世界観と剽軽なキャラクターが魅力】

このページにはプロモーションが含まれています
ドロヘドロ

壮大なダークファンタジーを

AD

『ドロヘドロ』をネタバレ解説!多様な魔法とキャラが魅力のダーク・ファンタジー作品【ネタバレ注意】

誰も思いつかないような独特すぎる世界観が人気を呼んでいる『ドロヘドロ』。2000年から2018年まで小学館の漫画雑誌4誌をまたいで連載された「大ダークファンタジー作品」です。 退廃的な風景と“クセが強い”キャラクター達、グロさの中に存在するギャグなど……。本作品はまさに「カオス」を描いており、読む者を惹きつけています。 また主人公の謎、ほんの少しの恋愛要素、たまに出てくるスチームパンク要素など、全てのジャンルに当てはまるような作品となっています。 映像不可能とまで言われた本作品がなんと2020年冬にはアニメ化し、同時期に作者・林田球の『ドロヘドロ展~林田球の世界~』も開催されました。 ※この記事は『ドロヘドロ』のネタバレを含みます、読み進める際は注意してください。

『ドロヘドロ』のあらすじ【カイマンの正体は何なのか!?】

舞台は人間が住む退廃した街「ホール」。ホールには毎日のように別世界から「魔法使い」が現れ、度々人間を練習台にしては去っていきます。 主人公は魔法使いに頭だけをトカゲに変えられてしまった男「カイマン」です。彼はある日突然トカゲ頭の魔法使いに襲われ、トカゲ頭になってしまいます。 彼は相棒・ニカイドウと共に魔法使いを捕まえては片っ端から「口の中の謎の男」に自分をトカゲ頭にした犯人の関係者かどうかを尋ねることで犯人を捜索。 襲われる前の記憶がないカイマンの「何者にトカゲに変えられたのか」「なぜトカゲに変えられたのか」「本来何者なのか」という謎を解き明かすことが物語の軸となっています。

AD

『ドロヘドロ』キャラをまとめて紹介!【愛嬌のあるキャラクターが魅力】

ホール

カイマン 主人公のトカゲ男。正体不明で記憶喪失。名前は「カイマントカゲ」に由来。
ニカイドウ カイマンの相棒。可憐な女性だが戦闘能力が高い。
アイコールマン 魔法使いになりたいホールの人間。行方も生死も不明。
カスカベ 実年齢60歳。魔法使いの練習台にされ子供の姿に。
バウクス ホール中央病院魔法被害者病棟の医者。カイマンの雇い主。

魔法使い(煙グループ)

煙(えん) 煙ファミリーのボス。何もかもキノコにする魔法を使う。
心(しん) 煙に雇われている殺し屋。煙に言われ、カイマンを狙っている。
能井(のい) 煙の従姉妹で、心と契約した正式なパートナー。
藤田 煙ファミリーの下っ端。仇であるカイマンを狙う。
恵比寿 カイマンに殺されかけていた少女。言動が安定しない。
ターキー 人の記憶を基に生命のある人形を作りだす。
キクラゲ 死者に生命を与える魔法を使う。煙のペット。

十字目の組織

ボス(懐) ほとんどが謎に包まれている。
会川(あいかわ) 栗鼠の相棒で親友。長引く頭痛に悩まされている。
毒蛾(ドクガ) ボスが失踪してから十字目を率いている者の1人。
栗鼠(リス) カイマンの口の中にいる男と同じ顔をしている男。

悪魔

アス ニカイドウと親しい男悪魔。元人間でニカイドウの家族。
チダルマ 他とは違い、生まれつきの悪魔。最強の存在。
ハル カスカベの元嫁。元は魔法使いで現在は悪魔。

無所属

ホールくん チダルマによって生み出された。怨念の集合体。

カイマンの正体をネタバレ解説!【ネタバレ注意】

カイマンの正体はアイ=コールマン!過去での彼の動きや目的を解説

カイマンの元になった人間は、ホールで暮らすアイ=コールマンという名の青年。 アイは人間ですが、魔法使いになるべく8人の魔法使いの肉体を集め、自身を魔法使いにしようと試みていました。そして「多体移植手術」を希望するように。 ある日、アイは湖に沈む魔法使いの死体を回収しようとして瀕死状態に陥ります。なぜなら湖が魔法使いに殺された人間の「怨念」で満ちていたからです。 運ばれてきたアイにカスカベ博士は仕方なく「多体移植手術」を試みます。 目を覚ましたアイは自身が魔法使いになれたと確信し、他の魔法使いに話しかけますが結局魔法は全く発動せず。アイはその場で殺されてしまいました。

アイコールマンの死亡後、壊と会川が誕生

アイの死亡後、アイの中に入り込んだ湖の怨念が新たな人格「懐」として目を覚まします。懐という人格が後に魔法使いを殺害する組織「十字目の組織」のボスとなるのです。 また、懐の中で目覚めたアイは以後「会川」と名乗り、同じ肉体をうまく共有して生活していきます。 つまりアイ(会川)=懐(十字目のボス)となり、違う人物として描写されていた2人は、実は同一人物だったのです。 会川は入学した魔法訓練学校で栗鼠(リス)という青年出会い、親友とも呼べる関係になります。一方懐は十字目の組織を作り上げ、魔法使いを殺害しては吸収し「最強の魔法使い」を目指すように。 2人は行動は違いますが肉体は同じのため、会川は常にマスクを被り、顔が見えないようにしています。

AD

カイマンのトカゲ頭は恵比寿の魔法が原因だった!壊の死亡でカイマンが誕生

懐は魔法使いを殺害していく中で、次に目を付けたのが会川の親友・栗鼠でした。 栗鼠の魔法は「カース(呪い)」。自分を殺した相手に復讐するという強力な魔法を持っていました。それに気付かず懐は栗鼠を殺害してしまい呪われることに。 その時、たまたま煙ファミリーの恵比寿の魔法が入った瓶が割れてしまい、2つの魔法が煙に同時にかかることになったのです。 恵比寿の魔法は「人/自分をトカゲ化すること」だったため、二重に魔法がかかったトカゲ頭の大男・カイマンが誕生することになりました。 ちなみに恵比寿は「自分の魔法を入れた瓶」を売ることで度々お小遣い稼ぎをしていたことが明らかになっています。2つの魔法が同時にかかってしまうと言う事態は故意ではなく事故だったようです。

カイマンの謎をまとめて解説!【口の中の人物や魔法、頭再生の秘密とは】

カイマンの口の中の人物は栗鼠

本作品の最大の謎の1つ「カイマンの口の中にいる男」は栗鼠の「カース(呪い)」そのもの。自分を殺した相手を呪うという魔法です。 煙に対して同時に発動した恵比寿の魔法に閉じ込められ、身動きが取れなくなっていた模様。恵比寿に向かって「お前は俺の邪魔をした」と発言したのはこのことが原因だったのですね。 また、栗鼠本体は1話の時点では死亡していますが、心達によって生首から蘇り自身を殺した犯人捜しを始めています。

AD

カイマンに魔法が効かないのは二重魔法が原因だった!

『ドロヘドロ』の世界では、極稀に「魔法が重複してかかっていると他の魔法がかからない」状態になる者が現れるそうですが、カイマンがまさにこれです。 カイマンには既に二重に魔法がかかっているため、作中の魔法使いとの戦闘シーンで魔法が効きません。 彼は心達との初対面時には「魔法の効かない俺に勝てるはずないぜ」と自信満々に語っています。つまりカイマンを倒すには体術で勝つしかないのです。

頭が再生するのは多数の命を宿しているから?

物語序盤、心達と戦闘になったカイマンは、首を刎ねられます。まさかの序盤で主人公死亡かと思われましたがニカイドウが体を持って逃げ、しばらくしたら頭部が再生してカイマンは復活しました。 この謎も長い間解かれないままでしたが、彼の中にはアイが集めた8人の魔法使いの魂と、アイの合計9つの魂を宿しているためと考えられます。 つまりは不死身に近く、あと8回体が死なない限りカイマンは復活すると予想できるでしょう。

カイマンの魔法は「餃子」!

魔法使いと戦ってきたカイマンでしたが、最終回ではなんとカイマンが魔法を使って戦闘を行います。気になるカイマンの魔法は「餃子」。 この魔法を使用すると、人を餃子に変える、餃子の盾で攻撃を防ぐ、餃子で回復するなど多種多様な餃子の使い方で戦うことが可能になります。 これまでも食べ物に変えてしまう系の魔法使いは存在しましたが、カイマンの魔法は魔法使いの中でもトップレベルに強く、餃子とニカイドウへの強い想いが伺えるシーンですね。

AD

『ドロヘドロ』最終巻(23巻)ネタバレあらすじ【煙ファミリーの行方やニカイドウの死の真相は】

2000年から続いた本作も2018年についに完結になりました。ここでは最終巻(23巻)を4つの見出しで詳しくネタバレ解説していきます。

煙ファミリーの行方とは?ファミリーを守るために体を張る煙

煙は魔法使いに殺された人間の怨念の集合体・ホールくんが出す有害な泥からファミリーを守るため、延々と魔法を使ってキノコの壁を作り続けていました。 限界が近づいてきた頃、心の提案で、ファミリーは消という何でも消してしまう魔法使いを生き返らせることに。消は魔法を使用しファミリーやその他を魂のみを残すことで、その場を脱出することに成功します。 半年後、ファミリーは魔法使いの世界を復興させることに尽力していました。ニカイドウの希少な魔法が存在していることは、消によって人々の記憶から消し去られています。 心は元ホールの人間でしたが、魔法使いの世界で生きることを選んだようです。

ホールくんとの戦いに決着はついた?

魔法使いになったカイマンは、ホールくんの「ドロの中」で偽物のニカイドウと戦い、致命傷を負います。力も魔法も尽きてしまったカイマン。 そこに消の力によって脱出してきた煙ファミリーも現れますが、ドロの影響で全員動けません。そこで唯一立ち上がることができたのが、魔法使いと人間のハーフである心でした。 心がホールくんをバラバラに分解し、カイマンが残った力でなんとかホールくんの「核」となる部分を破壊。ギリギリのところでホールくんに勝利することができたのでした。 ホールくんが倒されたのと同時に、魔法使いの世界で降り続いていた有害な雨は止み、ホールくんによって動かされていた死体たちも浄化されました。

AD

ニカイドウは生き返ったのか!?【ニカイドウ死亡説】

ホールくんによって首と胴体が離されてしまったニカイドウ。この時1度は死亡していますが、『ドロヘドロ』の世界では何度も人間が復活しますので、ある意味“本当の別れ”ではありません。 ホールくんとの決戦前、悪魔たちとカイマンは「ホールくんを倒したらニカイドウを生き返らせる」という約束を結びます。 悪魔たちは、最強の悪魔・チダルマと「カイマンが勝つか」「ホールくんが勝つか」で賭けを行っており、カイマンに勝ってもらう必要があったようです。 カイマン達がホールくんを倒した後、無事に悪魔たちによって生き返ったニカイドウ。カイマンと抱き合って再会を喜びます。 ちなみにホールくんはその後、ホールで「魔法使い除け」として崇められる存在になるようです。

カイマンのその後!トカゲ頭はどうなったのか

ホールくんとの決戦中、気絶してしまったカイマンは、意識の中で「アイ」「会川」「懐」と会います。3人全てが自分自身であることを受け入れたカイマン。 彼は目を覚まし、3人の記憶全てを取り戻します。 ホールくんを倒した後、魔法使いはもうホールの人間を練習台にすることは止め、人間とは完全に別々の世界で暮らすことを決定しました。カイマンはニカイドウの食堂でアルバイトを始めます。 栗鼠から「悪魔試験に受かり、悪魔になったらトカゲ頭を元に戻してやる」と言われますが、これに対し彼は「もういいんだ」と返事をしています。 トカゲ頭である自分を受け入れ、そのままの姿で生きて行くことに決めたようです。

AD

2020年冬に奇跡のアニメ化!【おいでませ、混沌】

作画コストの高さから「映像化不可能」とまで言われた本作が、なんと2020年冬にアニメ制作会社のMAPPAによってアニメ化されています! 序盤から血しぶきが飛び交うショッキングな作品なので、深夜帯に放送されたようです。 内容は原作の1巻~7巻の途中までで、世界観と謎が解明されていない辺りで一旦終了しています。今後の2期放送発表に期待です。 キャッチコピーは「おいでませ、混沌」。まさに『ドロヘドロ』らしいですよね。

『ドロヘドロ』を振り返ろう!もう1度混沌の世界へ……

正体不明の記憶喪失でトカゲ頭の主人公・カイマンと、その他煙ファミリーや十字目の組織、可憐なのに強い女性たちなど、魅力的なキャラクターでいっぱいの『ドロヘドロ』。 カイマンの謎や栗鼠の謎、ニカイドウの希少な「時間遡行」魔法、心の過去など、終わってみるとすべてが伏線だったように感じられますよね。 漫画はどこも品薄状態で手に入りにくいですが、より世界観に浸りたい方はぜひ全巻漫画で読むことをおすすめします!