『トイ・ストーリー4』結末に賛否両論!みんなの評価から炎上したワケを考える【なぜひどいと感じる?】
『トイ・ストーリー3』のラストでは、アンディの成長によってボニーへと引き継がれたウッディたち。シリーズは“3”で完結し、アンディとウッディたちの物語も終わりを迎えたかと思われました。 しかし“3”の公開から9年後の2019年に、驚きの“4”が公開され、衝撃的で意外な結末に賛否両論の声が挙がったのです。なぜそのように評価が分かれたのか考察していきましょう。 ※この記事では「トイ・ストーリー」シリーズの重要なネタバレを含みます。読み進める際は注意してください。
物議を醸した『トイ・ストーリー4』の結末【ネタバレ】
『トイ・ストーリー4』では、ボニーのおもちゃたちとの新しい出会いが繰り広げられます。 その中でも特にボニーが幼稚園でゴミを使って作ったおもちゃフォーキーが物語の鍵。フォーキーはボニーのお気に入りですが、自分のことをゴミだと思っているため旅行中に逃げ出してしまいます。 なんとかフォーキーを連れ戻そうとするウッディでしたが、そこでかつての仲間ボー・ピープと再会。誰かのおもちゃではなく、自由に生きるボーにウッディは少しずつ感化されていきます。 おもちゃたちは様々な困難を乗り越えながら無事にフォーキーを連れ戻し、ボニーの元へ帰ろうとします。――しかし、そんな中でウッディは衝撃の決断をするのです。
その衝撃の決断とは、仲間たちと別れ、ボーといっしょに生きていくということ。 これまで持ち主を相棒として慕い、仲間たちを決して見捨てなかったウッディ。その彼がボニーの元へ戻らず、長年苦楽を共にした仲間とも別れるという意外すぎる結末が物議を醸したのです。
否定派の意見は?
ここからは、この結末に対しての代表的な否定意見を3つ紹介します。
①:ボニーが最低?
本作に対し、否定的な意見の1つに「ボニーの行動」が挙げられます。 ボニーはアンディと「ウッディたちを大切にする」と約束しておもちゃを譲り受けました。しかし『トイ・ストーリー4』ではそんなウッディたちをぞんざいに扱っているのです。フォーキーの横にウッディがいてもまるで無視。彼がいなくなったことにも気づいていません。 アンディは自分の大切なおもちゃたちをボニーが大事にしてくれると信じて、親友であるウッディを手放したはずです。これまでのアンディとウッディたちの絆を見てきた往年のファンほど、彼女の振る舞いに嫌悪感を抱いた人が多かったようです。
②:ボーやバズのキャラブレがひどい?
ボーやバズなど、これまで活躍してきたキャラクターたちがまるで別人のようになってしまっている、というのもマイナス評価の大きな要因。 まず以前のボーはワンピース姿でおだやかな表情をし、ウッディたちを優しく包み込む存在でした。それが本作ではパンツ姿で強気な表情、ウッディにもズバズバ文句を言うキャラクターに。 次にバズはウッディや仲間のためなら自ら危険も冒す男前なキャラクターだったはずですが、本作では内臓ボイスに従うばかり。自分の意志というものがまるでありません。 以上のように、思い入れのあるキャラクターたちの設定が過去と大きく異なったため、受け入れられないファンたちが多かったようです。
③:結末に納得がいかない?
否定派で最も多いのが結末に対する意見。そもそも先述したように、ウッディの決断は「トイ・ストーリー」シリーズのファンからすれば、思いもよらないものでした。これまでウッディは他の誰よりも持ち主のことを第一に考え、行動してきたからです。 またバズやジェシーなどの仲間たちとの別れも驚くほどあっさりしていたため、「数々の冒険を通して築いてきた絆はどこへ?」という疑問が拭えなかったようです。 “3”までの「トイ・ストーリー」は主にウッディと持ち主であるアンディとの結びつきや、仲間たちとの友情を描いてきたからこそ、今回の結末に納得できないというファンの意見が目立ちました。
賛成派の意見は?
波紋を呼んだ『トイ・ストーリー4』ですが、もちろん賛成派も多くいます。 まずは「自分の生き方を選んだウッディを尊重したい」という意見。ずっと「おもちゃ」としての役割を果たしてきたウッディが、新しい生き方を選んでもいいのではないか、というものです。 また単純に新しく登場したフォーキーやダッキー・バニーといったキャラクターたちが可愛いという意見もありました。とくにダッキーとバニーのコンビはふわふわで愛らしいビジュアルにもかかわらず、毒舌をはくユーモア溢れるキャラクターで、本作の笑いどころとなっていました。
『トイ・ストーリー4』が賛否両論になった理由【考察】
「生き方の多様性」を描いたストーリーである
本作はウッディがおもちゃとしての使命や仲間たちではなく「自分の人生」を選んだという結末にしたことで、「生き方の多様性」を描いたと言えます。 またボーは現代における自立した強い女性像を表しています。ゴミでできたフォーキーや、ボイスボックスが壊れていたギャビーギャビーは、生まれながらにして何かしらのハンデを負っている者の象徴とも言えるでしょう。 さらにボニーのお気に入りとはならなかったウッディや、ハーモニーに拾われなかったギャビーギャビーによって「持ち主に可愛がられること」は本当に幸せなのかという問いを投げかけています。 おもちゃたちの生き様を通して、様々な問題や価値観を提示した挑戦的なストーリーなのです。
「トイ・ストーリー」ファンとの感覚の違い
「生き方の多様性」は物語のメッセージとしては素晴らしいのですが、「果たして「トイ・ストーリー」のテーマとして適切だったのか」とファンの間で疑問視されています。これまでのシリーズでは持ち主や仲間との絆が一貫して描かれ、ファンもそれを魅力に感じてきたからです。 本シリーズを愛してきたファンほど、ウッディは必ずボニーや仲間の元へ帰ると信じていたでしょう。ウッディとバズのコンビも永久だと考えていたはずです。 ピクサーが「多様性」をはじめとした社会問題に真摯に取り組んでいるのはうなずけます。しかしキャラクターに愛着のある「トイ・ストーリー」ファンの感覚とはズレてしまったことで、賛否両論が巻き起こったのでしょう。
『トイ・ストーリー4』の海外の反応・評価
日本では否定的な声も多かった本作ですが、実は海外では圧倒的に肯定派が多く、作品は高く評価されています。これには国民性による価値観の違いが影響しているのではないでしょうか。 例えばアメリカなどでは個人の意見を尊重し、自分の意思を貫く風潮があります。しかし日本ではまだまだ集団意識や同調意識が強く、「仲間といることが幸せ」と考える人が多いはずです。 また海外では日本よりも、偏見や差別を排除しようという意識が高いということもあるかもしれません。自由や多様性を尊重する考えが根付いているのです。 いずれにしても海外で『トイ・ストーリー4』は好評であり、日本とは全く違う反応となっています。その理由には国民性による価値観や文化の違いが関係していそうです。
『トイ・ストーリー4』の結末、あなたはどう受け取る?
本作はこれまでのシリーズとは異なる方向性に挑戦した物語で、日本では賛否両論を呼びました。「トイ・ストーリー」への愛着や、個人の価値観によっても評価が違うかもしれません。 『トイ・ストーリー4』の結末をどう受け取るかは自由です。自分がどう感じたかによって、新たな価値観に気付けることもあるでしょう。 シリーズに一石を投じた本作ですが、まだ見たことのない人はぜひ鑑賞して他の人の感想と照らし合わせてみてください!