『るろうに剣心 最終章 The Final』ネタバレあらすじと感想解説 原作では薫が死ぬ!?
『るろうに剣心 最終章 The Final』あらすじ
登場人物の相関図
簡単なあらすじ
斎藤一は汽車内で上海マフィアの頭目・雪代縁(ゆきしろえにし)を探していました。「志々雄に鉄甲船を売ったのはお前か」と尋ねる斎藤一。縁はそれを認め「抜刀斎の頬にまだ十字傷はあるか」と問いかけます。そして縁は自ら両手を挙げ警察に捕まりました。 しかし領事裁判権によって清の領事館に引き渡される縁。その頃剣心、左之助(さのすけ)、薫(かおる)、弥彦(やひこ)の4人は、お馴染みの「赤べこ」で牛鍋を突いていました。腹が膨れ満足気に帰る一同の耳に入ったのは異常な爆発音。 先程まで剣心達がいた赤べこは炎の渦と化しており、それを見ながら縁は「復讐の狼煙だ」と呟くのでした。
結末までのネタバレ
【起】
剣心に奥さんが!?
赤べこや前川道場、署長宅への襲撃を行った雪代縁。それらは全て剣心への復讐心からの行動です。 かつて剣心には雪代巴という愛する女性がいました。最初は夫を殺された仇討ちのため剣心に近付いた巴でしたが、いつしか彼女も剣心を愛すようになり2人は結婚します。 その結果彼女を利用しようとしていた組織に、裏切り者だと判断されてしまう巴。遂に剣心と組織が対峙したとき、巴は敵を殺すため小刀を携え敵の目の前へ。しかし剣心がそこに誤って切りかかります。 これにより不殺を心情とするようになる剣心ですが、一連の流れを草陰から見ている人間がいました。それが巴の弟・雪代縁です。縁は姉を殺された復讐心から、剣心に牙を剝いていたのでした。
奥さんがいたなんて!?剣心はこんな苦しい過去を十字傷として背負って生きてきたんですね……
【承】
徐々に拡大する人誅
剣心への復讐を誓った縁は、上海にてマフィアのボスになるまで上り詰めます。そして武器商人となり、剣心を苦しめるため志々雄に鉄甲船を提供していたのです。 1人でマフィアとして裏社会をのし上がったこと、武器商人として活躍したこと、そして志々雄に協力したこと。全ては剣心への復讐のための行動でした。
この志々雄とのつながりは、のちに登場するサプライズゲストの伏線でもありましたね
自分以外の人間に自分のせいで被害が及ぶ状況を、剣心は重く受け止めています。幕末に何人もの人を殺めてきた剣心は、人を助けることで罪滅ぼしをしてきました。 しかし赤べこの妙や署長の家族などが傷付いている様子を見て、自分の行いが正しいのか分からなくなってしまう剣心。自分ではなく周りに刃を向けられる状況が、剣心には1番苦しいものだったのです。
じわじわと大事な人に忍び寄ってくる恐怖が、剣心を消耗させていました
街を襲撃した雪代一派のうち、剣心の前に立ちはだかったのが鯨波兵庫(くじらなみひょうご)です。武器が接続してある彼の右腕を過去に斬り捨てたのは、幕末に生きた剣心でした。 すでに不殺の信念を抱いていた剣心がとどめをささなかったことで、鯨波は武士としての誇りを汚され恨んでいたのです。 そして遂に明治の世で剣心との再会を果たした鯨波。しかし勝負がついても、剣心は不殺の信念を曲げません。「今度こそ俺に死に場所を与えろ、止めを刺せ」と叫ぶ鯨波に剣心は「逆刃刀で人は殺さないと誓った」と静かに告げるのでした。
原作でもかなり印象的だった、熱い思いを背負った武士の亡霊。いつの時代も変化についていけず苦しい思いをする人はいるものですね。
雪代縁は単身で神谷道場を訪れます。剣心が最も信頼を置く左之助ですが、強い恨みの念でここまでのし上がってきた縁に全く歯が立ちません。何度も致命傷を負いながら、縁に向かっていく左之助。 しかし最後は気を失い、圧倒的な戦闘力の差に敗北を喫しました。
打たれ強さが売りの左之助ですら立てなくなってしまいました。左之助の活躍が少なかったのは今作のちょっと残念ポイントですね
【転】
剣心を1人にしない仲間たち
薫を連れ去られた剣心は道場で1人、贖罪に生きた自分の半生と、仲間との思い出を振り返っています。 そして弥彦に左之助を任せ、1人で指定場所へ向かいます。剣心はこれ以上誰も巻き込まず決着をつけるため、1人で戦うことを選びました。
1人で京都に旅立った「京都大火」を思い出してしまうシーンでした……
単独で雪代縁のアジトへと乗り込んだ剣心は、大量の兵と1人で戦います。雪代一派の強敵も現れ、満身創痍の剣心。しかしそこに巻町操(まきまちみさお)率いる御庭番衆が助っ人として登場しました。 次いで斎藤一率いる警察、ボロボロだった左之助まで助太刀にやってきます。そして自分は1人ではなく頼れる仲間がいると気付いた剣心は、その場を皆に任せ先へと進むのでした。
土屋太鳳演じる操の本格アクションがかっこよすぎでした……!
お前は1人じゃない!と言ってくれる仲間の存在が剣心を強さを支えてるんだなあ
先へと進んだ剣心は、待ち構えていた縁の副官・呉黒星(ウー・ヘイシン)と銃を持った兵隊に囲まれます。そして奥から登場したのは、呉に雇われた元十本刀の瀬田宗次郎(せたそうじろう)でした。 絶対絶命かと思われた剣心ですが、宗次郎は縮地を用いて剣心の後ろにいる兵隊に斬りかかります。宗次郎もまた剣心と同じ流浪人となっており、ここに宗次郎と剣心の共闘が成立したのです。 大暴れする2人ですが、倒しても倒しても押し寄せる大量の兵隊。宗次郎は「久しぶりに楽しかった」と言って剣心を縁のもとに進ませ、1人残った敵を引き受けるのでした。
神木隆之介との再共演はテンションあがりまくり!!息のあったアクションも瞬きできない!!
【結】
剣心は縁の“間違い”を止められるか
宗次郎に見送られ、最奥で遂に雪代縁と対峙する剣心。縁優勢のまま戦いは進み、剣心は背中に傷を負います。「姉と同じ傷は痛いか、だが姉はもっと痛かったはずだ」と、縁は想いを爆発させながら猛攻を続けました。 しかし「平和の世のためお前を止めねばならぬ」と覚悟を決めた剣心の力は強くなり、戦況は徐々に逆転していきます。そして最後に「姉への気持ちや自分への怨嗟は間違っていないが、その生き方だけは間違っている」と告げ、剣心は縁に渾身の一撃を放つのでした。
大切な人を失う苦しみと、間違いに気づく葛藤を見事表現していた新田真剣佑の演技に心震えた……
剣心に大切な人を失う苦しみを味わせるため縁は薫を殺そうとしますが、いざ実行に移すと巴の顔がチラついて殺せずにいました。 そのまま迎えた最終決戦の場に現れる呉。呉は自身の邪魔をする薫を撃ち殺そうとしますが、そこに飛び入り身を呈して薫を守ったのは縁でした。 「薫を守ってくれてありがとう」と伝える剣心に、「俺が本当に守りたかったのは……」と呟く縁。縁の頭には巴の姿が浮かんでいます。
殺したいのに守ってしまう、縁の心優しい本性が見えるシーンでした
巴に笑って欲しい一心で進み続けた縁でしたが、間違いを止めたのもまた巴の面影だったんですね
巴のために復讐を決意した縁。しかし巴自身は未来のため命をかけてでも剣心を守る覚悟があり、復讐など望んでいなかったのです。 巴は剣心が生きながら人を助ける未来を、そして縁が平和で幸せに暮らす未来を望んでいたのでした。
巴の日記を獄中で受け取り、姉の真意を理解した縁。罪を償ったら、これからは恨みの念に囚われず幸せに生きて欲しいです……
「最終章 The Final」感想・評価
もう一回見たいキャストが全員出てきたので大満足!薫と剣心の信頼関係がすばらしい。原作未読だったので剣心に妻がいたという告白には正直驚いた。ストーリーやキャラの再現度はわからないけど普通に楽しめた。やはりアクションと殺陣シーンが「カッコいい!」の一言に尽きる。縁役の真剣佑の演技力とアクションに痺れた!
原作既読で、劇場版3作とも鑑賞済みですが、かなり長い原作を詰め込んで終わらせた感がある。そこは仕方ないとして、弥彦の活躍や薫の葬式など、原作の好きなエピソードがカットされていたのが残念。しかも二部作なのに、前後編という感じではない……?過去作や原作を知らないと、説明的な展開はないのでちょっと困るかも。
縁役が新田真剣佑だったのが大正解!剣心との戦いもすごい迫力で、戦いつつ2人の心情が折り重なっていくのが見応えあり。過去作から再登場のキャストも多いため、できれば1~3作目は観てから鑑賞した方がいいかも。5作目は完全に過去編ですが、縁と剣心との確執を生んだ元となる話なので絶対4作目→5作目で観たいところ。
映画でカットされた原作の展開【薫が死んだ!?】
弥彦が大活躍!
本作ではあまり活躍が描かれなかった明神弥彦(みょうじんやひこ)ですが、原作の「人誅編」では大活躍しています。 剣心への恨みで集まった「六人の同志」の1人である乙輪飄湖(おとわひょうこ)。原作では「人間暗器」と呼ばれる乙輪を、弥彦が見事打ち破っているのです! 他にも恋愛描写なども描かれ随所随所で存在感を発揮していた弥彦ですが、「るろうに剣心 最終章」ではその活躍はほとんど描かれませんでした。10年の年月を経てキャストが変更されたことも変更の理由のひとつかもしれません。
薫は1回死んだ!?
映画では薫は誘拐されて剣心がすぐに迎えに行きますが、原作では神谷道場に薫の死体が残されていました。剣心に大事な人を失う苦しみを味わせるために縁が企てた復讐です。 とはいっても縁は姉と似ている若い女性を殺せないので、死体は精巧な薫の人形でした。 しかし原作ではその精巧さにほとんどのキャラクターが騙され、葬式まで開かれています。
剣心は廃人に!?
最愛の女性である薫を失った剣心は、その絶望感から廃人化してしまいます。廃人化した剣心は社会から脱落した人間の集まる「落人群」にて、逆刃刀に鎖をかけ無気力に生きていました。 「もう疲れた」と口にし、誰が訪ねてきても心を取り戻さない剣心。薫の死体が生み出されなかったため、こちらのシーンも劇場版では描かれませんでした。
綾野剛が演じた外印は本当は雪代縁と組んでいた
劇場版「るろうに剣心」では、1作目に登場した綾野剛演じる外印(げいん)。しかし原作では彼は「人誅編」にて雪代の仲間として描かれているキャラクターです。 外印は死体を加工した人形を操って戦います。そして上記した薫の死体人形を作った人物こそ、雪代と手を組んでいた外印だったのです。
「るろうに剣心 最終章 The Final」キャスト一覧
雪代縁役/新田真剣佑
映画最終章で描かれる「人誅編」において、最も重要なキャラクターとなる雪代縁。この役を新田真剣佑が演じることが2020年2月に発表されました。 大友啓史監督は新田について「初めて対面した時、その真直ぐな眼差しの強さに惹かれ、すぐに彼以外考えられないとプロデューサーに話したことを鮮烈に覚えています」とコメント。 鋭い目つきと筋肉質な肉体、抜群の運動神経をもちながら、どこかあどけなさも残る、ピッタリの配役でした。
沢下条張(さわげじょう ちょう)役/三浦涼介
ミュージカル『エリザベート』など舞台を中心に活躍している、三浦涼介が元・十本刀の張を続投。 張は志々雄一派壊滅後、斎藤の元で密偵として働くようになります。張のインパクト抜群のビジュアルを、最終章でもまた見られそうですね。
呉黒星(ウー・ヘイシン)役/音尾琢真
連続テレビ小説『なつぞら』にも出演した、TEAM NACSの一員でもある音尾琢真が本作から参戦します。 雪代縁率いる武器を商売する商談の副官である上海マフィア・呉黒星を演じます。本人は武術には精通していないので、4人のボディガードで身を固めています。 商団の利益を自分のものにしたい野望が、思わぬ展開を招くことになりました。
主題歌:Renegades/ONE OK ROCK
本作の主題歌を担当したのも、シリーズ通して主題歌を担当してきたONE OK ROCK。なんと今回の主題歌「Renegades」はエド・シーランとの共作です。レコーディングもイギリスのスタジオで行ったとか。 「反逆者」というタイトルからも分かる通り、強い意志と覚悟が感じられる迫力とスケール感たっぷりの楽曲に仕上がっています。
『るろうに剣心 最終章 The Final』あらすじはシリーズの集大成!
2011年から始まった実写映画「るろうに剣心」シリーズの「最終章」として製作された二部作。その先陣を切った「The Final」は、グレードアップしたアクションシーンとキャスト再集結に感動する、まさに集大成にふさわしい1作となりました。 ぜひ1作目からまとめて最終章まで一気見して、実写版「るろ剣」ワールドに浸りたいですね!